ゴブリンを倒したその後
お久しぶりです皆様、漸く次話の投稿が出来ました。
あれだけ待たせておいてたったの1話だけかよと思うかもしれませんが、理由を言わせて下さい。
先ずプロットは出来てるのにそれを文章で表現するのが中々上手く行かず、文章に詰まる→調べ物をする→また書いて文章に詰まる→また調べ物をするの繰り返しで時間が掛かってしまい、1話だけしか投稿出来ませんでした。
そして今回もあちこち変な部分があると思いますが、そこはなんとか温かい目で見て下さい。
あれから俺達はゴブリンの討伐証明部位である牙を剥ぎ取った後、採集依頼目標である薬草等を探しに森の中を散策していた。
剥ぎ取る際に剥ぎ取り用のナイフを買うのを忘れてたのを今頃になって気付き、仕方なく剣でやったのだがやりにくかった。
この依頼が終わったら買いに行くか。
「お兄さん、そろそろ戻りません?」
薬草を探してる最中、ウィルがそう言ったので腕時計を見ると、もう昼過ぎだった。
「あーもうこんな時間か。そうだな、そろそろ戻って飯でも食うか」
「そうしましょう、もうお腹がペコペコですよ〜」
「お前、俺よりあんま動いてないクセに何を言ってんだよ。まぁいいや、兎に角戻るぞ」
「はいはーい♪」
そう言って俺達が戻ろうとした時だった。
「だ、誰か助けてくださいッ!」
突然、助けを求める声が聞こえた。
「ん? 誰か襲われてるみたいだな」
「そうみたいですねぇ。で、どうするんです?」
「流石に無視する訳にもいかないだろ、取り敢えず行ってみよう」
そう言って俺達は声が聞こえた方向へと向かって行った。
声が聞こえた方向を頼りに森の中を歩いてみると、開けた場所に出て、そこには小学生くらいの子供が数匹のゴブリンに囲まれていた。
腰でも抜かしたのか子供は尻餅を付いており、ゴブリン達は武器を持ってじわじわと近づいて行く。
ゴブリンの数は10匹とさっきより多く、中には倒した冒険者から奪ったのか、ナイフや剣を持っている奴も居た。
「今回はちょっと多いですねー、手伝いましょうか?」
「あー魔法使えば多分なんとかなると思う。あ、でもヤバそうになったら援護してくれよ?」
「了解です、頑張ってくださいねー」
「あいよ、俺がゴブリン達の気を引くからその間にウィルは子供を頼む」
「分かりましたー」
「よし、じゃあ行くぞ! 『風刃』ッ!!」
俺は魔法を唱え、右手から放たれた風の刃は一体のゴブリンの首を通過した。
するとズルリとゴブリンの首が地面に落ちて、胴体はその場に崩れた。
突然仲間が死んだ事に驚いたゴブリン達は一斉に俺達の方に振り向く。
「おいゴブリン共! 俺がそいつの代わりに相手してやるから掛かって来い!」
そう言って剣を抜き、ゴブリン達を挑発する。
『ピギャーッ!!』
挑発に怒ったのかゴブリン達は一斉に襲いかかって来た。
俺は空いている右手の人差し指を刃物を持ってるゴブリンの頭部に向けて、魔法を放った。
あまり他人の前で魔法は使いたくないのだが今回はそうも言ってられない。
『風弾ッ!』
弾丸のように指先から放たれた小さな風玉は『グチャッ』という音と共にゴブリンの頭部を貫通し、後頭部から肉片と血を撒き散らしながらゴブリンは倒れた。
ゴブリンとはいえ、刃物を持って数で攻められたらヤバいので、刃物を持ったゴブリン達の頭部を『風弾』でブチ抜き、棍棒持ってる奴は普通に剣や他の魔法で倒していった。
「ふぅ、全て片付いたな」
「お疲れ様です、また報酬が増えますねー」
「そうだな、今日はラッキーだ。んじゃ、早速牙を剥ぎ取るとしますかね」
牙を剥ぎ取る時にゴブリンが持ってたナイフを使う事にした。
やっぱりナイフの方が剥ぎ取りやすい。
ちなみにこのナイフは新品なのか、中々質や状態が良かったので戦利品としてこのまま俺が貰う事にした。
ゴブリンなんかに使われるよりずっとマシだろ。元の持ち主もそれを望んでるかもしれない、多分。
兎に角、剥ぎ取りが終えた俺はウィルの側にいる子供に目を向けた。
「助けてくれてありがとうございました。あなた方が来てくれてなかったらボクは今頃どうなっていたか…」
「礼はいいよ、偶々近くにいて無視する訳にはいかなかっただけだからな。あ、俺はコータロー・アサヒナ、Fランクの新米冒険者だ」
「私はウィル、Dランクの冒険者ですよー」
「コータローさんにウィルさんですね、ボクはアレン・ウェーバーと言います。ボクもFランクの冒険者で職業は魔術師をやってて、使える属性は風です」
