第五世界 《 予想外の結末 》
自分の部屋に戻ってからひとまず考える水戸アヤト
まさかの先祖様と会い話、その後力を受け取ったみたいである。
しかし、何も変化なく帰ってきたのである。
蒼龍水無月のお誘いも考え事をしており無視したまま帰ってきてしまった。
ゆずはやシロイは一緒に今頃食事をしているだろう。
美音が「夢中になったら手が付けられないのです。」と話していた。
何かが変わったが、何が変わったのかはわからない。
どうしたものかと考えるアヤト。
するとお腹が減ってくる。ゆずはたちもいないこともあり、一人で外で何かを食べに行こうと部屋を出た。
何度見ても素直に驚けるような場所である。
いくら異世界と言えど、やはり慣れないものも多い。
これが生まれてからこのようなところに住んでいれば、問題ないのだろうが、数十年人だけの世界にしか生きてない彼にはすぐに慣れろは無理な話である。
夕方になり、街が活気づいてきている。
商店街の方も人がわんさかいる。適当に食べ歩きをしているアヤトにケモミミの少女が話しかけてきた。
「レイス」である。この街に来たばかりのころ助けてもらった恩人さんである。
最近忙しいようで見ても声をかけられなかったこともあり、このような時間は久々だ。
レイスの方も彼らのことを気にかけているようで、毎日のようにどこからか情報を得ているそうだ。
「ここまなんでもあるんだね。不自由ない場所だ~」
「アヤトさんのいた世界はどのような場所だったのですか?」
「僕がいた世界も同じようなものだよ。楽しそうに日々を暮らしている人が多くいる。」
「ほへ~私もいつかいってみたいです!!」
「その時はうんとごちそうするよ。」
「はい!お願いします!」
そうこうしているうちに、レイスは仕事の時間で呼ばれそのまま帰っていった。
また一人になるアヤトは、街のことを少しでも知ろうとし歩いていく。
すると大きな音が空でしており、見上げると花火が上がっていた。
本当に素晴らしい街と思うアヤト
できるのなら一生居たいと思えるそんな考えであった。
気が付けば街はパレードのようなものをしていた。
今日は何かの祝いなのかなと思い見ながら食べ歩きをする。
皆がとても楽しそうな雰囲気、もしここに霧火達がいたら……とまた考えてしまっていた。
今頃ゆずはたちも楽しそうにしているのかなと思うアヤト
自分が考えていた力のことは今考えても仕方ないとし部屋に戻ることにした。
どっと疲れがやってきてそのまま寝てしまうアヤト
日々大きなことがやってくる異世界でいくら彼であっても一度にたくさんの情報を整理するのは困難である。
その後数日がたち彼は我に返る。
「あれ……ふと思ったけど、僕たちこのままでいいの?」
「いいのではないでしょうか?旦那様?」
「何もないことは良いことですよ。アヤトさん」
気が付けば、アヤトがこの国に来て数週間が経っていた。
何も変化のない日常、戦闘はあの草原のころから一度もしておらず。
クエストに関しては、採取しかしてない。
何もなければそれでいいといわれたが、自分の仲間は悲惨な戦いをしていると考えると何もせずにはいられないのだが……やることはない。
周りを見渡せば、ゆずはと水無月は将棋をしており、美音とシロイの二人は縁側で話をしている。
さすがにまずいと思ったのかアヤトは一人で外歩いてくると言い出ていく
一人なだけあってクエストなんでも行けれると思うアヤト
手始めに何か高難易度のものをしようとした結果選んだものは『洞窟に潜む赤き飛竜!!』というものを選択した、難易度は霧火達がうけたよりも低い、桃星1であった。
このくらいソロでクリアできないようでは、霧火達に追いつくことはできないと心を鬼にして出発する。
記念すべき高難易度のクエストである。
霧火達は赤星10の現時点で受けれる最高難易度のクエストをしている。
その一つ下の色であり、星も最下位の桃星1なら「余裕でしょ!」と進む。
場所は渓谷のようなところであり、洞窟を発見し大きな飛竜がそこには存在した。
イーグル族の王と同じくらいの大きさのそれだった。
さすがに一歩引いたが「負けてはならない!」と思い突っ込んだ結果。
ものの数分、いや数秒で討伐してしまうアヤト眉をピクピクと揺らしながら「まだこれが本番じゃないだろ!」と突っ込むがクエストは達成と文字が刻まれる。
さすがに桃星1は自分には楽すぎたとして、その後レベルを上げてクエストを受けていく。
気が付いたころには赤星5さえもその日のうちに終わっていた。
クエスト完了した。と言う文字を見ながら彼は乾いた笑いをしていたのである。
今まで自分たちが戦ってきたものは一体何だったのか?と思うくらいにまで楽なクエストばかり。
その後テンション駄々下がりのままクエスト本部に戻っていくと……
「水戸アヤト様!!ばんざーーい!!」
「英雄だああああ!!すげーー!!おおーー!!」
入った瞬間に周りから歓声が巻き起こる。
何が起こったのかわからないアヤトだったが、すぐさま受付の人が話す。
どうやら1日でここまでの高難易度クエストをクリアするのは史上初となっていたみたいだ。
そもそも桃星1をクリアすること自体異例だと話す。
たちまち彼は英雄のように言われた。こんなんで英雄扱いされたアヤトはうれしくもあったが、かなしくもあった。本当は赤星10もそこまで強くはないのではないのか?と考え始め、受付の人に話した。
するとどうやらそのものはあるみたいで、今のアヤトならいけるかもしれないと話す。
すぐさま彼は「のった!!」と言う、たちまち周りの人はみな応援などのエールを捧げ始めた。
彼らに見送られながら、アヤトは先を進み始めた。
悪い気分ではないが、良い気分でもない。
自分は本当は相当強いのではないのか?と考え始めていた。
赤星10のクエスト『 天から舞い降りし白き竜 』
クエスト名からして、相当強そうと期待をするアヤト
そこは山のところであり、空がとてもきれいな場所であった。
夜で星がきらびやかに光っている。
ガアアアアアアアアアアアア!!!
