第八世界 《 決意のその先 》
あたり一面は戦いの跡が残されている。
氷道院海斗と水戸アヤトの戦いは終わった。
これで解放されるのかもしれないと彼は思った。
新しく手に入れた水戸家の力『白火解放の力』
まさか異世界にいって自分の家の力を手に入れることになるとはだれが予想できたことか。
勝利の喜びを堪能したいのだが、本来の目的は霧火達
海斗に言われた自分のためだけに霧火達を利用しているのではないのかということ
しかし彼は、自分のために彼らを救えるのなら別にいいのではないのか?と考えた。
立ち上がり先に進もうとした矢先、目の前の『流星歯車のギアソード』がおいてあった。
神の遺産同士の戦いはどちらかが死ぬことで終わりを意味するとした。
その後の神の遺産がどうなるかまでは、何も知らなかった。
使用者にしかその存在を持つこと、触れることができず。
適合することも人を選ぶとされる神の遺産
竜刀を持つアヤト、黒騎士やその他の勢力が神の遺産を欲している。
このまま放置するのは、また別の形で海斗のような存在が現れてしまうことを意味する。
もしかすれば、彼以上の存在が手にいれて猛威を振るう可能性すらありえる。
悩んだ結果アヤトは「適合すれば平気だよな?」と心で思い触れた。
その剣は軽々と持つことが可能で、驚いていた。
神の遺産を二つ持つことの条件やデメリットはまったくわからないが、別に適合するのならそれでいいとした。こうして水戸アヤトは神の遺産二つ両方七聖剣である『竜刀』『流星歯車のギアソード』を持ち霧火達のところに走っていった。
気が付けば『アクエリアス・ブルー』についていた。
しかし見た瞬間に驚きの光景が広がっていた。
いたるところは燃え、空には赤き竜、街には黒騎士、市民もいたのだ。
この地に一体何のためにここまでの勢力がやってくるのかがわからなかった水戸アヤト
途中で馬車の音がしたが、国から逃げていった人達だろうと考え気にせず走っていく。
城門前に行き先を進もうとしたが、透明な壁があり先に進めなかった。
魔法などを試してみるが何も反応がなかった。
するととなりの茂みから音がする。彼は竜刀を持ち相手をうかがった。
「……人がここに?あなたどちらですか!?」
「君は誰だ!?いったい今どうなってるんだここは?」
茂みから現れたのは『ブラッディーメアリー』であった。
全身赤い恰好をした少女が現れたことにより、いっそう怪しむアヤト
少女は何も言わず彼を見るなりして一言
「ここから立ち去ったほうがいいと思いますよ。死にたくなければですけど……」
「君の名を聞いている。僕はそう簡単に死なないから平気だよ。」
「そうですか……私は巷では有名な《赤き死神のブラッディーメアリー》と申します。以後お見知りおきを!!」
「うそだろ……」
赤き死神とは、春風霧火一行が受注した討伐クエストである。
ここにその存在が確認されているということは、霧火達は死んでいる?とアヤトは考える。
次第に怒りが込み上げてくる。
それを察したのかメアリーは止まれのポーズをする。
「人の名を聞いといて自分は名乗らないとは、とんだ恥さらしですね?ちなみに私はあなたの名前を覚える気はないですけど……ここには霧火様を助けるためにやってきたのです。邪魔するのなら容赦しません!!」
「僕は水戸アヤト、春風霧火を助けるのが目的……?今君霧火を助けるって……?」
メアリーの話によれば、少女はだいぶ前に霧火の仲間になったそうだ。
初対面なこともあってか、敵の言うことを信じられないアヤトはうっすら怪しんで聞いていた。
しかし霧火を助ける目的が一緒なら別にいいのかもしれないと考えるアヤト
事情は彼に聞けばいいと思い出発しようとしたがメアリーからとんでもないことを言われる。
少女はアヤトのことを知っていたのだ。どうやら『アレクロアス一世』から聞いたと話す。
それから城内で起ったことをすべて話した。
とても少女には関係のない話、壮大すぎる話でアヤトは刀をしまう。
《黒騎士 ナイトメア・ナイト 》の『アレクロアス一世』
春風霧火はもう姿が見えない。力を発動した後どこかに言ったとのこと。
先ほどの馬車は確実にクロイたちだ。
この門の中にいるのは死霊と呼ばれるものたち。
どう考えてもスケールが大きすぎて自分たちでは対処できないとしメアリーに一つ話をした。
「いったん引いて直哉に話をする。いくら赤き死神の異名を持つ君でも、今霧火を救うのは無理だろう」
「それもそうですね。その直哉という人に会いに行こうと思います。」
二人はすぐにでも報告するために『グラン・エリアス』に向かった。
『アクエリアス・ブルー』は現在三つの勢力が争いをしている。
