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傾玉

 結局、アルデランに入ることは叶わなかった。

 連れられて来たその屋敷は、街を囲う石壁が遠くに見える、小高い丘に建っていた。すでに日が傾き始めたにも関わらず、小鳥のさえずりが聞こえる。手入れが行き届いた生け垣と庭には、鮮やかな草花が咲き乱れている。

 緑の三角屋根や黒い石を基調とする造りは、城下のものと似ていた。室内にも緑の絨毯が敷かれ、壁や天井など、至るところに金の雄牛の紋章がある。目の前のテーブルも、出されたティーカップも、座っているソファも。形状、装飾からして、自分の格好は場違いだ。

 さらに居心地の悪さに拍車をかけているのが、隣へ腰を下ろしたローズである。足もとから頭のてっぺんまで、視線がチクチクと刺さる。言いたいことがあるのなら口にして欲しいとも思うのだが、恐らく、何を言われてもちんぷんかんぷんだろう。

 肩身を狭くしているシオンの向かいに、ようやくアーネスが腰を下ろしてくれた。

 出された紅茶にも手をつけていないシオンに気付き、彼女は苦笑する。


「君の心境を一言で表すなら、何が起きているのか、見当もつかない。かな」

「……その通り、です」

「まあ。なんて白々しい」

「ローズ。頼むから、少し、黙っていてくれ」


 ローズが眉をつり上げ身を乗り出しかけた。アーネスに手で制されると、不満そうに姿勢を正し、自身のティーカップへと手を伸ばす。

 シオンも自身の前に差し出された紅茶を見下ろした。透き通った琥珀色が、白いカップの中で自身の顔を映している。テーブルの中央には様々な焼き菓子まで並んでいた。


「君の置かれた状況を説明する前に、まずはスフェノスについて……。いや、傾玉(けいぎょく)について話しをしよう」

「けいぎょく……?」


 先ほども耳にした単語だ。シオンが復唱すると、アーネスは頷き、誰もいないはずの傍らへ声をかける。  


「ジェドネフ。シオンにきちんと挨拶を」


 気だるげな声が応えたかと思えば、そこへ先ほどの男、ジェドネフが現れた。影も形もなかったはずの彼に、シオンは目を瞬く。

 彼女の反応に機嫌を良くしたジェドネフは、やけに仰々しくシオンへ頭を下げた。


「改めて、お初にお目にかかれる。我が(めい)はジェドネフ。極地の魔術師、シュティアの最高傑作にして、偉大なる大地の愛息子なり。ってな」

「は、はぁ…………。私はシオンと、言います……」

「茶化すんじゃない。彼女が困っているだろう」


 シオンが慌てて頭を下げたので、アーネスが呆れて息をつく。


「彼は君といたスフェノスと同様に、僕たちが傾玉と呼んでいる存在だ。国を傾ける玉、宝石と呼ばれる、石の精霊のようなものだと思ってほしい」

「国を傾ける、玉……? 石の精霊………」


 シオンは思わず反芻した。


「精霊……? スフェノスは、人間じゃない……?」

「ああ。そうだよ」


 アーネスは頷く。あっさりとした返答が余計に現実を遠ざけた。

 彼は人並み外れた、見目麗しい外見ではあったが、その言動や触れた体は確かに人間のものに思えた。掴んだ手が常に冷たかったのは、そのためなのだろうか。

 アーネスの指が、自身の胸元を飾るブローチへと触れる。ブローチには、大粒の碧玉が金装飾に彩られて輝いていた。細やかな金細工もさることながら、主役である翠の石は自然とシオンの目を引き付ける。


「彼らは自身が宿っている石と、意思の塊である霊体とで形成されている。傾玉は本体である石と、魔力を供給している契約主から離れることはできないのだけど、君と仮契約していたスフェノスはいささか特殊にできていて」

「アーネス。嬢ちゃんは魔術師じゃねぇだろ」

「あ。す、すまない……。そうか、基礎から始めないといけないな……」


 表情が険しくなるシオンを見かね、ジェドネフがアーネスを止めた。

 彼はシオンへ気さくに笑う。

 

「そもそも、嬢ちゃんは魔術や魔力がどういうものか分かってるか?」

「えっと……確か、スフェノスが、世の理……? 世界そのもの……? の末端を、自分の力にして、利用することを、魔術と呼ぶとか、なんとか…………」

「だいたいそんな感じだ。魔力って言うより、嬢ちゃんには生命力、と言い換えた方が分かりやすいか?」


 ジェドネフは指を鳴らす。すると、部屋の明かりが一斉に落ちて、シオンは体を竦めた。窓から差し込む夕日は弱々しく、辛うじて向かいのアーネスの顔が見えている。横からローズが愚痴をこぼしているのが聞こえた。


