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幻想世界XLEGEND 《ワールド・ファンタジア・クロス・レジェンド》  作者: 結城しじみ
第四章 深淵奈落の幻想編
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第十世界 《 天空族のとは……? 》

「さすがに上達しすぎて何も声がでない……何者だよお前……」


「何者でもないさ、ただ自分なりにやれるようにしているだけのこと」




 リリアと水戸アヤトは今日も天空都市『スカイライ・ハイランド』にて鍛錬をしていた。ここに来て早一週間が経過したころである。最初は何も能力系のことを知らなかった水戸アヤトだったが、その理解力や身体能力が異常すぎるゆえに、いつのまにかリリア自身を超えていたと知り驚く。

 天空都市に住まう人々も彼らとともに活動していたが、アヤトにはいつも驚きの声が上がっていたほどであった。いつの間にかリリアでは、返り討ちにするほど成長しており、しまいにはイルミス管理者も現れるが、その太刀筋や腕は、彼女すら圧倒するほど強化されていた。

 

 同時にアヤト自身は白火にのコントロールもし始め、黒騎士対戦以上にまでは強くなっている。次第に、自分の魔力に関しての知識も増え、やがては、調整もできるようにはなっていた。しかし、それ以上に魔力が多くあるアヤトは、前よりも強化した札を使っての戦闘スタイルに切り替わっていた。

 札には大きく三つの種類が存在し、魔力を補完するもの。魔力を使っての攻撃をするもの。魔力を保持しつつ必要なときに繰り出すもの。それらを活用してもなお、有り余っていた膨大な魔力。

 さすがに、それを見たリリアやイルミスも困惑するのだったが、それでも自分の思いのままコントロールをしだす水戸アヤト、その無尽蔵レベルの魔力量は、日に日に増していく。


 それに気づいたイルミスは一つアヤトに思い当たる提案を話し出す。




「水戸アヤト、君の魔力量は普通のそれとは大きく異なる。そもそも、天空都市に住まう私たち天空族は普通の一般的な人よりも魔力量は多いのだが、それすらも凌駕するほどだ。だから、あれなのだが、もしかすればの話で申し訳ないのだが、天空の遺跡の方に行くことは可能だろうか?」


「それはどういうところですか……?」


「この浮遊している天空都市は私たちよりも前に存在していたご先祖様が建設していた建築物が存在する。大体遺跡として話しここに置かれている。今からいく遺跡『スカイロード』は、その名の通り空に浮かぶ道だ。しかし、その場所を通り奥にある部屋に行くと、それまた素晴らしい武器がおかれていてな。今まで誰もその武器を使うことができなかったんだ。それは、膨大な魔力を持つものにしか触れることもできないと言い伝えられている」


「その武器は興味ありますが、遺跡の中にあるのならさすがに僕にも手に取れるかどうか……」


「ものはためしっていうだろ?アヤトよ!使えたらそのまま使えばいいし、無理でもやってみるのが道理ってやつっしょ!」


「そうだね。やります」



 そういいイルミスに導かれるままに二人は歩き出した。いわれる通り遺跡『スカイロード』は天空都市の空中に道ができていた。下が見えるが、霧がかかっており鮮明に見えるわけではない。透明な足場によって、その道ができており、イルミス曰く、その道の作り方は一切不明なのだという。

 一本道を進んでいくと、前方に部屋が現れだす。そこを入ると、神話にあるように剣が山の上に突き刺さっていた。その形状はレイピアのように細い形状になっており、すぐにでも折れそうな見た目であった。



「あれ誰でも引っこ抜けそうというよりか、体重乗っけたらおれるだろ……」


「リリア、やってみるといいよ。何をしたってびくともしない」


「ならやったるでー!!」



 リリアは、イルミスに言われ本気でその剣を折る方向で考え突っ込んでいく、しかし、抜くことは愚か、体重をかけて折ろうにもびくともしなかった。ものすごく細い剣なのに、決して折れない、なおかつ、抜くことさえできない。 

