対策
がしゃどくろ その恐るべき再生能力に打つ手はあるのか
優介、優子、胤景、白雲、凍次郎、魏嬢、白愁牙、の7名は がしゃどくろの対策を考えていた。悪い事に がしゃどくろには、物理的な攻撃が殆ど効かない事が解ったからだ。
唯一効いた攻撃が白隙の必殺技だけで 其れも完全に相討ちと言う結果に終わっている。
では、何か霊的な攻撃となるが、破壊しても相手は 再生する化け物だ。
優介は、がしゃどくろの誕生に付いて考える事にして集まった全員に聞く事にした。
「そもそも がしゃどくろはどうやって誕生したのか 知ってる者は 居るか」
白愁牙が小さく手を上げ、
「私が聞いた話では、戦国時代に戦で死んだ魂、この場合、怨念がそばにあった人骨に取付き その怨念が怨念を呼び巨大化して行った物と聞いています」
「では、骨では無く その怨念を消滅若しくは浄化をしないと何度でも再生するって事で良いですか」
今度は、魏嬢が小さく手を挙げて
「その通りだと思うわ。今の世の中漸く人は 死ぬと焼くと言う埋葬をしているけど ここ何年って言うぐらい歴史は浅い。と考えると 恐ろしい事に至る所に材料の骨が地中にはある事に成るわよね」
白雲が小さく手を挙げ
「そうだな。其れでも核となる人骨が必ずあると言う事には成らないか」
白愁牙が手を挙げ
「そうか、取り憑く為には何れか一つに集まる必要があるわねで無いと強大な力は生まれない筈だわね」
優子は、(もし、乾電池見たいに直列に繋がってたら、全ての妖が 並列乾電池である必要性がないわ)と呟いた。
魏嬢が「そうよ、姫、其の可能性も有るよね」と言ったので 優子はもう1度同じ事を喋った。
優介が「うーん、成る程。擲弾発射器M203A2を使って10発撃ち込んでバラバラにしてもダメ。太郎丸が術を使って押し潰してもダメだった。これをどう思う」
胤景が肘から上だけを挙げ
「其れは単に物理攻撃だけだったからでしょうね。其処には霊衝と言う攻撃は無かったからと考えたらどうです」
「霊的攻撃と言えば、其処は天狗の旦那方でしょうが、蔵王丸さんの結界術や兄貴の結界、太郎丸さんのは 霊衝を物理現象に置き換えてるからダメだったって事っすね。まぁ、平たく言えば、俺達の技ってのは、基本太郎丸さんと同じなんだけどさ」
凍次郎が言と優介が、
「結界技は良いんだが 結界は永久じゃないからね。結界が切れるとまた 再生する。がしゃどくろを滅殺すると言う事は、結界で包み込み結界内部を灰にして中から怨霊を叩き出す方法と言う事になるな」
「白雲の炎は、結界内に侵入出来るのかい?」魏嬢が聞くと
「いや、やった事がない」と返答する。
「凍次郎は、大きさに対して凍砕の技を使えるのか」胤景が聞くと
「森一つ、凍らせたもんね、あんた」白愁牙がにやにや笑いながら言うと
「だから、九州で謝ったやんけ」と優子を見ながら言うと優子が眉間に皺を寄せていたので
「ごめんなさい」と言い直した。
「では、凍次郎さんが凍砕を使って粉砕してそれをあたしが風を使って一ヶ所に山積みする。それを蔵王丸さんが、結界に止め、断ち割る。それを外部から白雲さんが火焔を使って内部に高熱を発生させる。出て来た怨霊を優介さんが浄化もしくは滅殺する。こんな感じかねぇ」魏嬢が言うと
「蔵王丸さんは、片手を犠牲にして玉賽破の右目を潰して今は、治療中なんだぞ」胤景が言う。
「わかってるわよ。だって今の話の流れ的には、これしか無いじゃない」魏嬢が言った。
「こっちに来てる医師は弟子っていってたぞ、俺一寸聞いてくるぜ」凍次郎が席を立って出て行った。
「優介、コーヒーでも飲もうか」優子が言いながら席を立ち、コーヒーポットとコップを8ケをボールに乗せて皆に配り出した。
「ふ~、落ち着くな」優介がタバコを取り出して火を点け、コーヒーに口をつける。
医療テントの奥で起き上がる者が居た。
一番奥にベッドを運ばれた特殊突撃部隊の手を無くした者だ。彼は自分の手が異常な手に成っている無くした方の手を見つめていた。
(遂に俺も人で無くなったのか)
独り言を呟き、立ち上がる為にベッドの端に両手を掛けた。
「ガシャーン」という音と共に男は立ち上がるどころか 床に尻餅を着いて仰向けにひっくり返った。見るとベッドは手を付いた所からスチールの骨ごと綺麗に裂け男を挟んで左右に分かれていた。
音を聞いて医師が2人 駆け込んで来た。
「もう目覚めたのか」
「早いな、流石だ。鍛え方が違う」
其々に言っている。
