第八世界 《 創造結界 》
「戦闘初心者といったところか……せっかくの神の遺産もこれではゴミもどうぜ……・あ……なんだこれ……」
第100軍の司令官は心臓の位置に無双竜が刺さっていた。
それは本当に一瞬の出来事であった。周りにいた兵士たちも気づいたが遅かった。
すでに首が二つ宙に舞っていた。魔法陣を解きメアリーを助ける。
すかさず『緋陽』と名を言い剣を召喚する。
【緋陽大紅蓮】
右手に持っていた剣は炎が展開した。
そのまま思いっきり左へと振っていくが、司令官は剣でカバーし茂みに飛ぶ。
緋陽を戻し無双竜に持ち帰る。
(こんなにも刀が軽いのか、そもそも体が軽い自分の力ではないがこれなら……)
「霧火様……」
「大丈夫、俺は大丈夫だから」
腹部の傷はなかったように元に戻っていた。
手についていた血さえも、元からそんなことが起こってないと考えるほどにまで消えていた。
腹を抑えながらふらふらたちあがっていく黒騎士に霧火は言えるすべてのことを話せとした。
「ふふふ……なら教えてあげます……わたしだ……あ……フェルガウス様……」
「話しすぎだ……雑魚が……」
司令官は大きな槍のようなもので後ろから付かれそのまま倒れた。
気が付けばたちまち前方の森から無数の青き炎に身を包んだ騎士たちが並んでいた。
中央からやってきたのは、黒く所々が青い炎が燃えている馬にのっている黒騎士がやってきた。
その多さ、その見た目、先ほどとは全く違った姿に少し驚く霧火達。
戦闘態勢の準備は整った。
「我らに貴公と戦う意味はない。よって我らはここで退却とする。」
「どういうことだ?お前は黒騎士じゃないのか?アクエリアス・ブルーにいくのか……?」
「貴公はある程度のことを知ってしまったな。我ら軍と戦うことになりたくなければ、これ以上かかわらないことだ。命は大切にしろ。退却だ。」
その後彼らは去っていった。
一体何者だったのか?そもそも黒騎士は無意味な戦いを好まないのか?
色々と疑問に思ったが、ひとまず一件落着といった感じに終わった。
メアリーも彼らの言う通りここから先に進むのなら、命いくらあっても足りませんよ。と話すが仲間を置いていけなかった霧火は平気と話す。
最初に話したメアリーの知り合いのところに行くことになった。
門を開け左に進み木々の影になっているところに小屋があった。
開ければ埃っぽい場所だったが、部屋の壁あたりを探っているメアリーは「発見」と話し何かを押した。
すると小屋の中央付近に下に通ずる階段が出現しだした。
そのまま彼らは進む。
石で作られた階段自然と後ろの門は閉まる。
しばらく行くと木でできた扉が見え始めた。
メアリーが率先してその扉を開け先に進む。
残念なことにその先には誰もおらず、無駄足な気分が霧火に訪れた。
部屋の中は石で作られた壁一面でとても小さい作りであった。
前方の机には書類がおかれておりメアリーはそれを一つ一つ見ていった。
「霧火様……どうやら、城には進めそうにないです……ごめんなさい。」
そのように言うメアリーに大して何が起こったのかを問いた。
すると彼女の知り合いはすでに何者かに殺され置手紙を置いていた。
その紙によると、アクエリアス・ブルーにはもう王は存在しない。
あの場所に存在するのは【死霊】と書かれていた。
その後メアリーは書類を読み進めていった。
〈アクエリアス・ブルーにはもう生きた者は存在しない。
黒騎士がやってくる前に全滅した。
理由は七聖剣だろう。
元々この屋敷には七聖剣の一つ【大魔剣】と呼ばれるものがあった。
それを求め大きな敵が出現しだした。とても大きな存在であった。
黒騎士ではない別の存在である。
火の軍とされるそれはアクエリアス・ブルーを飲み込むほどの大きな炎を展開し燃やし始めた。
そこには赤い竜の存在がいたとされる。
もしかすれば彼らはマターの属性の王の可能性がある。〉
黒騎士ではない別の勢力が壊滅させた。
しかしアクエリアス・ブルーは外から見たらとても死んだ国には見えなかった。
どのようにしてあのような環境に保っているのかがわからなかった。
メアリーはすかさずそのことを話した。
世の中には死んだ人を復活させるような力を持つものが存在するという。
その力を《 骸の力 》と言う。
ここで確認が取れただけでも、火のドラゴン軍、死人を復活させる軍、黒騎士軍
三軍がやってくるのかと焦りを感じ始めた。
しかしメアリーはそれだけではないと話す。
アクエリアス・ブルーになぜそこまでやってくるのか?それは七聖剣があるからだけではない。
他にも神の遺産が隠されているといわれた。その数約4つとされる。
残された書類にもその名が書かれていた。
《 七聖剣 大魔剣 》……どんなものでも一刀両断するとされる。
《 雷槍グングニル 》……超絶な速さにより貫く槍
《 神秘のアクア 》……無限の水を展開するとされるペンダント
《 呪印の宝箱 》……開ければ一面を腐るとされる箱
