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第一世界 《 目覚めの朝 》

「ここは……」



 水戸アヤト、彼は起きた。それは見慣れた場所であった。どこか懐かしいとさえ感じるような場所であり、畳の一室に敷布団を引いて寝ている状態。自分の家の自分の部屋。自分の匂いや家の匂い。何もかもが懐かしいと感じる場所にいたが、彼はすぐさま現実に戻る。



 ここは異世界、そして自分が今ここにいることを再認識するかのようにしてベッドから起き上がり、自分の掌を見続ける。それを悲しい表情のまま見つめる自分にため息がこぼれ落ちた。

 一体何が起こったのか? なぜここに自分がいるのか? それらすべてが水戸アヤトはわからないでいた。アヴィスの使者はどうなった? 仲間はどこへいった? ふと我に返る。夢のような異世界の生活は時頼、それが恐怖から来るもう一つの自分の作り上げた逃げ部屋なのかと考えることがあった。しかし、今はそうではない。弱音を吐く時間はとっくに過ぎている。自らを奮い立たせベッドから起き上がり、自室と廊下を繋ぐ扉の前に立ち、目をつむり、拳を心臓の位置までもっていき深く呼吸をする。それからドアノブをつかみ扉を開く。



「何かようかい?」



 あるものはそういった。水戸アヤトをさも邪魔者のようにそう発したのだ。それもそのはず。いきなり自分の家の自分の部屋に無断で敵が何も言わず入ってくるのと同じであるため、反応も打倒である。

 その目の前のものはため息をし、アヤトに何かを悟ったかのようにして語り掛ける。



「何があったのか? それを私に聞きに来たんだろ? ふん。そんな些細なことで私のところに入ってこられると困るんだけどね?」



「十分それは承知しているし、いつかあなたと戦わなくてはいけないというのも知ってる。だが、何が起こったのかをまず聞きに来たってかまわないだろ?アルス・マグナさん」



 水戸アヤトが相手の名前を呼んだ瞬間に目つきが変わる。さもそれを呼ばれて欲しくないような表情ではあった。それに関してアヤト自身が知ることは何もない。だが、その名前を呼ぶことは相手側は好きではないことは知っていた。現在アルス・マグナと呼ぶものは、別の名前ノヴァとして活動をしている。自身を神と称し、様々な世界の人やものをこの世界に転生&転移させている。


 それはすべて自分の計画《 神の化計画 》というなの自身の新しい器を作るためであった。アヤトとマグナの関係はそこまで深いものでもなく、ただ白神という男から名前を聞かされただけであり、それ以上のことは何も知らない。そんな現在の名前ノヴァで活動している相手側は水戸アヤトを見るなりして、またため息をし話し出す。




「いくら私が神の存在であろうが、すべてを知りすべてを理解しているわけではない。第一君のような存在に何を話すというだ?」


「敵だから話さない。敵なのかはまだわからないだろうに、小さな神様だな」


「おちょくっているのか? ここは私の空間だ。君をいつでもあの世に送ることは可能であることを忘れるな」


「ここまでこの異世界で住んだ僕を見てきたあなたは、ここで僕を倒すことはできない。十分理解してるから手ぶらでここに来た」


「少々頭の切れるやつは嫌いだな。貴様どこかのやつに似ているから、霧火よりも嫌いだな」


「ノヴァが僕らに興味ないことは理解してる。だからこそ教えて欲しい。今何が起こっているのかを……」



 水戸アヤトの自信やその表情、何を言おうが揺るがないとされるその瞳にノヴァもある程度の諦めが入っていた。何を言っても諦めることのない青年。無理を押し通すその姿勢。最初に出会った彼とはまったくもって違ったその見た目、少しばかりか驚いているノヴァであった。


 やがて諦めたのか素直に口を開く。




「私の知る限りでは、またリセットされたな。しかも今回ばかりは、相当大きな力によって捻じ曲げられた感じだ。それも、今まで君たちが使っていた力とは違い強制力が強いものだな?」


「僕たちの力でさえ、強烈なのにそれを超えるのか……」


「そもそも貴様らの力は神の遺産でさえ、それを思う存分発揮できていないだろう。それなのに希望の力を与えられるなど……なぜ、彼女はお前にそのような力を託したのかが、謎だな」


「面白い世界を見させる契約をしたからじゃだめなのか?」


「カンナ・アルフォン・シーナ・レッドレイ。彼女は生物自体に興味がない。なのに君に興味を示した。それが謎なんだよ。何を使ったのかは知らんが、そもそももう何回も繰り返された世界の記憶なんぞ、そこまで覚えてないだろう」


「覚えてるといったら嘘になる。だが、カンナとの約束は覚えてる。面白い世界を見させる。僕はそのために力を授かった。それは、直哉を倒すからなのか……それとも……」




 うすら消えゆく記憶を思い出そうにも思い出せない水戸アヤト。だた約束だけは覚えており、それを達成するまでは死ぬことは許されないでいた。カンナ・アルフォン・シーナ・レッドレイ。彼女のことを考えるだけでも何もはっきりとした情報がやってこない。