「これは・・・どうなった」男が聞くと
「お前さん ナイフが何か刃物を想像しなかったか」と聞いて来る。
「敵を・・・鎌鼬を」
「だから其の手がベッドを切ったんだ」
別の医師が「そうだなテニスボールを想像してみろ、それで起き上がれる」
男は丸くて瓢箪の様な筋が入ったテニスボールを想像して床に手を付いて見るとグニュというボールの感触がある。ゆっくりと腕に力を入れると起き上がった。
「な、出来ただろ、想像でその手の能力は変化する。其れが鬼の手だ。最初にお前さんは3本の指の其の手を見た。お前さんの手のイメージは指が5本だった、だから今の其の手は人と変わらぬ手に成っている。しかし、能力は違う、全てイメージで能力は瞬時に変化する。しっかり勉強するんだな。おめでとう退院だ」と言い、別の手を掴んでテントの外へ追い出されてしまった。
掴み出された男は、胤景へ退院の報告とこの手の報告をする為に作戦本部が置かれたテントへ向かう。入ろうとすると中から凍次郎が出て来て鉢合わせになった。男は思わず手を自分の胸辺りに持って来てガードをイメージしてしまうと凍次郎が後ろに吹っ飛んだ。
「すいません、まだまだ慣れて居ないもので 遂、ガードをイメージしてしまいました」慌てて近づき、別の手を差し伸べる。
「びっくりしたぜ、触れただけでこれか」
凍次郎が言う。男は必死に謝る。
「いいって」凍次郎が立ち上がる。
「退院か、おめでとう。早かったな。どうだ其の鬼の手、気に行ったか」胤景の声がした。
「自分はまだ慣れていませんので訓練しないと」
「其処らに座って訓練しろ、無理するな」
「はい、了解しました」と言い椅子に座り色々手を動かしている。
凍次郎が戻って来た。手にボールやバーベルや色々持っている。「また吹っ飛ばされたら堪らんからな」にっこり笑いながら男の前に其れらを置くとそそくさと会議テーブルに戻る。後ろから「ありがとうございます」という声が聞こえた。凍次郎が「おう、頑張れよ。手伝い欲しかったら言ってくれ」答え、「後、2〜3時間ぐらいで手が元に戻るらしいぞ、がしゃどくろ見たいな奴だぜ」とテーブルに向き直りながら言った。
「え、千切れた手が元に戻る? どういう事」
優子が聞くと「姫、流行りの再生治療の究極だな。生えて来たって言ってました」
凍次郎が答えた。
優子は絶句した。
「そろそろ昼か 取り敢えず飯にしよう。飯を喰いながら考えてみよう」
優介が言い、テントを出る時に練習している男にも声を掛けて一緒に食事に出て行った。
「すまない」優介が男に言った。
「何を言うんですか、私達は、この国を守る為に戦っているんですよ。優介さん、貴方が責任を感じる事なんて何一つ無いんですから 謝らないで下さい。こんな機会、無いですからね。義手にするかこの手にするって聞かれた時には正直、びっくりしましたけど、普通だと義手ですよね。それにこの手、結構気に入ってるんですよ」と逆に頭を下げられてしまった。
「がしゃどくろをやっつける作戦、何か思いつかないか」優介が聞く。
「この手、使えないですかね」手を見せながら男が言う。
「君の名前は」と聞くと「上條真一と申します」男が立って挨拶をする。
「イメージか・・・・イメージねぇ」優介が呟く。
「炎をイメージして見て」優子が横から口を出す。
「はい」と真一が答える。
優子がメモ用紙を一枚ちぎってその手に乗せる。ゆっくり焦げて行く。
「ダメ、もっともっと熱い炎、赤じゃなく青を越えて白だっけ」優子が言うと
「はい、白ですね、白い炎」焦げていた紙が一瞬でボッと言う音と共に跡形も無く消え失せた。
「きゃー、すごいすごい。胤景さん、白雲さん、凍次郎さん、魏嬢さん、白愁牙さん 見た、今の見た、もう一回、行くね」優子がまたページを破って手の上に乗せ、「遣ってみて、白よ白」
今度もボッと言う音と共に一瞬で消え失せた。
「すげぇ、白雲の炎みたいだ」凍次郎が言うと
「鬼の手、結界をも切り裂く事が出来るらしい、結界の中に手を突っ込めるな」胤景が言う。
「すごい戦力だけど、真一さん、体は何とも無いの」魏が聞くと
「肘の辺りまで少しだるい感じがします」真一が答えた。
「もしかすると生命力を妖気に変換させて居るかもね。も少し調べて見ないと解らないけど気をつけてね、本物の鬼になっちゃうかもね」魏が言った。
「もし、そうなったら、嫌、そうなる前に殺してください」真一がきっぱりと答えた。
その目には、はっきりとした決意が伺えた。