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第四世界 《 その先に見える世界 》

「僕の名は音無キセキ、君たちと同じく異世界からの転移者だ」


「お前は一体……?」




 春風霧火は戸惑う表情をする。それは、突然襲い掛かってくることや自身の力について何かしら知り得ていたからというものや、なぜか異様なまでにこちらに詳しかったこと含め、理由はわからない。ただ、イオリと瓜二つの見た目をしている音無キセキを普通とは考えるのも難しくはあり、問いただす。




「僕のことを知りたいのなら、まず自身の力をもう少し使い慣れてからにした方がいい。君はまだ生半可な戦士である」


「突然現れるなり、襲い、挙句には罵倒し、何をするかと言えば助言か……何が目的だ?」




 春風霧火の問いに答えることはなく、ただ笑顔のまま腕時計に目をやる。




「本当ならここで君を倒し、水戸アヤトも倒すのを考えていたけど、さすがにこうも時間を取られてしまうとね。また会おう春風霧火」




 何も答えを出すことなくその場から立ち去る音無キセキ。一体何者なのかわからないまま、暗闇の中へと姿を消す。それを茫然と見つめる霧火に追い打ちをかけるかのようにして、雨は激しさを増していく。世界がまた作られた中、何もかもがわからない状態で、彼はこれから何かが始まると予想し、歩き出す。


 夜は明け、朝がやってくる。雨は止み綺麗なしずくとなって草木から水たまりに流れ落ちていく、鏡にようになっていたそこに、霧火の全身が映り込む。近くの宿で止まり朝を迎えたのだ。

 彼は薄れゆく記憶の中にある場所に向かうため旅をしている。その場所に何があるのか? なぜ行くのかはわかっておらず、行けばわかるとし進んでいた。


 無人宿を後にし、壁に掛けてあった地図を手に取り、近くの街へと向かって行く。

 ある程度歩いているとそれは見えてくる。目に広がる光景はグラン・エリアスと似たような美しく綺麗であり、大きな街であった。国であるのかもしれないその場所の門に着き門番と会話する。


 大きなところであるため、入場する際も厳しいチェックが必要とされていた。難なくそこをクリアし、街に入り、役場を目指す。

 高層ビルや馬車などがあり、役場付近には大きな噴水、その周りを人々が楽し気に会話をしていた。中には自分と同じような旅人の姿が何人も存在し、よりいっそうこの異世界の当たり前を認識するようになった。役場の受付曰く、この国は『エルシェルフィ』と呼び、グラン・エリアス同様とても大きな力を持つ場所と話される。


 自身の目的地を話したくはあったが、ふわふわした記憶をどのように話すべきかがわからず、この国の散策をするように変えた。発展した国、数歩先にここまでの世界が広がっていることに正直驚く霧火であったが、それでも自身の生きていた世界とは少し違うと感じる。

 獣人と呼ばれるものが平然と住まうこの世界、異能力を持つとされることが普通とされるこの世界。細かなところを見れば、確実に現実とまったく違う世界がここであり、いまだになじむことができずにいた。

 それでも何かしらの情報があるとして、この国である程度の日数を住むと決めるが、当てがない。何も考えずただひたすらに、この国に訪れ、何も考えず散策すると考えた答えである。


 自身の無力さがまた垣間見えるとし、昔を殺すことがいまだにできてないと確信する霧火にどこからか声が聞こえ始める。




「助けて……!!」




 その声は誰もが聞こえるほど大きなものであったが、周りは反応が薄い。しかし、すぐさま気づく。周りの人は無視をしているのではなく、ただ聞こえてないのだと。自身にしかこの声は聞こえておらず、ただ助けての一言を発している。何が起こるかわかららず、不安を抱いていたがそれでもそちらの方に進んでいく。走り続けていると、気が付けば、そこは暗く狭い場所であった。朝だというのになぜか、夜だと勘違いするくらいに、そこは日がやってきていなかった。


 警戒しながらゆっくりと前に進み始める霧火。先がまったく見えなかったが、声がだんだんと近くなっていくのがわかっていく、もう少し……もう少し……そう思いながら、歩いていく。 

 すると目の前に小さな女の子が現れた。その子は、暗闇の方に向けて座りながら、顔を伏せ泣いていた。



「なんだ……小さな子か……」



 そう思いふと、ため息をすると左目が光だし、何かを霧火の脳に焼き付けていく。それを見た瞬間暗闇の方から、何かしらの物体が顔めがけて飛んできたが、咄嗟にかわし後退する。




