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装備を買いに武具屋へ

カウンターを離れた俺はアンジェ達の所まで行った。


「悪い、待たせた」


「ホントですよー、待ちくたびれちゃいました」


「無事に冒険者として登録できたようでございますね」


「ああ、職業を記入する際に迷ったけどな」


「何て書いたんですかー?」


「魔法剣士」


「「魔法剣士?」」


アンジェとウィルが同時に首を傾げる。


「ほら俺って剣術と魔法の両方が使えるだろ? だから魔法剣士と書いた」


「魔法剣士ですかー、なんだかカッコいいですねー」


「取りあえず登録は終わったから、今度は防具を買いに行こう」


2人が頷き、俺たちはギルドを後にした。





アンジェの案内で武具屋に向かった俺達。


「このお店でコータロー様の装備を整えましょう」


そこはなんというか、ゲームに出てくるテンプレな感じの武具屋だった。


中へ入ってみれば剣や槍、弓など色んな武器が綺麗に並べられていて、防具も1つ1つ丁寧に展示されていた。


「おースゲエ」


「へー中々良い物が揃ってますねー」


「いらっしゃい! あ、アンジェさん久しぶり!」


「お久しぶりですサラさん」


カウンターにいる女性がアンジェに声をかける。赤毛のポニーテールがよく似合う17歳くらいの女の子だ。


この様子だとアンジェはこの店によく来てるみたいだ。


「そっちのお兄さん達は初めて見る顔だね、もしかして新人の冒険者さん?」


「俺はそうだがコイツは普通の冒険者だ」


「そうなんだ! あたしはサラ、よろしくねお兄さん! 名前を聞いてもいい?」


「俺はコウタロウ・アサヒナ、んでこっちがウィルだ、よろしく」


「ウィルです、よろしくお願いしまーす」


「コータロー? なんか変わった名前だね」


「よく言われるよ」


「今日来たのは武器と防具を買いに?」


「ああ、防具を買いに来たんだ」


「そうなんだ。好きに見てってね!」


そう言われて防具や盾を展示してる場所を見てみる。


良いのはあったにはあったが、俺の体格に合ってないから諦めた。


「なあ店員さん、防具のサイズって調整出来るのか?」


「ん〜出来るには出来るけど時間がかかるし、その分お金がかかるよ? それに防具の調整はお爺ちゃんがやる事で、私は唯の店番だから出来ないの。ごめんね」


「今日はお爺様はいらっしゃらないのですか?」


「うん、お爺ちゃんはちょっと今、出かけてるんだ」


申し訳なさそうな顔でサラは言う。


「そうかい、分かった。自分の体格に合った奴を探すよ」


こういうのって自分の体格に合った奴を選ぶのがベストだと思うしな。


そう思いながら再び防具を探しだした。





「んー……」


探し始めてから数十分、俺は未だに防具達と睨めっこしていた。


ゲームだったら適当に選んでも良いのだがこの世界はゲームじゃない。


死んだらそれっきりでザ◯リクみたいな魔法で復活は出来ないし、そんな魔法やアイテムはない。


だから武器や防具は慎重に選ばなければならない。


とは言ってもやっぱ性能が良さそうなのは値が張るな。


王妃様から大金貰ってるとはいえ、今後の事も考えると出来るだけ高いのは避けた方がいいか? でも防具って自分の命を預けるから、出来れば性能が良い奴を買いたいんだよなァ…


