Ⅵ 魔王と勇者
「ココネー!」
自分の名を呼ばれた心音は、家へと続く緩やかな坂を前方から駆けてくるファイの姿に気付くと笑みを浮かべた。
「あ!ファ―――」
だが手を振ろうとした心音はふらりとよろめき、後ろに立っていたユーリが慌てて支えた。
「大丈夫?」
「は、はい」
笑って返事をする心音だったが、ユーリは彼女の顔を覗き込んだ瞬間その顔色の悪さに顔をしかめた。
「やっぱり、ちゃんと訳を話して休んだ方が良い。」
「いいえ、平気です」
「ココネちゃん!」
首を横に振る心音につい声を荒げてしまったユーリはハッとしたように口を噤んだ。けれどそんなユーリを見上げると、心音は嬉しそうに微笑み彼から離れた。
「心配して下さってありがとうございます、ユーリさん。でも、本当に大丈夫ですから!」
元気だとユーリに見せるように両手を握りしめた心音に、ユーリはこれ以上なにを言っても無駄だとため息を吐くと苦笑を浮かべた。
(こういう所も良いなぁ…って思う。けど、そうやって君が強がると周りは余計に心配になってるんだってこと、ココネちゃんは気付いてないんだろうな)
ファイに手を振る心音を見つめていたユーリはふと、以前シルバが言っていたことを思い出す。
『自分は何も出来ないからと何でも引き受けて…それでも自分はやっぱり役に立っていないと言う奴がいる。そいつに…どうしたら、お前は役に立たないどころか役に立ち過ぎて時に心配になるのだと。気付かせることが出来るんだろうか』
妖精舞踏会祭りより一週間程前の事だ。
夜の見回りが騎士団と第二部隊が一緒だった時、シルバは月を見上げてそう言った。その時の横顔がとても辛そうなのに、どこか愛おしげなもの見つめる瞳だったとユーリは思った。
(あの時はその相手が誰なのか分からなかったけど…多分、ココネちゃんの事だったんだろうな)
そう思った理由は一つ。今のユーリの心境が、あの時のシルバの横顔のようだったからだ。
ユーリは駆け寄ってきたファイに駆け寄る心音の背を見つめるとその後を追いかけるように歩み寄った。
「ファイ!」
「ココネ、起きてたんだな」
「うん、結構前にね。それよりも…ファイ。ちゃんと出掛ける時は声を掛けてから行くとか、書置きしてから出かけてよね?起きて下にいったら、誰もいないからすごくビックリしたんだから!」
「うっ…ごめん」
腰に両手を当てて叱り付ける心音にファイはしゅんと落ち込んだように俯く。だが想像通りの怒り方をする心音に、ファイの表情は次第に笑みに変わっていった。
「ぷっ! ホントに期待を裏切らないよな、お前って!」
「ちょっ、怒ってるのに何で笑うの?!」
「あはは!」
年相応に笑うファイに心音が声を上げようとした時、ユーリと共に歩み寄ったシャッテンが心音とファイの間に割って入った。
「待てぇい!」
「「!?」」
「またまた我を無視するとは…我とて堪忍袋の緒が切れる時はあるぞ!!?」
まるで相撲の行司のように片手を合間に差し込んできたシャッテンに驚き固まる二人だったが、彼の顔を見た瞬間ファイだけは大きく目を見開くと思わず叫んだ。
「あー!! お前はシャッテン!? 何しに来た!!」
「今頃気づきおったか、小僧」
「小僧って言うな!―――っ!まさか今度はココネを狙ってるのか?! そうはさせないからな!」
ファイは未だ固まっている心音にハッと目を向けると、彼女の手を取り背に隠すように引き寄せた。
そして腕を組みすまし顔でファイを見下ろすシャッテンを威嚇するように睨み付けるファイを目を丸くして見つめるしか出来なかった心音は会話の内容を頭の中で繰り返す。
「えっ…と、つまりファイはシャッテンさんと知り合いなの?」
「知り合いも何もこいつは…!―――って、なんでココネがシャッテンを知ってるんだ?」
ファイの顔と彼の肩越しにシャッテンの顔とを交互に見つめていた心音を振り返り、今度はファイが問い掛ける。
「あ、実はシャッテンさんが注文書の今日来るお客さんみたいなんだけど…」
「ちょ、ちょっと待て。だって、俺も今日来る予定にしたって客を連れてきたんだけど…」
「え?」
「え?」
まるで鏡のように顔を見合わせ、同じ方向に首を傾げる心音とファイは嫌な汗が背を流れるのを感じた。と同時に、それぞれが持っている注文書を取り出し相手に見せた。
「これが注文書でしょ?」
「そうだな。…でも、これも注文書だぞ?」
「うん…間違いないね」
「どっちも……注文書、だな」
「うん…しかも両方今日の日付だね」
(つまり…)
互いに相手の持つ注文書と自分の持つ注文書を見て、間違いがない事を確かめ合う。
((ダブルブッキングってこと!?))
