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九尾の孫 【勇の章】 (3)  作者: 猫屋大吉
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戦闘

がしゃどくろ 再戦開始

巨大ながしゃどくろの体躯の前で凍次郎、白隙、来牙が自分達の技をコラボする。

凍次郎が右足を大きく後ろに出し、両手を大きく前に出し、一気に上に上げ、両手を前に突き出す。

がしゃどくろの上部の空気が波打った。

温度の全く違うエリアが発生し蜃気楼の様な現象が起こる。

空気が凍る、空気中の水分が雪化しダイヤモンドダストが発生するが、其れすらも凍り降り落ちて来る。

恐ろしい程の冷波が上から降りて来た。

凍次郎の必殺技、凍砕だ。

彼の二つ名になった技であった。

この技を受けて過去、立って居た者など無い、絶対零度の物質すべてが凍る冷波の攻撃である。

がしゃどくろの巨大な体が上から急速に凍って行く。

頭蓋の頭頂部から肩、背骨、肋骨、腰骨、大腿骨から足首、つま先へとどんどん凍って半透明になって行く。地面のアスファルトもピキピキと音が鳴っている。

太郎丸が「敵じゃ無くて良かったな」誰に言うでも無く呟いた。

パキッ、バキバキ、ピキッ、ガシャーン、カランカラン

がしゃどくろの最も重量の掛る足首がガラスが砕ける音がする、砕けた音だ。

足元を失い、その上に乗った腰骨が落ちる。

腰骨に引きずられ上半身が落ちて行く。

衝撃で背骨が砕けた。

鎖骨が落下し、頭部、頭蓋は元ある場所から段々に落下して行き氷ついた道路で砕けた。

その間中、カシャカシャパキパキと砕ける音がしている。

半透明、そう曇りガラスの山の様な骨の山が目の前に盛り上がっていく。

白隙が骨喰藤次郎を左手に下げ、右手で抜くとその山に向かって熱量を極端に抑えた十文字剣撃を連発する。妖気を纏った剣撃が飛んで行く。

一発、山が弾け飛ぶ。

一発、弾けた山が更に粉砕される。

一発、奥の山が弾ける。

計5発で完全に平坦化した。

来牙も長篠一文字を下げ、ゆっくりと抜刀し袈裟に構えた。

ユラユラと刀の刃から靄の様な物が纏わりついていた。

斜めに振りおろし、横に薙いだ。剣撃が飛んで行く。

がしゃどくろの後ろに隠れていた妖達が凍る。

次いで薙いだ剣撃は、がしゃどくろの後ろに凍りの厚い壁を作った。

凍次郎を真ん中に右後ろに白隙、左後ろに来牙が其々待機し警戒態勢を取った。

凍次郎が「太郎丸、上田、藤堂準備してくれ」と後方に言いながら三角形のフォーメーションを維持しながら後方に下がって行く。

替わって太郎丸が先頭に立ち、上田、藤堂がその左右に分かれて少し後ろで待機する。

凍次郎が「山城、伊庭、上條、山田、後方左右、上部は、問題ないか」と声を出す。

山城、伊庭、上條、山田が其々に「はい、現在侵入者無し、オールクリアです」と答える。

凍った骨が動き出した。

太郎丸が「上田、藤堂、頼む。遣るぞ」と小声で言うと上田、藤堂は無言で頷いた。

藤堂が「光ってます。左の2つ目、その後ろもです。5つの光が見えます」

太郎丸が「上田、どうだ」

「こっちは、光ってませんね」

太郎丸が「左のを結界で包むぞ」

2人が、「はい」と答えると凍次郎が「白隙、準備しろ、蒸発をイメージしろ」と叫んだ。

太郎丸が両手を胸の前に持って行き印を結び出し、結ぶ印の速度が上がって行く。

太郎丸の周りに印が現れ、その印が梵字に変化する。

梵字が太郎丸の周りをぐるぐる回り出し、がしゃどくろの氷の塊2つを囲んで行く。