アレンと名乗った子供は同業者のようだ、茶色いフード付きのローブを着ており、服装はゆったりとした感じの白いシャツに茶色い半ズボンという服装だ。
そしてギルドで買ったのかウィルと同じ肩掛けの鞄を掛けていて、2つの道具袋が括り付けられている。
「よろしく。えっと、一応聞きたいんだがアレンは男の子、なんだよな?」
「あ…は、はい! こんな容姿ですけどボクは男です!」
「え? 男の子? てっきりボクっ娘なのかと思ってましたよー」
と、驚いた顔でウィルはそう言った。
「ぼ、ボクは男です!」
「悪い、実は俺も聞いてみるまでは女の子だと思ってた。だってマジで容姿が女の子なんだもん」
「…ボクは男です…」
落ち込んだ様子でアレンはそう言った。
容姿は可愛らしく、金髪の三つ編みでサファイア色の瞳に、子供らしさを表し、それでいて女の子に見間違える程の中性的な顔をしている。
容姿といい、仕草といい、どう見ても女の子です。本当にありがとうございました。
「取り敢えずアレンは男の子という事にして、一旦ギルドに戻らないか? 腹減ったし、話はそれからでもいいだろ?」
「そうですねぇ、ここに居たら別の魔物が来るかもしれませんしねー、アレン君? もそれでいいですか?」
「あ、はい、ボクも依頼目標は達成してるんで構いません」
「んじゃあ、戻ってギルドに向かうか」
そう言って俺達は森を出るために歩き出した。
「で、ギルドに到着っと」
「誰に言ってるんですかコータローさん?」
「なんでもない、唯の独り言だ」
「?」
アレンは頭にクエスチョンマークを浮かべて首を傾げる。
「ほらさっさと達成報告を済ませて飯食いに行くぞ」
首を傾げるアレンを無視してギルドの中へ入った。
仕事をしに行ってるのか、他の冒険者は数人しかいない。
「あ、コータローさんにウィルさん。無事に戻ってきたんですね」
カウンターの前まで行くとアンナが笑顔でそう言った。
「ただいまアンナちゃん、なんとか無事に討伐してきたよ」
「それは良かったですね。では早速、討伐証明部位を見せて頂けますか?」
「あ、ごめんなさい。先にこの子の依頼達成報告を済ませてくださいな」
ウィルがアレンの頭に手を置きながらそう言った。
「この子? って、アレン君じゃないですか! アレン君も一緒なんですね」
アンナが顔を下に向けるとそう言った。
「ええ。ゴブリンに囲まれていた所をコータローさん達が救われたんです」
「ゴブリンに!? どういうことですか!?」
俺はアンナにこれまでの事を話した。
「そうだったんですか…そんなことが…」
アンナはとても心配そうな表情でそう呟いた。
「あ、依頼達成の報告でしたね。アレン君、採集目標の薬草を見せてくれますか?」
「はい、コレです」
アレンは道具袋から薬草を3つ取り出して見せた。
「確認しますね……うん、目標と同じ物ですし、状態も良いので大丈夫ですね。これでこの依頼は達成されました。こちらが報酬の600エルトになります」
「ありがとうございます」
アレンはアンナから渡された銀版を大切そうにズボンのポケットへしまった。
「では次はコータローさん達の依頼の報告ですね」
「ああ、これが証明部位だ」
そう言って、道具袋からゴブリンの牙を全てカウンターの上に出す。
「わぁ、結構多く討伐したんですね。今確認するので少々お待ち下さい」
そう言ってアンナはゴブリンの牙を一本ずつ確認して行く。
ちなみにゴブリンの証明部位は左右に生えてる牙二本で一体分の計算となる。
「…お待たせしました。全て本物の討伐証明部位ですね」
「本物? 偽物とかあるの?」
「ええ、期限以内に討伐出来なかった魔物の証明部位を、腕の良い職人さんに本物と間違わせるような加工品を作らせて、それを持ってくる冒険者が稀にいるんです。その為、証明部位は必ず本物かどうかをチェックするんです」
「へー」
「まぁ、ゴブリンの牙の偽物を持ってくる冒険者はまず居ないのですが、これも職員の義務なので…」
「ギルドの職員も大変なんだなー。俺には無理だ」
「あはは…っと、話が逸れちゃいましたね。えーと、確認出来たゴブリンの討伐数は全部で15匹、報酬金は依頼目標数である3体と追加報酬の12体を合わせて合計で3200エルトになります」
そう言ってアンナは銀貨3枚と銀板2枚を差し出してきた。
「ん、どうも」
「この後も依頼を受けるんですか?」
「ああ」
「そうですか、無理だけはしないで下さいね」
「分かってるさ」
