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幻想世界XLEGEND 《ワールド・ファンタジア・クロス・レジェンド》  作者: 結城しじみ
第二章 救済せし妖狐編
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最終世界 《 気が付けば・・・ 》

 彼らは部屋の中で、当時いた者の置手紙や資料を読んでいた。

 ある程度の時間が過ぎ、次の目標が屋敷の中の探索になり、彼らはその部屋から出ていく。

 城門の噴水のある場所に何やら黒い鎧を着ていたものたちが、待っていたといわんばかりに立っていた。その数は10名ほど。



「ようやく来ましたね?まっていましたよ!私黒騎士第260番代隊長でございます。これがあなたたちの最後になるのですから、楽しませてくださいね?」



「とりあえず、さっきいった通りに屋敷を探索しろよ。何かあればここで落ち合おう。それでは解散!!」



「あの……直哉さん……目の前目の前……」



「あ?何もいねーよ……俺らは神の遺産を探しに来てんだよ。さっさといけ!」



「あれまあ~なんという美しい行動でしょうか。自分ひとり犠牲にして他を逃がす。騎士として最高の行動でございます。ならば、私たちも敬意を払わなくてはなりませんね。」



 前方にいた黒騎士をさもいないも同然のように直哉は話始め、そのまま彼も屋敷の方に足を進ませようとした。周りにいたアヤトたちは、大丈夫か? とそれぞれ思ってはいたが、直哉の行動力に疑問を言える状況ではなかった。

 本当に無視されていると気づいたのか、黒騎士は剣を持ち一斉に直哉向けて突っ込んできた。



「この野郎!!まさか私たちを本当にいないもの扱いするとは!!かかれーー!!力の差を見せてやらああ!!」



「はぁ……」



ズドオオオオオオオン!!



 直哉はため息をし、黒騎士の方を見て右で拳を作り前方を勢いよく殴る。

 その衝撃により前方にいた者たちはすべて吹き飛ばされ、その後直哉の一撃が発動した。



「次元吸引……爆破……」



 その一言により、前方にいた10名の黒騎士は空間の歪みに吸い込まれそのまま音もなく消え去った。

 よくわからない魔法のようなものを使う彼に対しアヤトは話す。



「簡単だよ。これが俺の魔法、幻魔法だ。このように使うのは俺ぐらいだ。覚えなくても構わない。いくぞ……」



「すっげー……直哉さん……かっけー……っす……」



 サトルが絶賛するのも無理ない話だ。目の前で空間が歪みそこに敵が吸い込まれ消滅する魔法で、あたりには何も残さないのである。その見た目もその後の処理もすべてが完璧である。

 彼らは幻魔法を攻撃として使うものを初めて見たということもあり、興味は少なからずあった。

 しかし、それを聞く前に直哉は去っていくが、今は戦争中だということを思い出して言われた通りに進みだした。



 お屋敷の中に入ると、全面的に真っ暗でよく見えない。蜘蛛の巣なども張っており、いつから人がいないのか想像が付かないほど古びれていた。直哉の歩きは早く、その後を彼らは付いていく。

 ある程度歩いたところで大きな扉が見つかる。そこを開けてみると中は、銀色の部屋、両側には兵士の形をした石像が5体並べられおり、中央には暖炉のようなものがあった。

 そのまま突き進む直哉は、暖炉の中に手を伸ばし上を手当たり次第に触り始める。すると、何かのボタンを押したようで、部屋全体が動き出す。



「部屋出てみろ。面白いことが起こってるはずだぞ」



 疑心暗鬼になりながらも、サトルが率先して部屋を開けてみることにした。

 開けたその先は先ほどとは違った廊下があり、中央に赤いカーペット、両側にはロウソクが直線に並べられている。さも当然のように直哉は進んでいく。その行動力に周りは感心する。迷いもなく知っているかのように進んでいくのである。驚かないほうが無理だ。



 道なりに進んでいくとまた扉があった。目の前にあるのは今までと違った大きなものであり、装飾がされてある。その扉も直哉は何も考えず開け放った。

 次に現れたのは、中央に大きな剣が刺さっている大きな間。

 さすがに罠感が満載な部屋なだけあって、考え合って進むのだろうかと思っていたみなだったが、何も考えず進みだす。サトルが小声で、こいつの屋敷なんじゃねーの? と一言話周りも納得する。



