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召喚されたら王様と謁見

主人公の口調がコロコロ変わってるかもしれません。

部屋の隅に待機していた兵士達に囲まれながら玉座の間へと向かっている俺達。


あの部屋は召喚の間と呼ぶらしく、そこから玉座の間へはそれほど遠くなかった。


少年少女達は時々、姫さんに質問したり、ヒソヒソと会話したりしている。


俺は会話出来る相手なんていないので周りを観察してた。


美人なメイドさんがいたり、所々に配置された兵士が直立してたり、ローブを着たおっさんが近くを通ると、姫さんに向かって頭を下げたりしている。


そんな人たちを見る度に「マジで俺は異世界に来たんだな」と思っていた。


まさか自分が小説の中での出来事を体験するなんて夢にも思ってもいなかった。


だけど異世界へ来てしまった以上、俺達はもう、元の世界には戻れんだろう。


何故なら異世界トリップ系の殆んどの小説が元の世界に戻れないんだからな。


なので高確率で元の世界に帰れないだろう、でも出来れば帰れる術があってほしいものだ。


そう思ってるうちに玉座の間へと到着した。


「さあ着きました。ここで国王に会ってもらいますが、くれぐれも無礼のないようにお願いします。とくにあなた様は」


姫さんは何故か俺の方を見ながら言った。解せぬ。


「失礼な、俺ってそんなに無礼を働きそうに見えます?」


「ええ、もちろんです。あなたが国王に無礼を働かないか心配でなりません」


「……」


俺って姫さんに嫌われるような事したか? 心当たりが全くないんだが…


そう思ってると目の前にある豪華な装飾の鉄の扉が大きな音を立てながらゆっくりと開いた。




玉座の間はなんというか凄いの一言だった。


近衛兵と呼ぶべきなのか、豪華な鎧を着てハルバードを持った兵士達が赤絨毯を挟んで左右に一糸乱れぬ形で整列しており、正面には玉座に座った国王と王妃と思われる男性と女性と数人の臣下がいた。


姫さんを先頭に赤絨毯の上を歩き、上座の前まで進んで行く。


まるで時が止まっているかのように微動だにせず、モアイのように並んでる兵士達の間を歩くのはちょっと怖かった。美男美女4人組は緊張しているのか、ぎこちなく歩いていた。


王様と王妃の目の前まで歩くと、姫さんは王妃の隣に立ち、俺たちは跪いて頭を下げた。


「面を上げなされ勇者達よ」


そう言われて頭を上げ、王様を拝見する。


蓄えられた白い髭に威厳ある顔つきで赤い法衣を身に纏い、漫画とかで見るような豪華な装飾の王冠を冠っている。


「よくぞ参られた勇者達よ。わしはこの国の王、ユリウス16世である」


「私はこの国の王妃、リリスです。此度はよくぞおいでなさいました勇者樣方」


王様と王妃が自己紹介をする。つーか王妃様スゲー美人だわー、 ドレスの上からでも分かるボンキュッボンの超ダイナマイトボディに、姫さんと同じ美しい輝きを放つプラチナブロンドの長い髪を緩い三つ編み? にして肩に垂らして、おっとりとした顔つきを持つ女性だった。姫さんもあと10年くらいしたらあんな女性になるのだろうか?


それにしてもこの世界の人間って美形が多いな、これも異世界だからなのか?




