危機一髪
お久しぶりです。
やっと19話投稿です。1ヶ月も遅れてホントにすいません。
実は頑張れば7月中に投稿出来たのですが、職場での人間関係、仕事内容の関係でちょっと鬱病になってしまいました。
幸い今は大分回復してきて、職場も辞めて転職することになりました。
環境を変えて執筆時間も多くとれるようになりましたので、次回は早く更新出来るかと思いますので今後ともよろしくお願いします。
8/27 サブタイトルを変更しました。
ドーモ。皆さん。アサヒナ=コータローです。
あの後、ジョセフさんが持ってきた料理を食べた後、俺達は一度部屋に戻ってアンジェにこれまでの経緯を話した。
「そんな訳で新しく仲間になったアレンだ」
「ア、アレン・ウェーバーです。よろしくお願いします」
「……初めましてアレンさん。私はコータロー様のメイドのアンジェリーナと申します。以後お見知り置きを」
初めは無表情だったアンジェだが直ぐに微笑み、御辞儀をして挨拶をした。
「は、初めましてアンジェリーナさん」
「私の事はアンジェと呼んで下さいませ。その方が呼びやすいと思いますので」
「あ、は、はい…(綺麗な人だなぁ…)」
「アンジェ、俺達はこれからアレンのパーティー登録をしに行ってくる。依頼も受けてくるから帰ってくるのは夕方くらいになると思う。もし帰って来なかったら先に飯食ったり寝てていいぞ」
「畏まりました。気を付けて行ってらっしゃいませ」
アンジェに見送られながら俺達は宿を出た。
「コータローさんは何処かの貴族の方なんですか?」
「いんや違う、俺はただの平民だ。なんでそんな事を聞くんだよ?」
「いや、アンジェさんのようなメイドを連れてるのでてっきり貴族なのかと思ったんです」
「そうか。アンジェとは旅の途中で出会って、そのまま一緒にいることになったんだ」
本当の事を言うとアレだから咄嗟に嘘をついた。
「へー旅の途中ですか。コータローさんは何処から来たんですか?」
「ずーーーっと東にある、おそらく誰も知らないすんごい田舎から来た」
「そんな遠くから…どうしてまた旅なんかに?」
「ある日町が魔物の大群に襲われてな、住人の殆んどが殺されて、家も殆んど壊されてとても人が住めるような状態じゃないから町を去ることにしたんだよ」
「そうだったんですか…ごめんなさい…」
「謝らなくていいぞ。元々旅に出るつもりだったし、思い出なんかないからな」
だって嘘だし。
「そう、ですか…」
「ところで冒険者がメイドを連れてるのって周りから見れば変か?」
「変かどうかは分かりませんけど、周りの人から見れば貴族の人だと思われるかもしれません」
「そう思われるのか」
「それに、貴族の中には平民を見下してる人もいるのでコータローさんみたいな人を見れば、不快になるかもしれませんから」
「………」
確かにそういう奴に絡まれたら面倒だな、今後の事を考えると貴族になった方がいいのかなぁ…でも、それもそれで色々面倒くさそうだし、先ずなれるのかどうかすら分からんし…ま、その時になってから考えるか。
「(お兄さん、アレン君に本当のことを言わなくていいんですかー?)」
ウィルがアレンに聞こえないように小声で話しかけてきた。
「(俺が異世界から来たって知ったら色々面倒なことになるだろ、だから今はまだ秘密にしておきたいんだ。まあいずれは話すつもりだけど)」
「(そうですかー)」
「(……分かってるとは思うがお前も自分の正体は話すなよ?)」
「(えー、なんでですかー?)」
「(お前、自分が魔族ということを忘れてないか? そんなことをしたら大騒ぎになるだろうが)」
「(アレン君だったら大丈夫ですよぉ)」
「(悪い、何が大丈夫なのか俺にはちっとも分からない。兎に角、今はまだ正体を話したり、バラすような事はしないでくれ)」
「(はいはい分かりましたよぉ)」
「あの、さっきから何を小声で話してるんですか?」
「何でもないですよー」
「?」
「あ、そうだアレン、お前は魔法以外に何か得意な事とかないのか?」
「得意な事…ですか」
「ああ、知識でもいい」
「えっと…薬草には少し詳しいです。あと得意なことじゃないですが、道具さえあれば簡単な薬の調合くらいなら…出来ます」
「へー調合が出来るんですかー、凄いですねぇ」
「調合かー、俺も出来なくはないけど失敗ばかりするんだよな」
城に居た頃に教えて貰ってたけど才能がないのか、殆んど失敗作ばかり出来てたな。
分量や手順は間違ってないのに何故だ?
