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幻想世界XLEGEND 《ワールド・ファンタジア・クロス・レジェンド》  作者: 結城しじみ
第三章 黒騎士殲滅編
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第七世界 《 絶対なる死 》

「何かが来る!!気を付けろ!!」



 黒騎士十軍隊長エリザードによるスキルが発動する。周りは花が枯れたようにボロボロに落ちていく。どういった攻撃なのかは容易に想像がついた。どんなものでさえも死にいざなう力を持つエリザード。

 その強力すぎる力をさらに倍増させているのだろう。クロスも無属性のマターの王を解放し、その場防御の姿勢をしている。



「まさか人が私をここまで追い詰めるほどとは……驚いた。しかしね? もう終わりなの。これが私の姿黒騎士としての最後の力をあなたに、与えます。我が力はイヴェラトールとともに……」



「まずい……すぐさま退却しろ!!いますぐだ!!」



 クロスはエリザードの発した言葉を察し、その場にいた兵士みなに退却命令をした。しかし、相手の攻撃はそれを上回っていた。黒騎士の残存兵士も同じような扱いをうけていた。

 今まで同様魔法陣が展開するが、展開の仕方は同じだ。だが、それは徐々に拡大し、たちまちその周辺を飲み込むほど大きなものへと成長していった。



 エリザードを中心とし、街や村一つ分の大きさにまで成長しきっていた魔法陣の中心部には、ラテン語の10の数字である『X』が刻まれている。大きく手を開き中心を見つめながら、何かを唱えているエリザード。今までとは尋常にならないと考え、その場を必死に逃げる兵士含めサトルたち。


 メアリーも足が復活し、その場から去るがどう考えても、相手の魔法陣のスピードの方が早かった。

 ある程度の大きさになってからエリザードは狂ったように笑い……ついには発動する。



「黒き呪いは死への架け橋……青き炎は冷酷非情のものとなる……すべてを死に戻せ!!

『幻絶病魔・死の楽園エンデッド・オブ・パラダイム』」



 中心部から徐々に魔法陣の端まで放たれたのは、雨のような粒の塊であった。しかし、サトルたちはその雨が異常なことを目の前の光景を見て知る。触れた自軍の兵士は、顔色が変色し、もがき苦しみ始める。息ができないのか、はたまた、別の何かなのか? 次第にそのような状態になるのが増えていく。


 助けに行こうとしたが、クロスは無言のままサトルたちを別の場所に行かすように指示をだす。黒芝悠雅が強制的にサトルを連れて行き、魔法陣の範囲外にでる。

 そこもまだ国の商店街の部分であり、建物の高い場所からクロスたちがどのような状態なのかを知るために上り始めた。

 彼らが見た光景は、黒騎士と呼ばれる絶対的な力そのものであった。



 もがき苦しみ、声にならない声を出すものが大勢目の前にいた。中には、すべての穴から血を吹き出すものさえも、皮膚が溶けるようにして落ちていく兵士なんかもいた。

 どう考えたって助けることは不可能であり、中心部にいるエリザードを倒す方法なんて浮かぶはずがない。黒騎士と呼ばれる存在の強さは彼らを恐怖に陥れる原因の一つになった。



 こんな相手がまだ他にも数十……数百ほどいる。人が戦えるほどの敵ではない。

 しかし、彼らは諦めなかった。諦めてはいけないと考えたのだ。この状況だからこそ、どうにかしないといけない。こんな絶望的な状況だからこそ、自分たちが率先して打破する方法を考えなくてはいけない。どのようにして、攻略するかなんて言うのは思いつかない。



「エリザードの攻略の仕方……知りたいんでしょ?」



 建物の屋上にいたメアリー、サトル、悠雅の三人の後ろから声が聞こえ、そちらの方を見る三人は自分たちとさほど年齢の変わらない女性がいるのを確認する。

 髪が青く長いツインテールをしている。首のところにヘッドホンのようなものをかけており、制服姿、飴玉を口に含みながら、右手にはライフルのようなものを持っている。物騒な子がいた。



「なんか策があるのか?ちなみに俺は悠雅はるがっていうんだ。」



「エリザードは黒騎士の中でも相当強力な力を持つ者。正直ここまで力を解放させたのは、素晴らしいとは思う。ただここからは、近接なんてのは確実に勝てない。ちなみに私は神代弥生。ピチピチのJK……だった……」



「だった……ということはコスプレしてるただのば……」



 目の前にいた少女の神代弥生は悠雅が最後まで言う前に、内ポケットから拳銃をだし、耳元めがけて撃ち放った。さすがに殺されると思ったのか、すなおに謝る。



「なんかいったかしら?」



「スイマセン……ナニモイッテマセン……」



「まあいいわ。まずはアイツを倒さなくてはいけないわけだし。『変成変化トランス』」



 今までにない力を使い始めた神代弥生という女性。

 トランスと声を発した瞬間に右手にあるライフルのようなものはスナイパーへと変化していた。

 変化の仕方もまるで、電脳世界にいるかのような変わり方であった。色をなくし、形になりそこから別の形になり、色がついていく。魔法なのか、魔法じゃないのか。それすら理解できなかった。


