最終世界 《 決意する勇気 》
「無力の力に飲まれたか……」
「霧火をどこへやったんだ!きさまああああ!!」
椅子に右手が触れた瞬間に彼は光となって消えた。
クロイはそれを見てアレクロアス一世の仕業だとして殴りにいった。
しかし、それを予想してたように彼は黒いステージからゆっくりと歩いてくる。
その姿を見た瞬間クロイは固まり身動きが取れない状態になった。
後ろにいるサトルたちも同様に同じような現象が起こった。
「封印は解かれた……これより黒騎士は始まった。動けないだろう?無理もない、私が姿を現せば誰であろうと動きは止まるものだ。《魔眼》の力があるからには私には勝てない。」
そういうと姿をはっきりと現した。
見た目は外で戦っている黒騎士と似たよなものであった。
騎士の恰好をし、ところどころ青い炎がともっている。
赤いマントを付けており、顔は鬼のような見た目でもあり、角が二つ生えていた。
人型の悪魔のようであった。しかし、彼は笑っていた。このいつでも倒せるからなのか、もしくは……
「私は最初に言ったはずだ。無意味な戦いはしない。したがって貴様らは元の場所に戻そう。さすがに鎖を解いてくれたこともある……が最後にこちらを見てから去ってもらおうか……?」
そういうとアレクロアス一世の声とともに両側から兵士が流れてくる。
数人で横たわっている袋のようなものを運んできた。
中央付近に行くとその袋を投げ中身をあけた。そこにいたものを見てサトルたちは顔が青ざめた。
「艦長……てめえええええええああああああ!!」
「ふははは!!やはり知り合いか、最後にいっていたぞ?夜紅直哉が彼らを救うと……」
確かに目の前の遺体はイフリート艦長である。
どこからどう見てもそれであった。チームを組んだあとすぐさまどこかに出かけるとして、それから一度も会ってない。最後の別れがそれだったということに彼らは気が付いた。
すかさずサトルは武器をだし攻撃に向かう
アレクロアス一世は何食わぬ顔で右手で払うような動作をした。
その後サトルは吹き飛びドアに叩きつけられた。
メアリーがもらったといわんばかりに前方にやってきており、大鎌を振るう。
椅子に座っていたアレスロアス一世は足を組み肘をついたまま右手で振り払う。
メアリーもおもちゃのように吹き飛び壁に叩きつけられる。
その勢いのまま鎖の術を使ったが、右手の振り払いよってことごとく無効化されてしまう。
あの赤き死神の攻撃がまったく通じなかったのだ。
「遊びは終わりだ……《黒き銃弾》」
懐から拳銃のようなものを取り出しクロイの上らへんめがけて撃った。
その弾丸は一度黒く光無数の玉となって彼らたちに降り注いだ。
弾丸の雨が止んだころには、立っているものはほぼいない状態であった。
一瞬にしてつぶされてしまったのだ。
自ら立ち上がることが不可能なほどまでにやられたがクロイは霧火の名を呼びながら這いずり椅子に向かって言った。
それを見たアレクロアス一世はため息をし、指を鳴らした。その後彼らは一瞬にして消え去った。
「何も問題はない、予想外なことをあげるとしたらここに夜紅直哉と水戸アヤトがいなかったことくらいなものだ。春風霧火に関してはもう時期天の方にいるだろう。失望したな……」
目を覚ませばそこにあるのは馬車であった。
どうやら馬車の場所まで飛ばされたらしい。各々は力の差に希望をなくしていた。
大事な仲間の『春風霧火』がいなくなり、この先どうしようかを考えていた。
クロイがひとまず『グラン・エリアス』に戻ったほうが良いと話した。
黒騎士と呼ばれる歴代最強の軍団。
彼らを見て帰れるものはいないとされたが、運よく自分たちは五体満足でいる。
それが何よりの救いとした。
自分らの力のなさに悔いたがそれ以上に霧火の存在が消えたことが何より悔しかった。
メアリーも同じように考えた。世の中には絶対的な王と言う存在がいるということ。
今までの敵はすべてイージーモードであったこと。
彼女は黒騎士の兵士を倒せるほどの力を持つが、さすがにトップになると話が違う。
この先やっていけるのかという不安さえもあった。
神の遺産をもってしても通用するのか怪しいレベルの敵
イフリート艦長でさえも手も足も出せなかった敵
ノヴァと言う存在と鎖で結ばれていたとされるから、ノヴァはそれほどの強大な敵。
考えれば考えるほど彼らの光は薄くなっていった。
しかしその中でも一人だけ希望を持った人がいる。
赤き死神ブラッディーメアリーであった。
彼女は周りを見て希望のない状態に一言のモノ申した。
「いつまでそうやって自己嫌悪になってるんですか?みっともない。」
「そんなん言われたって……あんなの見せられたらならないほうがおかしいだろ……」
「あっそうですか……なら私このメンバーにいる必要性がないのでここらへんでバイバイしますね。」
そもそもメアリーは霧火が連れてきた仲間である。