俺はそう言って金を受け取り、掲示板へ向かって事後受注するために集めた薬草の採集依頼の紙を取って受け付けに持って行った。
「アンナちゃん、この依頼を受注したいんだが」
「分かりました…って、複数の依頼を同時に受ける事は出来ませんよコータローさん? あ、もしかして事後受注ですか?」
「ああ。森に行ったついでに幾つか集めてきたんだ」
「そうでしたか、では3枚纏めて処理しますね。えー、各依頼書の内容がシビレ草を3本、元気草を2本、睡眠花を2本の採集ですね。これらを全て採集済みなんですよね?」
「ああ、取り敢えず全部出すよ」
集めた薬草を全てカウンターの上に出す。
「確認しますので少々お待ち下さい」
「分かった」
ちなみに今出した薬草達は主に薬の調合に使われるが、一応そのままでも食べられるらしい。
効果は名前からして大体想像つくと思うが、シビレ草は食べると一時的に体が麻痺し、元気草は疲労回復の効果があって活力剤、所謂栄養ドリンクみたいな薬に使われる。
睡眠花は花だけど薬草の分類に入ってて、食べるとたちまち眠くなることから睡眠薬の調合に使われる。
元気草や睡眠花は兎も角、シビレ草なんか何の為に使うんだろうか。
「なあアンナちゃん、シビレ草なんて何に使うんだ?」
「それは私にも分かりません。ギルドの追求範囲以外ですので」
作業をしながらアンナはそう言う。
「あ、そうなんだ」
犯罪目的で使われたらどうするんだろ?
「お待たせしましたコータローさん、全て状態が良いので問題ないです」
そう言うとアンナは3枚の依頼書に判子を付いた。
「これで依頼は達成されました。報酬金は3つ合わせて1480エルトになります」
そう言ってアンナは再び報酬金を差し出してきたので受け取った。
「凄いですね、今日だけで4つも依頼を達成するなんて」
「早くランクを上げたいからな。じゃあ、暫くしたらまた来るぜ」
「はい、いつでもお待ちしてますね!」
笑顔のアンナにそう言われて、俺達はギルドを出た後、宿へ向かった。
「ただいまー」
「お。お帰り、今日は早いな。もう仕事は終わりか?」
宿へ戻ると、飯時を過ぎてる所為か食堂はガランとしていた。
「いんや、午後も依頼を受けるさ」
「そうか、まあ頑張れ。ん? なんだアレンも一緒なのか」
「はい、依頼先で彼らと出会ったんです」
偶然にもアレンは同じ宿に泊まっていた。しかも部屋が隣の部屋なのだという。
「そうなのか。ここへ戻って来たという事は飯を食いに来たのか? もしそうなら、時間的にもう無理だぞ」
「そこをなんとか! 頼む、この通りだ!」
手を合わせて頭を下げながらそう言うと、おっさんは少し考える仕草をする。
「……しょうがない、特別に用意するから空いてる席に座って待っててくれ」
「ありがとうおっさん! 恩に着るぜ!」
「今回だけだぞ。それと俺の名前はジョセフだ」
「ジョセフさんか、そう言えば自己紹介がまだだったっけ。俺はコータロー、こっちはウィル。あともう1人はアンジェリーナって言うんだ」
「おお、あの別嬪なメイドか…てことはおたくはどっかの貴族様か?」
「いや違う、俺は唯の平民だ」
「そうなのか? まぁいい、あまり詮索しないほうがよさそうだ」
「そうしてもらえると助かる」
「分かった、取り敢えず待ってろ」
そう言ってジョセフはさん厨房へ入って行き、俺達は空いてるテーブルに座った。
「さてと、飯が来るまで話の続きでもしようか」
「そうですねぇ、アレン君は依頼であの森に来てたんですか?」
「はい、採集依頼で薬草を集めに来たんです。そして薬草を探してたらゴブリン達に出会ってしまい、逃げながら魔法で数匹は倒せたんですが数が多くて、魔力も尽きかけてて、結局囲まれてしまったんです」
「成る程、それで絶体絶命な時に俺達が来たと」
「その通りです。あの、コータローさんって剣士ですか? それとも魔術師なんですか?」
「う…え、えっとだな、俺の職業はちょっと特殊でな、魔法剣士って言うんだ」
「魔法剣士? 魔法と剣術を使いながら敵を倒すってことですか?」
「まぁ、そう言う事だな。森で見たかもしれないが、俺は複数の属性が使える。だけどそれは他の人には黙っててくれ」
「? なんでですか?」
「目立ちたく無いからだ。目立つと色々面倒くさいからな」
「わ、分かりました…」
「ところでアレン君は誰かパーティーを組んでる人は居ないんですか? 魔術師なら大抵、パーティーを組んでるんですけどねー」
