強襲するお子様
家の前に誰かいる。誰かわからないが、少なくとも俺が知っている人ではない。
学校からの帰り道、智花と別れてから十分ぐらいで俺の家についてはいたが、家の玄関で堂々と寝ているこのちっさいお子様をどうするか。このままほっとくか?いや、なんせ家の玄関前で寝てるんだぞ?ほっといていいものかどうか……。
うーん、と考え込んでるうちにどうやら先ほどまで盛大ないびきをかいていたお子様がとうとう起きた。
「ふぁー……。む、私としたことが眠ってしまったか。おや?」
目があった。
「おぉ!半身!わが半身じゃないか!!ふむ、元気そうだな!いやぁやっと会えた!これで私も完全体に」
無視して家の中にエスケープすることにした。
なんだあれ、あの年でイケナイ電波を受信してしまったのか?残念な子供だ。声や見かけからしたら女の子な感じがしたが、もはやあれでは先が見えてしまっている。もしかしたら中学、高校で変わったりするのかもしれないが、一度受信してしまったものはなかなか消えないものだろうな。重症だ。
閉めたドアから叫ぶような声が聞こえてくる。しばらくほっとくと声が消えた。
「はぁ、やっと帰ったか……。」
油断した瞬間だった。
バガンッ!!という強烈な音とともに玄関のドアが俺の目の前をあっというまに通り過ぎ、そのまま居間の壁に激突した。
「おっとぉしまった……。やりすぎたな。壊す気はなかったんだが、まぁいいお邪魔させてもらうよ。」
謎の怪力お子様はそのまま(土足で)家に上り込み
「ここが今日から私たちの拠点だっ!!」
と、高らかに宣言なされた。
ドアの修理と壁の修理代、いくらするかなぁ……。