第八世界 《 無慈悲な争い 》
他よりも秀でているといわれても実感がない……
そんな変な悩みをしている水戸アヤトを見て狐の恰好をした子が一言いった。
「アヤト様は昔から天才でしたよ?このくらいなんてふつーのふつーなのです!やっぱり私の旦那様なのですね!アヤトさま~!!」
「君を知らないのに、なぜか君は僕を知っている。しかもすごく楽しそうだ。そのポジティブさ僕に頂戴よ。」
「あれ?いってませんでした?私九尾石に封印されてた狐ですよ?コンコン!!」
「え……ええええええ!?」
一瞬沈黙があったがすぐさまアヤトは現実に戻った。
予想はしていたけれど、まさか本当にその人だったとは……てか人の姿っていうのもまた珍しい。
突然あの九尾石の狐だということを知り、どのような反応をすればいいのかわからなかったアヤトはぼーっとしていた。
「そんなに困らなくてもいいのですけど……困りますー!!旦那さまー!!」
「その旦那様っていうのが僕にはわからないのだけど……」
「新さまと同じ波長ですし、あの方から自分たちは未来でも繋がろう!と約束されたのですよ?忘れてしまいました?」
忘れた……いや・・そもそも僕それいないし……知らないし……
とんでもない存在が今まで隣にいたことは正直驚きであった。
まさか自分と同い年と思われる子があの九尾の狐だったとは、恐ろしいものだ。
ただアヤトが聞いていた狐の伝書と彼女が言うことに違いがあったことに気が付いた。
アヤトはその子に町を崩壊、壊滅させたのが君じゃないの?と話したが、実際はそんなことはなく
狐に化けた怪物が荒し、新と一緒に討伐したような?といっていた。
それ以上に質問をしたのだが、どうやら彼女は生まれ変わりを何度かしているため
実際新と同じ時代にいたということはないみたいである。どういった意味なのかは分からないのだが、彼女がそのようにいうのだから、そうなのである。名前がないのもそういった意味であるという。
「名前がないと不便だね。どうするか……」
「旦那様がつけてくださればなんでもよろしいですよ?」
突然名前を考えてくださいといっても辛いものはある。
丁度今が夕暮れ時であったがために、彼は小声で「ゆずは……」といったが、彼女はそれでいいです!と言い名前が決定してしまった。
アヤトはしまったと思ったが、彼女が喜んでいるのならそれでよいとさえ考えていた。
結局水戸ゆずはとして名前は決まったが、もう一人知らないのがいる。
白髪のゴスロリ少女だ。小学生低学年のような見た目をしている。謎が多いことは間違いない。
アヤトは少女に名前を聞いてみた。
「アヤトさん?あまり隠すつもりもなかったのですが、申し訳ございません。私はあなたを別世界に移動させろと命令されてここにいます。名前はそうですね。シロイとでも呼んでいただければよろしいかと」
やはりと言わざる負えないことが聞こえた。
このシロイが彼ら二人を異世界に飛ばした張本人だが、それがなぜなのかはシロイ自体もわかってないらしい。ただ彼女がやることは、もう一人を探すことと言っていた。名前はクロイと言う。
アヤトたちは今の状況がある程度落ち着いたら一緒に探そうか?と約束をした。
教授の準備ができたとのことを言いすぐさまラビット族の王がいる場所に移動した。
国の大きさは相当なものだった、それでも小さいのかとアヤトは驚いた。
アヤトたち一行が城につき、教授が門番と話し合ってすぐ通してくれた。
王の部屋はどうやら少し進むらしい
城につく頃には夜になっていた。ゆずはとシロイの二人ははしゃいでどこかに去っていってしまい。
教授に謝ってアヤトが探す羽目になった。教授は若いというのは良いのーと言いながら、先に王のいると言い残し去っていった。
城の大きさがとてつもないことだと思いながら走っていると角で誰かとぶつかった。
城内で走るのはやっぱりゆずはかな?としてそちらの方を見た瞬間。
目の前の人と目が合った途端急激な頭痛にやられた。
