やってきました魔法の時間
宮廷魔術師の登場です。
異世界生活3日目の朝、朝食を済ませた俺はアンジェと共に図書館へ向かうため、廊下を歩いていた。
俺の部屋から図書館までは地味に遠く、おまけにこの城の各部屋への道をまだ覚えてないから迷子になってしまう。
だからこうしてアンジェと一緒に歩いてる訳だ。
「……」
「……」
お互い何も喋らず沈黙が空間を支配する。
そういや今思ったがアンジェって、女性の割に背が結構高いんだよな。
俺が確か184cmだったからこうして並ぶと、丁度頭の上が肩と同じくらいだから、約174~6くらいあるんじゃないか?
ていうかこの国の人って背の高い人見ても驚かないんだよな、俺より高い人がいるからかな?
そう思っている間に、いつの間にか図書館の前まで来ていた。
アンジェがドアを開けて俺が先に入った後、彼女も入ってドアを閉めた。
図書館には既に平野達が来ていて、俺が来るのを待ってたようだ。
「悪い、遅くなった」
「やっと来ましたねコータロー、適当な場所に座ってください」
昨日のように感情の籠ってない声で言いながら睨んでくる姫さん。
睨む理由についてはおそらく、平野達から俺が魔王退治に行かない理由を聞いたんだろう。
「はいはい」
軽く溜め息を吐いてから昨日と同じ席に座って、アンジェは俺の右斜め後ろに立った。
「では皆様、これからこの世界での文字の読み書きを教えますが用意はよろしいですか?」
「勿論だよフィロル」
平野がそう言うと他の奴も頷く。机の上にはノートとシャーペンが用意されている。
ちなみにこの世界での紙は大変貴重で、大学ノートとかルーズリーフ一冊分で家が買えるくらいの価値があるらしい。
「そうですか。では始めます」
そう言って王女様の世界の講義2時限目が始まった。
数時間後ーーーーー
「では本日はこれで終わりにして、明日からは魔法について宮廷魔術師オリヴィエから教わってください」
と姫さんが言ったので俺達は部屋に戻った。
この世界の文字は覚えるのが難しく、全くという訳でもないが分からない部分が多い。
なんというか地球の歴史にあった古代文字ですらない独特な形をしていて、とてもじゃないが俺の頭では覚えるのが大変そうだ。
逆に勇者4人は完璧という訳ではないが、ある程度は読み書き出来ている。
共に4時間しか講義を受けていないのに何故こんなに差が出るのか不思議だ。アレか? 知能指数とか関係してんのかな?
アンジェは覚えるのが簡単みたいな事を言ってたが、なんか覚えやすい法則でもあるのだろうか?
それともただ単に俺が馬鹿なだけか? まぁ、多分後者だろう。
兎に角、いい年して文字が分かりませんという最悪な事態はさけなければならない。
姫さんは「こんな簡単な事も覚えられないんですか?」と言って、馬鹿にしていた。
悔しいが早いとこ覚えないとな、アンジェに申し訳ない。
部屋に戻った俺は昼飯を食った後、アンジェの協力を得ながらこの世界の文字を勉強していた。
「あーもうダメだ、頭が痛くなってきた…」
そう言いながら、テーブルにうつ伏せになる。
「では、今日はもうこれくらいにしておきますか?」
「ああ、悪いがそうしよう…あ〜あ、すぐに覚えられると思ったのにな。済まんアンジェ」
「謝る事はございませんよコータロー様、人によって向き不向きがありますから。焦る事はありません、時間はまだありますからゆっくり覚えて行きましょう」
「ああ…」
ボールペンと手帳を胸ポケットに仕舞い、窓の外を見る。
「さて、ヒマになっちゃったな」