 その後、神代弥生はスコープを覗き遠くの方を見て、三人の方に向き話す。



「何かわかったのか?」



「?……わかるわけないじゃない?あなたばか?」



「は?てめー!このガキ!!やんのか!あ!?」



「いやね。そんなピリピリしてるから、攻略の仕方なんてすぐ思いつかないのよ。いやねー男って」



「メアリー……めんどくさいの増えたな……俺はどうすればいいのかな……」



「知りません。勝手に決めてください。」



「こいつも同じようにめんどくさかったんだ……胃が痛い……」



 黒芝悠雅と神代弥生の二人がいい争い、それを見ていたサトルはメアリーに相談したが、そもそも興味のないことだったのか、どうでもよい考えで反応していた。

 当然この場所に春風霧火や水戸アヤトはいない。したがって誰かが仕切るということをしなければならない。濃いキャラの三人をどのようにしてまとめるのか悩むサトルであった。



 こうしている間にもエリザードの力は卑劣さを増していく。クロスが今どのようになっているのかも詳しくはわからない。

 無駄な時間だけが過ぎていくそんな気がしていた。するとメアリーが大鎌を取り出し、階段の方へと向かって行く。



「メアリーどこいくんだよ。いくらお前でも危ないだろ。」



「……」



「なんか、面白くない人ね。まあ死にたければご勝手にと思うけど」




 サトルの心配虚しく無視してそのまま進んでいくメアリー。

 こんな時水戸アヤトや春風霧火の二人ならどのようにしていくのだろうか? そうサトルは考えていたが、ふと過去に戻る。夜紅直哉が話した『甘え』と言う言葉。

 二人に頼ること自体甘えなのかもしれない。サトル自身そう考え始めた。

 イフリート艦長もこの世にはいない。周防和馬も別の場所に飛ばされている。メアリーは他人のようにふるまう。黒芝悠雅や神代弥生に関しては、知り合ったばかりである。



 仲間が増えることはうれしいことだ。心強いことだ。しかし、荷が重すぎる。その様子を知ってか知らずか悠雅が話してくる。



「悩んでるんだな。まあそうだよな~こんな状況悩まないほうがおかしいわ。天才だろそれこそ!俺がお前らに協力するようにしたのは理由がちゃんとあるんだよ。暇だから少し話すわ。俺がお前らに協力するようにしたのは春風霧火に救われたからなんだよな。ついさっきの話だよ」



「生きてる……?あいつが……?」



 ドタドタドタドタ!!



「霧火様が生きている!!どういうことですか!もう少し詳しくお話を!!」



「どういうことだよ!お前ら!!いきなり突っかかってきて」



 春風霧火が生きている。状況がさらにわからなくなったのだが、サトルは事情を簡単に悠雅に話、それを聞いて驚いた顔をした。その後に悠雅も答えた。

 どうやら、春風霧火の救ってやる。 その一言によって救われたらしい。ある時自分の目の前に現れ戦い過去を知り、そのまま仲間に引き入れてくれた。

 黒騎士のことを話し助けてくれ! そう言われサトルたちの方にやってきたそうだ。



 後ろからその話をうっすらと聞いていた神代弥生も小声で彼らに春風霧火によってここに来て! と言われたとのこと。こちらの場合は、黒騎士の強力として欲しいと話した。神の遺産を詳しく見せると条件付きで。

 一体彼が今なぜいないのか? どうしてこのように回りくどいことをしているのかは悠雅たちにもわからなかった。生きていること、それだけが何より救いであったが、現状は何も変わらない。

 エリザードの攻撃は止むことなく、続いている。死者もどんどん増えていくばかりで、解決しようがなかった。何かないのか? と壁に八つ当たりする悠雅を見てメアリーが一言話す。



「遠距離いるんだから、狙撃すればいいのに……」



「「「……!?」」」



 三人はそれを聞いて驚いた。メアリーは彼らの反応を見て、ため息をつく。まさか今までそんなこと考えてもなかったのかと……

 どうして今まで生きてこれたのか不思議で仕方なかったメアリーである。

 時間は一刻を争うそんな状況の中、神代弥生は寝そべりスコープを覗き始める。後ろからそれを見ているサトルと悠雅はひそかに変な話に変わる。



「JK……JK……これは……素晴らしい……」



「俺も思う悠雅……これ……やばい……」



「お前らあとでハチの巣な?」



「「すいませんでした!!」」



 制服姿の子が寝そべっている姿は思春期の男の子なら、変な妄想をしないほうが逆に失礼なのかもしれない。メアリーはまたため息をする。何やってんだか……と思いながら。

 その後神代弥生の表情は真剣になり、標準を合わせ始め、引き金を引く。

 あたり一面にスナイパーの銃声が響き渡る。距離が離れすぎており、当たったのかどうかは彼女しか知らない。スナイパーから手を放し、サトルたちの方を向く。




「あはは……はは・・はぁ~……私実は、銃って使ったことないのよね……」



「「はあああ!?」」



「はぁ~……」



 この短時間で何回メアリーはため息をついたのだろうかというくらいにはついている。まさか、銃を召喚のようなことをし、いかにも戦闘スタイルがそうです! と思わせるような感じだったのに対し、使えないの一言を発する。ばれたらどうするのだ。と思っていたメアリーだったが、それは現実に変わる。



「見つけたぞ!!ブラッディーメアリー!!『絶対の破壊槍ロンゴミニアド』」



 

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