なんとなくアンジェ達の方を見ると、3人共仲良さげに談笑していた。なんかちょっと羨ましい…


そう思いながらも自分に合った防具を探してると


「何か良い物はあったか若いの」


「うおっ!?」


いきなり知らない声の主に話しかけられて思わず驚いた。


振り返ってみると、そこにいたのは頭全体をバンダナで覆った厳つい顔のじい様だった。


「爺さん、いきなり後ろから声を掛けないでくれよ。ビックリしたじゃないか」


「カッカッカッ! 驚かせてスマンのぉ! まさかそんな真剣に見ていたとは思わなんだ!」


「あ、お爺ちゃん帰って来たんだ。おかえりー」


「お〜サラ、ただいま。ん? そこにいるのはアンジェか?」


「お久しぶりですアイザックさん」


「うむ。久しぶりじゃな」


この爺さんもアンジェとは親しいようだ。


「あー爺さん? おたくがここの店主なんですか?」


「うむ、ワシがこの店の店主兼鍛冶職人を務めておる、アイザック・ノルマンじゃ。ちなみにサラはワシの孫娘じゃ」


「そうですかい、俺はコウタロウ・アサヒナ。よろしく爺さん」


「コータロー? 変な名前じゃな」


「先程お孫さんにも同じ事言われましたよ」


「私はウィルでーす。よろしくお願いしますー」


「うむ。今日は何しに来たのかね?」


「俺はついさっき冒険者になったばかりで、防具を買いに来たんだけど、中々自分に合ったのが見つからないんですよ」


「なるほど。どれ、ワシが選ぶのを手伝ってやろう」


そう言って爺さんは俺の体をペタペタと触り始める。


「ふむ、お前さんの体格だと…この辺りにあるのが良いじゃろう、デザインとかに希望はあるか?」


「なるべく動きやすいのを、更に言えばそれなりに防御力があるといいんだが…」


「ふむ、そうなるとすればこれだな」


爺さんが選んだのはシンプルで動きやすそうな革鎧だった。


「お、これ良さそうだな」


「この鎧はこの前作ったばかりの物でな、防御力は保証するぞい」


「ここにあるのは皆お爺ちゃんが作ったんだよ」


「へ〜そうなのか〜」


防御力は保証すると言ってもどれくらいなのかわからない。


もし呆気なく壊れたらそん時はそん時、運が悪かったと思って諦めよう。しかしここにあるの全て爺さんのお手製とは凄いな。


「試着しても?」


「構わんよ」


そう言ったので試しに着けてみる。おぉ、他の奴と違って軽いし、動きやすい。サイズも丁度いい。


値段も他の革鎧と違って安いことに多少、不安はあるがこれにしよう。


「爺さん、これをくださいな」


鎧以外にも、掌だけ皮で他は鉄の篭手に、関節の邪魔にならないデザインの鉄の肘当てと膝当ても買い、装着した。


予算を軽く超えたが背に腹は代えられぬ。


「毎度あり、冒険者らしくなったのう」


「中々似合ってるよお兄さん」


「ありがとう」


「そっちの嬢ちゃんは防具とか選ばなくてよいのか?」


「私は魔術師なんで防具は必要ないですよー、かさばるだけですしねー」


さらりと嘘をつくウィル。いや、空飛んでたし、大鎌とか出したりしてたから魔術師と言えなくもない…か?


そういやウィルが魔法使ってるところまだ見てないな、機会があったら見せて貰おう。


「なんじゃ嬢ちゃんは魔術師じゃったのか。なら必要ないのう」


そうそう、言い忘れたけど、この世界の魔術師って杖とか必要ないらしい。


「アンジェや、お前さんの武器は何本か換える時が来たじゃろう? 見せてみい」


爺さんがそう言うとアンジェは頷き、懐からクナイみたいな武器を幾つか取り出して、カウンターの上に置いて見せた。


「仰る通り、何本か古くなってきましたので、新しく換えようと持ってきました」


「やはりな、そこに置いておけ、新しいのは既に作っておる。持ってくるからちょいと待っとれ」


「ありがとうございます」


アンジェがそう言うと、爺さんは店の奥へと消えてった。この店を選んだのもそれが目的だったんだろうか?まぁ良いのがあったから気にしないが。





「凄いなーあの爺さん」


「お爺ちゃんはこの道50年のベテランだからね、自分が作った物の状態とか分かるんだってさ。凄いよね」


てことはアンジェの持つ、クナイみたいな武器は爺さんが作ったのか。


「成る程、ところで君と爺さんとアンジェは知り合いなのか?」


「うん、アンジェさんは何度かウチに来てくれてたからね」


「正確には私の祖父がアイザックさんと親しかったのでございます。この武器も元々、祖父が昔、アイザックさんに作らせた物だったのでございます」


「へーそうなのか。じゃあ使い方もお爺さんに?」


アンジェはコクリと頷く。彼女の爺さんはどんな人だったんだろうか?


