第二十一世界 《 始まるアヴィス 》
「春風霧火!」
「春風霧火さん!」
クロイ、シロイの二人は春風霧火と水戸アヤトを呼び四人での重要な会話をするとして集まっていた。
「俺が中心に話が進みそうなところ申し訳ないのだけど、正直あまりよいことではないよな?」
「そうだな。良いことではない。ただ、整理したくてな?」
「鹿目結弦さんです。水戸アヤトさんなら少しわかるのかもしれないことなのですが、何か別のことが起こっているのは間違いないことでしょう」
「僕の記憶では、少なからず鹿目結弦は霧火とは違う能力者ではあった。無力の力のみを持っているといった感じかな……」
「神の遺産やダークマターは今までは誰が持っていたんだ?」
「そこまでは確認ができなかった。なぜならば、アヴィスの使者を討伐したあとに倒されているわけだし……」
「アヤトさんのおっしゃっていた血戦というので時間のループが引き起こされるのでしたら、まだ当分先のようにも思えるのですが……」
現状夜紅直哉と八雲惷の捜索は続いており、何も手立てないまま時間だけが過ぎて行っている。そんな中、過去のループに存在していた鹿目結弦という青年は無力の力のみであり、本来とは違ったのが現状であるとともに、不可思議な点は数多く存在する。
いくら水戸アヤトでもそれをすべて説明するのは厳しい状況の中、クロイがあることを言う。
「まあ霧火やアヤトの疑問はそのうちに説けるだろう。そもそもアヴィスの使者を復活させた原因も知っているとは思うしな?」
「それが今回のルートでのアヴィスの使者を復活させたものが本来と違うみたいなんだ……」
「どういうことじゃ?今までと一緒なら同じ原因ではないのか?」
「クロイ!この時間軸やルートは今までと違ったものであり、ある程度は一緒であるけど、まったく新しいとされるものも多く存在するから原因も変わるといったことは当然なのかもしれないですよ?」
「今まではアヴィスの使者を復活させた原因はサイヴァーという人なのは覚えている。彼は誰よりも力を必要とし誰よりも高みを目指す男だ。アヴィスの使者は願いを聞き入れればおのずと力を渡してくれるような敵だから……」
アヴィスの使者の問題は今や隣国や大陸を横断した先の国々までも被害にあっているとされている。直哉の問題よりもそちらを先に討伐するのが何より優先すべき点なのは誰もがわかっていた。しかし、原因を根絶させなければ、いずれまた復活するということが起こるのであり、それすらルートの改変により困難を極めていた。
そんな中ボーっと話を聞いている春風霧火を見てクロイが活を入れる。
「しゃきっとせい!霧火!っといっても、お前さんは昔とは違うんだったな……何か考えあるのか?」
「特にない。ただ徐々に何かを失ってきているような気がしてくるのは日に日にね」
「無力の力によるものですよね?それは……?」
「さすがにそこまで浸蝕されるほどの無力の力が発動しているとは考えにくいものだけど、他に心当たりはあったりしないかい?」
「もともと力ないものだったわけだから、驚いてるんだろうかな?きっとそうだと思う。力に溺れて落ちそうな気分だ」
「ルートが変わっているし、前回とは違った流れになっていることもあるから、結弦のようにはならないといいのだけど……」
「その結弦さんはどんな人だったの?」
「薄れゆく記憶の中にあるものでしか語ることはできないのだけど、少なからず今の霧火のようではあったよ。人を救い、泣き、笑いの性格だ。だが、それでも飲まれていくほどに無力は強い。僕は使用者ではないから、詳しいことはわからないけど、何かあったら絶対にいってくれ助ける」
「ありがとうアヤト……」
「決心はつきましたか?そちらのお方たち」
そこに待っていたといわんばかりに入ってくる蒼龍水無月の姿があった。彼女は今のアヴィスの使者討伐に関して話したいことがあるとして、四人を連れ戻しに来たのだった。
連れられそのままエリュシオン、ロイヤルアカデミー、プロジェクトノアの三ギルドはこれからの対策に備えて意見を出しあっていると同時に夜紅直哉と八雲惷のことに関しても話し合っていた。
「兄弟として謝罪します。まさかそんな大それたことしてたなんて……」
「しょうがない奏翔弟よ!それは誰もがわからなかったことだ。あの反社会勢力のシーナでもわからなかったんだからな!あははは!!」
「あんたが言うなよ。くそびっ〇……」
「シーナ?今なんつった~?聞き捨てならないセリフを今お前は吐いたな?経験豊富と言いなさい!えっへん!!」
「それただ捨てられただけだろうに、あんたと同じ組織に属してたなんてほんと悲しい話だよ」
「なんだと~!?」
現在ロイヤルアカデミーギルドマスターを務めている「シャーロット・ゾイ・アルデリア」彼女は、元々反社会勢力「ベェーゼ」に所属していたものであり、たびたびアルフォンシーナを面白半分で遊ぶということをしている。それは、仲良いといったらよいのかもしれないのだが、ベェーゼに所属していたものは皆が皆私利私欲でしか行動しないこともあり、個々で仲良いといったことはまったくなかった。
しかし、脱退後にてこの異世界で偶然であい今があるという。金髪の長い髪をしており、目が青く露出度の高い服装をしていた。大体ギルドにいないことが多く、古くから酒癖男運がまったくないことから、シーナからつつかれれることも多いが、いつも慰めていることも多い。
