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幻想世界XLEGEND 《ワールド・ファンタジア・クロス・レジェンド》  作者: 結城しじみ
第二章 呪われた戦士編
33/99

第七世界 《 黒騎士序曲 》

 ザザザザ!!



「なんだ……?あいつら……黒い騎士……?」



「こっちですよ。霧火様~?どうしましたか~?」



 霧火はメアリーの言う通りに森を歩いていた。

 城から遠くに行くだけで、本当にあってるのか不安な道であったが、それ以上に何か怪しいものを見つけてしまった。それは10人程度の集団であり、通常とは異なる見た目であった。



 全身が黒く塗りつぶされている鎧を着ており、顔は暗くてよく見えない。

 メアリーはそれを見た瞬間に「静かに!!」と声を発し警戒し始めた。

 突然の表情の代わりように少し驚いたがすぐさま、それがとんでもないと察する。



「さて開けたところにやってきたが……そこにいるのはわかっている。でてこい!!」



(嘘だろ……あいつらのいる場所からここまで数百メートルほどあるぞ……ばれるのか……)



 数百メートルほどの間隔でそれらは立っており、霧火達は森の中黒い騎士たちは何やら門の前の円い噴水のある場所にいた。通常ならあちら側から気が付くのはおかしな距離にいた彼らだったが、顔をこちらに少し向き前を向いた瞬間にでてこいと言い放った。



 ただものではないと確信した。恐る恐る霧火はでてこようと移動したがメアリーは無言で腕を横にしいかせないとさせた。その後小声で「気配はばれてますが、居場所まではまだです。」との一言に何かの相手の作戦なのかと霧火は考えた。



 その後沈黙は続く、相手はその場を動かない。こちらも動かない。

 相応うかがっている様子であった。いまだに戦闘というものをあまり経験してない霧火はこの雰囲気をあまりよく思わなかった。そう思っているとメアリーがこちらを向きかすかな口の動きで「にげ……て……」と発していた。



 それを見て驚く霧火だったが遅かった。



「どこの輩かわからないが、こっちにこい!!」



 その声とともに大鎌が後ろから落とされる。

 すぐさま霧火の手を引っ張り森を駆け抜ける。だが立ち止まってしまう何が起こっているのかわからなかったが、メアリーの舌打ちによって現実に目が向く。



 見渡す彼女の後ろで何を見て、聞いているのかわからない彼。

 必死に聞こうと見ようとした矢先二人してどこからともなく現れた手によって引っ張られ噴水の場所に連れていかれた。空間転移の魔法を使われたのだ。



 噴水の場所で両手で魔法陣から二人を引っ張る黒い騎士だったが、いきなり飛び出る大鎌により首が吹き飛ぶ、その行動に驚いたのか他の黒い騎士も剣を握りしめる。

 どうやらその魔法陣からメアリーの攻撃が放たれたようだ。



 魔法陣から二人がでてくるが、霧火は一瞬の出来事にしどろもどろ、整理するので精一杯であった。

 メアリーは戦闘態勢に入っている。



「一人は赤き死神か……これは厄介だな。もう一人はただの雑魚だ。」



「まさか……黒騎士が現れるとは思ってなかった。」



「そこに座っている少年もしかして、戦闘経験ないな?まさか赤き死神はそいつをかばうと?」



「この人は私の大事な人です。死んでも守ります。」



「滑稽だな……行くぞ!」



 その掛け声とともに一斉に切りかかる黒騎士たち

 メアリーの倒した二人をぬかしてもまだ8人ほどいる。中央にいる黒騎士は身なりからして司令塔のようなものだろう。霧火はすぐさま無双竜を展開し握りしめたが、相手の動きの速さについていけなく逆にメアリーに無駄な動きをさせてしまう。



 霧火は彼女の動きを見て「さすがだ……」と小声でつぶやく。

 中央にいる司令塔を抜かして7人と1人でやっている。傷を受けるがすべて致命傷ではない。

 逆に自分が下手に動けば軽傷では済まされないのかもしれない。



 そう彼は考えた。やはり現実はとても厳しいのだと。

 1日2日で対抗できるような相手ではないとそう思い始めた。

 何もできずただ無双竜を握りしめるだけの霧火、その役立たずを身をもって守るメアリー



 だが、いくら彼女であっても7人の一斉の攻撃には敵わなかった。

 軽傷は徐々になくなり、次第に重症レベルのものまでうけるようになっていった。

 たちまち膝をつき始め呼吸が荒くなる。7人の黒騎士たちはすかさずその隙をついてくる。



 ただ傍観でしかない彼は絶望するしかなかった。

 しかしメアリーは知ってか知らずか「入った!!」と笑顔で言いその後左腕を地面に広げ叩く、そこから魔法陣が展開され前方に地面から無数の鎖が黒騎士たちを包み込む



【煉獄・無双のれんごく・むそうのくさり



 包まれた騎士たちは鎖ごと強く縛られ魔法陣の中へと飲み込まれていった。

 その後魔法陣からは鈍い音とともに赤い血が噴出した。

 飲まれたのは3人ほどで、舞い上がった血を彼女は見上げながら、右手の袖からナイフを取り出し左腕を横に切り空に向かって右から左へと振った。



 彼女から舞い上がった血と空に上がった騎士の血が混ざり合い



【呪われた血のブラッド・レイン



 残った兵士に向かってその血は刃となり火注ぐ

 さすがの行動に司令塔の黒騎士は驚いた表情になっていた。

 霧火自身もここまでの戦闘能力だとは思いもよらなく、どのようにして自分たちは勝ったのかを一瞬考えるのだった。



 無数の血の雨により残りの兵士は司令塔合わせて3人ほどになる。

 一気に形成逆転するほどの力、やはり赤き死神と呼ばれるほどである。



「まさかここまでの力とは……もしかしたら、黒騎士100軍リーダーの私でも太刀打ちできないかもしれないな。困るな。」



「貴様らがここまで来たということは、もう準備はできたということだな!!」



「おっしゃる通りです。赤き死神私たちはもう準備ができました。いつでも開始できます。いいえ。もう開始しているのです。アクエリアス・ブルーは約20軍が明日か明後日くらいに攻めてくるでしょう。私たちはその前の偵察部隊です。まさかあなたに会えるとは思ってなかった。」



