第七世界 《 裏切りの異世界 》
――――今はおぬしに言えることは、藍原すずを信用するなともう少し自分を確認した方がいいということだ!わかったな!!――――
――――私を信じられないのならそれでいい、だけどこれだけ受け取ってあとは行ってから知って!!そして考えが変わったら助けに来て……お願い……――――
「一気に言われてもどうすればいいのさ……」
春風霧火は突然次元に飲まれよくわからないところにいる。
少女には信じるなと言われ、藍原すずという一度助けてくれた子には助けてといわれる。
結局どうすればいいのか、迷っていた。
だがその前に彼は見ず知らずの土地を歩いているわけで……迷っていた。
「俺は、まずどうしましょう……」
残念なことに霧火が飛ばされた場所は周りには何もない砂漠のような場所であった。
あるのはすずからもらったペンダントのみ。中身を見ても空であるがゆえに、なぜこれを渡したのか謎であり、そもそもこのまま助ける、信じる前にぶっ倒れるのではないのか?と考えていた。
かれこれこの土地に来てから30分ほど歩きまわっていた。
もうくたくたで倒れる寸前であった彼は徐々に目の前がゆらゆら動き始めていた。
「あ……死ぬわ……」と思ったときに目の前に何者かが現れたが確認はできなかった。
―――――数時間後
霧火はすぐさま飛び起き周りを見渡したが、部屋の中であった。
現状を考える前にここ最近の自分の倒れ方結構頻度多くない?と突っ込みいれてたが、今はそんなどころではなかったが、考えるうちに何者かが訪ねてきた。
「少し良いかな?」
「どちら様で?」
ぞろぞろと何人か入ってきて両側に列をなした。
その中心を羽の生えた人型が進んできたが、霧火は今まで見たこともないような見た目の人が現れてきたものだから、ぼけーと見ていた。
「体調の方はいかがですか?怪我がないようでよかったです。」
その人は霧火に心配の声をかけてくれた。
ワシのような見た目をし、翼が生えており、だが二足歩行している。
また何が何だかわからないものが現れたことにより霧火は「またか……」と小声でいってしまった。
するとそのワシ姿のそばにいた騎士の姿をした人が「失礼ではないか!」と霧火に向かって槍を突き付けてきたが、彼は「客人に失礼だぞ。やめなさい」と言い下げさせた。
「自己紹介遅れましたね。私はイーグル族の王であるワユ・ハーケン・イーグルと申します。どうやら異世界の方ですね。もしよろしければ席を移動し話しましょう。」
ワシ族のワシのワシのワシ……わけがわからない
彼はそう思ったが異世界人?と言う言葉に関しては慣れてるな。と思った。
移動した彼らはその後この世界のことや霧火のこと、両者知ってることを話し合った。
異世界人に関することはワユ王も何回もあっているとのことだそうだ。それにこのイーグル族は十二族のうちの一つ、それも上から数えて三番目に大きな種族とのこと。
そんな大きな場所の王に助けられた霧火は「ありがとうございます。」と何回も感謝をした。
お礼に何かできることはないのか?とワユ王に相談したが、ワユ王はその前に属性というものの検査をしてもらえるかな?と霧火に尋ねた。
その話も霧火は納得し、この世界を少しずつだが知っていった。
検査の方に霧火は参加したが、結果としてはどれも使えないになってしまった。
ワユ王に謝ったが「謝ることではない、こういうことは普通なことだ」として逆に励ましてくれた。
その後行く当てもない彼に目的が決まるまで、うちにいなさいと霧火にいった。
ものすごくお世話になっている彼としてはいつか必ず、お礼をすると考えていた。
その日の夜この街のことを思い返した。
イーグル族は十二族で三番目に大きな勢力としている。
近いうちにどこかに攻め入ることも考えているとのことだ。
その議会が今日の夜の行われるとのこと。
霧火自身にはあまり関係のないお話かもしれないけど。
‐―――――――――――――――――――――――――
「これから、十二議会を開始します。」
序列階級四番目のマウス族が先に話はじめそこから始まる。
どうやらこれからについてのことを話し始めるとのことであった。
しかし、内容はとても悲惨なものであり毎回どうしても決着が付かずして終わってしまう。
