第一世界 《 始まりの膝の上 》
始まりはいつも突然である。だから誰もが驚くのではないのだろうか?
突然であるからこそ楽しいと誰かが言った。
でもストレスはたまると思う。日々同じことの繰り返しを生きてきた俺は今日も同じことをする。
朝起きてゲームして寝たくなったら眠る。
学校というものは一応あるけれど、行ったとしても何も起こらないしつまらない授業が続くだけ
あの生活を楽しいと思える方が逆に俺としては驚くことがある。
それもそうさ。俺は小学校中学校で立て続けにいじめにあってきた。
そんな環境の中で高校に行くという選択を当時の担任に言われた。「私立なら平気だよ。」
鵜呑みにした俺は私立に通い始めた。
始まって1日も経たないうちにそれが起こった。
過去に何度も何度も何度も何度も考えたが答えは見つからない。
性格が暗いからなのか?それとも、別の理由があるのか?
結局わからないまま時間が過ぎてやがて登校するのをやめニートになった。
親は両親とも帰りは遅いし、帰ってこないことの方が多い、俺の事情は知っている。
立て続けにこんなことになるのがおかしいが、逆に今ニートできるからいいんじゃないかなーとポジティブになっていたりするけど、辛いものは辛い。
窓の外を見てみると子どもたちの楽しそうな声が聞こえてくる。
俺はその小学生くらいの子どもたちの声さえも怖いと思うことが多い。
結局このまま人生が終わるのかなと思い、楽しくないゲームをし日々を過ごしている。
人ってある程度まで落ちると今まで楽しいと思ったことでさえもすべて楽しくなくなってくるものなんだぜ?すごいだろ!これ!……
今日もゲームをする。楽しくないゲームを……ゲームの中でもなぜかソロプレイヤーのままだ。
ソロが好きだからな。俺は……好きだからさ……
現実は非常である。だが俺のような不幸ものがいるから幸福が訪れる人もいる。
その代わりになれるのならいいのかなーって……少し思っていた。
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彼は日々ゲームをしていた。ソロプレイヤーであり楽しそうにはやっていなかった。
彼の顔はいつも死んでいた。くさいといわれたら毎日2回朝と夜1時間かけて洗っていたリ
周りに迷惑かからないようにしていた。だが日常は変わらなかった。
人に会うと倒れるほどにまで恐怖心を抱くことも何度かあり日常生活さえもできない状態にまで落ちていた彼はおのずと暗い部屋で生活するところまでいっていた。
いつ切ったのかわからない髪、幼い顔だが疲れ切っている。服も外に出ることはほぼないためよれよれのまま、部屋の掃除はしてないが、そもそもものがほぼないためする必要性すらない
長所と言えることは何もなく、悲観し続けるだけの毎日。
彼は完全に生きた屍状態であった。
だが心だけは生きていた。幸せや幸福を愛し、自分を自ら犠牲にしてまでも与える心優しい少年であった。時より見せる笑顔はアニメやドラマの幸せそうなシーンが映っているときだけだ。だがそれも他の人からはとても良い表情には見えないものである。
何回も死のう死のうと考えたこともあったが勇気がないためできないでいる。
そんな状態のまま何年も過ぎていた。現在17歳、友達はいない。話は家族のみ
春風霧火親に良い名前を付けられたが、この数十年のうちにこの名前を呼ばれたのは覚えてる範囲で家族くらいなもの。
そうこうしているうちにお腹が減っていた彼は冷蔵庫の方に足を運んだ。
何もない。今日も彼の不運は始まる。
コンビニに行くときの横断歩道では影が薄すぎるがゆえに引かれそうなことも何度かあった。
しかし彼の場合死に対する運はとても良いらしく一度も引かれたことも事故にあったこともない
大体相手が引く前に止まる。そして運転手は彼に一言言おうと窓を開け見るが、何かを察したようでいつも無言で去っていく。彼に何があるのかは彼にはわからない。
家族は普通に接してくるが他人からは何かがあるのだろう。
彼はコンビニで食べ物を買ったあと何もやることないので公園へと進んだ。
朝の10時頃何もなく誰もいない公園のベンチに座る。
悲しく下を向いたまま食事をしていると、大きな音が聞こえた。
公園という場所は、そもそも遊ぶ場所であり、しょうがないと思い家に帰ろうと前を見た瞬間
夜中のように暗い公園の中にいたことを知った。
彼は腕時計を見て驚きを隠せなくなった。
どう見ても朝10時なのである、時計が壊れたのかと思い携帯の方を見ても同じ日付時間になっていた。
わけのわからない状態に彼はなっていたが、ようやくあの世に行けるのかな。と少し期待もしていた。
「父さんと母さんには悪いけど、俺はようやく解放されるんだな……」
彼は少しの安心を持っていた矢先公園の近くの道路から大きな音が聞こえた。
その後に今まで聞いたこともないような大きな雄たけびも聞こえてきた。
同時に彼は今いる状況を理解したが、それは遅かった……
気が付いたら自分の目の前にその化け物は存在していた。
身長は5~6メートルほどで鍛え上げられた肉体
顔は変顔した人のようなものだった。
「あ……死んだ……」
その後の彼は闇に包まれた。
――――――――――数時間後
ふと目が覚めた。彼はどういう状態なのかを理解するのが辛かった。
そもそも目を開けたにもかかわらず目の前が真っ暗。
「これはあの世かな……・」
と言葉を発したが、よくよく考えてみると頭の後ろが妙に柔らかく
真っ暗でも自分が横になっているというのが分かった。
「起きた?結構寝てたね。」
少女の声がしたが、それを聞いた瞬間彼は硬直した。
今の状態を理解したのである。『膝枕』これは母親にしかしてもらったことがないもの
しかもそれも10年以上も前の話しだし……少女……え……?
頭の中が混乱し悲鳴を上げながら彼はまた暗闇に落ちた。
その時に少女の驚いた声と心配そうな声が聞こえてきたが彼にはそれを確認することはできなかった。