第五世界 《 僕の勝ち 》
「音無キセキという人物はアブソリュートのナンバー10であり、両目を隠すようにして布を巻き、心眼という力を用いる能力を使ってた人ね」
「両目を隠す……?」
「そう!両目を隠しているのよ。私はアブソリュートに会ってないから、そこまで知り得てないわけだし、詳しいことはわからない。ただ、その能力はいかなるものをも見通す力があるとされているの」
「この異世界の歴史の本みたいなものか……」
「そうね。アブソリュートを知らないものはいない。だから私も知っている。でもね?すでに音無キセキは死んでいると話されているのよね~不思議だと思わない?」
「俺に会ってきたものが別の存在と言う可能性があると?」
「別の可能性というよりかは、別人として考えたほうが好都合だと思う。おかしいでしょ?数十年も前の人が君の目の前にやってくるなり、君に対して、罵倒や助言を言うのって?」
霧火はそれもそうだという納得をする。やはり突然現れるなり、力の使い方や意味を知らないと話されることは異常な行為だということを。
「そもそもあいつは俺らと同じ転移者だと話した。なぜそれを知って……それとなぜ?目を狙うんだ?」
「質問はゆっくり確実につぶしていきましょう。あなたがあったものは私も実のところ知らないのよ。その場にいないからね?ただあなたの真実の目を狙う者は多く存在するのよ」
死神の目、真実の目。時頼聞くこの能力、なぜか今までの能力とは違い、二つの呼び名が存在する。それこそ謎多きものであったが、春風霧火はアレクロアス三世自体が死神っぽいの理由で、半ば強制的に納得していたところがあり、詳しくは考えようとはしなかった。
しかし、柊美結はその力に関して話始めた。それもとても詳しいとさえ思えるほどにまで……
現状春風霧火は、ブラッドと真実の目による力の二つが合わさった結果、両方が反発し合い片方だけ赤い目になった。そして、二つの名前がある理由としては、元々は死神と言われていたイヴェラトールの所持する能力。それから、能力的には相手のことを見通す力があるとされ、真実の目として特殊技能書に記されている。
「見通す力……さっき話に出た音無キセキと同じ……」
「今からそれを話そうとしてるから、黙ってなさい!」
なぜか怒られる春風霧火。その後にすぐさま話は切り替わる。音無キセキの所有していた心眼は相手の心を読む能力であるとされ、真実の目の見通す力とは違った能力であった。
霧火自身の持つ力は【相手の本当か嘘かを見極める程度の能力】しかないとされており、戦闘にはあまり向いてないものであった。
それを聞いた直後さらに音無キセキの偽物が狙う理由がわからないと話す。
「そうね。その人物がなぜ君の目を狙うのかはわからないわね~」
「結局そこで終わりかよ……」
「実際そこら辺の石っころでも見る人にとっては高価なもののはずよ!異世界の石!っていったら現実の世界の人はどう思うよ?1000万円で買います!!とかいうでしょう」
「それもそうですね……」
またもや強制的な納得をする霧火。しかし、そこである一つのことに疑問を持つ。柊美結の存在である。先ほどの現実世界の人と話す限り異世界の住人ではないと考え始めすぐさま質問をする。
「あなたの存在について問いたいのだが?」
「私?しょうがないな~照れるけど!!」
キャラがぶれっぶれな感じが素晴らしいとさえ思えてくる霧火だったが、素直に答えてくれるのなら別に良いと考える。
「私は、ブラッド能力者にいかにして魔術を使えるようにするべきか試行錯誤しながら研究している人ね!」
「あ~~!!赤月の魔女さんですね!!マスター!!」
突然妙なところから何かがやってくる。懐かしいとさえ感じるその口調や声に驚く以上に一瞬誰かわからず悩む。それは、目の前に現れ、自己紹介をしだす。
「どうも初めまして、私は春風霧火様の精霊アリスと申します!以後お見知りおきを!!」
「あらまぁ!なんてかわいい子なの!!こ~んな小さい子が精霊ね~?霧火君ったら抜け目ないな~!」
「何が何だかわかりませんけど、とりあえず思い出すのに苦労しました今」
「マスターまったく力解放しなかったので、出て来るのに一苦労しましたよ」
一瞬柊美結はアリスを見るなり、ボーっとしてはいたが、手を叩き驚いた表情をし霧火に顔を近づけた。
