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九尾の孫 【勇の章】 (3)  作者: 猫屋大吉
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移動

遂に全面衝突の幕が切って落とされた。

玉賽破ぎょくざいぱの野望を挫く為に結成された優介達の部隊は、それぞれに別れて行動する。


A班は、ヘリUH-60Jに乗る為に第6高射群第22高射隊の空き地から一気に海上自衛隊大湊に向かいそのまま湯野川温泉に向かう。第1次総合指揮系統になる。

B班は、ヘリCH-47Jで先発隊を乗せ、海上自衛隊大湊に向かい火器弾薬を積みふれあい温泉川内に向かう。

C班は、蟹田港からフェリーで脇野沢、338号線を東へ進み、海上自衛隊大湊で食糧他を積んだトラック数台と合流し、ふれあい温泉川内に向かう。CH-47Jが到着した時点で戦闘開始になる。

D班は、青森港からフェリーで脇野沢、338号線を北上し、253号線へ進みかわうち湖を回って仏ケ浦と天ケ森の側面を狙う。

E班は、陸地を回り込む 4号線から279号線で大崎、大間をグルリと回って338号線へ出て敵の背後を取るチームと46号線で三森山から側面を狙うチームに分かれる。彼らは、すでに昨日、出発している。最も移動距離の長いチームになる為、熟練した戦闘員が用意された。


総合指揮班(A)には、中司優介なかつかさ ゆうすけ、相馬優子、白雲、凍次郎、魏嬢ぎじょう胤景いんけい斯眼しがんが居た。白雲、凍次郎は、その妖力で瞬時に前線に移動出来る。彼らと一緒であれば同様に連れて行って貰える。4名が出ると胤景が最終指揮を執る事になる。全ては、最後の玉賽破ぎょくざいぱとの戦いに備えての配置だった。


前線の遊撃部隊(B)は、権現狸、槃蔵、白隙、来牙と五鬼継、五鬼助の精鋭各5名、一緒に九州まで行った胤景、鐸閃たくせんが率いていた特殊特別突撃部隊の面々だ。権現狸と槃蔵の合わせ技、白隙の炎撃と来牙の凍撃、特殊訓練を経て実力は、折り紙付の特殊特別突撃部隊が決めてとなる。白禅の部下10名が後衛を務め、五鬼継一族と五鬼助一族、16名が側面から攻撃し、合流する。


後方作戦部隊(C)は、仏ケ浦を牽制、制圧しながら退路を断ち、時間差で鐸閃らのチームと合流する。

この部隊は、凍次郎の部下で北渡が率いる13名


側面の搖動部隊(E)は、胤景、鐸閃の部下17名、内、10名が三森山から側面を狙う部隊に別れる。その隊長を務めるのは、鐸閃の右腕、鵬辰ほうたつが受け持つ。敵の背面を狙い7名の部隊長は、鐸閃が務め、後方支援部隊を時間差で支援する。


五鬼継ごきつぐ一族と五鬼助ごきじょ一族を剣岳からかわうち湖に運ぶのにCH-47Jが3機必要になったので時間差を考慮し、46号線家ノ辺とかわうちダムの丁度、中間の三叉路のかわうちダム寄りに約450mの直線があるのでそこへC-1輸送機2機によるジープ3台、重火器類、太郎丸以下五鬼継一族16名を空中投下をする事にした。残りの五鬼助一族は、10名。それを率いるのは、蔵王丸。蔵王丸は、剣岳から地蔵山に向かい地蔵菩薩に事の詳細を話し、玉賽破ぎょくざいぱの分身を捜索する許可を得る事が、急務となった。


作戦連絡等の通信手段は、【葉書き】を使用する為、各部隊には、2名づつの白禅、凍次郎の非戦闘員が同行する。通常の無線を使用した場合、電磁波や、妖の能力により阻害される危険性がある為である。


遂に全面衝突に突入する。

玉賽破に賛同する妖、天ケ森と仏ケ浦に集まっている物の毛の能力、種別が、全く解らない状況は、変わらない。白雲と胤景はそれを懸念しているが、今更、何を言っても間に合わない。

