第五世界 《 死神の目 》
「アリス……現状報告せよ……」
「かしこまりました。マスター!今現在私たちはマグマの地域なる場所にいます。ここは年中暑いとの情報があります。最低気温でも一年に一度来るかどうか?っと言ったレベルで40度ほどとされています。最高気温はマグマがたくさん噴火した際に起きたときで、500度とされています。もしかしたら、マスターが住んでいた日本という人達ならこの地域生きていけるのではないのでしょうか?」
「遠まわしの日本ディスり必要ある?」
「ないです!(笑顔)」
「目の前にある街か国かわからないが、なにこれ?」
「え~っと!目の前にあるのは、マグマ地域でも中くらいの位置に存在する街で『レッド・ロア』と言われているみたいです。貿易やら外交を担う場所であり、ここら辺を統治する国『クリムゾン・レヴェナント』でも重要とされる街ですね」
「そっか……噂の魔獣はどこにいる?」
「そうですね。クエストに記されている『ロック・タイラント』の情報はこの街に出没するとされているのですが……みな生き生きしてますね?」
「そこまで恐ろしいものでもないわけか……」
春風霧火とダークマターの精霊アリスの二名はマグマ地域の街である『レッド・ロア』にいた。彼らは、何か手始めにと、高難易度クエストである『ロック・タイラント討伐』を受注していた。
しかし、被害を受けているといわれているレッド・ロアに住む人々はみなが生き生きとしており、何も被害を受けている様子が見てわからなかった。霧火は深くため息をしたところ通行人に心配される。
「おい! そこのお方! この地域では珍しいな? 旅人か? 疲れているのならうちよっていくか?」
「私たちは旅人で、このロックタイラントと呼ばれている魔獣討伐をしにきました!」
「おう!まじか!戦士さんか!これは素晴らしいぞ!そうだな?うちの家内が被害うけてたから、話きいていきな?」
「(軽いなこの人……)」
「(暑さでやられているのではないのですかね? この地域の人)」
頭にタオルを巻いていた男性に連れていかれ家に上がらせてもらった。家はレンガ作りでなければ、燃えるということもあってか、内装も外壁も相当手の込んだものとなっていた。
すべてはこの地域がマグマ地域であるからという理由。どんな場所でもレンガが多い。鉄の部分はほとんどなく、返ってやけどしたら意味がないからである。
この街はどことなく緩い感じがしていたが、それが落ち着く一つの要因としてあった。体質からなのか、ここの住人は汗一つかいてはいないどころか、慣れたのか、家の中でさえクーラー一つつけてはいない。熱中症などもあるのかと思ったのだが、ここに住まう人の種族がそちらに特化したものであり、返って驚かれてしまう。
そんな話をしていると本人が現れた。
「ロック・タイラントに関してですよね?」
「そうです!ロック・タイラントに関してです!どこにいますかね?」
「……」
「どうした?この者たちが被害を繰り返さないように聞いているんだぞ?」
「そうね……ロック・タイラントはここから近くの山の方にて発見されています。とてもお強いので、くれぐれも無理なさらずに……」
その後二人は家を後にし、言われたまま山へと進んでいった。道中霧火は何か不審に思っていたところをアリスに指摘されてしまう。
「何かあったのですか? マスター?」
「特にない……あの夫婦が真実を話しているのもわかった。だが、何かおかしいな……」
「何かがおかしい……ですか……その左目でも何かわからないのですか?」
「この目に映し出されるのは真実のみ。解決する方法何も見えない」
春風霧火は黒騎士戦後左目の黒い部分が金色のようになっており、猫の目のように鋭くとがっていた。それは黒騎士アレクロアス一世とイヴェラトール討伐した結果についたものだと理解する。
うちに眠るアレクロアス一世が彼に語り掛けてきたのだ。面白可笑しく笑いながら話したが、そこに苛立ちながらも素直に受け入れることになった。その後一言すべての未来を託すとして、消えていった。
春風霧火はその後に目を覚まし暗い空間の中にいたのだ。その目は別名『死神の目』とも言われるものであり、アレクロアス一世の持っていた魔眼とは違い、真実を映す能力であった。アレクロアス一世が言うには、この目があれば、うちに眠る無力の力を操ることができると話した。
確証はないが、信じられないことでもない。第一にアレクロアス一世は春風霧火自身を好んでいた。結果として、力を与えるものとして決めていたそうだ。
誰にもいってないアレクロアス一世が決めたことである。
そんなこんなしているうちに、目的の場所までついた。そこに広がる光景は絶景とも言い方ところであった。マグマが温泉のように湧きでており、水たまりのようなものができている場所もところどころに存在する。この山付近の木々はなぜか燃えないものであり、食すことも可能であり、珍しいとされていることからマグマ地域の名物とされている。
木々をかいくぐりひらけたところに行くと突然自身のようなものが起こる。彼らを待っていたかのようにして、中心からガタイの良い人型が現れたのだ。
それを見てすぐさま目標である『ロック・タイラント』だと理解し、戦闘態勢に入る。
「目標発見です。マスター!これより支援に徹します」
「いらないアリス。お前はここにいろ……」
「……わかりました。では様子をうかがうことにします」
そういうとアリスを置き対象まで歩いていく、上に来ていたコートを脱ぐとそれは光となり消え、挑発するようにする春風霧火。
「グオオオオオ!!」
前方にいたロックタイタンは挑発に乗り、霧火を倒す勢いで突っ込んでくる。近づくと右手を高くあげ、振り落とす。しかし、霧火はその攻撃を見ずに腹部にめがけて右拳の一撃を放つ。
「甘いんだよ……」
グッシャ……
鈍い音とともに対象の腹部からは血が滝のように流れていく。予想以上の攻撃に怒ったのか膝をつき左肩を使ってのほぼゼロ距離の位置からの突進をくらわしてくるか、もう一度次は勢いをつけての右拳を振るい対象を逆の方向へと吹き飛ばす。地面にこすれながらも受け身を取りこちらを見る。
春風霧火は、対象を見てまだ動いていることを知り次に繰り出す技で決めると考える。
「自我を失い暴走したやつに俺が負けるかよ!グングニル!!」
スゥー……ズガアアアアン!!