今回ばかりはそれがなくすぐに決着がついてしまった。
それはある王がいったのが始まりだった。
「ラビット族つぶしませんか?弱いものにここにいる価値などないでしょうに……ね?」
「ワユ様、いいこと言いましたね~!それ私賛成でちゅ~!!」
「弱いものはやはり淘汰されるべきです。戦闘すら自らしないものなど必要ないでしょう。」
イーグル族の王ワユがそれを言いそれから、ボアー族の王も連なって賛同した。
今までにないほど早い会議となり終わった。
ラビット族は必至の思い出何度も異議を言い続けたが、それは叶わなかった。
なぜならば、イーグル族の提案だからだ。彼らは序列階級二位のタイガー族であっても手を焼くほどのやり方としている。序列一位であるドラゴン族は、そもそも二位以下との力の差がありすぎて、会議に参加すらしない。それらの種族も同じようにイーグル族を敵に回すのはあり得ないとして賛成した。
もはや会議と言う名ばかりの一強の話し合い。
イーグル族がそのように言えばそうなるのがこの会議である。
議会終了後に、シープ族は泣きながらラビット族に「ごめんなさい」と謝り続けていた。
ラビット族はもう終わりしか見えない状態であった。
―――――――――――――――――――――――
日が変わり、霧火はぼーっとしながら起き上がった。
そういえば今変な世界にいるんだと少しがっかりしたところ扉を叩く音が聞こえた。
それはイーグル族の王ワユであった。
「朝から申し訳ない霧火君、そういえば君私に何かお礼をしたいと言ってたね。」
朝早くからワユ王は霧火に頼み事をと言うことでお願いしてきたのだ。
霧火は恩返しができるとして、頼みを聞いた。
すると内容は簡単なものであった、これから護衛二人ほど率いてラビット族の街に行ってほしいとのことだった。行くだけで構わないとしており、霧火も快く受け入れた。これで借りを返すことができるとそう思っていたのだ。
王ワユは何かあったらいけないとしてこちらで用意した荷物を持たせ霧火を門のところまで送った。
「突然でとても申し訳ないと思っている。こちらも人手が足りない状態が続いていてね。現在ラビット族との平和交渉をしたいと考えていてね。ラビット族の王に話してきてほしいのだ。任せたよ。」
「俺も何かのあなたの役に立てるのなら十分です。ラビット族の王に会って平和の交渉をすればいいのですね。あちらがどのような考えをお持ちなのかはわからないのですが、いってみないとわかりませんものね。いってきます。」
両者笑顔で別れを告げ馬車で霧火と護衛二人はラビット族に進んでいった。
イーグル族からラビット族の町があると思われるところまでは、約三時間ほどかかるとされていた。
しかし、イーグル族の特殊な目の力により上空からどのようなルートを行けば近道になるのかがわかっており、それを頼りにして進んでいった。霧火自身もまさかこの世界は本当に魔術やらがあるのかと思い、これからの異世界ライフを堪能しようとしていた。
イーグルの力を使っていたにもかかわらず相当な時間がかかった末、ラビット族の国についたころには夜になっていた。途中休憩をしたり道に迷ったりしていた影響があり護衛二人も霧火の心配をしていた。
王様の命令として霧火もこのくらい平気と言いようやくラビット族の中心部に到着した。
さすが中心部とあってかとても大きく広く迷いそうな城であった。
霧火は城といったら二次元の世界のみとして考えいたこともあり、とてもじゃないがわくわくが強かった。彼は護衛二人とともに王のところに行こうとしたところ急にお手洗いにいきたいとして、リュックを護衛二人に渡しその場からすぐさま移動した。
「やばい……もれる……あ!!」
「え……!?」
急いでたものだから霧火は前方に注意せず走っていたら角付近で誰かとぶつかった。
両者しりもちついて痛いと言いそのすぐに二人は向き合ったとき……一瞬にして時が止まったような瞬間が訪れた。それは今まで感じたことある状態である。
二人して過去の起こったことが同時に記憶に流れ込んできた。
一人は九尾石の札を取ったときの巨人のこと
一人は公園で巨人に襲われたこと
突然の頭痛により二人とも視界がぐらぐらと揺れるようなことが起こったが、すぐに我に返る。
ドガアアアアアアン!!!