「そう難しく考えなくていい。俺たちはその、魔力の結晶だ。例えるなら、この照明」


 暗闇の中で、彼の瞳は一段と輝いて見えた。引き寄せられるとの表現では生温い。吸い込まれてしまいそうだ。


「照明には火種と、それを維持し続けるために作られた入れ物がある。このふたつのどちらかがダメになれば、照明として機能しなくなるだろ? 火種が消えれば、この通り。ただの置物だ」 


 軽快な指の音が部屋に鳴り響く。すると、部屋の照明が再び室内を照らした。


「逆に入れ物が壊れても、中の火は遅かれ早かれ消える」


 それも束の間。さらに小気味良い音が続き、部屋の四方から何かが割れる音が重なった。照明の火は途端に消え去る。


「さらに安定して燃えるためには、油を定期的に差したりだとか、整備する必要があるだろ?」


 最後にふたつ、ジェドネフは慣れた様子で指を鳴らす。シオンが明るくなった室内を見回すと、部屋の照明は何事も無かったかのように燃えている。

 向かいに座っているアーネスは足を組み、静かに紅茶を啜っていた。

 ジェドネフはアーネスの胸に輝くブローチを示す。


「要約すると、火種は魔力。嬢ちゃんが見ている、俺のこの姿。入れ物は胸飾り。火を絶やさずに整備する持ち主が、アーネス自身だ」


 シオンは視線を落とし、ジェドネフの例え話をゆっくりとかみ砕く。


「ジェドネフさんの体はそちらの宝石で、私の目の前にいるジェドネフさんは、魔力によって作られた仮の姿、ということでしょうか……?」

「嬢ちゃんは魔術師じゃねぇし、漠然とそんな所だと思っていてくれ」


 ジェドネフはソファの背もたれに腰かけ、腕を組んだ。アーネスが怪訝そうに睨んで横へとずれる。


「そんな訳で俺たち傾玉には、定期的に魔力と言う名の油を差す使い手、契約主が必要になってくる。俺たちは契約主から少しばかり魔力を供給して貰うことによって、霊体でありながら、こうしてあたかも人間のように振る舞えるわけだ。逆に言えば、契約主が見つからねぇ場合。自我を保つ魔力が足りず、俺たちは消える」

「契約、主……」

「俺の契約主サマはアーネスだ。こいつから魔力の供給を断たれる。もしくは死んでその後に主サマが決まらなければ、もれなく俺は消滅する。嬢ちゃんも、スフェノスに主だ、ご主人様だと呼ばれなかったか?」

「主……」


 シオンは目覚めた日の出来事を思い出した。

 膝を折り、頭を垂れ、指先へ口づけ、誓いの言葉を告げる。

 いま考えても、自ら口に出すのは憚られるが、彼にとって、あの言葉は大真面目だったのだろうか。


「我が主って……そういう……?」

「嬢ちゃんが今回、なぜこんな騒動に巻き込まれてンのかと言うとな。俺たちの契約主を決める際。魔術師協会っつー組織が、契約主を決めるまでの手順を定めてやがる。それをアイツが守らず、勝手に嬢ちゃんを契約主に迎えようとしてるからだ。また困った弟分がいたモンだな」


 ジェドネフはやれやれと肩を竦めている。彼は大袈裟にため息までついて見せているが、シオンの目にはどうにも困った様子には見えない。

 むしろ、深刻な面持ちをしているのは隣のアーネスだろう。軽薄なジェドネフのため息とは違い、彼女のそれは実に重々しい。


「傾玉は希少な存在でね。強力な魔術も、傾玉がいれば簡単に行使できる。傾玉の扱いが強いしがらみに縛られているのも、そのせいだ。だからもし、君がスフェノスと契約を交わす気があるのなら、魔術師協会の規定に従って、まず君がどこでスフェノスと出会って、どうして彼に契約を申し込まれたのかを調査、審査しなきゃならないんだよ」

「どこで、スフェノスと、出会って……」


 シオンははたと、重大なことを思い出した。忘れるほど様々な事態がひっきりなしに起こったせいで、すっかり頭から抜けていたのだ。事は自分が自覚しているよりも酷いものであった。

 シオンはアーネスを見返す。切迫した表情で見つめられ、アーネスもカップへ伸ばしかけていた手を止める。


「何かまずいことがあったのかい?」

「分からないです」

「何が?」

「スフェノスと、どこで初めて会ったのか、分かりません」

「は?」

「え?」

 

 ジェドネフとアーネスがそろって聞き返す。

 シオンはどうしたものかと唸る。彼女たちは記憶を失っていることに関しては承知していないらしい。けれども、説明しようがない。何も覚えていないのだから。昨日から先は、どう頑張っても、何も思い出せないのだ。