 リリアの持てるすべての魔力を込めて引っこ抜こうとするが、それでもびくともしなかった。次第に彼の顔は真っ赤になったが、力なく倒れる。イルミスはそれを見て笑っていた。




「アヤト、やってみてくれ。別に抜けなくても構わないし、抜けて使えるのなら君に授けよう」




 剣の目の前に立つ水戸アヤト、近くで見ると余計に細い形状に驚きを隠せないでいたが、期待されていることもあってか、持てるすべての力を使って引っこ抜こうとした。

 しかし、それを引き抜くことはできなかった。ほっとした自分と残念がる自分の二つの感情が彼を襲った。結局何も変わらずして、その場を去っていく三名。




「さすがによくわからない剣やなー」


「私も名前すらわからないこともあってか、その名を呼ぶことができない」


「残念がることじゃないよ。もし使えるものが現れなくても、この都市の遺物として残せるし」


「面白いことを言うのだな。水戸アヤトは、やはり私の愛する夫になりえる存在だ」


「夫!?いや……それはさすがにないよ!」


「へいへい……いい夫婦漫才ですこと~こっちは嫉妬で気が狂いそうだ!この野郎アヤト!!」




 他愛ない会話をし、その日も終わりを告げる。いつもと変わらない日々の中を生きている彼ら。

 そんなある日の午後リリアとアヤトは互いに思っていたことを話し始める。




「アヤトさすがにこう何日もここにいるわけだけど、あれだ……」


「仲間が気になるんでしょ?」


「そうだ!それが言いたかった!」


「さすがに、何も言わないまま数週間もあけているからね。戻ろっか……」



 

 アヤトとリリアは、同時に何日間も留守にしていること、黒騎士戦以後一度もあってないことから、前から思っていたこと仲間との合流を望んでいた。しかし、イルミスは二人に話すなりして、それはできないと語る。




「申し訳ない……さすがに、君たち二人をここから遠ざけるわけにはいかないんだ……」


「どういうことだよ?あいたければいつでも会えるんじゃないか?」


「何か事情があるみたいだね。イルミス」


「ああ……君たちには話さなければならないかな……」



 この天空都市はどうやら、完璧な防御魔法が張られているらしく、外からも中からも外にでることが不可能とされていた。リリアと水戸アヤトの黒騎士戦の大きな衝突により、この世界の様々な力が解放されてしまことにより、他種族などがより強烈になったり、今まで力のないものまでも力を有してしまうほど狂暴化してしまったりと問題が発生していた。結果的に、この天空都市は防御壁を展開し、外も中も完全に出れないようになっていた。リリアとアヤトがこの天空都市にいる理由は黒騎士戦の時の大きな衝突による歪が現認で、飛んできてしまったのことを話していた。

 

 その後イルミスは、深々と頭を下げ謝罪をしていた。



「仲間に会わせたい。それは十分承知だ……しかし、一度この防御壁を外してしまえば、それ以上に大きな問題がやってくる。ごめんなさい……本当に……」


「はぁ……イルミスが謝るこたーねーよ!その解放をしてしまったのは俺たちなんだし。まあ黒騎士は完全に悪だったけど、討伐するとこうも最悪が解き放たれるって、もしかしたら、俺らとんでもねーことしたのかもしれないな?」


「その考えなら、黒騎士を倒したことの感謝はしている。本来あった力をこちらは取り戻せたのだからな。ただ、上層部にもこの話はしたのだが、それ以上に入ってくるものが恐ろしくてな……」


「イルミス、できればどうしてこのような防御壁を張っているのかを教えてくれないだろうか?そこまで完璧なものやこの都市の迷路のような考えられた地形、もしかしたら、僕たちが想像する以上ものな気がするのだけど……」


「そうだな?俺らは知る権利がある!教えてくれ!」



 

