水神様の花嫁
むかしむかしのことです。
この地域には昔から、あまり雨が降りませんでした。
それでも土地に住む農民たちは、なんとか生活をしておりました。
毎日、朝早くから遅くまで遠くの森から水を汲み、乾いた硬い土を耕し続けました。
そうして農作物を作っては、年貢としてギリギリの量を収めていく日々です。
各自の家は貧しく、1日2食とれることもままでした。
それでも皆が真面目に一生懸命働き、お互いに協力し合って、なんとか生き延びていたのです。
あるとき、村に疫病が流行ります。
医者のいない村では誰もがどうすることもできず、たくさんの村人が命の灯火を消していきました。
それに加えて、この年はいつもよりもさらに、雨の降らない日が続きました。
病気と日照の続く毎日で、人々はいつも以上に、不安な日々を送っておりました。
このままでは、村人が全員死んでしまう。
そう思った村人たちは集会場に集まると、ない知恵を懸命に出し合い、そうならない方法を必死に考えました。
そして。
神様に生贄を差し出して、お願いしようということになったのです。
村の東の奥にある森の中に、小さな祠がありました。
その神様が祭ってある祠は、崖の端っこに建てられておりました。
断崖絶壁なその下には、青く澄んだ水で年中潤っている、深くて小さな池があるのです。
そこには古より、水神様が住んでいると言い伝えられておりました。
その水神様に、
「農作物が豊かに育つような雨量と、疫病が消え去ってくれることをお願いをしよう!」
ということになったのです。
そして生贄に選ばれたのは、もうすぐ7歳になってしまう、小さな女の子でした。
彼女はつい先日、流行病で両親をいっぺんになくしておりました。
そして、唯一の兄弟である15も年の離れた兄は、家族が土地を得るためにすぐ近くの家に、婿養子に出ていたのです。
兄の奥さんは、この妹が嫌いでした。
年の離れた妹を可愛がる兄を見るのが、とても嫌だったのです。
自分だけの優しい旦那様でいて欲しいと願う嫁には、妹は邪魔で仕方のない存在でした。
なのでこの話が出るとすぐに、この少女を生贄にと、村人たちに差し出してしまったのです。
この村には長年の飢饉で、ただでさえ子供が少なく、条件に見合う上に見た目にも可愛らしい女の子は、まさに格好の生贄でした。
村人たちは大いに感謝し、兄夫婦の生活は村全体が責任を持って保証すると、約束までしてくれたのです。
怒り狂って反対する兄に対し、少女は幼いながらに冷静でした。
「それで、みなさんが助かるのなら・・・」
と、快く引き受けたのです。
ニッコリとほほ笑みながらそういう妹に、兄は何も言えません。
兄嫁は影で、大喜びをしておりました。
真っ白な着物に身を包み、薄い紅を口にひいてもらった少女は、よりいっそう可愛らしい姿となりました。
兄が気がついたときには、妹はすでに村人とともに祠に向かったあとでした。
兄は、急いで後を追いました。
“神様の花嫁になる”という意味を、兄は知っていたからです。
一方、祠にたどり着いた少女は、あまりの恐ろしさにその小さな体を震わせておりました。
突然、村人が刃物を持って、自分に襲いかかってきたからです。
彼女には、なぜ自分がそんな目に遭うのか、全くわかりません。
ただただ、目の前の現状に恐怖し、震えて泣くばかりです。
「どうして? 私は、水神様のお嫁さまになるのでしょう?」
という彼女の問いに対し村人は、
「その条件が、満7歳以下の女の子なんだ。そして神様の花嫁になるためには、君は死ななくてはならないんだよ?」
