第十三世界 《 最愛の別れ 》
春風霧火達一行はイフリート艦長により、ドラゴン族の住む場所
その中でも一番小さいとされる【エヴィミュータ】という場所に来ていた。
そこに霧火に関する情報があるのではないのか?として研究所に住む【アルストローブ・レイ・ドラゴン】を訪ねてくれと言われていた。
そもそも霧火はイーグル族戦にクロイから自分の秘密について言おうとされていたが、良いところを攻撃されたわけだ。それを何度か聞こうとしていたが、クロイ自身が「何を言おうとしたんだっけ……」と本気で内容を忘れたみたいであった。もやもやした気持ちになりながら進んでいった。
ドラゴン族の国で一番小さいとされているエヴィミュータであるが、大きさはラビット族の王都の比ではないさすが序列階級一番とされている種族であることを霧火は考えていた。
アルストローブ教授がいるとされる研究所に彼らは行き事情をすべて話したのであった。
するとアルス教授も一瞬考えすぐに答えをだした。
「魔法が使えない……一切。今までにもあまりないことですね。興味があります。そうですね、一度このものに触れてみるのはいかがでしょうか?」
アルス教授は霧火に興味を抱きそのまま、金色に輝くものに触れろと言われた。
何が何だかわからずそのまま触れてみることにしたが、結果何も反応がなかった。
どうやら過去に教授は自分の父親に破壊の力を持つとされる人がいたと語った。
その人もどうやら霧火同様魔法が一切使えないらしく。自分の力が邪魔しておりそれが原因で使えなくなっているのでは?と仮説を立て金色に輝くものに触れろとした。結局は何も起こらず終わった。
さらに興味がわいたみたいで、霧火と二人でじっくり研究をしたいとしてクロイと藍原すずを置いて二人だけで研究室の奥にいってしまった。
すずは心配そうに彼の後ろ姿を見ていたが、クロイはあいつはそんなにやわじゃないと言い二人してドラゴン族のエヴィミュータを観光することとなった。
「霧火君に興味がわいたのは先ほどのものに触れたからというのが大きい、あれは何だと思う?」
「金色に輝く箱です。」
「そうだ!!金色に輝く箱だ!しかしな!この箱がとても良いものでな!!」
と教授は意味の分からないことをいっていた。
どうやら霧火に触れさせた箱は【神の遺産】と呼ばれているものらしく、普段は研究室の中で誰にも知られず置かれている。霧火という珍しい個体を見つけたことにより、珍しい&珍しいことを考えぶつけてみただけの話である。幸いに何も起こらないことが、なおのこと驚いてるそうだ。
昔あった破壊の力を持つ人は箱に触れたときに箱の輝きが消えた。ようは力が完全になくなったとされた。離れ少し時間が経つと元に戻ったそれを見て「神の遺産の力を壊すほどの力」としてその人をその名で呼ぶようにしたそうだ。
通常神の遺産は、使用者や適合者、持ち主がいない状態であれば誰にでも見え触れることが可能となっている。しかしそう簡単に触れることができないのが遺産であり、適合しない人が使おうとするものなら身体的な異常が発生する。今回の箱も同じような理由でしたが、霧火には反応がなかった。
適合するかは別としても、霧火自身に何かあると教授は考えた。
色々と試したが結局答えは得られずで終わった。今日は教授の研究室に止まることを余儀なくされた。
次の日寝不足でクマができている霧火を見てすずが教授に説教をしていた。
さすがにやりすぎだ!といっていた。そばから見ていたクロイは笑っていた。
「ん~何も進展しないね~……どーしたものかー……」
「結局俺は何なのかわからないってことですよね……ただの無能力者だったらすいません。」
「なーにしょんぼりしてるのよ!能力があろうがなかろうが、霧火は霧火じゃないの!ちゃんと存在してるのだからいいのよ!」