「勇者達よ、よろしければ名を聞かせてもらってもよろしいかな?」


「はい王様、お…私は平野 光一(ひらのこういち)と言います。平野が家名、光一が名です」


「ああ、畏まることはない。そなた達は言わば客人のようなもの、無理に敬語を使う必要はない」


へーこの王様優しいな、こういう人俺好きだ。王様といえば偉そうなイメージしかないからな。


「俺は風間 勇牙(かざまゆうが)。同じく家名が風間、名が勇牙です」


「私は柳 春香(やなぎはるか)です。名が春香で家名が柳です」


(わたくし)天城 楓(あましろかえで)と申します。この方達と同じく家名が天城、名が楓でございます」


上から金髪、短髪、スレンダー、大和撫子の順に自己紹介していった。ん? 天城? どっかで聞いたような…まあいいや。


さて、俺も名乗るか。さっきから全員が俺に視線を送ってるからな。


「自分は朝比奈 幸太郎。家名は朝比奈、名が幸太郎。こちらだと幸太郎 朝比奈と言った方がいいですか王様?」


「いや、そのままでよい。さて、勇者達よ。突然の事で戸惑っているかもしれんが先ずはこの世界の事から順に話そう」


そう言って王様はこの世界について説明を初めた。





この世界はラフレイルといい、俺達が居た地球とは違って科学の代わりに魔法が発達した世界らしい。


まぁ、簡単に言うとドラ◯エみたいなRPGやファンタジーな世界だ。


そして、俺達が今いる場所がここアースガルド皇国。


この国以外にも商業や貿易が盛んな大都市ヘルメリア、武力主義の軍事国家クレイフォスがある。


この他にもエルフの国や色々な国、街などがあるらしいがそれについては後ほど説明するとの事。今はこの3つの国を覚えてればいいらしい。




次に種族について教えてもらった。




先ず最初にこの世界で最も数が多いと言われている人間。


これについては他に特徴がないのでおしまい。




次にファンタジーと言えば定番のエルフ。


この種族の特徴は誰もがご存知の通り、長い耳に人間の数倍の寿命を持ち、美しい顔を持つ者が多く、魔法に長けてる現在最も数が少ない種族である。


なんでもその昔、人間同士の争いに巻き込まれてほぼ80%が死んでしまい、僅かに生き残った者達が森に逃げ込み、集落を作ってひっそりと暮らし、長い年月が経って小国となった今でも森からは出ずに暮らしている。


しかもこうなった原因が人間の所為なので、人間をかなり憎んでいるらしい。




次にこれまた定番の獣人。


獣の特徴を体に持ち、身体能力が人間の数倍高い強靭な肉体を持っている。彼ら個人個人が個別の種族の名称があるらしい。


これは説明すんのがダルいので省かせてもらう。彼らとの関係は比較的良好だが、中には過去に人間に虐げられて恨み持ってる奴もいるらしい。俺としてはリアル猫耳美少女に出会えればどうでもいい。




で、次にこれまた定番っちゃあ定番のドワーフ。


彼らの特徴は成人しても身長が小学校低学年程度しかないが、手先が器用で力が人の2倍くらいある事だ。


手先が器用なため、彼らの作る武具は使い勝手が良く、評判がいいのだとか。


そんでもってエルフ、獣人、ドワーフを総称して亜人と呼ぶらしい。




最後に人間の敵である魔物と魔族。


魔物は定番のゴブリンやオークなど人間に害をなす生き物の名称。魔族は魔物と違って言葉を話し、知恵を持っているヤツらのことであり、姿が人間に似ていて体の一部に尻尾やコウモリみたいな翼、角などが生えているヤツらの事を魔人と呼ぶらしい。ヴァンパイアやサキュバス等、更にはダークエルフも魔人に含まれる。


魔人はエルフと同じく魔法に長けており、強力な魔法を扱う者が多く、戦闘力も高いので戦う場合はチームを組まないと勝つのは難しいらしい。


そして全ての魔族を統べる者を魔王と呼ぶ。ソイツが4年前、500年ぶりに復活し、人間達をちょくちょくと追い込み、成す術がなくなった人間達はソイツを倒すために勇者として、最後の希望を託し、俺たちを召喚したという訳だ。テンプレですね、分かります。


とは言っても俺は巻き込まれたから勇者でもなんでもないんだが?


それにさっきも言ったと思うが、勇者なんて柄じゃないし、巻き込まれたとは言え、なんで見ず知らずの他人の為に命掛けて戦わなきゃならんのだ。


「という訳だ。このままでは我ら人間族は滅んでしまう。本来ならば我らだけで解決すべきことなのだが、最早そなた達しか頼めるものがいないのだ。どうかお願いだ、この世界を救ってくだされ……」


王様の必死の願いにたいして4人組は少し考えた後、


「王様、俺達はやります!」


と平野とかいう少年が言った。その言葉に王様は目を輝かせた。


「おぉっ! やってくださるのか!?」


「はい、魔王だろうとなんだろうと倒してみせます。そして、この世界の人々を救ってみせます!」


平野の言葉に他の3人も頷いた。そんな簡単に決めていいのか?