ヒマなら勉強の続きをした方がいいんだろうけど、如何せんやる気が起きない。
「そうでございますね。外は今日も雨で出かけられませんからね」
アンジェはそう言いながらカップにお茶を注ぐ。
「コータロー様。お茶が入りましたよ」
「おお、サンキューアンジェ」
目の前に置かれたお茶を飲む。味はストレートティーみたいな味だ。
外は昨日より大雨で、気分転換で城下町に行きたかったのにこれじゃ外にも出れない。
本来ならこんな時は携帯やタブレットで遊んでるのだが生憎、異世界に来た所為で使い物にならない。
こんなことなら漫画かラノベでも入れておけばよかった。
そう思いながら手帳を取り出してパラパラと捲る。
「コータロー様、先日から気になってましたが、その手に持っている物はなんでございますか?」
アンジェが手帳とボールペンを興味深そうに見ながらそう言った。
「これか? これは手帳と言って、必要な事を書いておくのに便利な物で、文字を書くときはこのボールペンを使うんだ」
「そうなのですか、コータロー様の世界には便利な物があるのですね」
「この世界では文字を書くのに使うのはやっぱり羽ペンか?」
「そうですね。誰でも使えますし、生産が楽ですので」
「成る程……そうだ、お前に良い物をやろう」
「良い物?」
「ああ」
俺はソファーの上に置いてある鞄の中から1本の万年筆を取り出した。
「コータロー様、良い物とはそれの事でございますか?」
アンジェは万年筆を興味深そうに眺めながら言う。
「ああ。これは万年筆といってな、中にインクが入ってて、それで文字を書く道具だ。これをお前にやるよ」
「そんな…頂いてよろしいのですか?」
「ああ、俺にはボールペンがあるし、羽ペンだけじゃ不便だろうしな。それに、お前には色々世話になってるから感謝の証として受け取ってくれ」
そう言いながら万年筆をアンジェの前に差し出した。
「コータロー様…ありがとうございます。喜んで頂戴いたします」
アンジェは嬉しそうに微笑みながら万年筆を受け取り、使い方を一通り教わった後、大事そうに前掛けのポケットにしまった。
「これからもよろしく頼むぜアンジェ」
「はいコータロー様。このアンジェ、コータロー様に精一杯ご奉仕をさせて頂きます」
アンジェはそう言ってお辞儀をした。
ティータイムを済ませた俺はアンジェに城の中を案内してもらうことにした。
大臣の部屋や使用人達の部屋、兵士達の宿舎と食堂、魔術師が使う研究室みたいな部屋等、色々な部屋を案内された。
そうしている内に日が暮れ、そろそろ部屋に戻る事にして廊下を歩いていると迷子になったのか、キョロキョロしながら歩いている楓嬢と出くわした。
「おーい、楓」
俺が声を掛けると楓嬢は振り向いた。
「あ、幸太郎さんにアンジェさん」
「楓、こんなところで1人でどうしたんだ? 道にでも迷ったのか?」
俺がそう聞くと図星なのか楓嬢は恥ずかしそうに顔を赤らめて
「お恥ずかしながら少々、お花摘みに行ってたのですが、部屋へ戻る途中で道に迷ってしまいまして…」
「お1人でですか?」
「はい、 部屋にはメイドの方がいらしたのですが、先ほど春香さんが城内を見て回りたいと言ったのでそれで…」
「そうなのか。なあ、俺達これから部屋に戻るんだが、よかったら一緒に戻るか?」
「いいんですか?」
「勿論でございます。それに私達メイドとしては、お客様に怪我でもされたら事ですので」
「そうですね。じゃあご一緒に行かせてくださいアンジェさん」
「畏まりました。ではこちらです」
そう言ってアンジェが歩き出して俺と楓嬢は彼女に付いて行った。