すずに励まされた霧火は少し安心していた。それをそばから見ていたクロイと教授は「青春だねー」と話していた。だが、結局何もわからずして何日も経過した。次第にエヴィミュータの国がどのようなものがあり、どのようなところなのかがわかってきたころですずが少しは研究を中断して出かけない?といったのだ。クロイも一緒に行こうとしたが教授から「デートの邪魔をしてはいけないよ!あの二人は絶対に良い夫婦になる!」として自分の研究の手伝いをさせた。
本当にエヴィミュータは色々なものがあった。
現実世界にある中華風の食べ物があったりと驚きの連続であった。異世界に来て何日も過ぎたが、いまだに彼は人種というものに関して違和感を覚えていた。人の形をした存在で翼が生え顔がドラゴン……
ドラゴン族と言われている。ラビット族は、まんまウサギのコスプレした人達だったのにどこで差が付いたのか……疑問に思う点が多かったが、突っ込めばきりがないとして適当に考えた。
霧火は引っ張られ、すずは先行していく、色々な場所を回っていった。普通なら逆の立場なのにと彼は思ったが、そうなっても恥ずかしすぎて何もできないからいいやとしていた。
今までにない幸せな日々、異世界にいたほうが充実するなんてことは今まで考えたこともなかった彼は素直に笑みをこぼし始めた。今までしたかったことやりたかったこと、仲間、まさかすぎて驚きを隠せなかった。こんな日が永遠と続けばいいなと思っていたほどに彼は楽しそうであった。
すずは霧火の方を見て「服そういえばだめね。かっこ悪い」と言い服屋ですず好みのようにチェンジした。これまた驚きのものであった。普通に自分がいた世界にあるようなものがずらーっと並んでいたのだ。ほぼ現実と変わらないその場所に驚くというものを超えた何かがあった。
気が付いたら夕暮れになり、研究所に戻った彼らは教授からあることを言われる。
「君たち一度王にあってみないか?あの方なら何か知っているかもしれないしね。」
教授は王都への道を書いた地図を彼らに渡した。王は忙しいらしく夜のほんの少しの時間しか王都にはいないといわれ、教授が書いたであろう封筒を渡せば絶対にわかってくれるとし彼らをドラゴン族の兵士二人と馬車を差し出していかせた。笑顔で手を振っていた教授に三人も手を振って別れを告げた。
「いってしまったか……もうちょっと調べたかったな。もう無理だけどね。強く生きてくれよ春風霧火君……」
王がいる国まで相当な時間がかかる夕暮れ時から出発し付いたころには夜になっていた。
王都【 ファルシアタ 】すぐさま護衛二人が門番に話を付け王に会わせるとした。
霧火は何やら焦ってそうな護衛に対して心配なことでもあるのかな……?と考えていた。
すぐさま王室へと招かれ教授からもらった手紙を王へと渡した。
「ようこそドラゴン族の住む場所へ。大変であったろう。」
「いいえ、ありがとうございます。でもなぜ急に会うようになったのでしょうか?」
ドラゴン族の王は霧火を見て何かを察したようで事の状況を伝えた。
どうやら四種族が血眼になって霧火を探しているとのことだった。
その影響により小国エヴィミュータは戦争と化しているそうだ。
霧火をかくまう場所で一番いいと確信したのが王都であるといった。
それを聞いた瞬間イーグル族が自分を狙いその他も狙っていることを知り「自分のせいで回りに迷惑をかけている」そのように解釈をしすぐさまエヴィミュータに行きたいと王にいったが「それはだめだ」として拒否された。
「なぜ?俺をそんなに助けようとするのですか……?」
「世には何十万何億といった人々が生活をしている。その一人一人が互いに支え合って生きている。困ってる子を助けないわけないだろう。君も同じだ。」
彼自身にはわからないでいた。何が助ける理由なのかをどうして自分なのかを……
結局自分のせいで小国一つが滅んでしまう。あの素晴らしい国が滅んでしまう。何もできずにただ見るだけで力のない自分に絶望をした。
すると突然扉を思いっきりあけ兵士が焦りの顔でいった。
「王大変です!!シープ族にイーグル族が攻めてきたとのこと!さらにこちらの国にはスネーク族の軍勢が押し寄せてきております。」
