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九尾の孫 【勇の章】 (3)  作者: 猫屋大吉
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迎撃

遂に金毛九尾と衝突

鐸閃が高機の武器ケースから84mmカールグスタフM3を取り出した。

スウェーデンFFV社のカールグスタフM3 84mm無反動砲を軽量改良した通称、無反動砲(B)、携行用対戦車兵器だ。

狙いは上空より降下して来る玉賽破。

高機に乗車している隊員達も見守る。

無反動砲(B)の後方から炎が噴き出る。

対戦車兵器、その厳ついイメージに似合わない軽い音と共に煙を吐き玉賽破へと飛んで行く。

通常、上から下へ下がる標的は、狙撃しづらいと言われている。

鐸閃の8つの目は、玉賽破を捕らえ、その腕は、確かだった。

玉賽破は、84mm無反動砲弾に気づき、9本ある内の一本を軽く振る。

爆発が起こった。

閃光を伴っていた。

煙の下から変わらず、玉賽破が降下しているのが、見えた。

無傷であった。

「くそ、無傷かよ、シミも付いてねぇ」鐸閃が罵る。

隊員2人がM2火炎放射器を背負う。

鐸閃は、左手に持っていた62式機関銃改を武器ケース横に置き、74式車載7.62mm機関銃を掴み上げる。

74式車載7.62mm機関銃名前の通り車載もしくはヘリに装着して使用される。

横で3人の隊員が、12.7mm重機関銃M2クイックチェンジバレルタイプを高機に取り付けている。

狙撃手は、1名、バレットM82A1を両手で抱えている。

重機関銃M2の装着を完了した。

隊員達は、其々の手にM4-A1カービンを持つ者、HK416を持つ者、どちらもドイツ、ヘッケラー&コッホ社製の自動小銃だ。

其々、降車タイミングでGOが掛かるのを待った待機の姿勢になった。、

当初、7名居た隊員は、6名になって居る。

高機動車、高機が、停車する。

左に寄せ、山側を背にする。

隊員達が駆ける。狐達も走る。

鐸閃が隊員達を抜いて一番に角を曲がる。

角に隠れた状態で狐達は止まり 葉書きを送り出す。

北渡達が居た。残り10名になって居た。

鐸閃が声を上げる。

鐸閃の姿を見た北渡は、途中で厄介な敵と戦闘があった事を理解した。

玉賽破が、道路に降り立ち、「何故、邪魔をする」と少し、甲高い声を発する。

北渡が、「蔵王丸さんが、憑代を叩いた。隊員10名と一緒にこっちに向かっている」叫ぶ。

鐸閃がそれを聞き、理解する。

「妖狐、天狗に土蜘蛛が、そう言う事だな、今後の作戦展開の為に玉賽破の全ての能力を見ろと言う事らしい」北渡に告げる。

北渡が、片手を上げて答える。

鐸閃が74式車載7.62mm機関銃の銃口を玉賽破に向ける。

腹底に響く重低音を発しながら銃口から出た弾は、空気を切り裂く甲高い音を発しながら共に次々に玉賽破に吸い込まれて行く。玉賽破が衝撃波に押され後退する。

だが、無傷であった、相変わらず弾の飛んで来る方向に1本のしっぽで対応している。

「あのしっぽが、邪魔だ」鐸閃が吠えた。



CH-47Jは 連絡を受け仏ケ浦に急行する。

機内で慌ただしく武器を見繕っていた。

HK416が隊員達に渡される。

銃を受取り、装備を確認する。

蔵王丸は、鐸閃と同じ74式車載7.62mm機関銃を掴みあげる。

全員が胸に装備一式を抱き、背中にパラシュートを背負って戦闘待機で待つ。

仏ケ浦上空に到達すると順番に飛び降りて行く。蔵王丸は装備品を2つ掴むとパラシュートを付けずに飛び降りた。次々に降下して行く。降下した先に北渡と鐸閃が居た。



蔵王丸が鐸閃の姿を見た。完全に能力発動の姿となっている。