「昨日まではDランクの人達と組んではいたんです…だけどボクは元々魔力が少なくて中級魔法を1つ使うだけですぐ魔力切れを起こしちゃって戦力にならなくて解雇されたんです……それ以来、別のパーティーに入れてもらえるよう、色んなパーティーに声を掛けたんですが組んでくれる所はなかったんです……」
暗い表情でアレンはそう言った。
「それで1人で依頼を受けたんですねー。そもそも、なんでアレン君は冒険者に?」
「えっと…実はボク、ミノアスという此処から南西にある国の貴族の者だったんです」
「へー貴族か。だったって事は今は違うのか?」
「ええ。ボクの家は先祖代々、優秀な騎士や魔術師を生み出して来た事で有名で…兄は魔法兵団隊長、姉は聖騎士団副隊長として共に城に仕えてます」
「へぇ、それで?」
「それで…ボクも魔力を持って生まれたのですが、兄と比べると遥かに低くて、さらには同じく魔力を持って生まれた妹にも劣ってたんです。父の代でボクという落ちこぼれが生まれてしまい、世間体を気にした両親はボクを居なかった者として地下に閉じ込め、ボクが10歳になると当分の生活に困らないくらいのお金を渡され、家を出て行けと言われてこの国へ来たのですが…ボクのような子供なんてどこも雇ってくれず、仕方なく冒険者になって今に至るという訳です…」
「……」
ヘヴィィイイイイイイッ!? なんか小説でもこういうのってよくあるけど実際に聞いてみると結構ヘヴィーだよ! こんな事聞かされたら素直に同情するわ!
「あらら…大変だったんですねぇ。でも大丈夫! これからアレン君は私達と一緒ですから!」
「ほ、本当ですか!? ありがとうございますっ!」
「ストーーップ!! 何勝手に決めてんのお前!?」
「えっ? だってこの流れってアレン君を仲間にするんじゃないんですかー?」
「いやいやいや、これは流れで決めていい話じゃないだろウィルさんよぉ…」
「いいじゃないですかー、この子可愛いし、放っておけないし、この子可愛いし、何よりも私、弟か妹が欲しかったんですよ〜」
「いやそれお前の願望だよね!? そしてさりげなく可愛いって2回言ったよな!?」
「大事なことなので。だからお兄さん、この子を仲間にしましょうよ〜。可哀想じゃないですか〜」
「いや、同情はするよ? 同情するけどそれとこれは話が別だ」
「そ、そんな! お願いします! ボクを仲間にしてください! 雑用でも何でもしますから!」
涙目で土下座してくるアレン。
さてどうしよう、泣きながら土下座されると断りづらいんだよな、かと言って仲間してもあんまり頼りにはならなさそうだし…面倒くさいなー。
「ぐすっ…どうしても…ダメですか…?」
涙を流しながら俺を見上げてくるアレン。
ああ困ったなー、どうすりゃいいんだ。
何となくウィルの方を見てみると、彼女はジト目でジッと俺を見ていた。
「………」(ジーーー)
「……なんだよ?」
俺の問いに応えずに無言のままジト目で見てくるウィル。
「………」(ジーーー)
「ああもう! お前までなんだよ!?」
「………」(ジーーー)
「いやなんか喋ろ? なんか喋ろうよ!? 無言で見つめられるのってなんか怖いから!」
「………」(ジーーー)
「分かったよ! 分かったからそんな目で俺を見るな! アレン、仲間にするから泣くなよもう…」
「ホントですか!? ありがとうございますっ! ボク、精一杯頑張ります!」
アレンは泣き顔を辞めて笑顔になり、ウィルはジト目を辞めて同じく笑顔になった。
片方は涙目、もう片方はジト目の精神攻撃とか俺の豆腐メンタルには致命的だ…。
まあもう、ぶっちゃけ考えるのが面倒臭くなってきたんだよな。
アレンは今はまだ弱いけど、これから強くなるかもしれないし、これも何かの縁だと思って受け入れよう。
そんなこんなでアレンが俺達の仲間になった。
感想についてはこの場を借りてお返事します。
先ずたくさんの感想や意見ありがとうございます。
設定が曖昧すぎとか、もっと色々勉強してから書け等ありましたが、これからは皆さんの意見を参考に楽しく、面白く読めるように努力して行こうと思います。
尚、前作とはどう違うの? というとストーリーは前作とほぼ同じで、設定を変えて文章も幾つか変更しただけです。
これからもどんどん、感想や意見をお待ちしております。
あ、でも作者はメンタル弱いので出来るだけ優しくして下さい。
9/25 アレンの出身国、ミアノスの国名をミノアスに変更しました。




