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プロローグ 《 色々な世界 》

「すべてが終わった……」



 一人の青年は今見える世界のすべてを見ながらそう口にした。



「やっと……幸せな世界に戻ることができる……よかった……これで僕も……」

 


 そう言い青年は何もない平原で倒れた。彼はとても幸せそうな顔をしていた。



 その後、周辺の村や街のすべての人が彼を英雄と言い、その仲間も含め世界の救世主として称えた。だが英雄が居なくなった世界に訪れるものは最悪なものでしかなかった。

 強きものがいなくなれば、違ったものが制圧するだろう。自然界ではそれが掟なのだから。



 この世界もまたそれがルールであった。

 しかし人々の中で悲しむものはいなかった。英雄の死、救世主がいなくなった世界であるというのに、なぜか活気に満ち溢れていたのだ。

 英雄が残したものはとてつもないほどの【希望・夢・勇気】



 それらのおかげで人々は英雄が死しても強く生きれたのだ。

 彼の名前は『 ゼロ 』すべての悪魔を討伐した英雄、ゼロ率いるギルド連合は【アブソリュート】



 その名の通り負けることを知らない言わば負けず嫌いなギルドであった。

 この名を付けることは絶対に何があっても負けてはならないとゼロは話す。

 ギルドメンバーは総勢12名のとても大きいとは言えないものだが、個々の力は1人で100人分と言われるほどにまで強大なものであった。



 そんな彼が彼らが命をなくしてまで救いたかったものは世界だという。

 彼は生前「人の笑顔は資本だ!」と何度も口にしていた。

 お金なんかよりも人の笑顔、楽しいという感情が何より彼を幸せにするものだった。



 彼亡きギルドはその後解散し各々別々の道に進んだ。

 この戦い以後ギルド連合【アブソリュート】のメンバーを見たものはいないとのこと。



―――――――――――――――――――――――――――――――



 戦場には二つの軍が存在した。

 片方は赤と黒を基調とした軍

 片方は青と白を基調とした軍



 彼らは数えきれないほどの戦いをした。

 最初は友達同士の他愛ない喧嘩だったが、それが大人になるにつれて激しさが増し、結果的に国対国になるほど大きくなった。



 彼らの戦いは年単位で続いたがようやくそれが終わりそうになった。

 ここまでの戦いになると誰が予想したのだろうか……

 両者の意見の違いで始まった戦争、どちらも世界の平和をと語るものだった。



 二つの軍の中心にいるのはどちらともその一族の当主である。

 


 赤と黒を基調にした『暁一族』

のちに新しい力である【ブラッド】という名の力の第一人者として世に広めた一族である。

 彼はその力に適合し自由に操ることが可能となっている。



 もう片方の青と白を基調とた『水戸一族』

こちらは九尾の狐と呼ばれる妖狐と契約を交わし今までにない力を付けた一族である。



 両方とも力は強大であり拮抗し合うものであった。

 両軍の兵士たちが、何のために戦っているのかさえわからない状態になっていた。



 昨日まで仲良く話し合っていた両軍の兵士たちや家族、人々が突然国と国とを分断され戦争になり、兵士は言われるがまま戦ったが、突然分断されたこともあり、自分の親と戦場で戦う人さえもいたのだ。

 王のためと言い命令には背けない。



 中には家族ともども亡くなったものもいた。

 しかしそれができず、親の自分が自害し子だけを助ける人や親友を助けるために自分を犠牲にする人までも存在し、悲惨な戦争になっていた。



 両者一族の目的は - 世界平和 -

なのになぜか彼らは泣きながら刀を構え戦っていた。

 これのどこに世界平和があるのかとみな疑問に思っていた。



 思っていても王に逆らうことは許されない

 なぜならば彼らはその一族特有の力を持っていたからであり、逆らえば国にはいられなくなる。住む場所がなくなるということだった。この世界では国から追放されれば満足に食事や寝ることさえ厳しい、明日は確実にというよりかは、今日死んでもおかしくない状態であった。



 暁一族の世界平和理論は【楽しく笑い合える世界】

 幼少期から戦闘に関しての知識を叩き込まれた暁一族の現当主『 暁 長政 』

 彼は戦争と言うものに関して人一倍嫌っていた。だから戦争のない世界を作りたいとして今戦っている。



 小さいころから父親にどうしてここまでの戦闘技術に対しての知識を付けなくてはいけないの?

