第十三世界 《 それは一瞬 》
とんでもない能力者が現れた。それはすぐに広がりを見せてしまう。ギルド戦初戦から水戸アヤト含め新設ギルドである「エリュシオン」は一戦目レッドフォックス戦にて、緊急自動車を出動させるほど大きな衝撃を周りに与えてしまった。
すぐさま人々を安全な場所に運んだりと大変な思いをして今現在自室にそれぞれが待機している状態になっている。能力者同士の戦いなこともあってか、このようなことはあり得ない話なので別によかったのだが、今回ばかりは少し他とは違った感じの雰囲気を醸し出していた。
直哉宛てに試合結果の手紙が次の日に届き、メンバー全員を会議室に呼びみなに合否を発表することになった。結果としては、次に進むことが可能となっていた。しかし、その強さゆえに、ある程度の条件が課せられるようになった。春風霧火はグループリーグの決勝まで出場ができないということであり、異例だとしてメンバーも驚く。
当時その場にいた春風霧火自身に外傷が何一つなく、視界がクリアになってからあたりを審判が見渡すと、目の前にはレッドフォックスのギルドマスターが戦闘不能にまで陥ってたらしい。
当然審査員含めその場にいた者たちは、春風霧火によるものだとして話し合っていた。彼がやったことは変わりないが、どのようなスキルを使ったのか? そういったことまでは知ることができなかった。
直哉は霧火に何をした? その一つの質問をぶつけてた。彼からの返答は普通に能力を使っただけの話。として前よりも冷たいような話をしており、水戸アヤト含め周りは彼に対して何か起こったのではないのか? といった不信感を抱いていた。
次の戦いは手紙を渡された日であり、不信感を抱きながらも彼らは勝利を重ねていった。幸い被害にあった人の多くは軽傷で済むレベルであったり、そもそもそのようなことがあるとして、理解したうえでの参加であったために、中止はすることがなかった。
そして、リーグ戦のJグループ決勝戦まで駒を進める新設ギルド「エリュシオン」
やはり水戸アヤトもそうだが、他のメンバーも能力がとてつもなく高いと審査員たちも話し合っていた。特にブラッディーメアリーといったもともと討伐対象であった者もメンバーにいることが何よりもおかしい話として噂は立っていた。
日は流れ、決勝戦になる。グループ戦の決勝戦なだけあって、観客も今まで以上に大賑わいであったり、他のグループの人もやってきたりと、満員御礼状態であった。
実況している人もおり、期待の新設ギルドという言葉を使って様々なことを話していた。サトルや悠雅はそれを聞いてえらくなったものだ……とつぶやくが、そこを見ていたクロイと神代弥生の二人はそろって幸せな人として話していた。
いよいよこの日だとして、ようやく春風霧火の出場が認められる。無言で頷くだけの彼にを見て変わったなーと悠雅が言うが、周りも同じように思うことであるのは間違いなかった。
今まで喜怒哀楽はっきりしていた人物が黒騎士の一戦により、真逆に変化したのだから無理もない。
夜紅直哉は春風霧火に一番手を指名する。最初から本気だすということなのか? それとも別の理由があるからなのか? 色々と入り混じったそんな気分を周りがしていた。
変わらず両者見合っている状態にいる。中心にいる審判がカウントダウンを開始する。
「それでは開始します。五……四……三、二、一、はじめ!!」
ズドオオオオオオオン!!
勢いは初戦よりも激しさを増していた。いかにも遊んでいるかのように捉えるのが可能なくらいにまで
周りに張り巡らされていた防御壁は今回ばかりは突破されずに済んだみたいで、観客も安心していた。
しかし、煙が止んだ瞬間に驚きの光景をその場にいた全員が目の当たりにする。
「た……たすけて……ああ……これはリーグ戦です……お願いします」
「だから……なんだ……?」
グシャア……
「ああああ!!」
「終了!ストップ!!終わりです!」
春風霧火は相手の胸倉をつかみそのまま上げており、そのままブラッドの力を使い相手を串刺しにするような技を放った。審判が止めに入ったが、逆ににらみつけて蹴飛ばす。壁に当たり吐血するが、緊急だとして周りから大勢の兵士がやってくる。
しかし、霧火はそれを見向きもせず持っていた相手をさらに嬲るようにして遊んでいた。それを見ておかしいと判断した夜紅直哉はすぐさま霧火に魔術での束縛をしだす。
だが、それはいとも簡単に剥がされてしまうのだった。地面に落とされる相手選手は半分死んでいる状態になっていた。周りにいた兵士は救出を優先して行動を開始する。
恐る恐る歩み寄っていくが、春風霧火は興味をなくしたようで、その場をさっていく。
初戦から決勝どちらもおかしな行動を取っていた彼。一体何が起こったのか? まったくわからないメンバーは直哉に話すが、詳しいことは彼自身もわからないという。
当然その試合は休止となり、新設ギルド「エリュシオン」はやりすぎや審判無視や攻撃による罰を受けることにより、一か月の活動停止処分を言い渡された。グループ戦は敗退という結果に終わり、順位は上がらないまま初のギルド戦は終わりを迎える。