「なあ楓、アンジェとは仲がいいのか?」
「ええ、アンジェさんとは何度かお話したことがあるのでそれで」
「そうなのか。いつの間に仲良くなってたんだな」
「こんなことを言うのはあまりよろしくないのですが、カエデ様は他の勇者様達とは違って好感が持てましたので何度かお話しさせて頂きました」
アンジェは申し訳なさそうな喋り方で言ったのに対して楓嬢は
「大丈夫ですよアンジェさん。私は気にしていませんから」
とにこやかに言った。確かに好感が持てるお嬢さんだ。
部屋に辿り着いて楓嬢と別れた俺は明日に備えて寝る事にした。
明日はファンタジーと言えば定番の魔法を習う日だ。
翌日。朝食を済ませた俺はやけにそわそわしていた。
それを見ているアンジェも少し笑みを浮かべている。
「コータロー様。少し落ち着いてはいかがですか?」
「わ、悪い、だけど今日から魔法習うと思うとワクワクしてな、落ち着いていられないんだ」
「お気持ちは分かりますが……」
「安心しろアンジェ。もう落ち着いた」
「本当ですか?」
「大丈夫だ、問題ない」
「……そうでございますか。ではそろそろ時間ですので行きましょう」
「ああ」
そう言って俺とアンジェは部屋を出て、宮廷魔術師であるオリヴィエという奴が待ってるらしい部屋へと向かった。
そしていざ、魔法の講義が行われる部屋に入るとそこはなんというか、いかにも魔女の部屋みたいな感じで、山のように重ねられた本、部屋の床全体に散らばった羊皮紙、怪しい薬品や、なにかの道具みたいな物が部屋全体にある棚の中に置かれている。
部屋の中央には教卓と三脚タイプの黒板が側に在って、3人分の長さしかない長机と椅子が縦に2列並べられていた。
そんな部屋を見てまず最初に思ったのが
「なんというか、俺が思っていたのと全く違う部屋だな」
「コータロー様もそう思いますか」
「ああ。せめて床くらいは綺麗にして欲しいな」
「オリヴィエ様は魔法の方は大変優れているのですが、生活の方がからっきしダメで、メイドの間では「片付けられない女魔術師」と呼ばれています」
「オリヴィエって女性だったのか。宮廷魔術師というからてっきりダン◯ルドアみたいな爺さんだと思ってた」
「ダン◯ルドア? 誰ですかその方は?」
「あー、俺の世界のとある本の登場人物だ。そんなことより座ろう」
「は、はあ…」
そう言って俺は後ろ側の椅子に座り、アンジェはいつものように右斜め後ろに立った。
暫く待ってるとドアが開いて、勇者達が入ってきて席に座ったのだが、机は3人分のサイズで1人余るので、楓嬢が後ろに来て俺の隣の椅子に座った。
「おはようございます幸太郎さん」
彼女は椅子に座るや否や、笑みを浮かべて挨拶をした。
「おはよう楓」
俺も挨拶をする。彼女だけが俺に優しく接してくれる、ホントに良いお嬢さんだ。
「楓は綺麗で礼儀正しいから学校じゃあ、かなりモテてたんだろうな」
「そんな事ないですよ、私より春香さんや他の女性の方が思いを寄せる殿方が多かったですよ?」
「え? そうなの? 勿体無いなあ、こんなに美人なのに」
「まあ幸太郎さんったら。フフフ、そう言う幸太郎さんも格好良いですよ」
「えっ!?」
ちょっと待て、今なんて言ったこの子? カッコいい? 俺が?
「な、何言ってるんだよ楓嬢? お、大人をからかっちゃいけませんぜ?」
「あら、私はからかってなどいませんよ幸太郎さん?」
「………」
彼女の切れ長でやや赤い瞳の目が俺を見つめる。
ヤベ、超ドキドキしてきた! だって今まで一度もカッコいいなんて言われた事がなかったんだもん!
