第九世界 《 非常なる世界 》
「彼が我らの命令を聞かないのなら、こうするのみ!!」
イーグル族での護衛隊二人が襲い掛かってきた。
しかし、一緒にいた少女がそれを食い止めていた。ただ霧火は見守るのみしかできずにいた。
自分を守ってくれる少女が目の前にいるのが何より驚きだが、それ以上に何もできない自分に苛立ちがする。相手はイーグル族であり、翼が生えている。空中からの攻撃も可能とした種族はいくら身軽な動きをしている少女でさえ苦戦していた。
何かできないかと彼は思うが、場所も場所なだけあってやはり見守ることしかできない。
彼らが今戦場と化している場所は屋根の上、さすが城があるというレベルで他の建物もかなりの高さを誇る。よく怖がらず戦えるようなーと少女について思う。
何か手助けをしようと思っても動けば落ちると思い動けずにいた。
相手は2でこちらは戦えるのが1人、とても良い戦闘になっていない。
分が悪すぎる。少女はよく戦ってるなーと見ていると空から無数のイーグル族の兵士たちがやってくるのが見えた。それを一目散に少女に告げた。
「君!!イーグル族の大量に来てるよ!!このままだとやられるよ!!」
と少しでも少女の助けになると思い叫んだが。帰ってきた返答は「まだ自分を知らぬのか!おぬしは!!」という名の怒りの声であった。それを言われてから考え込んだが、どう考えても答えが得られそうにない。結局見守ることしかできずにいた。
そんな時一人の護衛隊が槍を飛ばしてきた。それが運悪く霧火の方にいったものだからすかさずよけたが、その時タイミングがずれ「あ……死んだ……」と言い地上まで何十メートルもあるところに真っ逆さまに落ちていった。その時少女はこちらを見て笑顔になっていた。
グシャ!
鈍い音と同時に何かがはじけた気がした。幸いにも意識は残っていた霧火は立ち上がろうとしたが、なぜか無傷だった。下にある果物屋によって彼は無傷で済んだのだ。それにしても冷静に考えたら、あの地上から何十メートルもある場所から切り傷一つないってどういうことだ?と考えたが、すぐ上から少女が落ちてきて、霧火の手を取り共に走った。
「ちょっと!なんか……なんであんな高いところから落ちたのに無傷なん!?すっごいけどわからない!」
「おぬしいい加減に自分のこと理解してくれ!!なぜおぬしはいつも車に引かれる手前で止まられるかというのを!!」
「わかりません。すいません。」
「ああああああ!!」
少女は発狂した。なぜ彼がそのような無傷なのか今まで死亡や事故に起こってないのか、そもそもそれを言ってくれれば済む話なのに言ってくれないのは何か意図があるからなのか……?
今はそんなこと言ってる場合じゃないのが後ろ見てすぐにわかった。
護衛二人が飛びながら追いかけてきた。幸い彼らは魔法と言うものを使ってこない
あるいは使えないのかもしれない。それなら好都合だったりするが、追いかけられてても何も始まらないことも同じである。魔法と言う便利なものが世の中に存在するのだが、それがどのようなものであり、どういった使い方をすればいいのか霧火にはわかっていない。
ただ今言えることは、逃げるだけをすればいい。
少女がある程度走ったところで「もうすぐじゃぞ!」と言ってきた。「え?何が?」と返すと、少女は思いっきり頭に回し蹴りをしてきた。それに直撃し自分は倒れる。少女も一緒に倒れた瞬間
ズドガアアアアアアアアン!!!