「中央にあるこれが、大魔剣だ。人によっては大魔王剣と言われてるな。別にどっちでもいいわ。」



「こんな簡単に出てくるものなのか……神の遺産って……」


 

 中央にあるのは七聖剣の『大魔剣』であり、サトルが初の野良神の遺産を見て、簡単なところにあるとしがっくりした。しかし、ここで問題が起こった。直哉が言うには、神の遺産の適正がなければ持っていくことができず。このまま長年放置されているとのことだそうだ。


 

 その話はアヤトも知っていた。彼らを最初にここに移動させたのは、アヤトが適正者である可能性が非常に高いことを踏んだからだ。

 目の前に立ち、恐る恐る手を伸ばし両手で握り、引っ張るが悲しいことにそれは、びくともしなかった。何かが悪かったのか、思う限り引っ張るが何も起こらない。

 それを見て直哉は、別のものにも試せと話すが、誰も引っこ抜けなかった。結局のところ無理だったのかと残念がる彼らに直哉は一つ思いだしたと言い部屋の四方向の角を適当に触り始めた。

 


 壁は謎の振動をし、最後にカチャといった音が鳴る。アヤトにもう一度と話す。

 何が起こったのかわからなかったが、彼はそのまま引っ張る……と? 案外簡単に抜けた。

 どうやら適正者だったもようだ。周りの壁によって固定される仕組みと話す直哉。


 これで三つ目の神の遺産が揃った。七聖剣を三つ所持するグループは全国探してもここだけと話し、来た道を戻ろうとした矢先、扉が吹き飛び多数の黒騎士が列をなして入ってくる。

 まずいと小声で言う直哉だったが、遅かった。中央から馬に乗っている黒騎士が現れ、それを見て大声で言う。



「お前ら!逃げろおおお!!」



「我らは罪あるものを粛清せねばならぬ。《絶対の破壊槍》(ロンゴミニアド)」



 右手に持つ槍は青く渦を巻き前方を突き刺し、力を放出する。その後空間をも歪ませる一撃を繰り出した。それに包まれるアヤトたち、直哉は彼らに叫んだが、早い一撃により動けなかった。

 終わったかと思ったが、勢いが止むと金色に光っている大きく丸い盾がアヤトたちの前方に展開していた。それはまるで彼らを守るかのように立っていた。

 アヤトは直哉に相槌をし、お取りになる選択をし始めた。メアリーも同じように残る。彼女の能力がどれほどなのかはわからないが、二人の方が何かと良いことは確かだ。

 シロイやクロイは、サトルたちを無理やり引っ張る。直哉は壁を触り開き、すぐさま連れて行く。



「まさか、もう大魔剣が適合されているとはな……驚きだ。騎士の戦いだ。名を教えよう。我は黒騎士ナイトメア・ナイト所属の序列11番隊長ガウルトルである。」



「僕は水戸アヤトで、こちらはブラッディーメアリーさすがに騎士道精神は崩れないのですね」



「目的以外に戦いは望まない。それが我ら黒騎士である」



 ガウルトルの見た目は想像以上に禍々しいものであった。馬は黒く手綱などの場所は青になっており、足は青い火がうっすらと燃えている。ガウルトル自身は、とがった鎧を着ており、二本の反った角が生えている。同じようにところどころに青い火がともっている。片手には槍であるが、とても大きい。

 どれくらいの敵なのかは想像が付かないが、先ほどの一撃を何回も防げるほど、アヤトたちは強くない。周りにいる騎士たちは横に整列しており、邪魔をしないようなところで立っていた。

 一人で十分なのだろうか?一人じゃないといけないのだろうか?どちらかはわからない。

 圧力によりって意識を持っていかれそうな存在であることは確かであった。



(大魔剣がどこまで使えるかは、わからない……しかしこれがなければ防げないのも確か・・)



「くらえ!!《無限の鎖》」



「一撃……《絶対の破壊槍》(ロンゴミニアド)」



「来た……ふふふ……《黒き血の祭り》(ブラッド・カーニバル)」



 メアリーは地面に手を置き、鎖を召喚しガウルトルに向かって攻撃を放った。それもろとも吹き飛ばそうとしたのか、ロンゴミニアドを放つ。しかし、メアリーは狙っていたかのように笑顔になり、大鎌を回転させ、それは円になり赤く染まる。たちまち相手の攻撃をすべて防いだ。