「まさかそのような形で来るとは……すぐさま戦闘に入れ!私も行く」
突然の悲劇であった。シープ族に夜襲で攻めて気たイーグル族、それを助けるドラゴン族だったがスネーク族がやってきたのだった。助けにいけずドラゴン族の王はスネーク族を最初に何とかしようとして動いたのだ。王は霧火にある言葉を残した。
「君は守りたい存在がいるか?そう思うのなら悲観せず、ただまっすぐ今やれることだけをやりなさい」
王はそういって攻め入った。落ち込んでいた霧火はその言葉を聞いてやれることと言ったら祈るだけしかできずにいた自分がつらかった。
外を見れば王が無双している姿がそこにはあった。さすが序列一番とするものだ。
王室にいれば安心ということだけを考えるには早いが、とても負けるとは思えない戦闘であったこともあり、彼自身王のように守り戦える力が欲しいと思っていた。
自分の今守りたいもの……それは藍原すずという存在、彼女がいるから今生きて入れる。彼女がいるから悲観せずにいることができると思っていた。そんなとき突然護衛二人のドラゴン族が現れた。
「霧火様!ご無事ですか!!城内に侵入者が入っておりましてここは危険です。非難を!!」
三人は言われるがまま城をでて誰も来なさそうな場所を目指していった。
国から100メートルほど行った先の湖の場所についた。護衛二人はここにいれば安心といった。
周りは森で囲まれ、大きな湖がそこに広がっている。月は円く光っており綺麗な場所であったが逆側を見ると煙や炎が燃え盛っていた。
「よくできましたね……ふふふふ……」
どこからか声が聞こえた。それはあざ笑っているような感じであった。
すると護衛二人は急に倒れ始めやがて溶けていった。それを見た三人は状況がおかしいと思ったがすぐさまそれは現れた。
「探しましたよ。霧火君……私スネーク族の王をしております。以後お見知りおきを」
まさかの展開であった。どうやら護衛二人は蛇の毒により自然と操られここまで来させたようだ。
十二支獣序列階級四番目【アルゴン・トキルサス・スネーク】
最悪なやつとあってしまった。アルゴン王は霧火を捕まえようと歩いて来たが、それをクロイとすずが阻止した。どう考えても一方的な戦いであった。すずやクロイはたちまちやられ。霧火はただ祈ることしかなかった。
すずはどんなにボロボロになっても霧火の盾となったことにアルゴン王は怒り「めんどくさい娘ですね。」とし彼女の首を噛み毒を入れ投げ捨てた。それを見た霧火は「やめろ!」と声をあげすずの方にいき容態を見たがとても厳しいものであった。
「無理ですよ。私の毒から逃れられるものなんていませんし。その娘も徐々に弱っていきやがて死にます。霧火君!あなたが私のところに来てくだされば、助かりますけど……ね?」
そう霧火に告げたが、彼は必死に毒をなんとかしようと試みたが、彼には知識がそもそもなくどのようにするかさえわからずただ首のところ触れるだけでしかなかった。
毒は徐々に回っていきすずの息は荒くなりやがて……力なく倒れた……
それを見た霧火は泣き叫び必死にすずを叫んだが返事はない。
すると一瞬だけ口を開いたのが見えた、すかさず耳をそちらに近づけ何をいってるのか聞こうとした。
「大好きだよ……」と言いそのまま目を閉じ動かなくなった。
彼は声が出せずそのまま彼女を抱き力がないことや今まで何もせず生きてきた自分を呪った。
呪い呪い呪いつづけた。自分の無力さ自分の力のなさ、生きてきた過去すべてを呪った。
クロイがそばから「それ以上自分を見失うな!!霧火あああああ!!」と叫んだが、それはを聞く余裕すら彼にはなかった。
クロイは昔霧火に「自分をもっと確認したほうがいい、理解した方がいい」そういった。
霧火は自分を呪いに呪ってやっと気が付いた自分の涙が赤いこと、湖の水面に映る自分の目の色
彼は初めて自分を見た。左目が真っ赤になっていたことを今まで知らなかったこと。
その後彼はこういった……「死のう……」