「助けて……怖いの……近くに来て……」




 助けて欲しいと話すが、霧火は戦闘体勢に入ったまま後退した位置から動かない。なぜならば、彼の左の瞳には、少女から禍々しい黒いオーラが浮き出ていることがわかっていたからだ。もう彼は自身の力について理解していた。左の瞳は、死神の目、別名真実の瞳とされており、相手の正体がわかる力があり、それを自由に使用することも今の彼にとっては造作もないことである。




「悪いが、それ以上は近づくことはできない。お前は一体何者だ?」




 瞳が映し出す映像を見ては質問をする。少女はそれを知り残念がるようにして声を出す。




「お前……お前……お前ぇぇ!!」



 少女は高い声を出したと同時に前方の暗闇から触手のような赤黒く光るものが霧火めがけて突っ込んでくる。それをかわしさらに後退するが、その波は留まることを知らないかのようにして、次々とやってくる。しかし、少女の攻撃はなぜか今までの敵とは比べ物にならないくらいに弱くかわすのが容易であった。

 

 すぐさまその理由を知ることになる。少女はこちらを見ずに攻撃しているために当たらないのであり、別の事情があるとして、回避をやめ、やってくる触手を右手で素手で受け止める。その後引っ張る。



「ん!……むうううう~~!!!」




 少女は止められたことを理解したと同時に悔しがるような声をだして、さらに攻撃を繰り出す。その行動を見てかえって呆れた霧火は七聖剣である神の遺産の『無双竜』を召喚しては、光を辺り一面に放出しだした。



「ああ~~!!ああーーー!!‥‥…やめ……てえええ……!!」



 その光は少女を照らし、攻撃が止み触手を隠すようにして暗闇の中に消えていき、すぐさまやめるように力ない声を発する。

 光の放出をやめたと同時に、少女が何やら震えているのが見て取れた霧火は再度左目の力を使う。なぜか先ほどの黒いオーラは消えており、赤いオーラへと変わっていた。なぜか、この瞬間自分と同じ能力を持つものだと理解し、話しかける。




「もしかして、君ブラッドの能力者か?どうしてこんな暗い場所にいる?」


「ブラッド……狩られるもの……私は負けた……どうぞ……好きにしてください……」




 突然自身の負けと話し、好きにしろと言う少女に呆れたようにため息をし、少女の後ろで地べたに座り優しく語り掛けるようにして自身の能力を言う。




「何もしない。同じ能力を持つものだから、何もしないさ。こっち見れる?自分もブラッド能力者だから」


「え……?」



 少女は驚いた声をだし、ゆっくりとこちらに顔を向けてくる。両目の赤い瞳がこちらに向かれる。白い部分が黒く変色し、黒い部分が赤く変色している。目の周りには赤い血管が稲妻が走ったように浮き出ており、自身と違ったブラッド能力者だと知る。



 その後少女は、霧火を見ては安心しており、無理やりにも手を握り始めるとそのまま引っ張られていくのだった。暗闇の中を数分も走り行く先に、なぜか少女はポケットから何かを取り出し暗い空間に一つの扉を出現させた。そこを開き中に入ると、突然のまぶしい光に照らされ、目を背ける。




「同じ!!同じ能力者!!ステキ!!」


「なんだ……?」



 少女は喜びの声を上げていた。気が付けばそこはまったく違った世界ではないにしても、辺りの人は目が赤く染まっていたのだった。道行く人が何か知らブラッドの力を使っていることに終始驚く霧火。

 まだ未知の世界があるとして、驚いていたが、少女にそのまま引っ張られ家のような場所にやってくる。



「ここ!私のおうち!!」



 少女に招かれるようにしてやってきた家は自身の世界にもあるごく普通の一軒家であった。少女がうれしそうにこちらに話かけていると、その家から一人の男性が出てくるやいなや、少女を心配してたかのようにして話す。




「アリシア!!どこいってたんだ!!心配したぞ!!」


「ごめんなさい……」




 男性は少女の後ろにいる霧火に顔を向けてすぐさま表情を変える。




「アリシア……一歩引いてなさい。お父さんがやります」


「パパ!違う!その人も同じ人!!」


「え……!?だって目が……」




 何かを察した霧火は左目の色を変える。すると男性は納得したようにし、家に招いてくれた。




「本当に申し訳ございませんでした!!そして、ありがとうございます!!アリシア!あとでお母さんとお話ししますからそこでまってなさい!!」


「いえいえ、自分は何も……」


 