《 爆炎の指輪 》……持つだけで大災害レベルの炎を生み出せるとされる指輪
どれも強力なものであり、どれも間違った使い方をすれば世界を破壊するとされる。
そんな神の遺産が5つもこの地に存在するのだ。
知ればどんな勢力だろうと欲することは当たり前の話だ。
アクエリアス・ブルーの場合はそれらがあることを自慢げに話していたとされる。
よって崩壊したと書かれていた。メアリーの推測では骸の力を持つ死霊術師は、それらを探すためにこの国にいる人を復活させたのでは?と語る。
それ以外に国を国として保つ意味がない。
しかし、いくら赤き死神や、デスと契約した霧火のとて二人だけだとどうすることもできない。
引けば助かることは保証されるが、行けば死なない体であろうが地獄を見る。
かえって死ぬ方が良い可能性すらありえる。
このままどうするかを考えた彼だったが、それを見たメアリーは「助けたいのなら助けにいきましょう。無理でも」と話し霧火におした。
それを言われて彼は行くことを決意した。
来た道を戻り最初に分かれたところに戻り国の方を見たがすでにそこは先ほどとは全く違った姿に変わっていた。火が放ち上空にはすでにドラゴンの姿があった。
明日明後日の話ではなく今日目の前でそれが起こっていた。
仲間のことを考えてた霧火は無双竜を片手に握り走り出した。
火の中を走り城門前に差し掛かったところで驚く人物と会った。
「久しぶりだな……霧火さんよ……相手しろよ……」
「お前は……誰だ?」
「覚えてねーとはいわせねーよ。俺は黒芝悠雅あの頃の返しきっちりかえさせてもらうからな?」
「今はお前と戦ってるときじゃないし、理由もない」
「こっちは十分理由があるんだよ!!勝ち逃げは許さねーぞ!!そっちが行かねーならこっちがいってやるよ!!黒炎破!!」
突然の攻撃に無双竜で防ぐ
戦う理由もない彼はどうしてここまでやってくるのかはわからなかったが、緋陽を取り出しすぐさま紅蓮を放ち道を作りその先を進んだ。
黒芝悠雅のことは無視し進んだのだった。
それにやられた彼は舌打ちをしながら一言「俺はお前をつぶすまで追いかけるからな……」と話した。
城内はすでに火の海と化していた。
どこにサトルたちがいるかがわからない以上このまま進むのも意味がなかった。
回りを見渡せば、街の人が悲鳴をあげながら燃やされ黒騎士に刺されやられる。
しかし、やられても彼らは生きている。
恐ろしい姿がそこにはあった。彼らは自分らと同じ死ぬことができない存在。
それをも救いたいと思い始めていた霧火の前に聞き覚えのある声がやってきた。
「霧火!!こっちだ!!」
「サトル!!」
どうやらサトルがこちらを見つけ手を振っていた。
城内はもう危険な状態らしくすぐさま別の場所にいくと話した。
クロイたちは地下で捕まっているらしくなぜ遅かったのかは簡潔に話された。
なぜサトルだけが抜け出せたのかの理由は捕まり別のところに移動したとき両側にいた騎士が突然倒れこんだところを逃げたらしい。運がいいのか悪いのかはわからなかったが、ひとまずよかったとした。
クロイたちがいるであろう場所につき怪我なかったのが何よりの救いであった。
【クロイ】【周防和馬】【九頭竜サトル】【春風霧火】【椿愛実】の5名は国をでることだけを考え城をぬけた。ここまですべて順調だった理由としては、死霊対炎のドラゴン軍対黒騎士が行われていたからだ。難なく国を飛び出し馬車に乗りすぐさま『グラン・エリアス』に出発した。
後ろでは大きな炎が上がっている。
死霊になった人達を救いたかったが、そこまですれば自分がどうなっていたかわからない。
これでよかったのかわからなかったが、考えても答えはでなかった。
ある程度の場所にいき一休みすることになった。
ここまでくれば平気だろうと確信したのだ。
各々は走りすぎて疲れ切っていた。火の中をかけていたのだからなおさらだ。
霧火はアクエリアス・ブルーでもし戦闘してたら自分の何かがわかっていたのかもしれないと悔やんだが、仲間の安全が最優先だし、自分のことはこれから知っていけばいいと考えた。
ひとまず仲間は全員無事でよかったとほっとした。
道の端の茂みの中で休憩していた彼ら
国からは数十キロほど離れており、さすがに平気と考えた彼ら。
ほっとしたサトルが木にもたれた瞬間に「あっち!」と言う。
「木なのにそこまで暑いか?」と話した和馬だったが、クロイが「まじか……」と話した後、両手で三角形を作りそこに思いっきり声で発した。
「あーーーーーーーー!!!」
その声に驚いた彼らはふと周りを見渡す。
まるで空間が歪んでいるような気分に襲われた。
クロイはすかさず
「歪んでいるような空間に見えるが実際歪んでいる。わらわたちは死霊術師とやらの魔法陣の中にいる。
ようは……城からでれてない。ということだ。」
そう言われると場面が変わり、気が付けば牢屋を壊しみなが再開するところまで戻っていた。
最後にため息をつきクロイは「死霊術師が倒れない限り、ここからは抜け出せない」と話した。