「昨日の朝に宿屋で目覚めて、そこでスフェノスが看病してくれていたので、この人はきっと知り合いなんだろうなぁ、と……」

「もしかして、シオンって名前も?」

「スフェノスがそう呼んでいた、ので……」


 沈黙。

 気まずい空気だ。アーネスが眉間に手を当て、考え込んでいる。

 そこへ、テーブルに手をついた音が響き渡る。ティーカップがソーサーの上で跳ねた。


「もう我慢の限界ですわ! あなた!」

「え? えーっと……」


 沈黙を破ったのは、それまで大人しく口を挟まず、紅茶を堪能していたローズだった。彼女は立ち上がり、シオンを指さして憤慨している。突然、立ち上がった彼女の勢いに戸惑い、シオンはたじろぐ。


「私はローズです! リブラ国、華族(かぞく)第1階位! エドアール家当主代理、『劫火(ごうか)の魔術師』とは私のこと!」

豪華(ごうか)の、魔術師……なるほど……」


 ローズの長い巻き毛と、赤い豪奢なドレスを改めて、シオンは納得した。

 意思疎通のズレに気付き咳払いするアーネスを、ジェドネフが小突いて黙らせる。


「そう都合よく記憶喪失になどなるものですか! それに、記憶喪失にしてはスフェノス(せき)とも仲は良好に見えましたわ。アレは千年近く主を選ばなかった変わり種。たぶらかしたのはスフェノスではなくて、あなたではありませんの?」

「スフェノスから、ひどい嵐に巻き込まれて、その影響で記憶や知識に障害があるんだろうって、言われたとしか……」

「ひどい嵐……。(ひず)みのことでしょうか」


 どこからともなく現れた白い手が、ローズの肩を軽く叩いてなだめる。彼女の後ろに現れたクルスタは淡々と続けた。


「3日ほど前『時空の(ひず)み』がアテラス大陸北部に観測されていました。一般人である彼女が巻き込まれたのでしたら、健全な状態でここにいるのが奇跡です。スフェノスが何かしらの施しを彼女に行い、一命を取り止めた。となれば、辻褄(つじつま)は十分に合いますが」

「ああ、それなら僕も覚えているよ。シュティアも影響圏内だったから、ジェドネフに報告させていた、けど……」


 アーネスが口元に手を当て、首を傾げているシオンへ目配せした。


「このアテラス大陸は豊かな魔力に溢れている。同じ場所に魔力が溜まり過ぎると、川のように氾濫を起こし、中心地から辺り一帯の空間が不安定になってしまうんだ。そこへ生物が巻き込まれると捻じれた空間の負荷に耐えられず、心身に影響が出る。君みたいな記憶喪失も前例があってね。この魔力の氾濫現象を、魔術師の間では『時空の歪み』や『歪み』と呼んでいるんだよ」

「そうなんですか……」


 だとすれば、スフェノスは隠し事をしてはいるが、嘘はついていないのだろうか。少しだけ胸のわだかまりが溶けた気がして、布越しにペンダントへ触れた。最も、根本的な解決は何一つしていない。

 ローズはなおも、収まりがつかないようだ。クルスタの腕を振り払い、ローズは頭を振る。


「何にしても! 下層階級! それも魔術の基礎どころか傾玉の存在すら知らない一般人に傾玉の主など任せられませんわ!」

「ローズ、今の話しでは単純に記憶が失われている可能性も……」

「お黙りなさい、クルスタ! 所作からして、下級層であることは明白です! 傾玉の主は、建世(けんせい)の魔術師の血、又はその直系の弟子から連なる家系からの選抜と決まっています! スフェノス石がいかにこの小娘を選ぼうと、魔術師協会は許しませんことよ!」


 ローズの言葉にシオンはむ、と口を引き結んだ。同じ歳ほどだと言うのに、小娘は無いのではなかろうか。


「スフェノスのご主人様を、どうしてスフェノス以外の人が決めているんですか?」

「傾玉に主の決定権はありません。彼らはあくまで、建世の魔術師たちが使い魔として作り出した、擬似的な生命体。魔術師のしもべ。つまりは、その扱いも、私たち魔術師の法に乗っ取るべきではありませんこと?」


 ローズはシオンの言葉を鼻であしらった。その横で、アーネスが苦い顔をする。

 彼女の言葉を聞き、シオンはスフェノスの言動を思い起こす。スフェノスが妙に刺々しい態度を取っていたのは、こういうことだったのだろう。もしや彼はこれが原因で、魔術師どころか、何の知識もない、自分を選んだのではないだろうか。