「霧火君……まさか、あなたって……ダークマター所持者だったりするの?」
「一応そうですね……」
なぜか、表情がうれしそうなものへと変わり、呼吸が荒々しくなり始め質問攻めが開始する。さすがに、手に負えないと思ったのか、アリスに助けを求め納得してもらうまで話尽くした。
もちろんアリスはくたくたになり、近くにあったベッドで横になっていた。
「なるほど~私が君に初めて会ったときは、ブラッドと真実の目くらいしか把握しきれなかったけど、まさか、ダークマターに破壊王の力、無力の力まで持っているとは……歴史に残るねそれ」
「そんなにすごいんですね……正直オススメしませんけど」
「やはり無力の力は異常なほど使用者にダメージ与えるみたいね」
「……?」
「顔を見ればわかるよ……」
何も言えなかった自分に腹が立った霧火であった。なぜならば、それすら見通されているのだと、自身の弱さだと確信していたからだ。まだ、昔を捨てきれておらず、人に心配されるようでは強くはないと感じたのだった。
「そういえば、これからどうする気なの?」
「特にあてはないです。記憶にの中にある場所に行きたいのだけど、どうもふわふわしすぎて場所が定まってないというか……何というか……」
「そっか~なら、うちに来なさい!大丈夫!!前のようなおんぼろな民家じゃないから!」
記憶の中にある場所、ブラッドに詳しい柊美結、一度休めるところに身を置き、何か知らの情報をつかむのは得策だと考え、お邪魔することになった。最後に、一つ柊美結から警告を受けることになる。
「うちに来ること、この国にいること自体は良いとしても、君の所属ギルドは公表しないと記憶しておいて」
「どういうことだ…‥?」
それまた突然のことであった。自身の所属ギルドの話をしてはいけない。そもそも所属していること自体おもむろに話してはいけないときつく言われたのだった。理由はいつか知ることになるとされるが、何かが突っかかるとしていたが、どうしても話せない事情があるとして、ため息をし納得をすることになった。
それからすぐアリシアが奥の部屋からやってくる。体長は良好であり、何も問題ないとのことであった。その後すぐ、両親の方へと連れられ、霧火は柊美結の方に居候と言う形になり別れた。後ろからその家族を見ていた彼は、何もない普通の親子、楽しそうに笑顔が絶えない。その姿に自身の現世界のことを思い出す。何もなく、自室にこもるだけの一日。親は何をしているのかはわからない。ただ、心配されているということは感じてはいた。今現世界の方では何が起こっているのか? といった疑問が頭に浮かんでくる。
エリュシオンメンバーの皆が元の世界に戻りたいと話すが、自分は返って何がまっているのか? また同じような一日が繰り返し起こるのではないのか? っといった恐怖がこみあげてくるのだった。アリシアたちの光景を長く見ないようにするとし、後ろを向く。
柊美結は彼らが出ていくのを見終わった後に、すぐさま霧火を連れて家に進んでいく。
家に着くころには夕方になっており、夕ご飯の準備してくるとして、どこかにでかけていくのだった。家にお邪魔すると、現世界にあるような普通の内装がそこにはあった。一人暮らしだとは思えないほど大きな一軒家に招待され、驚くがすでに彼女はいない。何をどう使えばいいのかわからなかったが、なぜか玄関に置いてあった紙にはご自由に! と書かれていた。元から自分がここに来ることが確定していたような書き方であったが何も考えずあがる。
異世界であっても、何も変わらない家具家電製品、使い方も統一されており、正直驚くことが山ほどあった。しかし、変わらなければどうということもなく、かえってスムーズに何かができることが楽ではあると考える。
それから何時間も経ち外は真っ暗で街頭の明かりが照らすほどまでなったが、一向に帰ってこないことに疑問を感じ、外にでた瞬間……
「なんだ……これ…」
辺りには人が一人も存在せず、閑散としていた。まだ夜になったばかりというのに不思議と思い歩き出す。
「まさか、ここで会えるとはね?」
後ろから、聞いたことのある声がしてくる。それは落ち着いた感じがしており、振り向き際に無双竜を召喚しては引き抜こうとするが、遅かった。
「ぐはぁ……!!」