大きな声とともに何かが前方からやってきた。
いよいよとんでもないやつとの戦いだとして気持ちを入れ替える。
「まさかまた来たのか、チャレンジャーが、ふん。また返り討ちにしてくれる!!いくぞ!」
白き竜と人の二人、相当強そうとし期待をした……・が……
「竜刀!!烈火斬!!」
シュ~……・ズドオオオオオオオオオオン!!!
その一撃により、白き竜は立つことさえ厳しい状態になり、それを操っていた人も立ち上がることが不可能であった。アヤトはそれを見て何かに火が付いてしまった……
「まさかここまでやるのか……無念である……強いなおぬし……」ガク
「おい!立てよ……いいから立てよ……たてーーー!!」
ズドオオオオオオ!!
「ひいい!!ハイなんでしょうか!!」
「ここはこうでしょ!これを、それはそう!!」
水戸アヤトはいよいよ堪忍袋の緒がきれたようで、その言葉を聞いてその通りにしていた敵対する彼ら。
白き竜も声を上げながら一緒に言われた通りに動き出す。
もはや、どちらが敵か味方かわからない状態になっていた。
たちまち彼らは「悪魔やー!!」と叫びながら立ち去っていく
アヤトは「赤星10弱すぎじゃー!!!」と叫び烈火斬をぶっ放した。
その後に、クエストの方では新しく赤星10として『恍惚に現れし烈火の巨人』というものが現れてしまった。クエスト所にいた人はアヤトにそのことを頼もうとし探していたが、彼は1週間ほどベットから起き上がれず、恥ずかしさのあまり外にでられなくなっていた。
(どう考えても……そのクエスト僕じゃん……)
アヤトに関する噂は蒼龍の方にもやってくる。
「さすがです」と感想をし、新聞などの情報に『水戸アヤト最強の戦士!!あの蒼龍家の当主も絶賛の力!!』として名を轟かせることになった。
一躍有名人になってしまったのである。赤星10の低すぎる難易度に驚くアヤト
もしかしたら、霧火達がやっているであろうクエストもそんなに強くないのでは?と考え安心した彼であった。あのくらいのレベルなら、クロイもいるしとのことで……
『赤き死神』名は相当なものではあるが、名前だけで中身はやっぱり……
それからというもの彼らの日常が劇的に変化することはなく、ただ時間だけが過ぎていった。
夜紅直哉も帰ってくることがなく、霧火達の連絡もない。
やはり心配ではあるアヤトはついに行動をし始める。
決断までに長く時間を費やしてしまったが、直哉に何かを言われるかもしれないがやるしかないとした。
蒼龍水無月に事情を話し、彼はゆずはたちを置いて出発すると話した。
戦場がどれだけのものかは想像が付かない以上連れていくことはできない。
快くそれを承諾し、彼が帰ってくるまでは守ると話した。
一度『グラン・エリアス』に戻り『赤い死神』のクエストについて話すことが最初である。
クエスト所にいる戦士たちが泣きながら彼に手を振っていた。
さすがにやりすぎな気がすると思っていたが別に悪いことではないからと考え出発する。
当然のように蒼龍が車を用意してくれており、グラン・エリアスまで届けますと話した。
彼女は付いてこず、運転手だけの動向になる。
グランエリアスにつけば彼は一人でいくと言い承諾した。
その後何時間もかけ到着し、グランエリアスの受付に聞いた。
すると完了したという人がやってきたと話し、やり方を知らなかったもので教えてまたいかせたと話す。
クリアしたことに関してほっとするアヤト
そのまま帰ることも考えたが、受付の人からあることを言われる。
「私先ほどクエスト申請した人の情報を確認したら、もうなくなっているみたいなのです。それももう数か月も前の話です。もしかしたら、彼ら変なことに巻き込まれてるのではないのかと心配なのですが……」
「どういうことだ……?」
どうやら霧火達一行にクエストを申請した本人は死んでおり、誰かがこのクエストを別のやり方で申請したらしい、当然赤い死神討伐は誰もが願っていたことではあるが、申請者の死亡は数か月も前の話。
クエスト所側がそれを知らないのが変な話である。
まずいと思い彼は『 アクエリアス・ブルー 』に向けて進んだ。