彼女は霧火のいないメンバーにいる意味がなかった。それゆえに馬車から飛び降り一人森の中を歩いていった。見ていたサトルは「勝手にしろよ……」と小声で言う。
クロイは考えながら先を進んでいた。
正直な話あんなにも大きな強敵が存在するのはわかりきっていたこと。
予想できないほど知能は低くないし。
あれ以上に強い存在もまだ世の中にはごろごろいる。
これからのことや霧火のことに関して考えていたが、まずは戻ることを優先した。
数時間が経ちようやく『グラン・エリアス』についた。
彼らはすぐにいつも使う会議室にいった。
そこには何かを待っていたかのようにして椅子に座る直哉の姿があった。
「落ち着け。とりあえずそこに座れ」
彼らの様子を見てボロボロだということに気が付く
この話が終わったらすぐ休めの話をしてから本題に入った。
現状二つのチームのことに関してそれぞれが話した。
クロイと直哉での会話。
会議室に直哉しかいないのには理由があり、それはまだ言えないとのこと。
「修行だ」と言うだけでそれ以上は何も言わない。
まず最初にこちら側の神の遺産に関してのことを話した。
アクエリアス・ブルーには5つの神の遺産が眠っており、そこには三つの軍が戦争をしていた。
次にブラッディーメアリーのことやイフリート艦長、黒騎士についても語った。
一通り聞いた直哉は一言彼らに言い放った。
「命あることは褒めてやろう。辛いだろうが犠牲は二人で済んだんだ。」
サトルがすかさず突っかかろうとしたが、その後に直哉は「現実を知ったろ!!いつまで甘えているんだお前は!!」と怒号が飛んだ。
周防和馬はグレンから戦闘と言うものに関して一度霧火と話した。
サトルはまったく何もしてなかったのだった。
いつまでもゲームのような妄想をしていても何も意味がない
異世界というものは実世界のように簡単に生きていくことは不可能な場所と言い放つ。
それを聞いた彼らは静かになりその後直哉は一言「強くなればいい。それだけだ。」と話しその場を去った。「まずは体調を整え明日からやるのがよい」クロイはそう言い会議室からでていった。
その後クロイ、シロイ、直哉の三人の話が始まった。
現状のゆずはやアヤトのことに関してはシロイが話したが、彼ら二人に関してはまったく問題はなかった。対するクロイの方だが、周防和馬は平気だが、サトルは厳しいと話す。
「ブラッディーメアリーを呼び戻すことはできないか?クロイ」
「あやつは気まぐれだ。そもそも霧火がいなければついてこないだろう。」
神の遺産持ちがいなくなり、戦力が下がった。
イフリート艦長がなくなったのも大きくこのまま続けば解散し、実世界に帰れないまま異世界を生きていくという選択になるかもしれないと話した。
この『グラン・エリアス』もいつ狙われるかはわからない。
上層部にインデックスの人などがいるから安心だとする。
しかし、黒騎士が現れたことはすなわち、いつかはここを襲撃することもあるということを意味する。
彼らは神の遺産を探している。
黒騎士の目的はわからないが、見た目からして戦いたいからしていると考えられている。
勝手な考えだが一番打倒とされた話だ。
最後にクロイはシロイや直哉に霧火の能力について話し始めた。
その話を聞いた途端二人の顔つきは変わった。
特に直哉は大きなため息をついていた。
「無力の力……か……もっと早く知っていればこんなことには……く……」
「やはり亡くなったのでしょうか……?」
「可能性はないこともないが、私たちが消えてないということは霧火の中にまだルミナスがいるということだから……死んではない……はず……」
珍しすぎるがゆえにその存在の確認はできない。
別の特殊技能かもしれないと考えるのが普通だろう。
一発でそれだと判断するにはとても情報が足りなかった。
しかし霧火はいない。
調べる方法がないのだ。ルミナスの方がまだ彼の中にいることがわかる以上死んでないのは確信できる。
どこにいるのかがわからないから探すことができない。
問題は山住になってしまった。
どう考えても黒騎士はこちらに攻め入ってくる。なぜならば、彼らは確実に見たものを殺しに来るからだ。何か別の理由で放ったのかもしれないと話す直哉。
第一にそこは戦場になっていたから余計なことができなかったのかもしれない。
それまでに軍のリーダーを倒すほどの力を得ない限り勝利は見えない。
水戸アヤトも苦しんでいると話す。もし戦闘になった途端戦えるのはクロイ、シロイ、ゆずは、直哉、アヤトのみで、神の遺産を持つのがアヤトだけになると分が悪すぎる。
ひとまずはこの国にいれば大丈夫として長い慣れに時間を割くようにした。
今一番頑張ってほしいのは水戸アヤトであり、春風霧火の捜索もそちらがある程度のところまでいけば話見つけるとした。
一度に現れた特別な力を持つ者たち
世界にはまだそのような力を持つものはたくさんいる。
彼らはそれを重く受け止め決意する。
「ここからが本当の戦いだ!」