「祖父はこの武器を使った特殊な戦闘術を開発し、私に習わせていました」


成る程、スキが無いのも気配の消し方もその所為か。


「お爺さんは今も元気なんですかー?」


「…残念ながら祖父は数年前に病で亡くなりました」


「あ…ごめんなさい、辛い事を話させちゃいましたね…」


「大丈夫ですよウィルさん、気にしないで下さいませ」


アンジェは暗そうな顔からニッコリと笑みを浮かべた。


「アンジェさんは強いんですねー」


ウィルがそう言うと爺さんが戻って来た。


「待たせたな、ほれ」


爺さんはクナイみたいな武器をアンジェに渡した。


「いつもありがとうございます」


そう言ってアンジェはポケットから通貨を取り出し、爺さんに渡そうとするが爺さんは受け取らなかった。


「金は要らんとゆうとるに」


「ですが毎回、無料で換えさせて貰っては私の気が済みません。どうか受け取って下さい」


「アイツとの約束だからな。今までもこれからも金は要らんよ。気持ちだけ受け取っておこう」


「しかし…」


「アンジェさん、お爺さんがそう言ってるんだから、ここはご厚意に甘えておきましょうよー」


ウィルの言葉にアンジェは渋々と言った感じで金をポケットに戻し、爺さんとサラに見送られながら俺達は店を出た。





「コータロー様、私の所為で時間を浪費してしまい、誠に申し訳ございません」


店を出た直後、アンジェは頭を下げた。


「いいよ別に、急いでなんかねえし」


「ですが…」


「いいから、そんなのは気にしないでくれ」


「…ありがとうございます」


「それよりどっかで飯食おう。腹減っちまったよ」


時刻は13時を過ぎたところ、宿はもう遅いのでどっかの食堂に行くしかない。


「…そうですね、まだ昼食を取っていませんでしたから何か食べましょうか」


クスリと笑みを浮かべてアンジェはそう言った。


「私なんて朝から何も食べてませんからお腹ペコペコです〜」


「お前、食べなくても平気なんじゃなかったっけ?」


「それは餓死しないという事であって、基本的にお腹は空きますし、食事はしますよ〜」


「あっそ、じゃあ飯代は自分で出せよ」


「えっ?」


「えっ?」


お前は何を言ってるんだ? というような顔で俺を見るウィル。


結局、ウィルの分の飯代まで払って腹ごしらえをした俺達。


いや俺だって最初は断ってたんだぜ? なのにウィルったら全く諦めず、挙げ句の果てには土下座までしてくるし、周りから冷たい視線を浴びさせられたもんだから仕方なく出した。