「兄さんが薬学にも詳しいので地下に居た頃はよく教えてもらっていました」
「へーお兄さんにですかー」
「ええ。両親と妹はボクに冷たかったのですが、兄さんと姉さんだけは優しく接してくれて、色々面倒を見てくれてました」
「成る程、他には?」
「他には…ごめんなさい、それだけです」
「そうか」
調合が出来るなら回復薬とかポーションを買うより作った方が金がかからないし、貴重な薬だって作れるようになるかもしれない。
「そうか、じゃあ魔法の腕を鍛えながら、調合の技術と薬草の知識を高めていくか」
まだ10歳だし、腕を磨けば上達するかもしれない。それに掛けてみよう。
「分かりました。ボク、コータローさん達の役に立てれるように頑張ります!」
「魔法に関しては私も協力してあげますからねー」
「本当ですか。ありがとうございます」
確かに魔法に関しては俺よりウィルの方が経験や知識があるからその方が良いだろう。
その後は世間話をしながらギルドへ着いた俺達。
中へ入ると数十人の冒険者達がテーブルで依頼達成の打ち上げとかで酒を飲んでたり、会話をしていた。
彼等を横目で見ながら掲示板へ向かって依頼を探し出す。
「さーてと、なんか簡単そうば依頼はあるかな?」
「これなんてどうです? 庭の草刈り」
「なんでまた草刈りなんだよ…」
「え? だって早く終わりそうだしお兄さん好きでしょ?」
「好きじゃねーよ!? 誰が好き好んで草刈りなんかするか! もっと他の依頼にしろ!」
「え〜だってそれ以外に簡単そうな依頼なんてもうないですよぉ?」
「じゃあもう討伐でも採集でもいいから、何か良い依頼を探してくれ」
「あの…これならどうですか?」
アレンが一枚のEランクの依頼書を指差しながらそう言った。
「ん、なになに? ホーンウルフ10匹の討伐。報酬は…3000エルトか」
「今までで一番高いですねぇ」
ホーンウルフというのは額に一本の角が生えた狼のような魔物で、知能はあまり高くないが必ず群れで行動し、集団で獲物を仕留めるらしい。
おまけにすばしっこく、角や鋭利な爪で攻撃してくるのでゴブリンより戦闘力は高い。
10匹という数に少し不安があるが、何事も経験だ。報酬金も高いしな。
「俺は構わないけど、ウィルはどうだ?」
「いいんじゃないですか? ホーンウルフは単体ではそこまで強くないですし。アレン君こそ大丈夫なんですかー?」
「大丈夫です。数体だけですが何度か戦った事があるのでそれなりには対応出来ます」
「そうかい、じゃあこの依頼を受けようか」
「もし危なくなったら私がアレン君を助けてあげますからねー」
そう言ってウィルはアレンを後ろから抱き締めた。
「あ、ありがとうございます////」
アレンは顔を赤くしつつ返事をした。ああ、ありゃ当たってるな。
若干羨ましく思いながら依頼書を引っ剝がしてカウンターへと持って行く。
「あ、コータローさんにウィルさん、それにアレン君。こんにちは」
「よーアンナちゃん。午後もバリバリ働きに来たぜ」
「頑張りますねぇ」
「あと少しでランクアップ出来るからな」
現在達成している依頼は6つ、つまり後4つで俺はEランクになれる。
「コータローさんもうすぐランクアップするんですね、いいなぁ…」
羨ましそうな表情でアレンはそう言った。
因みにアレンはまだ3つしか達成していないのでまだ当分先だ。
「あ、そうそう。依頼を受ける前にパーティー登録をしたいんだ」
「パーティー登録ですね、分かりました。加えるメンバーはアレン君ですか?」
「ああ」
「分かりました。ではアレン君、ギルドカードを出してくれますか?」
「あ、はい、どうぞ…」
「ありがとうございます。少々お待ち下さいね」
アレンからカードを受け取ったアンナはカウンターの奥へ消え、暫くすると戻って来た。