と、刃物を振りかざしながら、目に涙を貯めながらも笑顔で答えてくれたのです。
答えを聞いたとたん、小さな女の子はその大きな目をさらに見開くと、そのまま言葉を失いました。
まさか、お嫁に行くことが死ぬことだとは、夢にも思っていなかったからです。
しかし。
真実を知るのが、遅すぎました。
今まさに。
彼女の小さな体に、大きな刃物が突き刺さろうとしていたからです。
そんな村人を自分の瞳に映し出しながら、
「そっか。私、お父さんとお母さんのところへ行くんだ・・・」
彼女はふと、そう思ったのです。
すると急に恐怖心が消え、心が穏やかになっていきました。
目をつむり、全てを受け入れようとした、その時です。
突然体の上を、風がものすごい速さで突き抜けていきました。
「グヘッ!!」
という、村人たちの悲鳴と、何かに叩きつけられる激しい音が、彼女の耳に聞こえます。
それと同時に、今までに体感したことのないような、なんだかふわふわとした肌触りのいいもが、体を包んでいる感じもしました。
不思議に思った少女は、恐る恐る目を開けました。
すると・・・。
自分を殺そうとしていた男たちはみな、地面に叩きつけられた状態で、白目をむいて伸びていたのです。
その光景が、不思議でならない少女です。
なぜなら、
「え? どうして?」
彼女は地面に倒れている男たちを、高い場所から見下ろしていたのでした。
そして彼女は肌触りのいい布で、まるで宝物を扱うかのように大事にくるまれ、優しく抱き抱えられておりました。
そんな彼女が、何よりも驚いたのは、
「あなたはだあれ?」
目の前で、自分を優しい眼差しで見下ろしている、男性についてでした。
彼は、少女が今まで見た人間の誰よりも、美しい顔をしておりました。
雪のように真っ白で陽の光に透けて輝く長い髪、そしてこれまた雪のように真っ白でなめらかな肌。
目の色は、まるで池の水を映し出したかのような、綺麗に澄み渡った青い瞳をしておりました。
さらに白い着物で身を包んでいるその男性に、思わず見入ってしまう少女です。
あまりにも整いすぎているその綺麗な顔立ちは、彼女を一瞬にして釘付けにしてしまいました。
じっと、自分を見つめる少女に対し、
「僕は、この池の主だよ? こんにちは。可愛らしいお嬢さん」
彼は笑顔でそう答えると、怯えた目を向けて小さく震える少女の額に、短い口づけを落としました。
突然のことに、全身が真っ赤になってしまう少女です。
口づけを受けたその場所は、その瞬間はとてもひんやりしていたはずなのに、すぐさま熱を帯びてしまったくらいでした。
「こんなところに、何しに来たの? それに、殺されるところだったよね?」
その美しい顔をクシャりと歪めて悲しそうな顔で聞いてくる男性に、思わずズキンと心が痛くなってしまう彼女です。
「私は、村人の願いを叶えるために、水神様のお嫁さんになるために来ました」
美しい男性に抱き抱えられたままの状態で、彼女は恥ずかしそうに下を向きながらもそう答えました。
「え? まだこんなに小さいのに?」
そんな彼女の答えに、男性はかなり驚いていました。
「だって、水神様の花嫁になるには、7歳を超えてはならないのでしょう? こう見えても私、もうすぐ7歳になってしまうんです。それに死なないと・・・、あなたの花嫁にはなれないのでしょう?」
そう言うと上目遣いに、男性を見上げました。
すると、
「う~ん。それは、人間が勝手に作った条件なんだけどな? 僕は死んだ人よりも、こうやって生きている君とお話をする方が、ずっと楽しいのだけど。それにね? 君がこんなにも可愛い女の子なのは嬉しいんだけど、子供を花嫁にする趣味はないんだ。お友達なら大歓迎だけど」