「赤き竜の一族」「黒騎士」「死霊術師《骸の力》」
どれもその力は強大なものであり、今の彼らではとてもじゃないが太刀打ちできない。
春風霧火が消えたことも何か関係があるとしてアヤトは考えている。
五つの神の遺産がすべて一つの国に存在し、それを求め争っている。
その中には《七聖剣 大魔剣》が存在する。
その力は《無双竜》《竜刀》《流星歯車》とは別の何があるのかということも考えていた。
メアリー曰く、その剣はどんなものでも一刀両断するとされるほどの強大な力を持つとされている。
その形状はとても大きく、一人の人が持てるようなものでは思えないほどとされた。
竜刀や無双竜は色としては本来の刀とは別だが、流星歯車のように剣と言われると疑問が浮かぶものもある。七聖剣と呼ばれるものは他にも存在し、それらがいまだに彼自身未知数である。
力を存分に解放しきらなくても、海斗戦ほどの熾烈な争いになるのなら、持つ人次第では惑星すら破壊できるのではないのか?とさえも考えていた。
城門近くの馬に乗りながら帰っていく二人
気が付けば『グラン・エリアス』についていた。
会議室に急いで走り扉を蹴破るくらいに開ける。
それに驚いたのか九頭竜サトルや周防和馬の二人が驚いている。
「アヤト……どうしてここに……」
「直哉はどこにいる!話したいことがある。」
そう彼が言うと後ろから直哉たちがやってくる。
別の国で修行しているのかと思っていたアヤトを見て驚いた後ため息をしていた。
その後みなを集め話をしだすといった。
「今ここにいないものはしょうがない。特例が入った。『アクエリアス・ブルー』に四軍目として『グラン・エリアス』も参戦することになった。理由は『赤き竜』に手を貸すというものだ。」
赤き竜はどうやら、アヤトたちがいた国『ルージュ・シュプレーター』の南側『プレーター』と呼ばれる機械街に住んでいる軍であるとのことであった。
当然『グラン・エリアス』と連携を取っている国である。
クロイ曰く良い噂を聞かないところではあるが、霧火を助けれるとするのなら構わないと話す。
そもそも会議室になぜかシロイがいるのだが、直哉に呼ばれ戻ってきたと話した。
ゆずはたちに関しては、蒼龍水無月が見ているとのことであった。
直哉はここで一つの問題を出した。
今いるメンバーでの出撃は極めて困難を要する。
死にに行っているようなものだと話した直哉、霧火という神の遺産持ちもいなくなっており、すべての負担をアヤトになる可能性が高い。
アヤト自身も今までの戦いを思い出すが、さすがに規模が大きすぎるがゆえに素直に納得することもできなかった。『グラン・エリアス』からの救援は別に直哉たちだけではない。本来なら彼ら以上のものたちが参加していく、しかし現在は能力者の数が少なすぎるとのことで直哉たちにも出したとのことだ。
静まりの会議室、今度こそは確実に死の恐れがある。
下を向いているものたちもいる。あまりの力の差によって勝つことができるとは思えなかったのだ。
しかし、アヤトの一言により動き出す。
「霧火を助ける。神の遺産は別に一つだけじゃないからね。」
「「……!?」」
そういうと彼は二つの神の遺産を召喚する。
直哉はそれを見て笑顔で反応し、小声で「やるじゃねーか」と言う。
神の遺産は強大すぎるものであり、大体は一つ限定として使うものが多いが、別に一つしか持てないというわけではない。使えるのならいくつだって可能である。
彼らはアヤトの姿を見て驚くが共に頼れる存在として考え始めていった。
直哉はすぐさま本部の方に話にいき、出発は次の日になった。
『グラン・エリアス』にいる力を持つものたちとの出発
どんな人たちがいるのかと言う期待と死への恐怖がにじみ出てくる。
サトルはアヤトと二人の時間を作り話始める。
どのようにして、強くなれるのか?といったものだ。
静香という仲間を目の前で殺され、何もできず叫ぶだけ。
同時に霧火も目の前で何もできず終わる。
力ないことに関して辛く悩んでいたサトルにアヤトは一言いう。
「悩みなんて誰にでもある。逆に強いから何もしないんじゃなく、自分がいつまでも弱いと考えるからこそ強くなれるんじゃないかな~」
「弱いからこそ……強く……」
その言葉を聞きサトルの表情が変わり、礼を言い走ってどこかにいってしまった。
後ろ姿を見てアヤトは「がんばれ……」と小声で言う。
同じくして道場で修行をしていた周防和馬
グレン・イーターは今いないが、彼に教わったことをもう一度思い出し。
心を改めるとした。これからはもっと悲惨なことが続くだろうと考え己を鍛え始めようとする。
足を引っ張らないためにも今できることをしようとした。