「霧火様……撤退しましょう……仲間は見捨てて……」



 突然のメアリーの発言に驚く霧火

 すぐに反対を示したが、彼女からは汗が流れ大鎌を持つ右手は強く握りしめられていた。

 まさか怯えているのか……?こんなに強いメアリーでさえも?そんなレベルだとしたら、黒騎士とやらはどのくらい強い存在なのかと考えたが、仲間を見捨てることはできないと思い握りしめていた無双竜を手に立ち上がり話をし始めた。



「貴様らがどんな存在かは知らないが、俺らはやらなくてはならないことがある。メアリーにも言うけど、仲間を見捨てることはできないよ。だからい……・カハァ!!」



「赤き死神が優しく普段絶対しないようなことを発したのに、人は愚かだな。女性の前ではかっこつけたがる生き物か……申し訳ないが、逃げないのなら……ここで死ね。」



 霧火の話の最中に突然敵側の司令塔が腹部に一発入れてきた。

 その速さはメアリーでさえも見失うほどであった。

 気が付いたころには司令塔の5つの魔法陣により両手足腹部により動かせない状態であった。



 無双竜を握りしめ司令塔に突っ込んだが、もうそこにはいない。

 気が付けば後ろに存在し、引き抜いた剣で彼は……

 自然と手から力なく手から零れ落ちる刀、前方には「くっそー!!」と大声で言うメアリーの姿。



 霧火はやがて視界が遠くなるのを感じる。

 腹部からは血が見え両手でそれを触ると真っ赤であった。

 彼はその後吐血し「死んだのか……これ……」と小声で発する。



 回りが遅く見える。腹部から徐々に抜かれる剣、後ろには笑い声。

 次第に立っていられなくなり、膝をつきそのまま倒れこむ。

 音が聞こえなくなり彼は……



(またか……力ない……俺……足手まといで……このまま死ぬのか……力が欲しい……欲しい……欲しい欲しい欲しい欲しい死ぬのは嫌だ。こいつらを倒せる簡単な俺でも楽に使えるそんなものがこのまま何もしないでやられるだけとか……・いやだあああああああああ!!!)




 ポツン……




(またここだ……)



 ―――――――随分と早い帰還だね。あれからまだ全然日は経ってないはずだよ。君ちょっと死に過ぎだと思うよ。―――――――




 そこに聞こえたのは最初に聞こえてくる少女の声ではなかった。

 死ねばここにやってくる。わけのわからない世界、暗いが赤い一面今話しかけてくるのはあの時逃げろと言われ追いかけてきたやつだと思っている。



 少女の正体もわからないまま別の何かに体を乗っ取られた。

 霧火はこの世界の中いて実際の世界で行われていることを何一つ知らない。

 ただ一つ言えることは『死ねばここに来るということ』



 誰かが代わりに自分の体を乗っ取り戦闘をする。

 他力本願であり、自分は体をコントロールできない。

 もう誰が自分の体の主なのかわからない状態でいる霧火だった。



 男の声は霧火に一言言う。



 ――――――君は何も知らない――――――しかしこれからの戦いでは知らなければ強くなれないね――――――



「だったら教えろよ!!俺のこと!!何が起こっているのかを!!今のこの状態で傷が治り復活して、神の遺産を持って戦ってるんだろ?お前なんだろ?今は!!俺に何が起こってるんだよ!!教えろよ!!」



 霧火はついに怒りをぶつけた。

 声の主はそれを待っていた!と言わんばかりの反応をし聞きたいことを言ってみろと話し始めた。

 それに気づいた霧火は声の主に名前を聞くことにした。



 ――――――――私は驚くよ?破壊と言われている『デス』とも言われているな――――――――



 声の主は破壊や『デス』といったよくない言葉の連なりを語った。

 どうやら決まった名前はないらしい。今の状態についても話始めた。

 デスは霧火に住み着いている。なぜそんなことをするのかは、この戦いを持って知るともったいぶった。



 ただデスが霧火に言える重要なこととは『君はいつでも死ねて、復活できる。私がいる限りな』と話した。今までの復活はすべてこいつが起こしたことなのだと彼は考えた。

 次に話したのは、一々この世界に来るのもあれだしいつでも話せるような関係にしようと考え始めた。



 すべてデスの言いなりだったが、今知っている情報を聞けるのならそれが一番いい。

 何も霧火を操り世界征服をするや自分のものにすることは絶対にないらしい。

 そもそもそれができないみたいだ。霧火に関する半分以上の情報はこのアクエリアス・ブルーの戦いでわかるとのこと。



 声の主『デス』は最後に取引をしようと話す。

 一定の力を分け与えるとした。少女との契約の際の力もそれよって使えるようになるという。

 自分の体を心配したが、今はそんなことを言ってる暇はなかった。今度は自分の自我がある状態で戦える。



 しかしそれは本当に自分の力であるのかを思ったが、そんな悠長なことを考えている時間は彼にはなかった。



「よし……ならお前と契約する……デス!!」




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