第七世界 《 神の力VS神の力 》
―――――――僕は天才だ!!
生まれた瞬間から僕は周りから褒められて育っていった。
小学生になる前にはすでに5か国語が話せるレベルになっていたし、スポーツの分野でも誰よりも綺麗で美しいとされるほどにまで絶賛された。
父、母はともに僕の未来は明るいと話した。
使用人や家庭教師も同じように話す。小学校に入れば1番を取ることが当たり前の生活
何不自由ないそんな生き方をしていた。
父は市の会長であるとともに、水戸神社の『宮司』と呼ばれる立ち位置にいる。
大体神主と同じ感じだ。年に1度の大晦日は僕含め水戸家やその他大勢の人が大忙しである。
なぜならば、僕の住む場所の人ではなく全国の人が、水戸神社にやってくるのだから。
長蛇の列をなし、時には問題すら発生する。
この神社での願い事は高確率で当たるとされることからやってくるのだろう。
実際にここでお願いをし、叶った人の声は手紙としてやってくるが、その多さゆえにさばききれないことが多い。
時期当主として僕水戸アヤトは選ばれているが、父親を見ているとどうしてもなれそうにないと思う。
何でも1番を取り、何をしても1番を取ることから『神童』や『天才』と言われている。
しかし、小さいころにその能力を発揮するとある年齢からは普通の人になるとされている。
僕自身それが一番怖いところである。
中学生になりさらにその能力は加速する。神社の仕事も含めてのことなので同級生からはよく褒められることも多い。
隣に住んでいる如月家で幼馴染の「如月美音」は小さいころから僕のうちに遊びに来ることが多い。
先祖から交流の深い二つの一族だそうだ。
よく泣きながらやってきて、慰めることが多い。
次第にそれもなくなり中学生になったころには、生徒会長を務め、部活動は部長を務めるほどにまでになっていた。よく「アヤトのおかげだよ」と会うたんびいわれる。
そんな生活をしていれば、やはり嫉妬というものはやってくる。
数えきれないほどのその目は恐怖を感じていることもあったが、僕自身その視線を考えることや嫉妬を考える暇があるのなら、自分の時間にすべてを投資するとして、まったく見向きもしなかった。
才能という力はより向上し、テレビにまで出演するようになった。
そんな回数出演することは父親の声により無理ではあったが、楽しい人生を過ごしていたのだ。
色々な友達もできた、海外の人とも仲良くなり遊ぶこともよくあった。
僕水戸アヤトは何不自由ない生活をしていたのだ。
しかし時に悩むことがあるそれは先祖様の存在である。
いつも周囲からは期待され失敗することは決して許されないような環境に身を置く
先祖は別次元の人として語られることも多い
その理由は僕以上に先祖様は素晴らしすぎたのだ。
中学生である13歳にはすでに水戸一族の当主として名を轟かせていた。
時代が違うのもあるが、相当力ある人だ。
彼を目指すことが何よりの目標である。
これからもこのようにして過ごせたらなと僕自身思うのだ……・
だから……僕はこの戦いに勝たなくてはならない……
絶対に勝つんだ!!水戸一族の誇りにかけて負けることは許されない!!
―――――――――――――――
「この力が水戸家の……新の力か……」
「僕には勝てない。なぜならば、僕自身天才だからだ!!」
水戸アヤトは全体が白く青いラインがところどころついている装束を着ていた。
白い髪に耳が生えており、9本の尻尾に目は狐のように鋭いまなざしになっていた。
彼自身この変化に気づいていたが、それはすべて水戸新からもらった力だと確信する。
体が先ほど以上に軽い。これなら勝つことができると思った。
彼はこの力をこう呼んだ……《 白火 》
氷道院海斗の神の遺産《流星歯車のギアソード》レベルMAX解放状態
水戸アヤトの白火の力と片手には竜刀
両者は準備ができたのか、一気に突っ込んだ。
ズドガアアアアアアアン!!
竜刀と流星歯車の二つの神の遺産が衝突する。
その周りは円のように地面が砕け、衝撃波により木が折れるレベルにまでなっていた。
アヤトは「これが神の遺産同士の戦いか……」と思っていたが、下手に注意が散漫するとかえって危ない相手だけを見るようにした。
次にいち早く行動したのは氷道院海斗の方だった。
いくら白火のモードになったとしても、相手の動きは早いとわかる。
どれだけ彼が力を得たのかが如実に感じた。
「《天神雷撃破》!!」
両手で力を貯めその後二つの手に雷が宿る。
それは両手を包み込むほどの大きなものであり、海斗はそれを思いきり地面にたたきつける。
雷は衝撃破のように一つの波へと変わり、地面をえぐりながらアヤトに近づいてきた。
「これが僕の力だ!!《疾風怒濤》!!」
竜刀に風がまといその後白い靄もかかり始め、両手で勢いよく振り払う
海斗による攻撃と衝突し大爆発を起こす。
周りは勢いに台風でも来たかのように揺れ動くあたり一面。
両者の力は互角の様子である。
大きな力と大きな力のぶつかり合い、アヤトは異世界に来てここまで大きな力のぶつかり合いをしたのは初めて出会った。
あのイーグル族の王の戦いでもここまでのことはしていない。
いくら天才であろうが、天災のような力を目にするのは正直驚くものだ。
「千紫万紅!!」
アヤトは札を召喚しその目の前に投げつけた。
その数は50枚以上であり、様々な魔術が相手に降り注いだ。
『火・水・雷・風・地・草・光・闇・無・幻』すべての属性が雨のように降り注ぐ。
その猛攻撃を受けても傷一つない海斗
すぐさま体制を立ちなおし、突っ込んでくる。
両手には電撃を帯びながら迫ってきた。
アヤトも竜刀で立ち向かう拮抗する両者
どちらが倒れてもおかしくない状況であった。
海斗の速さは電撃そのものと思ったが、それでもなお防げる自分自身に驚いてるところもある。
両者先の進まない戦いに海斗はしびれを切らし更なる攻撃を繰り出す。
「《神雷の破壊》(ライジング・ブレイク)!!」
「桜舞え!《花びらの舞》!!」
海斗は右手に先ほど以上の電撃を貯め、それは円状になり肘までが飲み込まれた。
アヤトは草の魔法を使い竜刀に桜の花びらの渦巻かせる。
両者同時に放ち相応の力が衝突する。
ズドオオオオオオオオオン!!