次の瞬間、二人は顔を真っ青に染めると沈黙した。
アルバイトなどしたことの無い心音にとっては初めての経験であり、この世界に来て初めて仕事のミスという事に直面し、不安で胸がいっぱいだった。
ファイに至っては何度か自分でミスをしたことがあったが、その都度クロムと言う頼れる存在に教えてもらい何とか切り抜けてきていた。
しかしクロムのいない今、心音同様にプチパニックを起こし頭の中は混乱していた。
「あの…二人とも、大丈夫?」
堪らず声を掛けたユーリに視線を向けた二人は今にも泣きそうな顔をしていた。
そんな二人にビクッと肩を揺らしたユーリは引きつった笑みを浮かべつつ二人を慰める。
「だ、大丈夫だって!商売にはこういったミスはたまにあることだろう?こういう時こそ、冷静に対応しなくちゃ!ね?」
「そ、そうですよね!」
ユーリの言葉に少し明るさを取り戻した心音とは対照的に未だ落ち込んだ表情を浮かべるファイは俯き拳を握った。
「…いや、実を一つも見つけていないのにこれから探しに行ったところで見つかる筈ない」
クロムがいないことがファイに諦めの感情を抱かせた。
本当は諦めたくはない。が、現状を打破出来る案を考える余裕すら今のファイにはなかった。
「……。大丈夫だよ、ファイ」
そう言って笑みを見せる心音にファイは顔を上げた。
「大丈夫って…どうするつもりだよ?もう客はこっちの世界に来てて、時間なんてないんだぞ!?」
こんな時に何で笑っていられるんだと、ファイの瞳には怒りとクロムのいない今自分がファームを切り盛りしなくてはいけないのに失敗してしまったことへの悲しみ。二つの色が浮かぶ。
けれど心音はそんなファイの頭に手を伸ばすと、落ち着かせるように優しく撫でた。
「うん。でも、何もしないでいる方が良くないよ。可能性があるかもしれないなら探しに行こう!」
「ココネ…」
「私ね、一つだけなら実を見つけたんだ。だからきっと他の実も見つかるよ!