 

 どうやら暗闇の中に一人いた理由は、捕食という目的があるらしく、霧火とはある意味無縁のお話であった。ブラッドの能力を自身のものにしてからは、相当時間は経っていいたが、それでもそこまでの知識は存在しなかった。そもそも、世界ではブラッドという能力自体いまだに解明されていないことや、未知数なことが多すぎるがゆえに、エルシェルフィという国はブラッドのみの隔離空間を作成し、そこに住まわせているとのことであった。


 ブラッドはその力を保持する人達も自身の力を脅威として、納得するものが多い。第一に普通の住民と共に生存ができないらしく、彼らは通常の食事ができるが、月一でブラッド専用の食事をしなければ、力の制御は愚か、暴走してしまうことがあるとされる。

 通常の人では感知できないような人のにおいがすると、すぐさま暴走するものも存在し、結果このように隔離空間を作ったと話し、納得する。


 その後アリシアの行動に関しての質問をした。




「アリシアちゃんはまだ幼いから一人で外に出ては捕食したりするのですか……」


「アリシアだけは少しばかり違うんだ」



 どうやら、アリシアは他のブラッド能力者とは違い、また違った能力も持ち合わせているとのことであった。そもそも、小学生ほどの低身長ではあったが、男性から話された年齢は20歳と言われ、かえって混乱。霧火自身より5歳も年上だったのだ。それが暗闇の中泣きながらなのは何かしら怖いところがあるとして、あえて言わずにおいたが、それもアリシアの能力であり、小さくなることが可能とされ、不可解な点が多いと話す。ここまで別と離れた能力を持っていると怖いとし、月一で医師から来いと言われているそうだ。


 偶然それが今日であったがために、霧火も同伴することになる。

 実世界にもあるような総合病院にやってくる。この異世界の建物はどこもかしこも大きすぎるのが特色なのかもしれないとし、慣れてきている自分に呆れていた。

 受付をして呼ばれるが、アリシアと霧火のみと言われ、家族は待合室で待つようになった。なぜそのようなことになるのかは部屋に入りすぐさま理解する。




「名前を聞いて驚いちゃった!!生きてたのね?春風霧火君」



 綺麗な赤色に染まっている長い髪は後ろで二本の三つ編みにそのまま結ばれ、あとはストレートにしている黒目だけが赤く染まっており、あとは一般的なこの世界の住人と変わらず。なぜか妙に胸元が空いており、その大きなものを見せるかのようにして谷間が見えていた。

 白衣姿に眼鏡。昔に会った人とは若干違っていたが、記憶に残されている綺麗な人物がそこにはいた。内心驚きとこの人と何をしたのかまったく覚えてない悲しさから、何も声出せずにいた。




「うーわーやっぱりあの顔忘れている顔だわ~いやだわぁ~」


「いやだわぁ~」




 アリシアは女医さんともいえる人のあとに同じ言葉を言い放つ。名に起こっているのかわからず無言のままの春風霧火。




「念のため名前を言いますよ?ノエル・レッドレイ!それが私の名前」



 左目の力が勝手に発動し、それが嘘だと知る。



「本当の名前を言ってくれないか……」


「やっぱりその目キセキが狙ってたものだね……?」




 キセキ……また、記憶にある人物の言葉がやってくる。何か知っているとしあわよくば、この場所この時で無理やりにでも吐かせるとし、右手に力を込める。しかし、女性は彼のそれに気づき両手を上げ無抵抗の合図を出す。




「戦闘狂君は嫌いよ?私はここではそれはしない主義なの。改めて自己紹介するわ。私の本名は柊美結よ。こちらの世界では、ノエル・レッドレイとして活動している。これには嘘偽りはないはずよ?その目使いなさい」




 嘘ではなく、本当のことだと左目には描かれ納得し、話に映る。




「俺は……」


「大丈夫!君の名前は知ってるよ。春風霧火君。さっきいったのに……」


「本題に移りたい……キセキとは……?」


「アリシアちゃんのこと診断しながら話すわ。ゆっくりと、ただここで最初に言えることは音無キセキという人物は君があったとされる人物の本当の名前じゃないよ。この名前はアブソリュートの人の名前だから……」


「え……?」

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