「お待たせしました。これでアレン君はコータローさん達のパーティーに加入されましたからね」
「ありがとうございますアンナさん」
「これが職務ですから。カードをお返ししますね」
そう言ってアンナはアレンにカードを返した。
「パーティー登録も終わった所で早速この依頼を受けたいんだが」
そう言ってアンナに依頼書を差し出す。
「どれどれ…討伐依頼ですか。内容はホーンウルフ10匹の討伐、証明部位は額の角です。場所は此処から西にあるユグド村近くの森です」
「分かった。ユグド村へはここから歩いてどれくらいかかる?」
「そうですねぇ…約1時間くらい掛かりますね」
「1時間かぁ…ちと遠いな。馬車を借りる事は出来るか?」
「当ギルドでは遠方での依頼の為に馬車を手配する事も出来ます…が、申し訳ありません。ただ今全ての馬車を出払ってまして、コータローさん達に手配出来る馬車が残っておりません」
「えぇ!? マジで!? 一台も残ってないの!?」
「申し訳ありません…それに先約のパーティーもいるので、コータローさん達に手配出来るのは3日後くらいになるかと…どうします?」
「マジか…仕方ない、歩いて行くしかないか 」
「え〜……」
「まぁ…仕方ないですよね…」
複雑な表情のアレンに心底嫌そうな表情のウィル。
そんな嫌そうな顔すんなよ、見てるこっちまで嫌になってくるわ。
「本当にユグド村まで歩いて行くんですかぁ?」
「YES」
「えぇ〜、1時間も歩きたくないですよぉ〜」
「俺だって1時間も歩くのは嫌だわ。それに依頼を受注した以上、やるしかないだろ」
「破棄するという考えはないんですねー…」
「破棄? 何それおいしいの? 兎に角これは決定事項だ。異論は認めん!」
「はぁ…分かりましたよぉ…」
溜め息を吐いて渋渋といった感じでそう言うウィル。
「んじゃあ行くか。夕方までには戻ってこないといけないしな」
「はいはい…」
「あはは…が、頑張って下さいね」
困ったような笑みをしたアンナに見送られながら俺達はギルドを出た。
そして1時間後、広い平原を歩き続けて、やっとユグド村の前まで辿り着いた俺達。
「や、やっと、到着…」
「さ、流石に1時間も歩けば疲れますね…」
「もう歩けませんよぉ…」
ウィルはずっとぶうぶう文句を言っていたのに対して、アレンは文句の一つも言わずに歩いていた。少しは見習ってほしいものだ。
「馬車でも通ってくれたら良かったのにな…まぁ、そんな都合のいい事が起こるわけないし、取り敢えず、村に入ってちょっと休憩しようぜ」
そう言って2人が頷き、俺達は村に入った。
人口が多いのか村は意外と広く、幾つも家が建っており、村人達は世間話をしてたり、子供達が追いかけっこしたりしていて活気に満ちている。
俺達は村で少し休憩した後、村からちょっと離れた所にある森に向かってホーンウルフを探している。
「いつどこから襲ってくるか分からないから気を付けろよ」
そう言って2人が頷き、俺達は森の中を歩いていく。
『グルルル……』
しばらく歩いていると何やら周りから獣の唸り声が聞こえてきた。
声と気配からして大体12匹くらいだな。
「あ、どうやらお出ましみたいですねー」
ウィルがそう言ったので直ぐさま俺達は戦闘態勢になった。
その動きを見計らったのか、いきなり森の中から1匹のホーンウルフが飛び出して俺に襲い掛かって来た。
「しまったっ!?」
あまりに突然な事に反応が遅れた俺は避ける事が出来ずに押し倒されてしまった。
「コータローさん!?」
「クソッ! 離れろこの野郎!!」
幸いにも咄嗟に顔を掴んだのと角も短かったのもあって刺さることはなかったが、狼は俺に噛み付こうと口をバクバクさせて暴れだし、涎が飛び散って俺の顔に掛かりまくる。