それからちゃんとシャッテンさんにもファイが連れてきたお客さんにも謝ろう?怒られたらそれは仕方がない事だし、その上で探しに行く時間をくれるように頼んでみようよ、ね!」
心音の落ち着いた声音にファイは呆然と彼女を見つめる事しか出来なかった。けれど心音が再度笑いかけると、ファイはフッと笑みを零した。
「なんか、いつの間にかココネの方が此処の管理人になったみたいだ」
自分の方が年は下だが働くという事に関しては先輩だ、そんなプライドが心の何処かにあったのだろう。ファイはクロムの代わりを務めようと必死だったあまりに側にいる存在を忘れていたと、ココネの言葉で気付かされた。
(ちゃんと冷静に判断できてる。俺なんかよりずっと…ファームのことを分かってる感じだ)
悔しそうに唇を噛みしめたファイに心音は首を横に振ると苦笑した。
「そんなことないよ。此処はクロムとファイの大切な場所、だからファイは自分が何とかしなくちゃって頑張ってた。だからね、私も一生懸命になれた…それだけだよ」
(だって…ファイがいなかったら、普段の私はこんなこと言えてすらいない)
出来ることをしよう、諦めずに行動しよう。
そんな前向きな考えを咄嗟に出来たのは変わり始めた自分の“心”の御陰だと、心音は思う。
確かに仕事関してファイは心音にとって先輩という立場だ。けれどそれを抜きにしてもファイは大人顔負けの知識や洞察力、行動力もある。
だが、それゆえに時に現れる年相応の“危うさ”というものがあるのだと。心音はここ数日のファイの様子により気付いていた。
(ファイは私よりしっかりしてる。だけどやっぱりファイは年下の男の子なんだ。そして…)
「私はファイよりお姉さんだからね!やる時はやるんだよ!」
胸を反らし得意げに言った心音にファイは自然と口元に笑みを浮かべた。
「なんだそれ」
くすくすと笑い声を上げるファイの顔は血の気が戻ったように明るくなっていた。そんな彼の表情に心音は安心したように釣られて笑った。
(だって、本当に…その事実が私を強く支えて、此処に立たせてくれてるんだもの)
心音に兄弟はいない。
けれど、もし兄弟がいたのならこんな感じなのだろうかという気持ちを持ち始めていた。それは同時にファイのことを本当の“弟”のように思うことと、そんな弟を護ろうという“姉”のような感覚が彼女を前向きな行動へと導いたのだった。
「よし!じゃあ、まずはファイと一緒に来たっていうお客さんとシャッテンさんに―――」
「良い話をしているところ悪いが、結局は召喚獣がいないということで良いのだな?」
心音が“謝らないと”という言葉を発する前にそれを遮り、シャッテンが腕組みをして心音とファイの前に現れる。
二人はすっかり失念していたが、先程まで近くで言い合いをしていたのだからシャッテンが二人の近くにいることは何ら不思議なことではない。
だが心音とファイは先程までの自分たちの会話を思い出し、赤面した。
「す、すみません!シャッテンさん!初めに言っておかなければいけなかったのに、今頃になってしまって…!」
「いや。正直に話してくれただけで、我は嬉しいぞ」
シャッテンはさり気なく心音の肩を抱くと顔を近づけ微笑んだ。が、それはファイによって遮られる。
「心音に近づくな!…っていうかずっと黙って見てたのかよ!?声かけろよ!」
「本当はすぐにでも割って入ろうかと思ったのだが…気付いた時の其方らの顔を見てみたいと思ってな、くくっ」
心音を取られ最初こそ不機嫌な顔をしていたシャッテンだったが先ほどの心音たちの顔を思い浮かべているのか、次第に口元がニヤリとした笑みに変わっていった。
「謝ろうとか、少しでも思ったのが間違いだった!こんな奴に謝ってたまるかぁ!!」
「待って、ファイ!」
かあっと怒りに顔を赤く染めてシャッテンに詰め寄ろうとしたファイを心音が止めに入ったその瞬間。
「なるほど。その子が君の大切なモノという訳か」
「え?」
青年の声が響き、誰かに腕を取られる心音。
振り向き、それが人の姿だと気付く前に心音は両手を握られていた。
「初めまして、お嬢さん。僕はユキヤ、貴女のお名前を伺っても?」
「えっと…」
両手を握ったまま徐々に迫ってくるユキヤに心音は顔をひきつらせて後ろに下がる。けれどその距離を縮めるようにキラキラとした決め顔を寄せてくるユキヤに心音が何かに気付き口を開こうとした次の瞬間。
「離れろよ」
「離れぬか」
ユキヤの背後からは金色の剣が彼の喉元に押し当てられ、心音の背後からはしなやかな白い腕が伸び、彼女を取り戻すかのように抱き寄せた。
「おー…怖い怖い」
そう言いつつも笑みを浮かべたままのユキヤに恐怖に似た感覚がした心音が眉間に皺を寄せると、それまで話に加わっていなかったユーリが声を上げる。
「命知らずも良い所だぞ、少年。此処にはいないけどもう一人おっかない人もいるからね。ココネちゃんのことは諦めた方が良いぞ!」
(え。そういう話ですか?)