凄まじい音を放つ。
互いは睨み会い負けないと考え力を増した。
更なる音や衝撃があたり一面に響き渡る。
「「負けるかーーー!!」」
やがて相殺され次なる攻撃を繰り出す。
アヤトはまずいと思ったのか防御の構えをしたが、判断のミスが起こる。
海斗は攻撃ではなく「ハイブースト!!」と言う。
まさかの瞬間である。先ほどの2倍以上の速さでアヤトに迫り
「《神雷の破壊 ‐ 紫電 ‐》(ライジング・ブレイク・シデン)!!
「ぐああああああ!!」
勢いを増した力はアヤトの腹部めがけて突っ込み
そのまま彼は木々をなぎ倒すどころか、地面をえぐるようにして吹き飛ぶ。
吹き飛ばした後は赤く燃え、生々しく跡を残していた。
強烈な一撃、白火の力がなければ、意識が飛ぶどころかあの世に行くレベル
まだこの力を使いきれてないと確信するアヤト
神の遺産すらまだままならない状態で白火を使うのは、おかしな話である。
彼は深呼吸をし相手に向かって突っ込んでいく。
同じように海斗も突進してくる。雷の力を蓄え放出する気なのだろう。
とてつもない速さであったが、アヤトは一定のところで刀を地面に突き刺し勢いを抑えた。
「一撃行くぞ!!《疾風迅雷》!!」
その一撃は一瞬であった。
突っ込んできた海斗でさえ防御することができなかった。
両者の動きは目でとらえれるものではない
したがって海斗自身も油断をしていた。
勢いを押し殺しスピードを緩め指した剣を両者の勢いを利用して下から上への一撃へと変換する。
その力は雷の魔法でさらにスピードを上げる。
「ぐあああああああああ!!」
左腕を切られたまま木々に突っ込む海斗。
痛みにもがき苦しむが、アヤトも頭から血が流れてくる。
諸刃の剣のように、この攻撃は自分にも相手の攻撃が来るもの。
両者重い一撃や相打ちを繰り返し、疲弊している状態である。
しかし、それでも戦う理由が彼らにはあった。
何としてでもここで食い止めなければアヤトは、美音を失う。
海斗はアヤトと言う存在を殺し、美音を自分のものにする。
二人の意見は反対する。その分力を増していくのであった。
アヤトは一つの方法を思いついた。これが成功すれば確実に倒すことが可能。
だがそれは同時に自分の死の可能性もありえる話であった。
考えてる暇は彼にはなかった。猛スピードでかけてくる海斗にはこれしかないと感じたのだ。
すかさずそれを実行しようと、彼は竜刀を槍投げのように持ち替え雷魔法を使いぶっ飛ばす。
突然のぶっ飛んだ考えに海斗は笑い左手ないが右手で行けるとして突っ込む。
これが最後の一撃としてすべてを込めた。
「《雷電解放》(ディスチャージ)!!終わらす!!《神雷の破壊 ―終焉― 》(ライジング・ブレイク・ファイナルストライク)!!」
先ほどよりも電撃を貯めスピードも威力も桁違いであった。
彼が移動した場所は音速ように空間自体が歪みだす現象が起こった。
投げた竜刀はたちまち交わされ、そのままアヤトの方に突っ込む。
「これで終わりだあああああ!!あやとおおおおおおおおおお!!」
「……終わるのは……お前の方だ……氷道院海斗!!限界術式発動:百花繚乱!!」
水戸アヤトは札を空高く大量に投げ放った。
その数は彼を見えなくするほどにまで大量に展開される。1000枚や1万などのレベルをとうに超えるレベルになっていた。
展開する札はすべての属性の魔法を発動しレーザーのように海斗に降り注ぐ
弾幕のように降り注ぐ魔法の荒しを交わすが、ダメージも受ける
アヤトの顔に右の拳が迫った瞬間……
「ぐは……嘘だろ……」
「いったはずだ。終わるのはお前の方だと……」
後ろから竜刀が貫いている。
先ほど投げた竜刀は無属性の糸で結ばれており、相手がこちらに注視しているときに後ろから刺し、無属性で作られた意図によって縛るということであった。同時にいくつもの力を使った荒業である。
戦場では剣術の教えなどを考えてても意味がない。
生死争う場だ。いくら投げるのはダメと言われようが、そうするしか勝つ方法が見いだせなかった。
そのままアヤトは「煉獄」と言い放つ。
刀はたちまち炎が展開し、海斗を包み込む。
寸前のところで海斗は攻撃ができず憎しみの目をアヤトに向けていた。
「おのれええええ!!!水戸アヤトおおおお!!……」
その後海斗は力なく倒れ、流星歯車の力も同時に消えた。
海斗は光を帯び、やがて散った。
ようやく戦いが終わったのである。異世界に来て初めての大きな戦い。
周りを見渡せば軍と軍との戦いかと思うほどにまで激しい痕跡が残されていた。
白火を解除し、制服姿の彼に戻る。
疲れで息が上がってしまうが、勝利の喜びを味わった。
「美音……終わったよ……」