「ありがとう…そなた達の決断に感謝する。そして、こちらの都合で召喚した事に関しては誠に申し訳ないと思っておる。なので謝罪させておくれ。この通りだ」


そう言って王様は頭を下げる。


そして王妃や姫様、臣下達、その場にいた全員が俺たちに向かって頭を下げた。


さて、このままだと俺まで勇者として扱われるじゃん。それだけはなんとしてでも避けないとな。


俺はこの4人の召喚に巻き込まれただけ。


だからこの世界を救う為に戦う義理がない。面倒くさいしね。


「…王様、少しよろしいですか?」


俺の言葉に全員が俺を見る。


「む、どうしたのじゃ?」


「俺は勇者なんかじゃありません。こちらに来る前に偶々彼らの近くに居た所為で巻き込まれた一般人です。なので俺だけ元の世界に帰して貰いたいんですけど?」


「「「「「えっ!?」」」」」


俺の言葉に全員が驚く。何だよそんな驚く事か?


「そ、そうか、それはすまないことをした。しかしそなたを元の世界に帰す事は出来ないのだ。というのもこの召喚魔法には帰す方法がないのだよ」


そうですか、やっぱ帰れないすか…まぁ、こうなるだろうとは思ってたし、元の世界に未練なんかないから帰れなくてもいいんだが。


俺が今まで貯めてきたバイト代は既に実家の方の口座に全額振り込んであるし、どう使うかは両親に任せた。


妹達の進学に使うに良し、そのまま生活費として使っても良い事を伝えてある。だから、やり残したことはない筈、多分…。


…いや待て、それじゃ俺の嫁達(二次元)に二度と会えないじゃん! 未練ありまくりだよ!


バイトの同僚から貰ったアニメやラノベ、漫画の好きなキャラにもう会えないとは…彼女達こそ、俺の唯一の癒しだったのに。


「…そうですか。帰れないんですか。ならしょうがないですな」


しかし帰れない以上、諦めるしかない。この世界で第二の人生を始めるとしようか。


人生、諦めも肝心だ。


さらばマイエンジェルズ、君たちの事は一生忘れないぜ……ちくせう。


「ちょ、ちょっと待ってください王様、俺たちって一生この世界で生きていくんですか!?」


王様の言葉に4人組が動揺する。まあ、そうだろう、なにせいきなり召喚されたのに帰れないんだからな。親だって心配しているかもしれない。


「そういうことになるが心配せんでいい。そなた達がここへ来た時、向こうの世界でそなた達は存在しないことになっておるのだ」


「「「「はっ?」」」」


4人組は同時に驚く。


「どういうことか教えてください王様」


「それについては私がお話しします」


王様の代わりにさっきまで空気になってた王妃が話し始めた。


「あの魔法陣には勇者を召喚した際に世界の辻褄を合わせようと力が働き、その者の世界での存在、記憶、経歴などが消されるのです」


ワァオ、なんて都合がいい力だ。


「帰れる方法がなく、動揺しているかもしれません。しかしどうかご安心下さい、勇者樣方を召喚した以上、私達にはあなた方を保護する義務があります。魔王を倒した後の生活も全力で補償致しましょう」


「うむ。わしらにはその責任がある。魔王を倒した後でもそなたらの身の安全を補償し、国同士の争いには絶対に巻き込まぬと誓おう」


確かに魔王倒したら今度は国同士の戦争が起こりそうだ。それに巻き込まれるのはマジで勘弁願いたい。


王様と王妃様の言葉に4人組は理解したのか、「じゃあ、仕方ないな」と言った感じで頷いている。


そうか…元の世界では俺は誰にも覚えられてないのか…ちょっとショックだ。あれだけ家族の為に頑張ったのにな。


まあいい、両親達が幸せに暮らせるならそれで構わない。元々、血の繋がりなんてないんだからな…


実は俺は幼い頃に両親に蒸発され、遠い親戚である今の両親が養子として引き取ってくれたのだ。


別に俺は捨てた両親を恨んじゃいない、そうせざるを得なかったかもしれないし、顔を碌に覚えてない人間を恨んだって仕方ないだろ?


「さて、話が終わったところで疲れているかもしれないが、もう少しだけ付き合ってほしい。この後、そなた達には魔力と属性を測ってもらう。では、持ってくるのだ」


王様がそう言うと、大臣らしき男達が5人両手に2つの水晶玉を持って俺たちの前に立った。


ファンタジーと言えばやっぱ魔法。ワクワク感と同時に魔法が使えるか不安になってきた。


そう言えば小学校の頃、将来の夢に魔法使いと書いたっけ、なれるといいな魔法使い。


ていうか、俺たちいつまで跪いてればいいんだ? 腰が痛くなってきたんですけど?