それでもウィルは気を使ってくれたのか、一番安い物を頼んだのでまぁ、良しとしよう。


腹ごしらえをした後、アンジェとウィルは宿で留守番、俺は雑用依頼を受けようとギルドに向かった。


ちなみに俺が戻るまで部屋に誰か訪ねて来ても出るなと2人には言ってあるし、戦闘力も高そうだから問題はないだろう。


そんな訳でギルドへ到着。中へ入ると登録しに来た時とは違って、大勢の冒険者が掲示板を見てたり、酒を飲んでたりしていた。


中には勇者達と同じくらいの年や、それより下の少年少女もいた。



ギロッ



俺が中へ入ると少年少女を除いて、一斉に俺を見る冒険者の方々。んだよ、何見てんだよ。


視線を気にせずに掲示板へ向かい、Fランクの雑用依頼を探す。


いきなり討伐系の依頼を受けるのはまだちょっと早い気がするからな。


俺を見ていた冒険者達は興味が失せたのか、元の状態に戻った。


「さて、Fランクの依頼は…お、あったあった」


見つけた依頼書にはこう書かれていた。



Fランク雑用依頼:報酬 1000エルト、依頼内容は2日以内に庭の草刈り。



「(そんなの自分でやれよ…でも1000エルトかー…面倒だけどこれにするか)」



そう決めた俺は依頼書をカウンターへ持って行く。


「よう、アンナちゃん」


「あ、コータローさん。依頼を受けるんですか?」


「ああ、コレを頼むよ」


依頼書をアンナに差し出す。すると冒険者達から今度は嫉妬の籠った目線が送られてくる。


成る程、彼らはアンナちゃんが好きなのね。まあ可愛いし、その笑顔で男の冒険者達のハートを知らぬ間に射抜いたんだろ。


「Fランクの雑用依頼ですね。場所は依頼主のローレンスさんのご自宅になります。依頼達成した際にこの用紙に依頼主のサインを貰って、こちらに提出してください」


そう言って1枚の紙を渡される。


「分かった。じゃあ行ってくるぜ」


「頑張って来て下さいね」


紙を受け取ってアンナに手を振られながらギルドを出て依頼の場所へ向かった。





「あなたが僕の依頼を受けてくれた方ですか。初めまして、ローレンス・フォードです」


「コウタロウ・アサヒナだ、よろしく」


住民に道を教えて貰いながら依頼主のところへ行き、依頼主と出会った俺。依頼主は優しそうな顔の青年だった。


「では早速、庭の草刈りをしてください。休憩を取りながらでいいんで」


「分かった」


依頼主にそう言われて作業に取り掛かった。ちなみに剣と防具は邪魔なので依頼主に預けてもらい、代わりに手袋とか鎌を貸してもらった。




数時間後・・・・




「これでよし、っと」


ローレンスが書類にサインをして俺に渡す。


「どうもありがとうございました。いやぁ〜助かりました、まさか1日で終わるなんて思いもしませんでしたよ」


満面の笑顔でローレンスは言う。あの後、黙々と草刈ってたらいつの間にか全部刈り終えてた。庭の広さや草の量がどれくらいだったかはご想像にお任せしよう。


「コータローさん、仕事が速いんですね」


「いや、なんというか、気が付いたら終わってたみたいな? ハハッ」


「そうなんですか? 兎に角、これで僕の依頼は終わりです。これ、ちょっと少ないですが貰って下さい」


ローレンスは5枚の銀板を俺に差し出した。


「え、いいのか?」


「ギルドでも報酬が渡されると思いますが、僕個人からのお礼として受け取って下さい」


「分かった、有り難く貰うぜ」


「また機会があったら頼みますね」


「機会があって俺の気が向いたらな。じゃあな」


追加報酬を貰い、ギルドへ戻って依頼達成の手続きをした後、宿へ戻った。あ、ヤバ、草むしりの疲労が今になって出て来た。


てか、今思えば火、は火事になりそうだからダメとして、風属性の魔法使って草刈ればよかったんじゃ? まあもう済んだ事だからどうでもいいか。


そう思いながら宿の自室へ入る。


「ただいまー」


「おかえりなさーい」


「お帰りなさいませ」


アンジェとウィルが出迎える。


「初めての依頼はどうでしたー?」


「草刈りをしてかなり疲れた。お陰で腰がイテェ」


「雑用依頼って大体そう言う物ですよー。住民の人達がやりたくない仕事を押し付けるのが多いですからねー」


「ふ〜ん…ところでお前、冒険者だったんだな」


俺はウィルが魔族なのになんで冒険者になれたのかを思い出したので聞いてみた。


「そうですよー驚きましたー?」


「ああ、お前確か魔族なんだよな? よく冒険者になれたじゃん」