丸く回っていた梵字が停止して四角く停止した。

内部が黒い靄で充満して行く。

内部にパチパチと光る稲妻の様な火花がうっすらと見える。

その四角のキューブが2つゆっくりと上昇して太郎丸の前に並ぶ。

驚く事に太郎丸は、2つの結界を形成させ、それを同時に操っていた。

これは、現在居る自分の世界と其れとは別にもう2つの世界の時間までを操っている事に相当する。

蔵王丸は、1つが限界であった。だが、太郎丸は、難なく2つの結界を形成している。

凍次郎、白隙、来牙、鵬辰は、目を丸くしてその光景に見入る。

太郎丸は、「えっ、何か変?一寸待ってねもうじき安定するからね」としゃべっている。

キューブが2つ並び、内部でプラズマの発生が激しく成り、それに連れて内部が透明化して行く。

太郎丸が「透明の方が見やすいでしょ」と驚くべき発言をしながら両手は印を切り結びながら「どう、出て来た?まだ2つだからしんどく無いんだけど熱いよ」と額から汗を流しながら言っている。

白隙は、抜き身の刀を鞘に納め腰を落とした。

居合の構えにし、目を閉じる。

右手を軽く柄に当たるか当たらない位置にし、やや左手寄りにした位置でとまった。

左手に持った鞘が赤から青、青から白色に変化し、眩しい光を発している。

来牙が「あいつ、何時の間に新技を・・・やっぱ、凄えなぁ、あいつ」と呟く。

凍次郎が、後ろから黙って来牙の頭をはたき、「あいつは、暇があったら刀を振っている、お前もちょっとは見習え、あの勤勉さを」と言った。

藤堂が「キューブの中で何か動いてます。出ます。キューブの中で骨から分離して集まって来ています。黒い靄が集まって丸くなって来ています。骨からの靄の出が少なく成って来ました。靄が固形化して来ました。もう少し、もう少しでキューブ2ケ共、中の固形化が完了します・・・・・今です」

太郎丸が結界を梵字に変化させ、印に戻した。

印が両手に吸い込まれる様に掌に消えて行く。

結界が解けた。

白隙がヒューと言う呼吸音の後、目を開き抜刀した。

同時に2本の白い閃光が2つのキューブを切り裂いた。

電光石化の燕返しであった。

藤堂が「やった、靄の固形物が粉になって蒸発して行く。凄い。完璧に焼失しました」

興奮した声で叫んだ。

凍次郎が、「あと2つ、全部で7つだったよな」と言うと

上田が、こっちには無いですねと言い、藤堂ももう無いと答える。

鵬辰が「切っちまったんじゃないのか」と言い、「このままだと邪魔だから山側にどけるぞ」と言い両手から蜘蛛の巣を出し、それをガラスの塊の様な堆積物の真ん中に張り、一気に横方向に引っ張ると真ん中が綺麗に無くなり、山の斜面に張り付けた、そして「乗車するか」と言い、隊員達と太郎丸が乗車した。

凍次郎が「おい、来牙、お前一番後ろの車に乗れ、後ろからの敵を全部殺っちまいな」と言い、「白隙、前の氷壁を壊せ、侵攻するぞ、こっからが本番だ」と言い、変身する。

凍次郎の肢体は、真っ黒な毛に覆われた9本の尾を持つ巨大な狐へと変貌する。

「はい」と返事をし、白隙も変化する。

口に抜き身の骨喰藤次郎を銜えた白い毛に覆われた9本の尾を持つ狐だ、凍次郎に比べ2周り程小さい。

太郎丸が車内で「取り敢えず あの2人に任せようぜ」と言い、近くの鞄からおにぎりを出して、出かける前に10ケ程、作って貰ったんだ、食べる?とか聞きながら大きなおにぎりをモシャモシャと食べ始め、あ、これ昆布だ、おいしいなぁと独り言を言いながら右手の指を口に入れながら左手で2ケ目に手を出している。



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