第十七世界 《 すべては簡単であるということ・・・ 》
「予想通りです!」
蒼龍水無月家にある会議室の中にて夜紅直哉、夜紅奏翔、蒼龍水無月、アルフォンシーナそして、何分か前より盗み聞きをしていた水戸アヤト、白神までもがその場にいた。
アヤトは時間のループ問題や同じ光景を何度も目の当たりにしているということに疑問を持つほかなかった。そこに白神は笑顔になり、アヤトが来ること自体予想していたのではないのか? っといった感じで話を進めていた。
その場は色々な意味で凍り付くこととなった。そこに白神が口を開く。
「水戸アヤト君今のお話を聞いていたとなると、大体のことを理解したとは思うのですがどうですか?」
「時間の……ループですか……」
「正解です!現在特定のメンバーを除きある一定のものたちに時間のループの現象の記憶を消される状態で起きております。原因はもう知っていることなのですが、その力が何分厄介なものでしてね?」
「その特定のメンバーに僕らが入っているということ……?」
「それも正解です。君や霧火君含め大体の者たちは記憶をなくし、ループに入っています。これからのことも私と直哉君なら知っていることなのです」
「直哉はそれを何回も体験して、話さなかったということ……?」
「頭が良いことは素晴らしいことです。直哉君が話さなかった理由はそうですよね?」
夜紅直哉は白神を睨みつけてはいたが、アヤトの疑問に対しては正解と頷く。
「この世界は様々なことが一度に起こりすぎていると思うんだけど、なぜそうまでして詰め込んでいるのかを教えて欲しいのだけど」
「さすがにこの場にいるものたちもそれを知りたいでしょうし、私から簡単にですが教えますよ」
「白神……」
「大丈夫です。下手なことは口にだしませんし。そもそもあなたが本当のことを言わないのが問題です。この場にいるものたちにお話します。私たちはこのままいけば血戦といった戦闘に進みます。それをした理由はわかりません。しかし、その血戦が終わった後確実にやってくるのが時間の力を操るものなのです。この方は気まぐれでしてね?ただ遊ぶといったことでその力を使い一定のものたちを飛ばしもとに戻します。そのもとに戻すのが、あなたたちがやってくるところです『無間空間』のところですね。そこで何度も同じような光景や変に思ったことがあるでしょう。それはルミナスと星破壊者の力の衝突のほかに時間の力の捻じれによるものなのです。唯一すべて干渉されない場所が『無間空間』であり、アヤト君と霧火君が迷ったところです。実際これだけです」
この異世界にやってくる前に春風霧火、水戸アヤトの二人は『無間空間』と呼ばれる場所で彷徨っていた経験があった。その場所にいたのは人の見た目をした人ではないものたち。その空間にだけ力の干渉がほとんどされないといったことに驚いていた。
しかし、この異世界に様々な力がはびこっていることもあり、今更そのようなことで驚愕するといったほどのことではなかった。なれと言ったものなのかもしれないのだが、それ以上のものが目の前にあるのが主な理由でもあった。
「アヤト君や霧火君が今まで謎だと思っていたことやその他すべてのことはそんなに難しいことではないのです。ただ、君たちは星破壊者とルミナスにより召喚された。この世界は転生や転移者が数多くやってくる場所である。それだけのお話なのです。漫画やアニメのように魔王がいて、それを討伐するような物語とは全く違うものであるので、目的というものがわからないのは無理ないですね」
「白神、あなたを信用することはないのだとは思うのだけど、それが確実なことだということはわかる。だが、僕たちは実世界に戻ることを目標としている。何年経とうがそれは叶えるつもりだよ」
「実世界に戻る……ですか……」
「そもそもこの力に関してや、神の遺産に関しても謎なところが多い。僕はまだこの世界に来て一年しかたってないからわからないことだらけだ。だが、神の遺産や他の人とは違う能力を持っているということは、確実に何かをしてほしいと思うことなのだと考えているんだよね」
「この異世界は吸い込みといった力により様々な力がやってくることは知っていますか?」
「知ってる。それには神の遺産ですら抗えないほどと……」
「そうですね。ただ、運よくあなたと霧火君に七聖剣や四聖剣がやってくるということは非常に驚いています。藍原すずがまだ君たちに希望を与えているんですかね……」
「僕はその人をあまり知らないのだけど、やはりその子が何かを持ってるということは前々から考えてはいたさ」
「白神それ以上は」
「直哉さん、元はと言えばこんなにも話さないあなたが悪いのです。もういいじゃないですか?大体のことを話してしまっても、それを知って、理解してそれを使って彼らがどのように成長するのかを見たいと思うのです。今は第三のルートがあるわけなのですからね?かけてみようじゃないですか……」
「僕から一つお聞きしたいことがあります。白神、ノヴァ、直哉の三人は仲間なのですか?」
水戸アヤトからの言葉は悲しく重い感じに捉えるようなものばかりであり、ついには仲間といったことに関して質問がなされる。それを聞かされてから白神、直哉の両名は考え込むが、すぐに返答しだす。