そんな俺の様子を悟ったのか王様が


「そう言えばいつまでもその体勢では辛かろう。各々、立ってくだされ」


と言ったので全員立ち上がる。ていうか立ってるのもしんどいんだが…この前、バイト先で重い物を何個も運んで腰を痛めてしまったんだ…出来れば座らせてもらいたいのだがそんな事、王様の前で言える訳がないので我慢する。


「さて、勇者達には今から魔力と属性を測ってもらうがその前に言い忘れた事があった。文献では勇者は4人いた。そして今回召喚された者は5人、勇者は膨大な魔力と勇者にしか扱えぬ光属性を持っておる。なので先ほど巻き込まれたと言っていたそなたも勇者である可能性があるわけじゃ。できれば全員が勇者であってほしいのう」


王様は俺の方を見ながら言った。つまり俺達5人の内、1人が勇者じゃないという訳か。どうか俺でありますように。それと魔法が使えますように。


「では、先ずは扱う属性を測ってもらう。水晶玉の上に手を置いてみよ、それで自身が扱う事が出来る属性が分かる」


王様がそう言うと大臣達が俺から見て左の手にある水晶玉を差し出してきたので言われた通りに手を置いた。


すると水晶玉が赤、青、黄、緑と玉の中で光った。


それを見た目の前にいる大臣らしきおっさんが驚きの顔で俺を見ている。そんなに凄い事なのか?


「自身が扱える属性は分かったかの? 属性は火・水・風・土・光・闇の6つあり、闇は魔族しか扱えず、逆に光も勇者しか扱えぬ。そして色はその属性を表す。勇者であるならば水晶玉が金色に光りだした筈、そうなった者は手を挙げよ」


王様がそう言うと俺以外の4人が手を上げた。よかった、俺が勇者じゃなくて。


でもなんで、目の前にいるおっさんは驚いてるんだろうか?


「おぉ、やはりそなた達が勇者であったか。全員が勇者ではなかったのは残念だが仕方あるまい。では勇者達、光以外に水晶には色が現れたかの?」


「はい、俺は他に闇以外の全てが出ました」


最初に平野がそう言うと王様や周りの人が驚いた。


「なんと! 勇者コウイチは5つも扱えるのか! これは歴代勇者の中で最高だ!」


「魔法は1人が扱える属性は1つだけなのです。ですが宮廷魔術師のオリヴィエのように稀に4つの属性を扱える者もいます」


なるほど、それで目の前のおっさんは驚いてたのか。あれ? このままだと俺結構マズくない?


「では、次に勇者ユウガ、ハルカ、カエデの順で申せ」


「はい、俺は火と水と風です」


「私は風と水と土です」


「わたくしは火と風と土です」


「そうか、さすがは勇者。複数の属性を扱えるのは当然なのだろう。では最後に……すまぬ、そなたの名前はなんだったかの?」


さっき名乗ったばかりなのに、なんでもう忘れてるんですか? 重度の認知症ですかコノヤロー。


「…朝比奈 幸太郎です」


「おーおー、そうだった。今度はしかと覚えた。ではコータロー、そなたの属性はなんだったかな?」


「俺は…火・水・風・土の4つです」


正直に言うべきか迷ったが、嘘を言っても目の前の大臣が証人なのでバレるだろうから正直に言った。


「なんと、そなたも複数の属性が扱えるとは、これもまた召喚されたからかの? まあよい、では次に魔力の計測を行う。先ほどと同じように水晶の上に手を置くのだ。では先ず勇者コウイチから順に測りなさい」


王様がそう言って平野が恐る恐る水晶に手を乗せると「ピシッ」という音が聞こえて水晶にヒビが入り、半分に割れた。


その光景にみんな「おおー」と言っていて、王様は笑顔で


「流石勇者だの、水晶にヒビが入れば入るほど魔力が多い証拠なのだ。半分に割れたとなれば、勇者コウイチは宮廷魔術師オリヴィエと同じ魔力を持つこととなる。では次に勇者ユウガ、測ってみよ」


風間も言われた通りに水晶に手を乗せると平野みたいに割れたりはしなかったが水晶に少しヒビが入った。


で、次に柳と天城の番。この2人は水晶にヒビが入らなかったものの、トップクラスに入るほどの魔力を持っているらしい。


「うむ、4人とも膨大な魔力を持っているようだの。では最後にそなたの番だ」


王様がそう言って目の前の大臣が逆の手にある水晶を差し出してきたので手を置く。


すると「パリィーンッ!」という音と共に水晶玉が粉々に割れてしまった。


その光景に全ての人が驚き声に出せない状態になっている。




どうやら俺はとんでもない事をしてしまったようだ…

感想、またはアドバイスお待ちしてます。



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