 本当に契約をしたのか? そもそも出会ったことがあるのか? それすらも怪しいとさえ感じるほどであり、徐々にそれがただの妄想の中の世界なのかと考えるほどにまでなっていた。

 確実に同じ旅をしていた鹿目結弦はいた。しかし、彼が最後に何を残しなぜ自分を殺したのかはわからない。世界を繰り返す直哉の本当の意味さえもわからない。何かが振りだしに戻った気分があり、ただ次に何をすればいいのかわからず、行動しても戻されるのならいっそのこと今の暮らしを堪能するだけでいいのでは? っとそう落ち込んだ感情がやってくる自分に嫌気がさしていた。


 力あっても何も変わらない。何も変えられない。何も救えない。例えそれが強大であろうが、何も解決しないのであれば、力のないのと同じだと、ただ悔しかった。

 


 水戸アヤトはそんな悩みを持ちながら、ノヴァを後にし自室にこもった。そのような状態の彼を見ていたノヴァ自身も何かを思い浮かべるかのようにしてその後姿を何も言わずに見続けていた。最後に彼がその扉を閉めたとき……




「馬鹿なやつだ……」




っとつぶやいた。




 状況は悪くなる一方であり、どうすればこの世界から元の世界に帰れるのか? どうすれば、この最悪な状況を打破することができるのか? 何をどう考えても答えがでてこないでいた。そんなとき扉を叩く音がしてきた。アヤトはそれを聞き、どうぞの一言を言う。


 そこに現れたのは、彼を心配するかのように悲しい顔をした水戸ゆずはだった。その姿を見て、アヤトは何かを察する。




「ゆずは……今はいつの何時だい?」




 突然そのようなことを聞いてくる水戸アヤトの質問に一瞬戸惑いながらも、しっかりと受け答えをするゆずは。




「え~っと!え~~っと!!7月23日です!アヤトさん!」




 それを聞き理解する。アヴィスの使者の襲撃からまったく時間が経っていなかったのだ。そもそも、アヴィスの使者自体降り立っているのかさえ怪しかった。

 ゆずはの見た目も、世界が改変する前の一年ぶりにあった凛々しいようでおっとりしたなんともかわいらしい姿に変わっていた。


 力の制御ができたとゆずはは話していた。何も変わってないのではなく、これから変えるのだと確信し、蒼龍水無月の家にゆずはの手を取り歩んでいった。

 なぜその場所なのかはわからない。しかし、そこにいけば何かがわかると信じていた。ゆずはは無理やり引っ張られていたが、アヤトの向かう場所に関して理解していたのか、そこまで遅くはなかった。


 そんなアヤトの表情が怖かったようで、玄関で掃除をしていた如月美音は驚いていた。



「何があったんだ……?そんな怖い顔をして……」


「今すぐ水無月さんに会いたい。中にいるかい?」


「いるけど……どうし……ええ!!」


 

 なぜかその場にいた美音も引っ張り水無月といつも会議する場所で止まり開ける。それを見た水無月は何やら笑顔になり、すぐさま反応した。




「朝から両手に花とは良い趣味をしておりますの~水戸アヤトどの」



 

 それを言われてから両サイドを見て驚いたアヤトであった。何も理解せずして引っ張ってきたのだった。美音とゆずはの両名は、それを言われ赤面し、下を向き始める。

 アヤトはゆずはのそのような一面を見るのが初めてだったが、それよりもまず今のことを話したくそのまま水無月の方に詰め寄る。




「話したいことがある。水無月さん!!」


「私は迫ってくる人には弱いもので……アヤトさん……」



 気が付けば、アヤトは至近距離で水無月を見つめながら話していた。さすがに自分のしたことに恥ずかしくなり、遠のき、対面する椅子に座る。それから今の状況を聞くことになり、話すことになった。

 どうやら、現在アヴィスの使者なるものは発生しておらず、その言葉に水無月は驚いていた。アヤトは黒騎士以後行方不明となり、ある程度の時間を得てここにいるといった状態になっていた。


 アヴィスの使者があったからこそ天空のところから帰ってこれたのだが、そこはどうなっているのだろうか? と疑問に思っていたが、それを水無月に話しても理解できないことであり、話さなかった。

 そして、春風霧火についての会話が始まる。火のマターを操るドラグーン家当主のフレア・ザ・ドラグーンをぶっ飛ばしたところまではあったが、昨日までは傷を癒すために寝かせていたが、今朝から姿がなくなっていたと話す。


 エリュシオンのそのほかのメンバーに関しての話もなされる。しかし、現在エリュシオンのメンバーで水無月は水戸アヤト、春風霧火、ゆずは、美音の四名しかいなかった。他はまったくといっていいほど情報すらなかった。さすがに、全員集合させることは容易いことではないと感じた。


 そして、最後に夜紅直哉について語る。彼は突然姿が消え、そのままかえってきていないとされた。とりあえず、これからの目標としてアルフォン・シーナに出会い、何か知ってるかと問うだけになる。

 その後水無月と別れ、ルークスローレにあるギルドアジトの方に向かって行った。




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