爆発音が城中に響き渡ったのだ。
霧火とアヤトの二人はすぐさま謝り同時に音の方へと向かった。
「「なんだよ……これ……」」
二人してそこに立った時にはすでに跡形もないほど粉砕していた。
霧火はすかさず護衛二人を探したが、見つかるはずもなく
城場内は直ちに緊急避難命令が響き渡った。
どうやら場内での放送では、侵入者ありとする声が響いていた。
すると護衛二人が隣の廊下から走ってきた。
「お怪我はありませんか?霧火様、直ちにリュックを持って王様のところにいってください。あのお方ならあなたを助けれます!!」
リュックを手渡された霧火がそのまま王の向かうほうにいった。
その場にいるのは護衛二人とアヤトのみ
アヤトもすぐさま教授やみながいる広い間に走っていった。
王がいると思われる場所までいき扉に手をかけた途端。
「おぬし待て!!」
突然リュックを引っ張られ聞いたことあるような声が聞こえた、すぐさま彼はそちらの方に顔を向けた。
忙しい時になんだという困った顔をしながら向いたが。
バチーーーン!!
思いっきりビンタされた。
なぜに!?と思うところだったがすぐさま、持っていたリュックを取られ窓の外に思いっきり投げ捨てた。すると、待っていたかのように爆発を起こした。
霧火は驚きを隠せないでいた。
「なんで……どういう……こと……」
「おぬしは騙されておったのじゃ……ワユとやらに……」
門の前で大きな音がしたこともあり王は平気か!との声とともに兵士がぞろぞろとやってきた。
少女に連れられ霧火は窓の外へとダイブした。
彼は悲鳴を上げながら落ちていくが、少女にしがみついてたら、ぴょんぴょんと建物の壁から壁へと移っていった。ある程度の距離までいくと、少女は茫然としている彼に向って声を放った。
「しっかりせい!!霧火!!まだ終わっとらんぞ!!」
「どどど!!どいう・・どううううう!!」
焦りすぎて言葉がまったくでてこず、自分でも何をいってるのかわからなかったが少女がすぐさまそれに気づき方を両手で叩き、目を見てそのまま数秒が経った。
霧火はだんだんと落ち着きことの重大さに気が付いた。
―――僕は嘘をつかれてたのか……まさか……でもどうして……?―――
「おぬしの声は聞こえておるぞ。イーグル族のワユはお前に異世界人でありながら特別な能力がないと見越して自爆兵に仕立てたのだろう。さすがはその力だ、運がいい。」
「どういうこと??俺一体何を……?」
「詳しい話はこの惨事が終わってからにする。目の前にいるだろ。おぬしの敵二人が……」
少女が言うように彼の目の前には、護衛としてついてきた二人がいた。
彼らはとても焦っているようで、槍を構え霧火に向けていた。
「なんとしてでも、この作戦を成功しなければ私たちは殺される!!」
「頼む君ならイーグル族だと思われないから、チャンスはある殺しにいってくれ!!」
彼ら二人は泣きながら霧火にいったが、霧火は嫌だといった途端
護衛二人の目つきは変わり、霧火本人を狙っていた。
少女は待っていたといわんばかりに戦闘態勢に入った。