作戦は、開始された。

奇襲が全てを決する。

各部隊の移動が開始された。

日頃は、閑静な高山稲荷神社がざわめく、移動が開始する。

車が、人が走り出した。

優介、優子、白雲、凍次郎、魏嬢、斯眼が胤景の運転するハマーH2に同乗した。

行先は、約8Km先の第6高射群第22高射隊だ。

UH-60J、2機に3名づつ乗る。約30分もすれば、目的地の湯野川温泉に到着する。

第6高射群第22高射隊に到着すると太郎丸、蔵王丸とその部下が、CH-47Jに乗り込む所だった。

大きな船体に2つのローターが、頼もしく回っている。

辺りに激しい風と轟音が巻き起こっている。

優介が、手を挙げると太郎丸、蔵王丸も手を挙げた。

優子が飛び跳ねながら手を振る、がんばってと叫ぶが、届かない。

太郎丸、蔵王丸とその部下達が手を振り機体に吸い込まれて行った。

優介達もUH-60Jに乗船する。

風が下から舞い上がる中、腰を落として近づいて行く。

優介、優子、魏嬢が乗り込み、ヘッドフォンをする。

斯眼は、端でうずくまった。

乗務員が「グッドラック」と言いドアを閉める。

機体は、ローターの音が、大きくなり、舞い上がる。

隣では、白雲、凍次郎、胤景が乗船した機体が斜め下に見える。

優介が後ろ向きにのり、優子と魏嬢が、腕を絡めながら後ろのボードに体を寄せている。

機内は、凄い音と振動だ。

優介は、心がワクワクするのを抑えられない。

横の窓から平舘海峡が見えている。

(まさか俺達が乗っているのを知られていないよな)と優介が呟く。

今、最も恐れる事は、作戦がばれる事だ。

平舘海峡のあの向こうに奴がいる。

緊張が、音と振動を消して呉れる。操縦士からヘッドフォンに声が届いた。

「まもなく作戦通り、海上自衛隊大湊上空になります。ここから現地までは、高度をかなり落として山沿いを飛びますが、見た目以上に高度は、保ちますので御安心下さい」

「はい」と短く答える3人。

機体が傾く、旋回して行く、高度が落ちる。

優子と魏嬢の叫ぶ声が聞こえた。

優介が窓を見る。

山が横にある。木が見える。

体中の筋肉が萎縮する、気持ちと体の反応が、全く異なった。

機体の上部が、上がる。

UH-60Jは、前傾を保ち、高速で飛行していたのだ。

ゆっくりとホバーリングしながら高度が下がって行く。

下から突き上げる衝撃が体を突き抜ける

ドアが開く

「到着しました。御疲れ様でした」声がした。

ヘッドフォンを外して立とうとする、膝が笑う。

ガクガクしながら手を伸ばす。

下から伸ばされた手がしっかりと腕を掴む、安心が体を解して行った。

手が、足が動く。ありがたい 優介は、思った、(これが仲間の力)なんだと。

(たったこれだけの事なのに今更思い知る。其処に何の見返りも求めない行動)

地面に立ち、優子に手を貸そうと手を伸ばす、乗務員と2人で順番に残る2人を降ろして行く。斯眼は飛び降りて勝手に走って行く。

手を貸して呉れた乗務員が、先導しながら3人をUH-60Jから離して行く。

操縦士がエンジンを切る

ローターの動きが緩やかになって行き、やがて止まった。

「凄かったよね」優子が言うと魏嬢が、「帰りもあれに乗るのか」ウンザリした顔で囁く。

「着陸した時、膝が笑って立てなかったよ」優介が照れながら言うと

「初乗船であれなら大丈夫ですよ。操縦士も戦闘中を意識して救助用の操縦していませんでしたから」

笑いながら優介達を降ろした乗務員が言ってくれた。

3人が「ありがとう」と素直に握手を求め、降りてこっちに歩いて来る操縦士にも手を挙げて挨拶した。

操縦士も片手を上げた。

3人は、設営されたテントへと入って行った。

魏嬢が手を上に上げると獨雅と賽嬢が駆け寄ってくる。

「優介様、優子様、姫様 御疲れ様でした」と挨拶すると、魏嬢が、

「優子ちゃんも姫って呼ばれてるからね、ややこしいね。あたしは、そうだね、今後、御嬢とでも呼んで貰おうか」と言い、笑うと「はい、解りました、御嬢」と獨雅と賽嬢が言った。

それを見て 優介、優子、魏嬢の3人が笑う。

テントの中に白雲、凍次郎、胤景の3人も入って来た。

胤景は、「状況報告」と大声で叫ぶと一人が走って来て、現状を報告している。

優介、優子、魏嬢、白雲、凍次郎が携帯用長机を向い合せにしてある椅子に其々が腰を掛ける。斯眼は、机の下に潜っている。

そのとなりの大きな机で胤景が、報告を聞きながら地図を広げて三角定規と直定規で線と標しを書いている。さすがに軍人と言う貫禄がにじみ出ていた。

書き終えると胤景が、「兄貴、こちらへ」と優介を呼び、地図を見せながら現況を報告して行く。

「遊撃部隊は、現在、海上自衛隊大湊基地で待機。後方作戦部隊は、全員フェリーで移動中。側面搖動部隊は、279号線を大間を抜け南下中。との事です。斥候からの報告では、奴らは、まだ気づいてはいない様です。取り敢えずは、安心しました。」と言い、明日、朝6時を持って作戦を展開します と言い、一人を呼んで、優介、優子、魏嬢、白雲、凍次郎、斯眼を隣のテントへ案内させる。

テントに入ると其処に夕食の準備が整えられていた。

5人と一匹は、夕食を平らげ、テントを出ると数人が忙しそうに走り回っていた。

「いよいよ戦闘開始だね」優介が言う。

「夢でも見てるみたい。現実離れしすぎてる」優子が言った。



まだまだ続きます

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