第五世界 《 赤き死神の真実 》
少女はいた。楽しそうに両親の間で手を繋いでいる。
まだ幼い少女はこの世のことを知らない。友達と遊び楽しい毎日、母親に勉強も教わる毎日。
父親には高い高いといわれながら遊ぶ毎日。夢のような毎日を送っていた。
こんな幸せな日が毎日続くものだと少女自身思っていた。
現実は時に残酷だ。家族旅行の際に一家を狙った襲撃事件が発生した。
両親は目の前でひどい殺され方をし、その後少女は男たちに連れていかれた。
言葉もわからないような場所に連れていかれ、周りが石作の牢獄のような暗い場所にいた。
当時少女は12歳くらいであり、日本人の両親がいた。
その日から地獄のような日々を過ごすことになった。
男たちは少女を無理やり連れていきあらゆることをした。
すべて初めてだった少女は泣きあがいたが、大人の男の力には勝てるはずもない。
入った1日目からの過酷環境、出される食事すらも質素なものであった。
1日パン1つだけの日さえもあった。
少女は泣きながらそれを食べる日々を送っていた。
毎日毎日それは続きやがて少女から光が消えていった。
13歳の誕生日の日少女は更なる初体験をしたのだった。
道具によることであったそれをされより光を失っていった。
鎖で繋がれ食事もままならない、そんな希望のない日々昔のことを考えてもそれは夢だったと思えるようなことだった。
次第に考えることをやめていった少女はただの人形のようになっていった。
周りにも同じような子がいたが、あがけば罰がやってくる。それも死よりも恐ろしいものである場合が多い。中には手足のすべてがない状態の子までもがいた。
残虐非道の数々を目にしてきた少女はいつしか彼らを恨むようになっていった。
恨むだけで変わらない日々、抵抗などできずやられるだけの日々、いつしか死を考えるようになっていた。しかし自分がどのようにしても死に至ることはできないと理解し諦めた。
ある日のこと少女はボロボロの体のまま横になり壁にもたれていた。
「どこも……ひどいものだな……ここは……」
「あまり変なことはするな。この子たち巻き込まれたら元も子もない。」
「ああ……わかってる……私はこっちにいくよ。あとで。」
その声は今まで聞いたことのないものであった。
女性の声、自分たちのことをかわいそうと言うその声を聞いて少女は痛い体を無理やり起こし
這いずるようにしてそちらにいき、声にならない声で話した。
「あ゛……あ゛!!……」
「君は……かわいそうにこんなになって……」
その女性は少女を見るなり悲しそうな顔をしていた。
とても美しいと少女は思った。なんとか助けてと言いたかった、それは女性にも伝わっていた。
すると遠くからいつもの声が聞こえた。女性はすぐさま物陰に身をひそめた。
いつもの男たちは二人で少女の檻を開け、黒い髪を引っ張り無理やり引きずった。
少女は女性の隠れた方を見て助けを求めたが、女性は下を向いたまま何もしなかった。
「あ……やっぱり変わらないんだ……」と少女は絶望をした。
5時間ほどが経過して檻に戻された。
今回もひどいものだった、爪を剥がれ無理にでも悲鳴をあげさせられていた。
外も中もボロボロである。檻で力なく倒れたが、その時目の前に何やら光っていたものを見つけた。
這いずりながらそれを力ない手で広げて必死に見た。
手紙だったそれを読んだ。まったく字に触れてこなかった少女、読むのは遅く暗い場所であり、廊下の方がかろうじて明るかったため、無理やりそちらにいき必死になって読んだ。
そこに書かれていたものは『ここから助かりたいなら、薬を飲め!!』の一言だった。
少女は必死になって薬を探した。手当たり次第飲んだのだ。石、虫、よくわからないもの。
やっとの思いで見つけたカプセルを少女は唾液だけで飲んだ。
無理やりにでも喉に引っ掛かり悶えこんだが、下手に悲鳴や行動を起こすと看守がやってくる。
必死に我慢して飲み込んだ。その後少女は急激な眠気により落ちた。
次の日になり、また少女は連れ出された。
今回は今までと違った。椅子に括り付けられ身動きの取れない状態。
口を無理やり開かせられ、手足首や付け根に固定器具を付けられた。
もたれかかるような座り方をしていた。
何が起こるのかは少女には理解できた。そうだ……いよいよ自分の手足がなくなるんだ……と。
ノコギリを持ってきた男性が何も言わず始めた。とても痛く悲鳴を上げることしかできなかった。
涙はとうにかれており、今何を流しているのかわからなかった。
「痛い……痛い……痛い……!!」
「いい声で鳴くじゃないか!!もっとやるぞ!!」
男たちは5人やってやってくるなり、彼女を抑え込み口に何かを入れられたが、何かはわからない。
右足からは大量出血をしている。意識が遠くなるがひっぱたかれて戻される。
恐怖のあまり体が痙攣しだす。男性たちはより楽しいと思ったのかより激しくなっていく。
感覚がだんだんとなくなっていったとき少女の目の前に何かが映った。
それは黒と赤の浴衣姿であり、こちらを見るなり笑顔になった。