と、彼女に向かって片目を閉じると、茶目っ気たっぷりにそう言ってきました。
そんな彼の態度に、いくばくか緊張が解けてきた彼女は、
「じゃ、じゃあお友達でもいいです。だからお願いです、村の人たちの願いを叶えてください」
彼女は顔の前で両手のひらをぴったりとくっつけ、彼に向かって神に祈るような姿勢をとりました。
目をつむり、一心に自分に向かって祈り続ける彼女を見て、
「僕はこんな姿なんだよ? それでもいいの?」
彼はそう言うと、少女を少し下へと降ろしたのです。
「? 何がですか?」
しかし、少女には彼の言わんとするところがわかりません。
恐る恐る目を開けて、彼女が見た光景とは・・・。
虹色に白く輝く美しいウロコに覆い囲まれた、大きな蛇のしっぽでした。
それはこの崖先よりもずっと下にある池の中から、にゅ~っと上に伸びてきているのです。
彼の着物の下は、自分たちと同じ足があるのではないと分かっていても、恐怖に感じるどころか、
「なんて、美しいんだろう。こんなにも綺麗なものを見るのは、生まれて初めてかも・・・」
と思いながらも、見つめ続ける少女です。
そんな彼女に、
「怖くないの?」
と問うてくる彼に対し、
「え? 綺麗だとは思いますけど。何か怖いことでもあるんですか?」
と答えたとたんに、
「プッ! 君って面白い!」
吹き出したかと思うと、空に向かって大声で笑い出す水神様です。
そんな彼の態度の意味が分からず、少女はただぽかーんとした顔で、彼を見つめておりました。
一通り大笑いをした水神様は、
「うん。いいよ? 村人のお願い事って何かな?」
突然、真剣な顔になって彼女を覗き込むように見つめると、そう聞いてきたのです。
なので、
「村に雨を降らせてください。農作物が育たなくて、皆が飢えに苦しんでいます。それと疫病が流行り、私の両親も死んでしまいました。このままいけば、いずれ私も病気にかかってしまうでしょう。お願いです、病気を追い払ってくれませんか?」
と、村人がみな心待ちにしていた願いを、彼女は素直に話しました。
彼女の話を聞き終わると、水神様はニッコリと微笑んで、
「わかった。今回は友達の頼みだから、叶えるよ。だから、安心して家にお帰り」
そう言って、ゆっくりと地面に下ろしてくれたのです。
「お兄ちゃん?」
そこには、体を全体的にガタガタと震わせながらも、クワを手に振り上げたままの状態でいる、自分の兄がおりました。
妹が、自分のすぐそばに来たとたん、彼は手に持った武器を放り投げ、
「大丈夫か? 何もされなかったのか?」
彼女を力任せにぐっと抱きしめたかと思うと、突然泣き出してしまいました。
そんな兄に、
「お兄ちゃん聞いて! 私、水神様とお友達になったわ。そして、願いを叶えてくれると約束してもらったの!」
と、先ほどの出来事を喜びいっぱいで兄に伝えたとたん、
「え? こ、これは・・・」
気絶から我を取り戻した村人たちの頬に、ポツリ、ポツリと何やら雫が落ちてきたのです。
そして、
「これは! 雨だーーーー!」
歓喜の雄叫びを上げ、お互いを抱きしめながらも喜んでいる村人たち。
そう。
待ちに待った雨が、この村に降り注いでったのです。
それから更に、奇跡は起こります。
村人の病気が、みるみるうちによくなっていったのでした。
そして気がつけば、疫病はこの村から跡形もなく去っていたのです。
それ以来、村には定期的に雨が降るようになって農作物も次々に育ち、実り豊かな村へと変化していきました。