「火よ、我が魔力を糧に敵を燃やせ、『火撃』」
ウィルの声が聞こえると、俺を押し倒していた狼の一匹がいきなり吹っ飛び、炎に包まれ火達磨になった。
狼は断末魔のような鳴き声を出し、火を消そうと地面を転がるが結局消えずに息絶えた。
「ハァ、ハァ…サンキューウィル、助かった…」
ウィルに感謝しながら直ぐに立ち上がる。
「もー、しっかりしてくださいよー。気を付けろと言ったのは何処の誰でしたっけ〜?」
クスクスと小馬鹿にしたように笑いながらそう言うウィル。
「う、うるせーやい! 次は大丈夫だ! 兎に角、まずはこいつらを片付けるぞ」
「はいはい。一つ貸しですよー?」
「分かったよ」
「ウィルさん! 後ろ!」
「ほえ?」
間抜けた声と共にウィルが振り返ると、1匹のホーンウルフが飛びかかっていた。
「『火撃ッ!』
俺は咄嗟に魔法を唱えて、放たれた火の玉はウィルの横を通ってホーンウルフに当たり、狼は火達磨になって息絶えた。
「ありがとうございますお兄さん。助かりましたー」
「これで借りは返したからな」
「分かってますよぉ。それより私達囲まれちゃいましたねぇ」
ウィルの言う通り、俺達の周りは狼に囲まれている。
「お兄さん、狼達の気を引いてくださいな。そしたら私とアレン君が魔法で援護しますから」
「俺に囮になれと…まあいいや。言ったからにはちゃんと援護してくれよ? 後、俺には当てないでくれよ? アレンもな」
「が、頑張ります」
「よし。じゃあ行くぞ!」
そう言って俺はホーンウルフ達の気を引く為に走り出した。
「来いよ狼共! 俺を捕まえてみろ!」
奇跡的に狼達は全て、走り出した俺を追いかけ始めたがウィル達の援護、と言っても殆んどウィルによって次々と倒されていき、残ったのは3匹だけだった。
「お兄さん、アレン君がちょっとキツそうなので後は任せてもらってもいいですかー?」
ウィルがそう言ったのでアレンを見てみると、彼は地面に膝を着いて荒い息遣いをしていた。
「分かった! 後は俺に任せてウィル達は休んでてくれ!」
「じゃあお願いしますねー。アレン君、立てますかー?」
「は、はい…あの、コータローさん1人で大丈夫なんですか…?」
「お兄さんが任せろと言ってるんだから大丈夫なんじゃないですかー? そんな訳で私達は休んでましょう」
そう言ってウィル達が離れるのを確認しながら、体当たりしてきた1匹の狼を躱して剣で切りつけ、狼は倒れると動かなくなった。残るはあと2匹。
「させるかぁ!」
2匹目の狼が飛びかかって来たので腹に回し蹴りを喰らわし、吹き飛ばした。
「ギャインッ!?」
狼はそんな声を出して吹っ飛び、起き上がる前に胴体に剣を突き刺してとどめを刺した。
「グルルル…ガウッ!!」
そして最後の1匹が角の先を俺に向けて飛びかかって来たので、俺も剣の先端を狼の顔に向けた。
狼は回避しようとしたが間に合わず、その勢いのまま脳天に深々と剣が突き刺さり、ドサリと体が地面に崩れ落ちた。
「ふぅ…終わった」
剣を引き抜き血を払って鞘にしまい込み、ううーんと背伸びをした。
「あ、そういえば顔が狼の涎でベトベトだったっけ。うへぇ、気持ち悪りぃ…」
そう言って鞄からタオルを取り出して顔を拭いた。
「お疲れ様ですお兄さん」
「おーお疲れ。大丈夫かアレン?」
「ええ、ポーションを飲んで休んだのでもう大丈夫です」
「そっか。大丈夫ならいいや」
「すみません…ボク…全然役に立ってなかったですよね……」
「そんな事はないですよぉ。アレン君は頑張ってましたよ?」
「でも…ボクが放った魔法は殆んど外してましたし…魔力なんて直ぐになくなりなすし…」
そう言いながら段々落ち込んで行くアレン。
