青年
ゴールなんてものに辿り着けなくていい、みすみす幸せという人から与えられるものをそれと引き換えに失くすなんてと屈託の無い微笑みを浮かべながら言う青年と、出会った。その青年の背中をぼんやり見つめていると、ふと遠くに聞こえていたチャイムがすぐ傍で鳴った気がした。
その青年の影は眩しい扉の先にある光へと吸い込まれていくようであった。
ゴール、それは彼にとっていつでも自身を縛り付けていたものであり、欠かす事の出来ない障害であったのかもしれないと感じたのであった。
と同時にあの青年はゴール無くして、どう生きているのか今自分達が目指しているのはそのゴールに違わないのではないのか、と疑問を投げずにはいられなかった。