生贄になった少女はあの日以来、父も母もいなくなった家で、ひとりたくましく生きておりました。
両親の残した猫のひたいほどの小さな土地で、一生懸命農作物を作ってはなんとか生活をしておりました。
そして時々、彼女はあの祠のところへと行くのです。
彼女はいつも、少しばかりの握り飯を作っては、嬉しそうにその場へと足を運んでおりました。
なぜならそこには、あの時自分を助けてくれた見目麗しい、素敵な水神様がいるから。
彼に会いに行っては、村であったいろんなことを話して聞かせておりました。
水神様はただ黙って彼女の握り飯を食べながら、楽しそうに少女の話に耳を傾けているのです。
彼女は、水神様に会いにいくのが、大好きでした。
握り飯のお礼にと、まだ見たこともない世界の話を、聞かせてくれる彼が大好きでした。
たくさんの本を持っていて、彼女に読み聞かせてくれる彼が大好きだったのです。
そう。
少女は、好奇心旺盛な性格でいろんな外の世界の話を聞くことが、いろんなことを学ぶことが大好きだったのです。
そして次第に、彼に強い思いを寄せるようになりました。
その思いが、どういったものかも理解しないままで。
それは、水神様も同様でした。
お互いにお互いを一番大切に思いながら、静かに時は流れていきました。
そんな穏やかで幸せな日々が、10年も続いておりました。
その間に少女は、美しい女性へと変身を遂げていました。
その美しさは評判となり、隣の村や街にまでうわさが広まっているほどです。
たくさんの男性が、彼女に結婚を申込みましたが、どれにも全く興味をしめしません。
なぜかと問われれば彼女はいつも、
「私は、水神様の花嫁ですから」
とだけ、はっきりと告げるのです。
男たちも、
「神様の花嫁なら、自分たちが勝てるわけがない」
と、素直に諦めていくのでした。
水神様は、そんな彼女が心配になり、
「友人であって、花嫁ではないよ?」
と彼女に告げるのですが、
「いえ。私はあの時から、あなたの友人であると同時に花嫁でもあるんです。だから早く、お迎えに来てくださいね?」
と、彼に向かってニッコリと微笑むのです。
そんな彼女に、今にも泣いてしまいそうな悲しい笑みを向けることしかできない、水神様でした。
そんな彼の笑顔を見るたびに、ズキン! と心が痛む彼女です。
水神様は、彼女の幸せを心から願っておりました。
だからこそ、同じ時間をともに生きれるものと生涯を添い遂げる方が、彼女にとって一番の幸せであると、信じて疑わなかったのです。
美しくも優しい女性に育った少女に戸惑いを感じながら、彼はいつも彼女のしあわせを願っておりました。
そう。
大切な友人の幸せなんだと、自分に言い聞かせて・・・。
そんな時です。
この辺り一帯を治めているお城のお殿様より、彼女あてに使者が来ました。
なんでも、彼女をお殿様の側室に迎えるのだとか。
いつもどおりに、水神様の花嫁であるのでそれはできないと伝えるも、
「神など、所詮は目に見えぬ存在。恐るるに足らず。必ず参られよ」
と、聞く耳を持ちません。
お城からたっぷりの結納金を貰いほくそ笑む兄嫁でしたが、兄の方は浮かない顔をしておりました。
なぜならお城のお殿様とは、気に入った女性を側室に迎えては飽きると切り捨ててしまうという、恐ろし人間だと聞いていたからです。
実際に近隣の村でも、何人もの若い女性がその餌食となっておりました。
その事を知っていながら、兄嫁は妹をお城に行かせようと必死でした。
そのまま、お殿様のお手打ちに合えばいいとまで願っていたのです。
なぜ、そんなひどい事を考えるのか?