子を叱る親のような顔で言うユーリについ感情の無い視線を向けてしまった心音は、我に返るとシャッテンの腕の中から抜け出した。
「えっと、ファイはとりあえず剣を仕舞って?シャッテンさんはその…ありがとうございました?」
心音の言葉にファイは渋々剣を下ろし、シャッテンは心音の声に耳を傾けながらも視線をユキヤから逸らすことはなかった。
「えっと、ユキヤさんは…もしかしてファイの言っていた?」
「そうだよ。俺はお客様だぜ?」
ユキヤはキラッとウィンクをした。
「そうなんですね。では先程の話を聞かれていたとは思いますが先に謝らせていただきます。本当に申し訳ありません」
心音はバッサリとそれを無視しビジネス的対応を取った。そんな二人の温度差にシャッテンとユーリはファイに顔を寄せる。
「心音があんなにも冷たい笑みを浮かべるとは驚きだ」
「俺も前にあんな心音ちゃんを見たことがあるけど、もしかしてあれが素とか?」
「いや、多分だけど…アイツが心音の苦手なタイプってだけじゃないのか?」
ファイの予想にシャッテンとユーリは「ああー…」と納得したような声をあげ、その視線の先では心音の冷たい笑みと対峙するユキヤが固まっていた。
実際の所、ファイの言う通りユキヤは心音の苦手なタイプではあったが、それだけが理由ではなかった。
(さっき突然現れた時、さり気なく触ってたのよ!私は…セクハラする奴がいっちばん嫌い!!)
両手を握りしめる前とその後の二回、心音が腰下に感じていた違和感。それは位置的にユキヤが犯人だと示していた。
だがそれをファイやシャッテンのいる前で言ってしまうとユキヤが殺される…とはいかずとも酷い目にあってしまうだろうと、先程の二人の行動を見て思った心音は言わずにいた。
加えて自分の口からセクハラに関して話すことも出来ない。だからこそ心音はユキヤとの間に距離を取っていたのだった。
「今すぐに召喚獣の卵を見つけてまいりますので、此処で大人しくしていてもらえませんでしょうか?」
「いいえ、俺も手伝いますよお嬢さん!話は聞かせていただきましたからね!」
心音の“これ以上近づくな”という意の籠った言葉にも気付かず、めげないユキヤの顔には再び輝きが戻っていた。それこそ鬱陶しいくらいに。
(コイツ…さっきまでの奴と別人じゃないのか?)
先程剣を交えたファイは目の前にいるユキヤの変わりように困惑していた。
冷笑を浮かべたままの心音とキラキラした表情を浮かべるユキヤ。彼らを傍観するシャッテンとユーリ。そろそろ誰かツッコミが欲しい険悪な雰囲気が漂う場に、天は助け船を寄越した。
「やっと追いつけました」
「もう…ファイのバカッ!置いて行くなんて、ヒドイの!」
無表情で白髪のツインテールをした少女と憤慨するラルが、まるで空気を浄化するように駆けつけたのだ。
「お、ユキナ!」
ユキヤは後ろを振り返ると静かに歩み寄って来るユキナに片手を上げる。その姿に小さくため息を吐いたユキナだったが、先程知り合ったファイ以外の人達を見渡しユキヤに鋭い視線を向けた。
「ユキヤ様。…まさかとは思いますが、またご迷惑をお掛けするようなことをなさったのですか?」
「まさかと言いつつ、既に疑いの眼差しを向けないでくださいユキナさん」
潔白だ。と言わんばかりに両手を上げるユキヤを一瞥し、ユキナはふと集める人達の中で唯一の女性・心音を見つけると深く腰を折った。
「私の連れであるユキヤ様が大変なご迷惑をお掛けして誠に申し訳ありません。私はウスレナッド国第二王女、ユキナ・ウスレナッドと申します」
「ちょ、ユキナ、俺は迷惑は…!」
「ご丁寧にどうも。私は御加瀬心音と申します。ファイと同じく此処の従業員です」