「だってほら、私の見た目が人間ですからー」


「はっ? それがホントの姿なのお前? 変装してるとかじゃなくて?」


初めて出会った時から思ってたがウィルって、魔族なのに角や尻尾が生えてないんだよなァ。だから変装してるのかと思った。


「変装なんてしてないですよお兄さん。私は最初からこの姿でしたよー」


「マジで?」


「私自身、なんでこんな姿なのかは分かりませんけどね」


「ふーん…まぁ、その姿なら人間達の生活に馴染めていいんじゃないか?」


「そうでございますね。ちなみに人間が死霊魔術を使うと魔族として扱われます」


アンジェがそう言った。


「え、どういうことだ?」


「ネクロマンサーってどんな人か知ってますー?」


「確か死体をアンデッドやスケルトンとかに変えて操るんだっけか?」


「その通りです。それはどういう事か分かりますかー?」


「えーっと、死者への冒涜?」


「ご名答、ネクロマンサーは死霊魔術を扱う者、それは禁じられた魔術であり、その魔術を使う人は神への反逆だとかなんとか言われて、魔族として見られちゃうんですよー」


「そんな理由があったのか…話を戻そうか、じゃあお前はどうやって冒険者になれた? 見た目と書類は誤摩化せるとしても、あの水晶玉は触れた奴の情報を読み取ってカードを作るんだろ? なら見られた瞬間大騒ぎになるんじゃないのか? 」


「おそらく裏ギルドでしょう」


アンジェが小声で俺に言った。


「裏ギルド?」


「はい。事情があって、公式の場では登録出来ない方が冒険者登録を出来るギルドの事でございます。ウィルさんはそこで冒険者登録をしたのでしょう」


「その通りですアンジェさん。裏ギルドは高いお金さえ払えば、例え犯罪者でもネクロマンサーでも登録出来ちゃうんですよー」


っと、小声で言うウィル。


「そうなの?」


「ええ、あの水晶玉がどういう仕組みになってるかは分かりませんけど、裏ギルドはそれをちょっと弄って職業とかを改竄出来ちゃうんですねー。見た目は兎も角、中身が魔族なので多分騒ぎになるかと思ってましたが、難無くクリアしたので私は普通の冒険者として依頼が受けられるんです。まぁ、顔を知られてる程の悪い人達は無理ですけど。要するにギルドも一枚岩じゃないという事ですねー」


「噂程度には聞いておりましたが、本当にあったのですね」


「そんなのがあんのか…」


「裏ギルドに関しては登録しかしてないので詳しい事は分かりません。でもこの事はあまりベラベラと話さない方がいいですよー? 消されちゃいますから」


「消されるってまさか…」


アレか? 口封じの為に暗殺されるとかか?


「恐らくお兄さんのご想像通りですよー」


「…お前そんな笑顔で怖い事言うなよ…」


「大丈夫ですよー、こうして小声で話してますし、お兄さんとアンジェさんが口にしなければいい話です。ていうかもうこの話は忘れましょうよー、私自身、あそこには2度と関わりたくないですからね」


「…わかった、この話はやめよう。ハイ!! やめやめ。ウィル、お前のギルドカードちょっと見せてくれ」


手をパンパンと叩いて話の流れを変える。


「いいですよー、はい」


ウィルはブレザーの胸ポケットからカードを取り出し、俺に差し出す。



====================

  氏名:ウィル・サウスラーズ

  所属:商業都市ヘルメリア

  性別:女

  年齢:16

  職業:魔術師

====================



カードのデザインには俺のと変わりはなく、職業は普通に魔術師と書かれている。こんな事が出来るんだな。


ちなみにランクはDと表示されていた。


「ウィル・サウスラーズってお前の本名なの?」


「ウィルは本名ですけど、サウスラーズは登録時に適当に思い浮かんだ名前です」


「へー…Dって確か冒険者として一人前だっけ?」


「そうですよー」


「ふ〜ん…しかしお前って不思議な存在だよな」


「んーなんと言いますか、目が覚めたらそうなってた…とでも言っておきましょうか。私自身、自分の事がよく分からないので…」


「う〜ん…」


なんかまた謎が増えて訳分からなくなってきたぞ?


「そうか…もういいや、サンキュー」


ウィルにカードを返す。


「そろそろ飯でも食おう」


「そうでございますね」


アンジェがそう言って、俺達は夕飯を食いに1階へ降りてった。

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