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九尾の孫 【勇の章】 (3)  作者: 猫屋大吉
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開戦

作戦開始、最終戦争開戦です

輸送へり、CH-47J 3機が湯野川温泉の空き地、駐車場に降り立った。

戦闘員の全員が、ヘリの周りに集合し、整列した。

彼らを取り巻く様に非戦闘員の全員が周りに集まっている。

胤景、優介、優子の3人が戦闘員達の前に並ぶ。

胤景が「之より最終作戦を行う。各自、モチベーションを高め自分の仕事を行え」と激を飛ばした。

優介は「玉賽破の野望を阻止する為に此処に集まって呉れた全員に感謝する」頭を下げ、「この戦いを最終戦とする為、玉賽破を完全に叩き潰す。だが、忘れないで下さい。私は、貴方達を危険に晒す事に成ってしまった、貴方達其々、怪我をしない様に気を付けてください。相反する事を言っている事は、重々解っています。ですが守って下さい。貴方は貴方の隣の人を守って下さい、それがこの局面を打破し、勝利する事の出来る最良の方法と考えています。私達は、1人で戦う訳ではありません。此処に集まった戦闘員、非戦闘員全員と共に戦います。その上で勝利を勝ち取り、1人1人の大切な人を守りましょう」と演説した。

戦闘員、非戦闘員全員から拍手が沸き起こり、勝鬨かちどきが上がる。

胤景が「戦闘開始、行くぞ」と号令を掛けると、戦闘員達は一斉に其々の機体に乗り込んで行き、胤景、優介、優子も機体に乗り込んだ。




玉賽破は、東の空を仰ぎ見た。横にいた野狐も空を見る。

CH-47J、ヘリの機影が2つ見えた。

玉賽破が「来たか、良し、全員に伝えろ、戦闘開始だ」と言い立ち上がり338号線を南へ歩き出した。

この時、玉賽破は、決定的な見落としをしていた。ヘリが一列に並んで飛行していた為、実際は3機だったのだ。途中で別れ、2機と1機に別れ、2機は、むつ市役所脇野沢庁舎に1機は佐井村立福浦小中学校に向かって行た。




むつ市役所脇野沢庁舎に到着した2機から

鵬辰、太郎丸、凍次郎、白隙、来牙、特殊突撃部隊の上田、藤堂、山城、伊庭、上條、山田の11人が降り立ち、高機4台に装備を移し替え出発準備を急ぐ。

山の向こうから鳥達が飛び一斉に此方に飛んで来て、飛び去って行く。

鵬辰が「来るぞ、急げ。押し返すぞ」大声で叫んだ。

医師、看護師達に「高機1台は、置いて行きます。けが人搬送や退却用に使用して下さい」と言いフォーメーションを大声で戦闘員に伝えた。「前2台、斜め後ろに各1台、行くぞ」と言った。




佐井村立福浦小中学校西の空からC-1輸送機が超低空飛行でやって来た。

先にCH-47Jで到着して居た特殊突撃部隊の新、斉藤、柳、林の4名は、道路の脇に待機している。

胤景、蔵王丸、太郎丸、白雲、魏嬢、斯眼、槃蔵、の7名が見守っていた。

優介、優子も迷彩服に着替えこれを待つ。

12.7mm重機関銃M2を装備した高機2台が、パレットに衝撃吸収部材を装着した台座に乗って道路の上を滑って来る。槃蔵が「上手いな、あのパイロット」と呟いた。

特殊突撃部隊隊員達が走り寄り保護装備を外し、高機2台を運転して此方に走って来る。

13名、全員が乗車すると338号線に出て左折し、南方向に向かった。




小さな橋を越えた所で鵬辰達が会敵した。

先頭車2台の高機2台に搭載された12.7mm重機関銃M2が、火を噴く。

発射音の後、ピーと空気を切り裂く音と共に連続して敵の前衛を撃ち払って行く。

鵬辰がその後ろを走って来る妖達に向けて84mm無反動砲を発射する がしゃどくろ正面に着弾した。

斜め後方左右の高機2台の上に白隙、凍次郎が其々立ち、向かって右の山側上から来る妖達は、火炎の剣撃を浴び切断されて行く。左から来る妖には、凍次郎が術を放ち氷となり其れが振動で砕けて行く。

驚く事に凍次郎は、軽く握ったこぶしに人差し指と親指を立てた鉄砲の形を手で真似て人差し指をピンポイントに敵に向け一体一体確実に仕留めていた。

ついにがしゃどくろの正面に到達した。

他の妖達は、がしゃどくろの後ろに下がる。

高機4台が停車する。

鵬辰、太郎丸の前に凍次郎、白隙、来牙が道路に降りたった。

上田、藤堂が、鵬辰、太郎丸の背後に居る。

白隙が命がけで奪った がしゃどくろの腕が治っていた。新しい骨がその腕となったようだ。

白隙が「くそ、腕が再生してやがる」と小声で叱責する。

高機4台の12.7mm重機関銃M2に山城、伊庭、上條、山田の4人が張り付き前後左右を警戒している。

がしゃどくろが 雄叫びを上げた。




338号線を高機2台が疾走する。山間の道に4気筒ディーゼルエンジンの音が響いている。

玉賽破の横にいた野狐が、「後ろから車が近づいております」

「観光客だろ」玉賽破が言う。

「気に成ります。先程、双発の飛行機が低く飛んでおりましたので。私、見て参ります」

言い、体を捻りながらジャンプして来た道を引き返して行った。

高機が八柄間山を左周りに周り込んだ時、前方から疾走して来る野狐とぶつかった。

先頭の高機に搭載された12.7mm重機関銃M2が、火を噴いた。横に薙ぎながら連射する。

野狐が立ち止り、「やはり、挟み撃ちか、こちらが本隊って事は無いだろうな」と呟いた。

野狐が強く上下のあごを噛む、

野狐の体が2倍、3倍と膨れ上がった。

前足で地面を叩くと道路のアスファルトがめくれ上り盾とする。

白雲が「ふん、小癪な、野狐の癖に。今までの相手と一緒にするんじゃねぇ」

いつもの温厚な物言いからは想像出来ない怒りを露わにして高機の後部ドアを開けて出て行く。

高機の横に来て おもむろに右手を斜めに振ると野狐の盾にしていたアスファルトが、鋭利な刃物で切った様にバッサリと切断された。切断されたアスファルトは、落ちてから切り口が溶けていった。

野狐は後ろに飛んだ。左肩が少し切れて毛が燻っていた。

「こ、これは、もしや火炎の白雲か」野狐が呟く。

「そうだ、俺が火炎の白雲だ」と言いながら斜めに薙いだ右手を水平に往復させた。

野狐は「ぐっ」と声に成らない音を伴ってその首と両足を切断された。

切断された頭が(玉賽破様にこの事を)と考えた時に

「そうはさせる訳にいかん」と言い、掌をその頭に向けるとその頭が蒸発した。

白雲は、高機の方へ向き直り「さぁ、急ぎましょう」と言いながら急ぎ、乗り込んだ。

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