ユキヤとは違い礼儀正しい態度のユキナに先程までの嫌な気を抜かれた心音は、何か聞こえたがそれを無視し素直に礼を返した。
互いに顔を上げた後、ユキナはファイへと視線を向けた。
「とても可愛らしい方ですね、ファイさんが早く会いたがった理由が分かりました」
「なっ!?」
「だから言ったでしょ?ファイはね、ココネの事が大好きなの!」
「はあ!?」
ボンッと音が鳴りそうなほど一瞬で赤面したファイはユキナとラルを交互に睨み付けたが、ふと視線を感じて其方に顔を向けた。
「ファイ…」
そこには少し頬を染めた心音が自分を見つめており、ファイの胸がうるさいほど高鳴った。
「ち、ちがっ!…その、す、好きってのは家族としてって意味で!!」
目が回りそうなほど焦ったファイは赤面したまま心音から目を反らし、その目を泳がせる。
「うん、ありがとう」
「へ…?」
心音の声にファイは視線を戻す。
「私も…ファイのこと好きだよ」
「「「「っ!!?」」」」」
心音が優しくも恥ずかしそうに笑んでファイを見つめた。
その視線にファイは赤面のまま目を見開き固まり、シャッテンとユーリそしてユキヤは同じように目を見開くと心音に詰め寄った。
「ココネは小僧の事が好きだったのか!?」
「ココネちゃんはファイ君のことが好きだったの!?」
「あんなガキの何処が良いんだ!!?」
三人の男性に迫られつつも、心音は冷静に彼らを押しのけると不思議そうに言う。
「どうしてそんなに驚いているんですか?」
「いや、だって…」
(これを聞いたらシルバの奴、派手に暴れるんじゃないのか!?)
長い付き合いであるユーリでさえ知らない事が多いシルバ。けれどそんな友人の想い人がココネだと気付いたのがほんの数時間前。そしてココネがシルバではない他の男を好いていたという事実を知ってしまい困惑するしかなかった。
その隣ではシャッテンもまた驚愕に唇を震わせる。
「驚くもなにも嫁が他の男を好いているという事実に驚かぬ夫はいないであろう!しかもそのような小僧に!!」
「シャッテンさん…私はいつから貴方の嫁になったんですか」
本気で驚いているシャッテンに心音が苦笑交じりにそう言えば、ある二人の体がピシッと音を立て固まった。
「もう!皆さん変ですよ!私は何も変なことは――――」
「シャッテンという名は…もしや魔王シャッテン・フェルカーですか?」
それぞれが混乱する姿を前に心音が声を上げた時、それを遮るようにユキナの静かな声が響いた。
その重く心にまで響くような声にファイ、ユーリ、シャッテンの三人も我を取り戻し、そこに居た全員がユキナを見つめた。
ただ一人、シャッテンだけはユキナの問いに答えるように口を開いた。
「そうだ。我はシャッテン・フェルカー。魔界の王をしている」
腕を組んだままそうシャッテンが答えた時、既に彼の眼前に銀に輝く刀身が迫っていた。
「シャッテンさん!!」
心音が悲鳴にも似た声を上げる。
その視線の先では銀の刀身がシャッテンの肩を切り裂き、黄緑色の芝生には赤い血が飛び散る。
「っ!」
「やっと、見つけた――――魔王シャッテン・フェルカー!!!」
痛みに顔を歪めたシャッテンの返り血を浴びたユキヤは嬉しそうに笑っていた。
その笑顔を見た瞬間、初めてユキヤと会った時に感じた底知れぬ恐怖が再び心音を襲った。
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色々と詰め込み過ぎた気もしなくもないのですが…大丈夫でしたか?汗
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