「時間のループを討伐するまでは共闘です。何せ彼の力は我らが想像するものを超えています。いくら時間軸を操り過去や未来にいける方法を持っているものでも、彼の時間の操作はそれを上書きするものになります。そこで必要になるのが、アヤト君の希望の力なるものと霧火君の無力の力になります」
「希望の力……」
「未来視とは違ったものです。今までのルートにはなかった希望の力と呼ばれるものがあなたには眠っています。その力はアブソリュートにいたメンバーが持っていたものです。なぜあなたに渡したのかは考えるまでもないです」
「でも、そうなるとこれからどうすれば……」
「簡単だ。今まで通りで進んでいい。だが、第三のルートがやってきている以上時間の力を持つやつもただ茫然と見ているだけじゃないだろうから、おのずとやってくるだろうな。アヴィスの使者、三死神、時間の力の三つだ。相当めんどくさい戦闘になる可能性は少なからずあるが、お前たちの力が完全に解放されれば倒せない相手ではない」
「直哉さんの言う通りです。問題はないのですが、どのルートも癒えることなのですが、霧火君の暴走がこれから更なるものへと進化していきます。彼の力は中心として動けるようなものです。いわば王のような存在、先ほど直哉さんの変な言葉をかけたせいで、より闇が深くなったことでしょう。今の彼を野放しにするということは返って危ないです。もう自身の半分以上は逆側の自分に飲まれていることでしょうね」
「霧火に何が起こっているんだ?」
「彼の無力の力はすべてを自分に受けるといったことです。それが現在破壊王と呼ばれる力の影響で、幸運とされるものを遮断しています。そうなるとすべて受けるが幸運以外になるわけです。っとなるとどうなるかはわかるはずですよね?」
「悪いことがすべて……?」
「そうです。アヤト君や私たちが想像しているよりも強力なものです。それは、人の負の感情でさえも、自分のものになってしまうのです。無力の力の厄介なところではあります。制御できてないわけですから、無力の力が個人で何かをし始めるでしょうね?」
「霧火はさっき左目が変色してたのは……」
「真実の目と暁長政によるブラッドで無理やり押さえつけている状態です。自我の方はもうすでにそちら側なのかもしれないですね」
「霧火には辛いことを押し付けすぎたな……ったく、救わないとな……」
「直哉はまず霧火君に謝ることを優先だね?」
「それは私からも無理やりにでもしてさしあげますわ」
「なんか勝手に決まってるけど、まあいいか……」
こうして、その場にいたものたちは春風霧火の捜索に進むことになった。それは最悪を回避するためとして……
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ルークスローレの広い公園のベンチに春風霧火は考え事をしながら座っていた。夜遅くなため、周りには何もおらずただ一人だけの世界としてそこにはあった。
前方から誰かの足音がこちらにやってくることを察知する霧火。
「お久しぶり。春風霧火君」
「お前は……」
そこにいたのは変革者としての道を示すように言ってくれた銀髪の少年であった。
「こんなところで会えるとは思ってなかった」
「僕も君にここで会えるとは思ってなかったよ」
「お前の名前そういえば聞いてなかったな」
「僕の名前はイオリだよ。たぶん君と同じ別世界から来た存在だね」
「たぶん……か……」
「気が付いたらここにいたし、起きたころには記憶がなかったわけだから、真実かどうかはわからないんだよね」
「大変だな。お前も……」
「君ほどではないよ。今も悩んでいるんだろう?」
「ああ……自分と言う存在が何なのかわからなくなってきてな……」
「やはりそうだよね。この世界に来る前は君はどうだったの?」
「俺は陰にいるような存在で、誰にも見向きもされないようなそんな暗い子だったかな」
「今はどんな感じなの?」
「今は……力を持ち暴れ狂う猛獣な感じ」
「例えが面白いね。そっか~力があるから暴れるようになったのか~それは困ったものだ~」
「何で困るん?」
「だって、君その悩みは贅沢なものだと思うよ?大体の人は力ないわけだし、そんな暴れることが嫌だと思うことが悩みだなんてさ?」
「やっぱり、最初から何も変わってないのかもしれないな……俺は」
「少なからず変わっている。だけど、まだ足りないね。いっそのこと自分の思いのままに振り回せば何かわかると思うよ?」
「振り回す……?」
「そう!君は考えすぎなんだよ。もっと気楽に生きていこうと思ったほうがいいんじゃないかなー?僕の目を見てくれればわかるよ」
そう言われ銀髪の少年イオリの目を見始める霧火、一瞬何かが起こったように思ったが、自分の手を見て何も変化ないことを知り、元に戻る。
「俺は俺のやり方で……」
「変革者になるんじゃなかったの?この世界はまだ悪が多いよ。希望は君なんだから、せっかくの力は無駄に終わってしまう」
「そうだな……また元気付けられたな。ありがとう」
「どういたしまして!じゃあね!」