あの1件以来、兄は嫁と距離を置くようになり、何度も離縁を申し込んでおりました。
兄の願いは、両親の代わりとなって妹と一緒に暮らすことでした。
自分のことよりも、一人ぼっちになっても健気にたくましく生き伸びてきた妹のしあわせを、誰よりも願っている兄です。
そんなにも大事にされている妹が、兄嫁はにくくてたまりませんでした。
嫁は、兄を心から愛しておりました。
だから結局子供ができなくても、彼と別れるということがどうしてもできなかったのです。
なかなか首を縦に振らない彼女に業を煮やしたお殿様は、無理やり連れ出そうと部下を送り込んできました。
そのことをいち早く知った兄は、急いで妹を逃がしました。
彼女は、森のあちこちに草で足を引っ掛ける罠など簡単なものを仕掛けつつ、祠に向かって逃げておりました。
しかし、所詮はひとりの女性のすること。
罠はことごとく失敗し、どんどん追っ手が近づいてきます。
そしてやっとのことで祠にたどり着いたとき、同時に追っ手にも追いつかれてしまいました。
ジリジリと、崖の矛先に追い詰められていく彼女です。
そして、彼女を追い詰める追っ手の先頭には、なぜか兄嫁がおりました。
涙を流しながら、手には包丁を握り締めて、鬼のような形相で彼女に迫ってきます。
崖先に追い詰められてしまった彼女に対し、
「お前が逃げたせいで、私の愛する夫は殺されてしまった。たっぷりもらったはずの結納金まで、全て取り上げられた。だが、お前さえお殿様のところに行けば、私は助かるんだ!」
と、残酷なことを告げてきたのです。
兄が、自分のせいで殺されてしまったと知った彼女は、ひどく心が痛みました。
そんな時、兄がいつも自分に言い聞かせていた言葉を思い出します。
それは、
「自分が、一番幸せだと思う道を進みなさい」
というものでした。
それを思い出したとたん、
「な、何を!」
兄嫁を筆頭とした追っ手集団の見ている前で、彼女は池に向かって身を投げ出したのです。
下へと落ちていく中、彼女は心の中で願い続けます。
「今すぐ、あなたの花嫁になります。だからお願いです、お殿様にひどい目に合わされている女性たちを、助けてあげて!」
と。
まっすぐと落ちていく彼女の体は、そのまま池の中へと消えて行きました。
それからすぐのことです。
突然、空が真っ黒な雲に覆われ、急に真っ暗になってしまいました。
と同時に、ピカッ! っと空が光ったかと思うと、鼓膜を破るような大きな地響きがしたのです。
気が付けば崖の先がひび割れ、祠とともに池に向かってまっすぐに落ちていったのでした。
この光景を見たものたちは、
「水神様の祟だ!」
と恐れおののき、一目散に森を抜けて逃げて行きました。
もちろん、兄嫁も一緒です。
それから、一筋の白い光が、空高く登って行きました。
三日三晩、外に出ることもままならない激しい嵐が続いたあと。
お城では、大変な事が起こっておりました。
落雷がお殿様を直撃し、お亡くなりになったのです。
と同時に大火事が発生し、お城は燃えてなくなってしまったのです。
ただし、連れてこられた娘たちだけは、なぜか村はずれの小屋の中で、全員眠った状態で発見されたのです。
そして彼女たちは無事に、それぞれの村へと帰って行きました。
そんな不思議なことが起こったあと、娘が住んでいた村でも、不思議な出来事が起こっておりました。
昔同様に、また雨が降らなくなったのです。
そして一気に、元の不作続きの生活へと戻ってしまったのでした。
そんな中で、村人たちはこんな事を言うようになります。
これは、水神様の祟だと。
自分の花嫁を死に追いやられた悲しみから、村人たちに復讐しているのだと。
そうしているうちに村人たちは、次第に兄嫁を憎むようになりました。
彼女が妹を追い詰めなければ、こんなことにはならなかったのだと。
そしてついに、村人たちは生活の苦しさから、兄嫁を撲殺してしまいました。
既になくなってしまった祠に、まるで許しを請うように・・・。
しかし。
そんなことをしても、やはり雨は降ることもなく。
いつの日か、何も作れなくなったこの村には、誰ひとり住まなくなってしまったのです。
誰もいなくなった村から、森を通り抜けるとそこには、空の色を映し出したかのように青く澄んだ池があります。
目を凝らしてみれば、その池の奥深くには祠らしきものが沈んでおりました。
そして。
天気の良い穏やかな日には、時々空を映し出したような澄んだ青い瞳をした白い蛇が、二匹仲良くその池を泳いでいる姿が見れるといいます。
その姿を見たカップルは、幸せな結婚生活を送れるのだとか。
いつしかその話は広く知れ渡り、池のすぐそばには、仲の良い白蛇の夫婦を祀る社が作られました。
そのお社に握り飯を備えると、運命の相手に出会えるのだとか。
そして今でも。
天気の良い穏やかな日には、二匹の白蛇が仲睦まじく、池を泳いでいるのだそうです。