しかし、彼らはそんなのどうでもよいとし、行方不明になった霧火の捜索を開始した。三日ほど費やしたのだが、何一つ見つけることができなかった。
夜紅直哉も黒騎士による呪いが原因なのかもしれないとメンバー全員に言い詳しいことは後日として解散になった。
ため息をつきゆっくりと自室目指して歩いている水戸アヤトの反対側からブラッディーメアリーがやってきた。二人はすれ違ったと同時にメアリーに何かを言われる。
「霧火様は王になったのです……」
「なんだって……?」
そう言いすぐさまメアリーの方に顔を向けたが、そこには誰もいなかった。メアリーは何かを知っている。そう思ったアヤトはその情報を直哉に話に会議室に訪れるが、そこにはすでに彼女の姿があった。
直哉は一通り話を聞いたみたいで、いつもと違った表情になっていた。
初戦の前からメアリーは気づいていたようで、どうやら、現在の春風霧火は多種多様なスキルを持っているせいで、自我が画一されておらず、真逆の性格になってしまった。そう話した。
メアリーは自身の血を少量霧火に忍びこませることをしていたようで、そこでわかったとのこと。
何より一番恐ろしかったのが、メアリ―の血が霧火に入った途端死滅したということ。
ブラッドは現在研究がそこまで進んでおらず、現段階ではブラッドの属性を持つ血は使用者が捨てる行為をしない限り、それはなくなることはない。しかし、霧火に忍び込ませたものは入った瞬間に死滅したとのこと。まずメアリーの日ごろやっていることがストーカーを超えているものだとして、アヤトは疑問に思ったが、突っ込まないほうが何かと良いと判断して話を聞いていた。
詳しいことは何一つわからないと悩ませていた時扉を開く音が聞こえる。直哉同様蹴破る形で……
アヤトは次はなんだ……と呆れた表情で言う。
「そこにいる少年はかわいくないな?ほんと……」
「アルねえさん!!お久しぶりです!!」
「ねえさん……君は……誰だっけ……」
「シーナ、その子暁の子だよ。戻ってきたということはようやくなんだな?」
「……愛実かい?大きくなったんだね。よかったよ」
突如現れたのはスーツ姿の金髪で目が青い美しい女性が立っていた。右手に大きなファイルを持っており、机に起きメアリーと抱擁を交わしていた。
知り合いのような感じをしていたが、アヤトは何がどうなっているのかまったくわからなかった。
するとそれを見てその人は自己紹介をする。
「申し訳ないねぇ~私はインデックス所属調査員リーダーのアルフォンシーナっていうんだ。メアリーはある程度まで保護していてな。直哉は古い友人だ。よろしくな。水戸アヤト君」
「よろしくお願いします」
「私はどうやら思ったことをすぐに言わないと気が済まない性格なんだ。気を悪くしないでくれ。いいね?」
「そういう人もいますよね。まあアルフォンシーナさんは美しくもあり見た目からして仕事できそうですよね」
「水戸アヤト、お前シーナを口説こうもんならやめとけ、人体実験の材料にされるぞ?そいつは自分以外に興味がまったくないし、私利私欲のためにしか行動しないし、何よりもとんでもないくらいレイシスト野郎だ。まあわかりやすく言えば人格破綻者であり、サイコパスのようなくず野郎だ。気を付けろよ」
「え……見た目からしてそうは見えないだけど……」
「アヤト君直哉の言うことは100%中90%ほど間違いだ。私は健全な人なのだよ。悪い人ではない」
「そうですよね!アルねえさんは、私の初めてややり方、それに男性の好物や、人の捌き方、拷問ではどれが一番楽しいやり方なのか? 人を最初に褒めてからあとから落としそこを救ってやればより信頼される騙し方など、様々なことを教えてくれましたよね!」
「この子には一番教えなくてはいけないことを教えるの忘れてたわ……」
「え……メアリーをこのようにしたのって……」
「そらーメアリーをこのような状態にしたのは、そいつだよ。だから気を付けろって……」
またおかしな人が入ってきてしまったとアヤトは今後のことを重く考えるようになっていた。
アルフォンシーナは夜紅直哉と一時期チームを組んでおり、あまり立ち入れられない場所で活動していたそうだ。そこでメアリーを見つけ、保護していたという。
だとしたら、この異世界でメアリーが暴れてたのは……? とつぶやくと、すべては私の思いのまま! っと自身満々に言うアルフォンシーナの姿があった。
さすがに、この人やばい……と考えるアヤトであったが、直哉が驚きのことを言う。
「春風霧火のことを聞いてそいつに協力するように話した。メアリーのことを知っているからな。少しは何かわかるだろう。だからこれからギルドエリュシオンのメンバーとして迎えることになる」
「いいですけど……大丈夫なんですかね……」
「私は平気だぞ。このギルドのメンバーを適当に見たが、どれも興味なかったし。食べることはしない。春風霧火だけは見てないから何とも言えないけどな」
「食べるって……やっぱ危ない人だ……」
苦笑するアヤトを見て、笑う直哉だったが無理もないとして話す。
そして、霧火についてアルフォンシーナに話をし始めた。すると、彼女の表情が激変した。