 イルミスは頷き話し始める。どうやら、天空都市は相当古くから存在する都市であり、天空族も同じように古くから存在する。彼らがこれほどまでに長い間生存できたのには理由があり、彼らの有する力は、天使族と言われるほど匹敵するものと魔道具と呼ばれるものを開発したことにより、その秘密を知るべくして、やってくるものが後を絶たなかった。


 天使族の魔法の力はどれも強大なものであり、魔法や力を作ったとされる神に近い存在と言い伝えられている。この世界の歴史では、神が魔法や力を作り、それを受け渡した五つの種族が存在し、その中の一つが天使族。


 天空族は、天使族ほどの力はもってはいないが、人との距離を格段に近づけ、多種多様な文化や種族と共存をする道を選んだ天使族として言われていた。それが数千年も経ち今に至るとされている。

 天空族は初の魔道具を作成する。魔道具というのは、その名の通り武器に力を付与されているものである。魔法をもってなくても魔道具さえあれば、使うことが可能。もちろん、魔力も必要がない。なので、戦争にはもってこいとされるほど強力なものであった。


 そして、天空族は別名『生きた神の遺産』とされるほどにまで魔法分野に優れていた。同時に、天空族ほど人や獣人に近い存在であるがゆえに、一時期天空狩りと呼ばれる戦争が発生した。

 それから、強力な防御壁を作り外や中から外にでることはできないようにプログラムしていた。


 黒騎士戦後、力が解き放たれたこともあり、更なる脅威に備えてより強固な防御壁を作り出した。




「さすがに、ここまでのこと言われると何もいえないな……そうだろ?アヤトも」


「僕たちが仲間の元に行ける保証もないわけだし……かといって、安易に解放すれば、邪気を放った者たちも現れるか……」


「申し訳ない……これが天空族の真実だよ。仲間に会いたいという気持ちはわかるが……」


「イルミスが謝ることはないよ。何か別の方法を考えることとするよ」


「さすが我が夫……泣けてきます……」


「おい……さっき俺も同じようなこといったろ!!なんだ?その対応の違い!!」


「僕が思うにリリアはその話し方変えれば好かれると思うよ?」


「笑顔でいうんじゃねーよ!これが俺だ!まあ、いいわ!黒騎士戦後からざっと2~3週間ほどしか経ってないだろ?一か月くらい音沙汰なしでも平気っしょ?アヤトの方も任務って言えば平気平気」


「まあそのくらいの日数ならいいのかもしれないけど、心配されることは変わりないよ」


「君たち黒騎士戦後から、2~3週間ってどういうことだい?」


「え?どういうことって、まだ黒騎士と戦いが終わってから、まだ2~3週間しかたってねーだろ?そのままの通りだよ。頭いかれてんのか?この天空人」


「それがあるからリリアは好かれないんだと思うんだけどね……」


「何か言ったか?アヤト?」


「イッテマセン」


「話をぶった切るようで悪いが、黒騎士戦後から軽く一年は経過しているのだけど……」


「「え……え~~~!?」」


「どどどどどどういうことだってばよ!!」


「(それもそうか、この天空都市に展開されている魔法防御を数週間でできるはずがない。相当離れている壁の端でさえも、ここで感知できるほど……納得はできるがこれはまいったな……)」



 まさか過ぎる情報だった。黒騎士戦以後彼らは一年が経過していた。黒騎士の作った閉鎖空間は時間すら壊すほど恐ろしいものだとアヤトは考えるが、一か月はいいとしても一年だとギルドの方も相当変わっている可能性すらありえる。第一に他のメンバーも同じだとすると大変なことが起こっていると考える水戸アヤトは、ムンクの叫びのような見た目になっていたリリアを見て変な緊張が解かれてしまった。



「まあ、なんとかなるでしょ……」


「なんもなんねーし!!一年だぞ?一年!!俺らが言ってた一か月の10倍以上だぞ?」


「あははは……はぁ……どうしよう……」





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