きっと希望なんてないのか……と少女は思い始めた途端……
「ああああああ!!!腕が!!腕が!!!」
「どうなってるんだよ!!この化け物!!」
男性たちの悲鳴が聞こえてきた。
すると同時に自分に付けられていた器具が外れ、体を起こすと一面が驚くものに変貌していた。
あたりは男性の粉々にされた死体の数。この部屋には自分しかいないのだが、なぜそのようなことが起こっているのかわからなかった。
少女は落ちているガラスの破片で、自分を見た。そこにはボロボロの姿ではなく赤く綺麗な長い髪をした。少女が映っていた。何が起こったのかわからなかったが、少女が指をさすとそちらの方に黒い人型が迫り、逃げていた男性を……食い殺した……
後ろから来た黒い人型は自分に合わさり服となった。
少女は気が付けば大鎌を片手に持ち、豹変していた。
自分を殺した者たちへの復讐を開始した。当然サイレンが鳴り響いた。
多数の看守が少女を発見したが、どれも遺体すらなくなっていた。
次第に笑顔になり始め楽しいと感じるようになった。
少女の名はのちに悲劇を起こす『 ブラッディーメアリー 』として語られた。
絶望の淵に彼らはいた。突然起き上がるメアリーに恐怖した。
この先どのように回避すればいいのか……どうすればと考えたが答えはでない。
春風霧火は両手で無双竜を持ちじりじりと距離を詰めていった。
どうなるかはわからないが、やらなければやられる。
殺意に満ちた少女の目を見ることが彼にはできなかった。
だが見なければ動きがわからない。同時に少女もじりじりと歩いてきている小声で「殺してやる……」と発しながらじりじりとやってきた。
さすがにまずいと思い気持ちを改め少女の目を見た瞬間……刀を自然と落とした。
霧火は一瞬頭が割れるような状態になった。両手を見て、その後こちらに引き寄せるようにして開いた。
彼の衝撃的な行動にクロイたちは唖然としていた。「そのままじゃ死ぬぞ!霧火!」と叫ぶが聞く耳持たず歩いていく。
メアリーの方も驚いた表情だった。
ある程度の距離が近づき彼は右手で頬を撫で始め彼は安心しきった状態で言い放った。
「辛かったんだな……とても……辛かったんだよな?」
「……!!」
霧火は涙をこぼしながら少女に言い放つと、少女も「何がわかる……」と話し攻撃しようとした瞬間
とても強く抱きしめた。それは彼が初めて人にする行為だった。
藍原すずが自分にしてくれた、救ってくれた行為。それをメアリーにしたのだった。
「こんなに傷つき冷たくなってるのに、よく頑張ったな……俺はもう何もしないお前の味方だ。約束する」
「あ……・・嘘……嘘だ!……う……わあああああああああん!!」
「嘘なんかじゃない。俺を見てくれ見えるはずだろ?嘘ついてないよ。」
少女は霧火の胸の中で泣いた。大きな声で泣き叫んだ。
後ろにいたサトルたちは何が何だかわからなかったが一件落着でいいんか?と互いに向いた。
クロイはそれを見て「共鳴したんじゃ……」と話した。
どうやら霧火は何かの力によりメアリーの過去が見えた。
同時にメアリーも霧火の過去が見えた。
結果このようなことになったと話す。
その後クロイたちは「わらわたちは邪魔ものだから街戻ろう」と話し二人を引き連れて戻った。
抱き合ったまま夜が明けた。明るい日差しがやってきた。
今まで見たことないようなものであったそれを見て「綺麗だな」と話す。
「一緒に来ないか?君のしたことは許されないけど、なんとかやってみよう」
「……ハイ!」
少女はそういうとその後に本当の名前を言い、そちらで呼んで欲しいと霧火に話した。
こうして初のクエストは、掲示板にあった中で一番の高難易度とされていたにもかかわらず終わりを迎え、彼らには一生忘れることのできないこととして記憶に刻み込まれた。
クエスト名 『 赤き死神討伐 』
赤き死神 別名『 ブラッディーメアリー 』
突如出現し周りを破壊し、人を捕食する特殊技能『ブラッド』の使い手。
どのような攻撃をも回復する再生能力を持つ。
その破壊は一度スイッチが入れば相当な被害を制する。
だが、簡単に止めることが可能である。
少女の過去を受け入れ愛することとする。
偽名を使っておりそちらは『 立花彩 』
本名は誰にも知られなくないし、人を嫌っていた少女だから呼ばれたくなく隠していた名前『 椿 愛実 』17歳?
少女は泣きぐちゃぐちゃになった顔のまま霧火に言いさらに泣いた。
戸惑った彼だったが「たまにはいいか……」と考えされるがままだった。
ある程度時間が進みようやく落ち着いたころに彼は少女を見るなりして驚いた。
「服どこやったの……?さっきまで着てたじゃないか!!」
「今までの服は自分の血から作ったものなので、いつでもなくせますよ?」
「え……何それ……こわ……」
とてつもない情報をくれたが、ブラッディーメアリーもとい『椿 愛実』
最強の最恐の仲間が入り、これから何に向かうのかわからなかった。
とりあえずは、クエストクリア!ということになり仲間がいるところにいった。