 どうして会話だけでの解決ができないの?と話していた。


 しかし、彼の父源治はそれを聞くたびに「現実を見ろ!」などと叱責していたそうだ。

それでも長政は平和に一歩でも近づこうとして戦いのない会話だけの解決の戦争をしていた。



 彼の初陣の日、一人装備も持たずに敵地に侵入をし話をした。

 当時相手も長政同様話での解決ができるのならそれほど素晴らしいことはない!として同意した。

現実は甘くなかった加勢に水戸一族が現れたのだ。



 何も持たずして戦場にいったことにより無防備で相手の刀をうけることとなった。

 水戸一族は殺しにやってきた。長政はここで終わると思った瞬間に父親源治によって助けられた。

父親は何とか長政を助けた後、刀の切り傷により大量出血していた。



 父は最後に長政に「よくやった……だが、刀一本ぐらいは持てバカ息子……」と言い息を引き取った。

 彼の父は会話での解決ができるのならそれが一番いいと本心ではそう思っていた。

だがそう思う人は周りにはいなかった、だからきつく現実を見ろと言ったのだった。



 最後に長政は泣きながら決意した。

 何としてでもこの戦争を終わらせると……




 水戸一族の世界平和の理論

 それは力による制圧だった。水戸一族現当主『 水戸 あらた 』

 彼は何をしても1番を取るほどの有能な人物であった。



 そんな彼は戦争で、なぜ同じような力を持ち互いに一緒にならないのかと、共闘すればより強い勢力になるのではないのか?そう思っていた彼は当時水戸一族と対等勢力であった。



 『如月一族』と手を組んだのだった。

 如月一族は暁一族との話し合いで解決できないか?と頼まれ快く答えたのだが

 水戸一族はそれを見逃しはしなかった。まさかの本当に何も持たずしてやってきた彼にチャンスだといわんばかりに進軍していった。



 結果新は長政の父を倒すことに成功した。

 水戸一族は暁一族の源治が倒れればこちらがすべて優勢になると前から考えていた。

 水戸新の怖いところは自分に歯向かうものすべてを抹殺することだった。



 そこに優しさなど何もない。最初に来たのは父親と母親

 彼は自分が天才ゆえに他の低能に邪魔されるのが大嫌いで、自分を理解しない。自分を信じない愚かものはどんな人であろうと片っ端から殺した。



 幼少期のころから天才ゆえに孤独であった新は、兄や弟に気持ち悪いと思われるほどだった。

 一番に理解してくれたのは両親だった。しかし殺したのだ。

 それは彼が自分を利用するのではないのか?と言う考えすぎが招いた結果だった。



 新が理解したころにはもう遅かった。戻れないところにまでいたのだった。

 その後兄弟をも殺し彼は暁一族の源治までも手にかけた。



 両一族の激しい戦争は3年ほどにまで続いた。

 この戦争には終わりがないと思われていたがあることによりすべてが終わってしまった。

 その終わりは小さな光であった。その光はやがて大きくなり、黒く禍々しいものに変わっていった。



 黒い光が通過したあと、その戦場には人が一人もいないどころか、黒い光さえもなくなっていた。

 その正体は誰にもわからないまま歴史が流れた。




――――――――――――――――――――――――――――



 ある男は研究に没頭していた。

 もう何時間同じ場所で同じような研究をしているかわからないほど時間が過ぎていた。

 彼は【力】と呼ばれるものを自分に取り込む研究である。



 周りには誰もいない。いるのは自分という存在だけ

 親も子も友人さえいない、研究の邪魔になるだけだと彼は言う。

 それは何年も続き成功したら次の段階へと変えては続いていた。



 そんなある日彼はあるものを見つけた。

 外の情報を知ることも研究の一つとして新聞を取っていたがそれが幸か不幸か彼を本気にさせるものが書かれてあった。



【 神の遺産発見か? 】



 過去に幾度となく神の遺産というものに関しては研究してはいた彼だが

 これだけは成功と言うものが一切なかった。あるのは言葉と想像するものだけ

 実際どのようなもので、どのような効果があるのかが謎に満ちたもの



 噂ではそれを一つ持っているだけで世界の王になれるのだとか?

 噂では何でも願いが叶う効果があるのだとか?



 夢がたくさん詰まっているとして探していたが何一つ見つからないどころか

 有力な情報さえもないまま時が過ぎていた。結局それは諦めて別のものに時間を使い始めた。

 そんな時にこのような新聞がやってきたのだった。



 世界にはオカルトや未確認動物のような未確認のものが数多く存在する。

 しかしそのほとんどは、何かの見間違えや作り物といった嘘ばかり

 新聞でもそのようなことが書かれていることは十分あり得る。



 彼はその新聞を捨て研究に戻った。






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