見ると北渡も変身しようとしていた。

北渡の鼻と口が伸び、耳が後ろへ後退し、尖って行く。

口が大きく裂けて行く。四肢が犬の様に変形して行き、やがて茶色の毛で覆われて行く。

狐にしては、かなり大きい、ポニー程度の大きさだ。

しっぽが9本揺れている。

蔵王丸も唇を噛み、その血を飲み込む。

体が膨れ赤い顔に切れ長の目と前に付き出た鼻の形相に変わる。

北渡が後ろ足で地面を蹴り、玉賽破の正面に踊り出る。

玉賽破の方が体が大きい。

北渡は、ひるまず前足で地面を叩く。

北渡の前足から道路が凍りついて行く。

玉賽破の前足に掛かる。

前足が凍りつく。

後ろ足に掛かり、これも凍りつく。

玉賽破の口角が僅かに上がる。

玉賽破のしっぽの一本が動いた。鐸閃らの玉を避けたしっぽでは無い。

玉賽破は、しっぽを振り、地面に叩き突ける。

四肢と道路に張り付いた氷が飛び散った。

体をバネの様にしならせ飛び上がると地面に四肢を踏んばらせ着地する。

張り付いた氷が辺り一面 跳ね上がり剥がれて行った。

蔵王丸が地面スレスレを飛び、移動すると人差指と中指をまっすぐ伸ばし、拳を軽く握った左手を顔の前で水平にして左手をまっすぐ水平に伸ばした。

空間が闇に染まって行く。

玉賽破のまた別のしっぽが回った。

闇がしっぽに吸収されて行く。

蔵王丸の顔が驚愕に変わる。すかさず右手の拳を握り、人差指と中指をまっすぐ伸ばすと横縦横と【井】の字を体の前で書くと右手を空にかざした。

風の刃が玉賽破目掛けて降り注いだ。

玉賽破が消える。

蔵王丸の背後に現れ、蔵王丸の左肩を噛んだ。

「グワ~」と肩を抑え、前に転がる。

噛まれたのは、左の上腕だった。玉賽破の口に蔵王丸の左腕があった。

蔵王丸は、転がって玉賽破と距離を取る。

玉賽破の咥えた蔵王丸の腕には、炸裂弾が握られていた。

炸裂弾が爆発した。

玉賽破の右目に金属片が当たる。

「ぐぇっ」と呻き、右によろける。

右目には、炸裂弾の破片が深々と刺さっていた。

蔵王丸は、それを確認してニヤリと笑うと気を失った。

玉賽破が、蔵王丸によろよろと近づく。

北渡が前足で地面を叩いた。鐸閃が跳ぶ。

凍って行く。玉賽破の足元が凍って行く。

玉賽破の四肢が凍る。

地面に張り付けられた。

しっぽが動いた時、鐸閃が蔵王丸と玉賽破の間に着地し、玉賽破の左顔を殴る。

玉賽破の脳が揺れた。

その強靭な膝が揺れた。

鐸閃が振り返り、蔵王丸の巨体を肩に担ぎ、北渡の後ろへと走った。

玉賽破の左目は、真っ赤に充血し、右目は失明して居た。

金色の毛が逆立っている。

鐸閃と北渡の後ろに高機が走り込む。

12.7mm重機関銃M2が高機の上で火を噴く。

玉賽破が飛び上がった。

空中で器用に身体を捻りまた違うしっぽを動かすと稲妻を発生させて鐸閃と北渡、後ろの高機目掛けて襲い掛かる。

鐸閃が「全員退却、急げ」と声を掛け 担いだ蔵王丸を高機の後ろに乗せた。

隊員達が其々の車に乗込み 338号線を南下して行く。鐸閃達も後を追う。

玉賽破の顔半分は、血塗れになっている。

深手を負っていたのか其の儘 道路に降りると膝を折り横になった。

「追って来ないな」

鐸閃が言うと北渡は、

「あの最後の左フック、見事でしたよ」

「俺たちのコンビネーション結構 良いな。狐君達、怖かったろう」

「は、はい。でも葉書きを送り続けてましたからそれに隊員さん達が守って呉れて・・・蔵王丸さん、大丈夫ですかね」

「・・・多分。出血はとっくに止まっている」鐸閃は、蔵王丸を見つめながら言った。

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