壁に思いっきり叩きつけられれ、首を絞めるようにして右手で握られる。それもこの瞬間で倒すかのようにして……霧火は相手が確実に音無キセキを偽ったものだと考えるが、なぜか手足に力が入らない。
「無駄だよ。束縛の魔術で君の動作を封じている。そのまま息絶える運命にあるんだよ。久しぶりというわけでもないけど、久しぶり、春風霧火君」
「お前は……音無……キセキ……」
首を絞められ声にならない声を出す霧火。その言葉を聞いた瞬間にさらに強さを増していく。表情は、憎しみとも捉えれるほどに邪悪なものへと変わっていた。
「君を殺して、そのままその目は僕のものになる。君がイヴェラトールを倒さねばこのようなことに……」
「マスターを放すのです……」
「……!!」
音無キセキの後ろをとっていたアリスは、すぐさま霧火を救出すべく右手で魔法陣を展開し攻撃を開始する。まさかの救援にその場から消え、一定の距離を取る。悔しがってはいたが、なぜか笑っていた。
「ハハハ!!ハハハ!!まさか……まさか……君はとんだ化け物だよ……ハハハ!!」
「何がだ……」
「驚くよ。まさか君にダークマターの精霊がいるとは思わなかった。前の戦いでは隠していたのかい?本当に驚くことしてくれるな!!春風霧火!!」
「突然襲い掛かって来たり、笑ったりと、なんとも忙しいやつだな。なぜ俺を狙う」
「その目が欲しいからに決まってるだろ。ドアホ」
罵倒した瞬間、霧火の真上から数本の剣が召喚され落ちてくる。土煙と共にその姿が見えなくなるが、それを見ていた音無キセキは、真顔になり彼の生存を確認するかのように探知魔法を発動するが、真後ろに気配を感じ右手に剣を召喚しては、対抗する。
ガキイイイン!!
剣と剣の交わる音が辺りに響き渡る。半分笑みをこぼしながら対象に向かって叫ぶようにして声を荒らげる。
「後ろを取るのはもう時代遅れだと思うんだけどね。それだけじゃ飽き足らずお前はそちらから来るのか!!化け物めええええ!!!」
「グガアアアアアアア!!!!」
剣を刺した方向から巨大な赤黒い口の裂け切った悪魔がそこには存在し、キセキめがけて突っ込んでくる。ある程度の距離にいった途端大きく口を開け丸のみをするかのようにして閉じ、大爆発する。
ドガアアアアアン!!
辺りに爆風が吹くと同時に、水が流れるようなエフェクトが発動する。
「マスター!お怪我は!」
「平気だ。心配いらない。ただ、これだけでアイツを倒せたとはとても思えない」
霧火は左目の力を使い対象を見つめる。人型の物体がうっすらと見えることを確認する。まだ生きていると確信し無双竜を握りしめる。爆発したところからボロボロになりながらも、立ち上がってくるものが、こちらを見てくる。
「一度ならず、二度もか……どうしてこうもうまくいかないもんなのかね?どう思う?春風霧火」
あえて何も言わず相手をうかがう。間違いなく話をすれば、隙をついてくると考えたからだ。
「何かいってくれよ……無反応だと困るだろ……なああ゛!!!」
「来る……!!」
咄嗟に防御の構えをし、飛んできた電気の走る巨大な丸い魔術の攻撃を防ぐが、視界からそれがなくなったと同時に、彼自身が突っ込んできた。
「あ゛……!!」
「マスター!!」
「お前は失せろ!!」
右手に持つ剣で霧火の腹部を突き刺し、左手をアリスにかざし、そこから消失させる魔術を発動させる。彼は頭上から数本の剣を召喚し、霧火に向けて放とうとした瞬間、時空が歪むような感覚に襲われる。
すぐさまそれが、ある術と確信すると同時に、焦りが入り、ついに腹部を刺していた剣から手を放す。
「しまった……!!」
「次元転移……!!」
キセキから離れた剣ごと霧火はその場から消え、距離をとるために後退する。それは、その場所から瞬時に別の場所に移動するかのようにして行われた。ワープした感じでとんだそれを見ては笑い、霧火に憎しみの目を向けながら、一言発し上空にあった剣を降らせた。
「その術なのは、最初っからシッテタ。アハハハ……僕の勝ちだ……」
右手で何かを引っ張り霧火を元の位置に戻す。次元魔法と無属性魔法の力を使う。気が付いたときには遅かった。上空にあった剣は、ぐしゃり と鈍い音をたて心臓、そして脳に突き刺さる。
腕は力をなくしたかのようにして垂れ下がる。暗闇の出来事、周りには誰もおらず、叫ぶものもいない。音はやがて消えていく……