「気にするなよ、これから経験を積んでもっと頑張れるようになればいいさ。だからそんな落ち込むなよ」
そう言って彼女、じゃなくて彼の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「はい……」
「さてと、証明部位である角を剥ぎ取ろうか」
そう言って2人が頷き、俺達は狼の死体から角を剥ぎ取っていった。
「これで全部か?」
「はい、一部焦げてる奴もありますけどねー」
「多分大丈夫っしょ。んじゃあ、一旦村に戻ろう」
そう言って俺達は森を出て村へと戻った。
村に戻った俺達は村長と村人達から感謝された。
村長から聞かされた話によると、なんでも、あのホーンウルフ達に畑の作物を食い散らかされてかなり困っていたそうだ。
最初は村人達で何とかしようと色々対策を立てたが全て突破されて、ついに村人達で討伐に向かったのだが当然の如く、戦闘経験が豊富ではない村人達では歯が立たずに返り討ちにされたらしいので結局、冒険者ギルドへ依頼を出したそうだ。
帰り道も馬車は通らず、俺達は再び1時間かけて歩いて国へ戻った。
「結局、帰りも歩きでしたねぇ…」
「帰りも歩きだと気が滅入るな…」
これは明日筋肉痛になるかもな。
「俺が達成報告をしてくるから、2人は先に宿に戻っていいぞ」
「分かりましたー。じゃあ行きましょうアレン君」
「はい」
そう言って2人は去って行った。
「さてと、俺もとっとと報告を済ませて飯食いに行こう」
現在の時刻は17時を回ったところで日も暮れてきた。
「そういや宿では17時から夕食が食える時間だっけか」
そう言うと腹が鳴ってしまったので俺は早歩きでギルドへ向かった。
ギルドへ向かうと前に来た時とは違って大勢の冒険者達が酒を飲んでて、かなり賑やかになってた。
彼等を横目で見ながら、まだアンナが居る受付カウンターの所まで行く。
決してアンナが目的で行くわけじゃないぞ? タイミングが良いのか悪いのか、俺が行くとアンナの所しか空いてないからだ。
だから一部の先輩冒険者の方々、そんな嫉妬の篭った目で俺を睨まないでください…
「ようアンナちゃん。依頼達成の報告に来たよ」
「あ、コータローさん。戻って来たんですね。あれ? ウィルさんとアレン君は一緒じゃないんですか?」
「2人は先に宿に戻ったよ」
「そうですか、では討伐証明部位を見せてくれますか?」
アンナにそう言われて道具袋から角を全部取り出してカウンターの上に置いた。
「これで全部だけど、一部焦げてるのがあんだけど大丈夫?」
「原形を保たれてているならば問題ないですよ」
「そっか、なら良かった」
「では確認しますね」
そう言ってアンナは角を調べ始めた。
「ところで、結局ユグド村までは歩いて行ったんですか?」
作業しながらアンナがそう言ってきた。
「ああ。行きだけじゃなく帰りも歩きだったよ」
「それは大変でしたね…お待たせしました。全部本物で討伐した数は13匹、報酬金は3000エルトになります」
「ん? 13匹も討伐したんだから追加報酬はないのか?」
「申し訳ありません。依頼書によって追加報酬があるのとないのがありまして、コータローさん達が受けた依頼はそれがないのでどんなに多く討伐しても、通常の報酬金だけになります」
「なんだそうなのか、残念だな」
「あ、でも余った素材は2階が道具売り場以外に素材売り場にもなってますのでそこで買い取ってくれますよ」
「そういや素材も売ってたっけな。分かった、そこで買い取ってもらうよ。んじゃあな」
「はい、お疲れ様でした」
報酬金を受け取り2階へ行って余った角を売った後、宿へ戻った。
ちなみに角は一個250エルトで買い取られた。
誤字・脱字・指摘などありましたらお願いします。