 シオンは胸元をおさえた。服の上からでも、石の冷たさを感じる。


「スフェノスは、右も左も分からない私を助けてくれました。隠し事をされていたのは、ちょっと、嫌ですけど……。そうだとしても、それは変わらないです」


 シオンは目を伏せ、初めて名前を呼んだ時の、じっくりと融けていく碧眼を思い出す。

 あれは本当に、とても嬉しそうだった。


「それに……スフェノスとは、友だちから始める約束をしました。なので、彼の話しを聞く前から、友だちを悪く言うような人たちに、友だちは渡したくありません」


 先ほどとは違う沈黙が訪れた。一同がシオンを見下ろして目を瞬く。

 ジェドネフだけは一人、笑いをかみ殺していた。彼はアーネスにすら何も告げず、その場から姿を消した。



********************



 その夜。シオンはアーネス家の客間でぼんやり、窓の外を眺めていた。夜空の下から虫の音が聞こえてくる。


「すごい、怒られたな……」


 あの発言はローズの機嫌を著しく害したらしく、何か口にしかけた彼女を、クルスタとアーネスが慌てて部屋の外へと連れ出した。聞こえてくる内容からして、何も知らないシオンが口答えをしたことが、彼女の逆鱗に触れてしまったらしい。定められた規則をきちんと守り続けている彼女からすれば当然だろう。

 シオンは脱力し、ベッドへ倒れ込んではみたが、一向に眠気を感じない。疑問がぐるぐると頭を巡って邪魔をする。仕方なく彼女は起き上がり、窓際へ向かった。片方のカーテンを寄せて、窓を開く。

 やはりここの夜は肌寒い。腕をさすりながら、窓際へ置いた椅子へ座った。三日月が高く浮かんでいる。窓枠に寄り掛かり、頬杖をつく。辺りは虫の声ばかりで、時おり草木が風に揺られて囁いている。地平線の上に広がる星の海を、シオンはただ眺めていた。


「星空が珍しいのか」


 危うく椅子から落ちる所だった。シオンは顔を上げ、声のした方へ目を凝らす。すぐ横に植わっている、大きな木の枝にそれらしき人影が見えた。声でジェドネフだと判断がつくものの、茂った葉で顔は見えない。

 器用なものだと、シオンは枝の上でくつろぐ大柄な体をまじまじと眺める。


「綺麗だなと、思って……」

「この状況下でたくましい精神力だ。アーネスにも見習わせたいね」

「ジェドネフさんは、私の見張りですか」


 素直に質問してみると、ジェドネフは声を出して笑った。


「そんなトコだ。スフェノスのヤツが、夜討ちにくるとも限らねぇしなァ」

「ジェドネフさんは、スフェノスがどんな人……傾玉……? なのか、詳しいんですか?」

「顔を合わせたのは今日が初めてだ。アレに詳しいのから、話しを又聞きしただけでね。弟分つっても、俺たちに血は通ってねぇからな」

「そうですか……」

「嬢ちゃんはスフェノスをどう思ってんだ」

「私……?」


 シオンは星空へ視線を戻す。彼の声は常に自信に満ちている。それでいて、今は穏やかで、耳に心地が良い声音だ。


「ここまで一緒に歩いて来て、ヤツをどう思った?」


 促されて、シオンはスフェノスとの短い思い出を振り返る。記憶の限りでは、彼と初めて出会ったのは昨日だ。それが嘘のように色々な出来事がどっと押し寄せてきた。ここにきて、聞きたいことがまた、山ほどある。


「悪い人ではないと、思うんですけど……。やっぱり、話しを全部聞くまでは、何とも……」

「だろうな」

「私がもっと、積極的な質問や行動に移っていれば、もう少し、マシな状況になっていたりしたんでしょうか……?」

「魔術師でもない嬢ちゃんがいくら頑張ったところで、あいつに丸め込まれるのがオチだ。ここへ来る道中、周りの人間はどいつもこいつも、アイツに親切だったろう?」


 親切。好意的。思い当るフシが多く、シオンは頷く。


「大抵の人間はスフェノスの魔力にあてられて、アイツの申し出を断る選択肢なんか始めから用意されちゃいねぇ。今さら、何を悔やんだって変わらねぇさ」

「じゃあ、これからはどうすれば……?」


 つまりは、自分がどれだけ頑張っても、最終的には彼の言葉に全て頷いてしまうのだ。これでは、どちらが従者なのか分からない。

 駄目で元々。シオンは助言を求めてみた。

 ジェドネフは立ち上がり、声を和らげる。僅かに翠の眼と視線が交わる。


「そうだな……。とりあえず、俺は睡眠を推奨しておくぜ、嬢ちゃん。そろそろ閉めねぇと風邪ひくぞ」

「……シオンでお願いします」

「なら、また明日な、シオン」


 ジェドネフの影は夜の影に混じって消えっていった。

 素直に彼の助言に従い、シオンは窓を閉める。彼の言う通り、室内がだいぶ冷えた。

 窓を閉ざしても、月灯りはカーテン越しに天井まで伸びている。シオンは肌触りの良い布にくるまり、枕に頭を沈める。遅れて、まぶたと眠気がゆるり、ゆるりと落ちてきた


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