ただ口を開けるしかなかった。とんでもない稲妻のレーザのようなものが自分の真上をかっ飛ばしてきたのだ。それに護衛二人は直撃し倒れしびれがあるものの、こちらに殺意の目をしていた。
必死に動こうとする護衛二人がどうしてここまで霧火を殺そうとするのかはわからずにいた。
その後少女に連れられある民家に入った。
少女曰くある程度の時間はここに入れれるぞと話した。
「大丈夫?平気?二人とも!!」
「大丈夫ですけど……あり……あ!!」
まさかの対面であった。自分らを助け稲妻のレーザーを放った子が目の前にいたが、その子は茶色い髪で肩ほどの長さになっており小柄で街中にいれば浮くだろうなーと思うくらいのスタイルと顔
まさしく、藍原すずだった。
霧火はなぜ彼女がここにいるのかを聞きたくて仕方がなかった。
しかしそこで少女に謎のアッパーを食らった。
「名に見とれとるんじゃこの野郎」
「いきなり殴るのはNGです……痛い」
「まさかあなたもここにいたのね。同じ場所でよかった。」
藍原すずは霧火が飛び立った時と同時に一緒に異世界にいったそうだ。
まさか自分以外にも同じような人がいるとは思わなかった霧火は内心ほっとしていた。
今の場所なら少しの時間大丈夫としてすず本人は話を始めた。
どうやら自分と一緒にいる少女はクロイと言いある命令により異世界に飛ばすということをしているそうだ。それが今回春風霧火だったそうだ。そのある命令はクロイもすずも知らなかった。
クロイはその話の最中ずーっとすずを警戒していた。どうして嫌われているのかと聞くと、嫉妬しているのよと言った。なぜあの時泣いていたのかは質問しないでおいた、ただペンダントは返そうと思ったが、すずはそれは持っていて、私を助けるまでといった。
「何かに追われているの?もしかして、何かから……」
「違うのよ!これをいってしまうと君も危なくなるから言えないかな。そこのクロイちゃんも怒っちゃうしね。」
「わしはおぬしを仲間として思ったことは一度もないぞ。ノヴァの手先め!」
「また難しいことを……ノヴァって……誰よ。」
どうやらノヴァと言う存在が世の中には存在し、そいつが厳選して色々な人を異世界に送っているそうだ。やってることクロイたちと同じな気がするが、どうやら彼らは絶対にそれは違う!としていっていた。詳しいことを何も話さず、聞いたら違う。教えてくれないのはなぜなのかまったくわからないまま時間が過ぎた。
「そういえば、クロイがいってた自分の確認や理解について教えて欲しいのだけど。」
今一番聞きたかったこと自分のこと、なぜ大事故、大けがをしたことないのかについて彼は聞いてみた。
この質問をした瞬間に、すずとクロイの二人が真剣な顔をした。
「それを言ってもよいが、おぬしは受け入れられるかが問題じゃ。」
「でもいつか受け入れないと……いけないから今行ってもいい気はする。絶対に彼だとは限らないし」
「実は……」
ドガアアアアアアアアン!!
クロイが言おうとした瞬間に外で大きな爆発音がした。
すぐさま霧火と一緒にクロイ、すずが裏口から脱出をした。ある程度まで歩き小さい山の方まで付いた。
その後町の方を見ると、とてつもなく悲惨な現状がそこにはあった。
悲鳴を上げる人々の声、やりすぎなくらいの軍団。
敵兵が多すぎているのか、外で待っているのが何グループも存在した。
イーグル族のほかにも多種多様な種族がそこには存在した。
「なんで……こんなに使って制圧しなくても……」
「イーグル族のやり方だ。敵は絶対に0にすると彼らの考えになっておる。他の種族はイーグル族の巧妙な戦略に手も足もでないどころか、やり方の卑劣さが相当なもので戦いたくなく逆に加勢する形をとっているのじゃよ。」
クロイ曰く、ドラゴン族以外の種族には大体イーグル族のスパイがいて、いつでも殺すことが可能となっているみたいであった。誰がイーグル族かは彼らにしかわからず、鋭い洞察力から逃れられるものはこの世にいないとされている。ただし、彼らは魔法が『無属性』というなのものしか使えない。
10種類の属性のうち無と幻の二つの属性は非常に厄介なものだ。
無と言うのは、同じ属性でないと感知することは愚か、そもそも魔法が使われているのかさえわからないとされている。だから爆弾しか入ってないリュックに、普通のリュックとしての魔法を施し、突入することを可能とした。
もう一つの幻の属性は、それらに属さないものでありどんなものが対象かは定かではない。
序列階級一番のドラゴン族が保有しているものとされている。
その能力自体属性自体は感じ取れるものであるから、今世に言われている10の中に入っている。
「あの城に荷物検査なくして普通に入れるわけないじゃろ。つまりそういうことだ。」
確かに何も検査なく入れたし、そもそもイーグル族と言う他種族を簡単に通していた。
戦争などがある世界にそんな簡単に通れるものもおかしい話である。
ラビット族の国はたちまち火の海とかしていった。力亡き者さえも無残な死を遂げ、年齢関係なく殺し続けた。それを見続けていた霧火は、いてもたってもいられず、勝手に足がそちらの方に向かっていった。
「霧火!どこへいくのじゃ!!」
二人して驚き霧火の方へと向かっていった。
彼は己を犠牲にしても人を守りたいと今そう確信したのだ。いくら自分を助けた存在だとしても、ここまでのことを見過ごせるわけにはいかないとそう確信したのだった。