「そ、そうかな? 俺なんて地味な感じの何処にでも居る普通の男だと思うんだが?」
「幸太郎さんは十分格好良いですよ」
にっこりと微笑んで楓嬢はそう口にした。
「……。そ、そうですかい、ありがとう」
そう言われて恥ずかしくなった俺は彼女から顔をそらし、魔法を習う事にテンションMAXの平野、風間、柳の3人を見る。
「幸太郎さんも魔法を習うのは楽しみですか?」
「ああ、楽しみだな。だって漫画や小説でしか出来なかった事が実際に出来るようになるんだぞ? ワクワクしないでいられるか」
「大人の男性でも魔法には憧れるんですね」
「まあな。そう言うお前はどうなんだ?」
「そうですねぇ…魔法がどういう物なのか分からないのでお答え出来ません」
「そうなの? 日曜の朝にやってる戦うヒロインアニメとかが使う魔法に憧れてないのか?」
「お恥ずかしながら、幼い頃から習い事をしておりましたのでそのようなものを見る機会がなかったんです」
「そうかい、ま、実際やってみたらきっと楽しくなるさ。それにしても先生遅いな」
俺がそう言った時、扉が開いて1人のローブを着た女性が入って来て教卓の後ろに立った。
「お、遅れてすいません勇者樣方、ちょっと王妃様に呼ばれていました」
ここまで走ってきたのだろうか、女性はハァハァと息を切らせながら言った。
「ふぅ…さて勇者樣方、先ずは初めまして、私が宮廷魔術師のオリヴィエ・エクレールです。気軽にオリヴィエと呼んでくださいな」
オリヴィエと名乗った女性は、長い水色の髪をポニーテールにした見た目18歳くらいで、アンジェ程ではないがスタイルが良く、ローブの上からでも豊かなふくらみが見える。
「(へー若いな。もうちょっと年を取ってるかと思ったが、それだけ才能があるということか。なにせこの国で最高の魔術師と呼ばれるくらいだもんな)」
「よろしくお願いしますオリヴィエさん。俺はコウイチ・ヒラノと言います」
「俺はユウガ・カザマです」
「私はハルカ・ヤナギです」
「わたくしはカエデ・アマシロと申します」
「俺はコウタロウ・アサヒナ。よろしくオリヴィエ先生」
「コウイチ様にユウガ様、ハルカ様、カエデ様、そしてコータローさんですね。では早速、魔法についてご教授します。まず最初に魔法というのは……」
ここからは長いので重要な点だけを纏めて説明する。
まずこの世界で使う魔法というのは、己の体内にある魔力を使って火を放ったり風を起こしたりする力である。
初日に王様が言ってたように、火・水・風・土・光・闇の6つの属性があり、火・水・風の3つは上位属性というのがあるみたいで火なら炎、水は氷、風は雷となっている。
光属性は勇者しか扱えず、闇属性も魔族しか使えないが、どの魔法も強力であるらしい。
属性は本来1人1つの属性しか使えない。
しかし、俺達のように極稀に複数の属性が扱える奴もいる。
そして闇以外全ての属性が使える平野はこの世界で唯一無二の存在で、俺とオリヴィエのような4つの属性が使えるのは片手で数える程度しかいないらしいが、楓嬢や風間、柳のように2つや3つの属性持ちも決して多くはない。
そしてエルフだけが使える精霊魔法というのがあるが、これについては情報が少ないので詳しい事は分からない。
あと、治療魔法というのもあって、傷を治療したり、呪いを浄化したり、毒や麻痺等の異常状態を治す魔法がある。
この魔法は特殊で、火のような属性魔法とは違って限られた人しか使えず、主に神官や聖職者とかが多い。
要するにとあるゲームにある黒魔導士と白魔導士みたいものだと思えば良いかもしれない。
ちなみに水属性の魔法にも回復効果を持つ魔法は存在しているが、治療魔法と比べるとなると劣ってはいる。
尚、世界の人間の約70%は魔力を持って生まれるのだが、魔力を持ってるからと言って必ず魔法が使えるわけではなく、実際に魔術師になれるのはその40%だとのこと。
この世界の人口は約一億人で、日本とほぼ同じである。
「このままでは人類は滅ぶ」的な事を王様は言ってたが、あれは言葉の綾的な感じで言ったようで、決してこの世界の人口が少ないわけではない。
話を戻すと魔法にはレベルがあって、大きく分けると初級、中級、上級、神聖級というのに分けられていて、上にいくほど威力が上がるが当然、消費する魔力も多くなる。
魔力が切れると激しい眩暈がして意識が朦朧とし、倒れるらしく、最悪死に至る事があるみたいなので、調子こいてバンバン魔法を使わないように注意しなければいけない。
魔法を使用する際にはイメージと詠唱が必要だがぶっちゃけ言うと詠唱はただのカッコ付けらしく、態々言う必要はないんだが、イメージがより鮮明になるので使う人は結構多いんだとか。
「炎よ! 敵を焼き尽くせ! 『ファイア』ッ!」とか元の世界でそんな事言ったら、間違いなく痛い人を見る目で見られるだろうな。
魔法についてはコレくらいで、あとは魔導具というのがあり、アクセサリーの形をした物が多く火種を起こしたり、結界を張って身を守ったりするのがあるらしく、魔法が使えない冒険者や平民、貴族等には評判なんだとさ。
以上が重要な事を纏めたものだ。
「では皆様、今度は実際に魔法を使ってみるんですが、その前に魔力の扱いになれなければ失敗して大惨事になりうるので、魔力の扱いに慣れましょう。まずは意識を集中させて自身の中の魔力を感じ取ってください」
自身の魔力を感じ取れ、か……結構無茶な事を要求するなあ、俺に出来るだろうか?