 その後彼女は勢いを流すかのように右回転をし攻撃を放つ。



「受け流せ、力にしろ……《死神の鎌》(デスサイズ)」



 回転し勢いを増した大鎌は、地面ごとえぐり相手に向かって流れる。

 それが予想外であったのか槍を回転させ同じように防ぐ。面白いの一言を発し、馬から降りた。

 戦いを楽しんでいるかのようであったガウルトル、メアリー自身も同時に笑みをこぼす。


 後ろから見ているアヤトは、メアリーの力を見て霧火達がどのようにして勝ったのか不思議で仕方なかったのだが、それよりもこの戦いをどのようにして回避するのかを考えた。

 ガウルトルがいるのだが、その後ろには多数の黒騎士の兵士が横一列をなしている。下手に動けば、襲ってくることは間違いないだろう。戦闘に関してはメアリーに任せても心配ないと思った途端……



ズドオオオン!!



「カハッ!!……」ドタン



 一瞬の出来事でそれを理解するのに時間がかかった。よく後ろを見るとメアリーはボロボロになり壁に激突し、そのまま地面に倒れていた。全く意味がわからないのだった。

 先ほどまでに良い戦いをしていたのにも関わらず、この数分で一体何があったというのだろうか、そんなことを考えていると気が付けば前方に相手の槍が迫っていた。



「終わった……」



 勢いよく突き出されたその槍は先ほど同様青い炎がかかっていた。すべてが一瞬であり、すべてが協力である。メアリーでさえ防げなかったということなのか?

 終わりを予想したアヤト、すると目の前がゆっくりになった。死ぬ直前は誰しもがスローモーションのようになるというのは知っていたが、それにしても何かがおかしい状況なことは確かである。

 ふと気が付く……自分の左右の目に表示されているものが違う。右目は今起きている事柄、左目はそれより先を映している。何秒なのか何分なのかわからないが、アヤトは咄嗟に左目の映像を考えながら、右目の行動を回避しようとする。



 回避しきった途端の瞬きで視界がもとに戻った。何がどうなっているのか、わからないでいたが前方にいる黒騎士は驚いていた。どうやら彼には何かが見えていたらしい。



「……何!? まさか!! 」



「《血塗られた十字架》(ブラッディー・クロス)」



 後ろから勢いよく突っ込んできたメアリーが大鎌をクロスさせるようにして黒騎士を切る。

 その一撃をもろに食らい、後退する。鎧の傷口からは黒い靄が立ちあがり、抑えながら痛そうに膝をついてこちらをにらんでいた。攻撃が当たっていることの証明になった。

 アヤトはメアリーの力は本物だとして考えた。自分にはまたよくわからない力が備わっているのだったが、先ほどと同じように感覚を研ぎ澄ましながら発動する。



「白火解放……!!」



 その言葉を発した後彼は白く光り、やがて白い装束に青いラインの入ったものに切り替わる。

 正真正銘あの海斗戦の時になった姿だ。自分で自由にできるようになっていたのだった。

 大魔剣を持つがどのような能力かはわからない。形状こそ普通の剣と同じである。見た目の変化は特にないことを良いことに、そのまま突っ込むアヤト。



「甘いわ!!《絶対なる拒絶》リジェクト」



「《螺旋血》(ブラッド・スクリュー)」



 ガウルトルは槍を地面に突き刺し前方に魔法陣を展開、その後黒い棘を召喚し近づけさせないようにしたが、メアリーは滑りながら寸前のところで止まり、大鎌を横に回転させながら投げ飛ばした。

 荒い攻撃スタイルに怖がりながらもアヤトは棘のない方向から奇襲をかけようとした。

 なんと恐ろしいことに棘をぶち壊し、大鎌はガウルトルの首を吹き飛ばし扉に突き刺さる。そのまま勝利することを意図しなく立ち止まるアヤト。

 しかし、それだけでは終わらなかった。



「まさか……ここまでなるとはな……恐れ入った。ならこちらもやらなくてはならぬ」


 

 そう彼は言うと大鎌を吹き飛ばし頭を付ける。吹き飛ばすだけでは、どうやら勝てないらしい。

 さすが、黒騎士という存在である。対抗策を考えようとした矢先、首元を引っ張られそのまま視界が暗くなった。



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