爆発音が起き頭痛がある程度まで解消されたが、そんなところではないと言い目の前にいる子と一緒に現場に向かったが、とても悲惨な状況であった。
破片がそこら中に散らばり計画的な犯行だと彼は確信した。
すると隣の人がリュックを渡され去っていった。
そこを怪しいと考えたが、その前に仲間のことを優先的に考えてその場を去った。
アヤトは走っている最中に仲間のこと以上にぶつかった彼のことが頭から離れなくなっていた。
なぜ同時に同じ頭痛にあったのかと。まさかと思いアヤトは来た道を戻り彼を追っかけた。
仲間は大事だったが、シロイと言う子がいれば安心、そもそも九尾石に封印されてたから、あの子神様だよな……?と勝手に思い平気として追っていった。
それ以上に今の同じような人を探すのが優先だと彼は考えた。
するとまた爆発音がした。もしかして彼が!?そう思い全速力で走ったが突然目の前に何者かが現れた。
「貴様……アヤトだな・・?」
「誰だ!!今は相手をしている暇はない!」
「まあ……待てよ……これを見ても相手をしてくれないのかい?」
彼がだしたものは縛られたゆずはだった。
シロイはそこにはいなく、訪ねたがそんな子見たことないと言っていた。
そもそもこいつが何者なのか、なぜ?自分の名前を知っているのかがわからなかったが、彼はすぐさまゆずはを助けようと動いた。
彼は魔法の力を使いそれ以上近づくことができなかった。
才能はあっても発動の仕方がわからないアヤトはなすすべがなかった。
「ゆずは!!今助けるから待ってろ!!」
どのようにして今の状態を回避するかを考えたが答えがでてこない。
出てこないからこそ、彼は相手の術を見た。攻撃される瞬間をすぐさま読み取った。
回避は可能だった。結局は生身の人相手がどのようにして攻撃をどこに撃つのかさえわかれば、回避は余裕。そして……彼は……
「雷がよけられるのか……やはり貴様にはこの技では不足か……なら……!?」
「ファイヤーボール!!」
どがあああああああああん!!
突然男の正面に通常ではありえないくらいの大きさの火の玉がめがけてきたのだ。
男はそれを直でうけた。すぐさまアヤトは雷の力を使いゆずはを救出。
撃たれた男は立ち上がるのすらやっとの思いだった。
「どうしてだ……なぜ……あのような力を……」
「あなたのを真似てやってみただけです。それ以外には何もしてない」
アヤトは一度繰り出された魔術を一瞬で理解し自分のものにしていた。
その後スピードや威力を回避の時に確認し、その場で応用し発動した。
男はその場で倒れ「遅すぎた」と言葉を残した。
ゆずははいつの間にか起きており、そのシーンを見て興奮していた。
さすが旦那様と言いアヤトに次いで走っていた。
爆弾の音が聞こえたところに行ったときにはすでに兵士たちが集結しており
それ以外に誰もいなかった。彼はあの男の子が簡単に死ぬような人ではないと思い外に行こうとしたが
そこをラビット族の王につかまれた。
「待ってくれ。君があの教授が言っていた子だろう?すぐさまこちらに来ておくれ。」
まさかの人物だったために彼を探すのは後回しになった。
王室では教授やシロイまでいた、ラビット王はそこに立ち全員に言い放った。
「これより我がラビット族は、十二軍全勢力と戦うこととなった。イーグル軍から宣戦布告の紙がやってきた。私は最後まで戦う!戦闘は今までしてこなかったが四の五のいってられない!それに続く者たちは歓迎しよう!だが、無理をするな!怖くなったら逃げてもいい!諦めて降参してもいい!話せば何とかなるのだから!」
そのように話した瞬間そこにいたすべての兵士たちは一斉に声をあげた。
「おー!!」最後まで戦うつもりなのだろう。
アヤト、シロイ、ゆずはの三人は戦争に参加させないように教授が謝り危なくないところにいかせようとした。
「君のすごさが見れないことが何より辛かったことだ。申し訳ない」
王は彼らに謝り戦場へと歩いた。