取り敢えず瞑想してみるか。
10分後・・・・・
うーん、全然感じられない。余計な雑念は捨てて、心を無にした方がいいのかもしれない。
20分後・・・・・
ハラヘッタ……はっ! いかんいかん、集中しろ集中しろ……
30分後・・・・・・
お、なんか体の中に暖かい気みたいなものを感じるぞ? もしかしたらこれが魔力なのだろうか?
「なにか感じましたか?」
俺の様子に気付いたのかオリヴィエがそう聞いてきた。
「なんか暖かい気みたいなのを感じたんですけど」
「それが魔力です。よく出来ましたね、勇者樣方はどうですか?」
オリヴィエがそう聞くと4人も魔力を感じられるようになってきたらしいので、次のステップに行くことにした。
「では皆様、魔力を感じ取れたようなので次にどんな形でもいいので自身が扱える属性のイメージを現してみてください」
そう言って各自イメージを始める。
イメージか……まずは火からやってみるか。
俺は感じ取った魔力を引き出してライターの火が指先にあるようなイメージをした。
瞬間、シュボッっと左手の人差し指にマッチの程度の火がともった。
おおっ! スゲエ、マジで火がついた! コレが魔法なのか…よかったな小学校の頃の俺、大人になった俺は魔法使いになれたぞ。
火以外にも他の属性を試していった。思いの外、イメージがしやすかったので案外早く出来た。
水はピンポン球くらいの水玉、風は小さな旋風、土はサラサラとした土をイメージすると出来た。
勇者達はまだ苦戦しているようだ。なんだかちょっとした優越感を感じる。
そうして優越感を感じながら暫く色々やってると楓嬢が
「幸太郎さん、一体どんなイメージをしたら成功するのですか?」
と聞いてきた。
「んーそうだな、参考になるかは分からんが俺の場合、火属性ならライターやマッチの火をイメージした事だな。あとは風なら小さな竜巻とか」
「そう、ですか……」
楓嬢はそう言って再びイメージし始めて暫くすると指先に火がともった。
「やった! 出来ました! 幸太郎さんありがとうございます!」
と楓嬢はにっこりと笑った。
「お役に立てたようでなにより」
俺はそう言って再びイメージ作業に取りかかった。
それから数時間が経って俺は大分魔力の扱いに慣れた。
火属性はマッチ棒の火からガスバーナーみたいな激しい炎に出来るようになり、水はビリヤードの玉くらいの大きさの水玉をジャグリング出来るようになり、風は被害のない竜巻を起こせるようになったり、土は粘土が作れるようになった。
「皆様、もう大分魔力の扱いに慣れたようなので今日はここまでにして、明日から実際に魔法を使ってみましょう」
オリヴィエがそう言ったので俺と平野達は一礼した後、俺は平野達が先に行ってから部屋に戻る事にした。
彼奴らが部屋を出る際に柳が「アイツに変な事されなかった!?」と言った後、風間が「もし変な事されたら俺に言えよ? 俺がアイツをぶん殴ってやるよ」と言っていた。
俺がそんなことをするような男に見えるか? 失礼な連中だぜ全く。
楓嬢は「大丈夫ですよ」と言った後、俺の方を見てウインクをして出て行った。
もうあのお嬢さん、俺の事が好きと見ていいんじゃないかな?
そう思いながら部屋に戻って飯食って風呂入った後、この世界の文字の読み書きを勉強し、今日やった事を一通り復習して寝た。
オリヴィエもヒロイン候補に入るかもしれません。
6/23日 魔法の設定に回復魔法を追加しました。