現状エリュシオンはマスターをアルフォンシーナに任せており、それはすべて水戸アヤトによるものであった。下手に二名の名前を出すのは控えたほうが良いと案をだしてのことである。
「結局今はどのようにすればといったことで?」
「アヤトさんが修正をしてくださりありがとうございます。それでは私からこれからについてお話します」
蒼龍水無月はアヴィスの使者の攻略作戦を発表する。アヴィスの使者は所々に赤い大柱と呼ばれるものが建築されており、それらを倒壊させ、すべてを破壊し終えればおのずとアヴィスの使者は封印されるといった流れである。ロイヤルアカデミーは空中に存在する。大柱を守護する大球体の討伐を命じられる。
プロジェクトノアおよびエリュシオンは地上にて、討伐作戦を開始する。そして、何よりこの作戦で一番困難を極めるとされているのが三死神と呼ばれるものであった。
デス、タナトス、モルテと呼ばれる死を意味する三体がアヴィスの使者復活の時に同時に出現したとの報告がグラン・エリアスにてなされた。
直接的な関係がないこともあり、なぜこの三死神がアヴィスの使者と同時に出現したかは謎であるが、アヴィスの使者は何でも吸収するということから、このようなものも出現するのも無理ないと蒼龍水無月は話す。その討伐自体とても厳しいものであるが、危ないとわかればすぐさま撤退を命じていた。
すでに数多のギルドが作戦を開始しており、大柱自体は倒壊するのは簡単なものであった。決して難しくないのだが、アヴィスの使者はその多さが異常であるがゆえに、危険とされている。
一体倒せば数十体が一気に出現するのは、誰がどう見ても分が悪いと感じざる負えないのだろう。大柱を倒壊すればその一定の周辺でのアヴィスの使者は弱体し、0にすることが可能であるため可能性としてはまだ勝利はできることはあった。
期限も設定されており、一か月後の満月が赤く染まる日までに討伐しなければ、封印が難しくなるとされている。それまでに討伐をすることが第一条件となった。
三ギルドは、このルークスローレに行ったり来たりでの戦いがメインとなっていた。なぜならば、蒼龍水無月曰く、近くに三死神が目撃されていると報告が入っていたからであり、それぞれのギルドに相当な力を持つものがいることで、近くにいたほうが良いと判断したそうだ。
それから、作戦はスタートし、解散する。
「また大きい話……かな……」
「アヤトお前びびってんのか!?きゃー!びびってる~~!」
「あんたはだまっとけ!」
ドカ!!
「痛い!!」
悩んでいる水戸アヤトに黒芝悠雅は反応するが、そこに神代弥生の一撃がヒットする。無理もない話で、直哉がいつ行動にでるのかがわからない以上下手に活動ができないのだった。
アヴィスの使者と同じ攻め方をした瞬間に負けが確定する。それは実世界にも影響があると意味をする。夜紅直哉の魔術は次元魔術であり、白神の言うアブソリュートとその他のメンバーが現在この異世界から外に出すことができないように設定しているが、いつ突破されてもおかしくはない。
焦りが強いが同時に、混乱もある中アヴィスの使者討伐にでていく。
「何もないといいな……」
「そうだな……」
「アヤトさん悩んでますね」
「仕方ない。ことが大きすぎるんだからな」
霧火とアヤトを見ながら心配するゆずはと美音、二人はあえて何も言わずにその場を去っていく。
作戦開始は一週間後になっていた。なぜ残り時間が少ないのにそんなに経ったあとなのか? っという質問が繰り出されたが、三死神の到達予定時刻がその日だとされていたからだ。そこまで三死神を警戒する理由は蒼龍水無月以外に誰もわかりえないことであったが、その表情から従う方が良いと納得していた。
自室に戻った春風霧火は部屋の中心に誰かいることを察知する。
「おはよう。君に伝えたいことがあってね?」
「イオリ……なんでここに……?」
「人様のお部屋に入るのは危ういことだというのはわかっているが、聞いてくれないか?」
「お前なら別にいいのだけど、何かあったのか?」
「何かあったかどうかを聞かれるとあった!としかいえないね」
「……?」
「君はこれ以上戦わない方がいい」
「突然何をいってるんだ?」
「アヴィスの使者の三死神に出会ったら最後君は一生今の状態に戻ることは不可能になる。それを言いにきたのさ」
「お前もループの経験者なのか?」
「いいや。それはないとは思うけど、僕の勘だね?君がこれ以上戦闘に参加するというのなら、現実を見たほうが良いと僕は言うよ。第一に君はもう昔の春風霧火君ではない。自分自身がそもそも誰なのかさえわからない状態に陥っている。そんな不安定な子を戦闘に出すのはおかしな話だと思わないかい?」
「イオリ……お前は一体何者なんだ?なぜそこまでして俺に構う?」
「僕が何者かは僕にもわからないこと!ただ君が好きだからこうして話してるんだよ?」
「その気持ちだけ受け取っておくよ。先のことは何もわからないし」
「そっか……なら残念だ……これで君とはお別れだね。今まで楽しかったよ。さようなら」
そういうとイオリは姿を消した。何がまっているのかはわからずそのまま何も考えずその日が終わる。