「ウガアアアアア!!!」
春風霧火の投げた槍は、一直線に進み的めがけて突っ込んだ。心臓部分を貫通し大量の血が流れ落ちる。やがて、対象は倒れる。そして、霧火は真実を見ることになる。
後ろから見ていたアリスはそれを見て、圧勝です! と称賛していた。二人は山を下り街に戻るとすぐさま霧火は先ほどうかがった家へと入っていく。
ドアは蹴破る形で壊し入るその姿に先ほどの男性は驚きを隠せないでいた。
「先ほどの奥さんどこいった?」
「え……家内は今外ですけど……何があったのですか?……ガハァ……え……」
「悪いな。あなたに罪はない。これ以上放っておくのは問題があるからな」
「どうして……」
「試したかっただけだ。じゃあな」
男性はそのまま血を流し倒れる。その顔に映し出されたのは、霧火を恨むことではなく安らかに眠っているようであった。
「マスター……どういうことです?一般人を……」
「ロック・タイラントはこの種族の慣れの果てだ。このように討伐すれば何も問題ないだろう」
「それって……」
「つまりそういうことだ」
「……」
アリスは霧火の答えに対し何も言えない状態であったが、無理もない。二人が今現在にいるレッドロアの地域にいる種族は怒りや悲しみが限界を超えるとロックタイラントになると霧火は真実の目を使って知った。倒した対象を見た瞬間にメアリーや柊凛と同じように過去の記憶がやってきたのだ。
まだ自分で操ることができないことから、唯一自分で操れる力の真実の力を使ってブラッドをコントロールし始め、結果見えたのだ真実というものを。
そうなれば話が早いこの街にいる変化する種族を倒せばよいと考え始めた矢先、後ろから現れた奥さんが驚きの声を上げ彼らを見つめる。
「いやー!!なんで!!どうして!!あたしたちは何もしてないのに!!どうして!!」
「仕方のないこと、このままだとこの街も国も滅ぶ」
無双竜を振り上げた途端、一人の少女が霧火の膝らへんにしがみついた。それはまだ小さく小学生ほどの体格や見た目であった。どうやら、二人には子どもがいたらしく、目の前の父親が起きないことや、母親が泣き崩れているところから、必死に殺さないように抵抗していたのだ。
「やめて……お母さんを殺さないで!やめて!!」
「マスター……」
「ごめんな。これもすべては俺の創造する世界の一つだ。じゃあね?」
ズシャ……
「あ……いやああああーー!!!何をしたのですか!私たちがあなたに何を!!あ……」
「悪い。あなたたちに罪はない。これが俺のできる世界の助力だ」
「恨んでやる!貴様を永劫恨み続けてやる!殺してやる!貴様を後世まで呪ってやる……!!」
「うるさいのは嫌いだ……」
スゥー……
「あああああ!!目……見えない!!」
グシャ……
「うう……ああ……」
「マスター……やるならそんな惨いことではなく……」
「ああ……そうだな」
ゴトン……
片手に持っていた無双竜で目をつぶし、ノドをつぶす。最後は首を落とした。この家の三人の家族はその場で倒れる。これは春風霧火の考える理想郷を実現するための一歩として餌になったのだ。
後ろにいたアリスはそれを見て言葉がだせずにいた。すると霧火は何かに訴えるようにして語り掛けた。
「これで満足か……?もう知っている。この無力の力は最上位の幸運と最下位の絶望を餌にして進化するって……」
「納得してくれて何よりです。まあこの者たちは元から死んでいたのでいいのですけどね」
「俺をだまそうとすることは不可能なのを理解しろ……骸の力所持者の大道寺翔!!」
「さすがにもうこの程度であなたを落とすことは不可能となりましたか……これは残念」
「もう少し遅かったら、お前のものになったかもな?……で?どこまで死体にした?」
「あなたを探すのは一苦労でしたので……この者たちだけですよ。骸にしたのは」
「本当だな?」
「その死神の目を使ってくださいな? すぐわかるでしょう。対象が嘘ついてるかどうかなんて……」
「そうだな……で?俺と戦いたいのか?」
「今あなたと戦うのははっきりいって分が悪いです。私も黒騎士との戦いで多少なりとも力を使いましてね。戦いはまた今度ということで?」
「お前はアヤトと関係があるんじゃないのか……」
「水戸アヤト君は、正直天才過ぎるゆえに私に、はなっから倒せる相手ではなかった」
「馬鹿だから俺選んだのか?光栄だな」
「そうですね。作戦も考えずただ突っ込んで目の前の敵を倒すその戦闘スタイルなら私にも勝てる見込みがあったのかなーと……」
「お前も弱くなったな……もうお前ほどの能力者では、俺にはかてねーよ」
「……」
大道寺翔は無言のまま去っていった。春風霧火の目の前にいた死体は砂となって消え家は最初から誰も済んでいない空き家に変化していた。
春風霧火は近くにある大きな集会所に向かった。当然ロックタイラントを討伐した報酬ももらえたのだが、結果的に彼らはこの地に住まう種族の変化だということを知る。
しかし、その変化はとてつもない過程を踏まない限りならないとされており、今回のロックタイラントも何者かの手によって強制的に変化させられたで決着がついた。
あとは集会所の方に任すとして、彼らは次のクエストを受け出発した。




