第1話:運への賭け
はじめまして!本作を開いていただき、本当にありがとうございます。
ウェブ小説を読み始める際、「途中で更新が止まってしまうのでは?」と不安に思う読者の方も多いと思います。
しかし、ご安心ください!本作はすでに74話まで完全に執筆済みであり、物語の結末までしっかりと構想が練られています。
この物語は必ず最後まで完結します。絶対に途中で投げ出さないことを、作者のアンジェロ・ダンブロシオ(Angelo D'Ambrosio)としてここにお約束します。
レオンと最凶のバケモノ海賊団が織りなす、理不尽なシステムをぶっ壊すダークファンタジー。皆様の時間を投資して読んでいただく価値が絶対にあると、自信を持ってお届けします!
本当の興奮と狂気は、すぐに始まります。
それでは、未知なる海への航海をどうぞお楽しみください!
最後に覚えているのは、あの「音」だ。
鼓膜を破るような轟音、ひしゃげる金属、胸を貫くような鋭い痛み、そして……完全な暗闇。
他には何もない。
自分の過去の記憶も、誰の顔も思い出せない――ただ一つ、自分が「死んだ」という冷酷で揺るぎない事実だけがそこにあった。
だが、今は……なぜか温かい。
潮風が頬を撫でた。
容赦なく照りつける太陽に目を細めながら、無理やりまぶたを開ける。
立ち上がろうとしたが、体の動きはひどくぎこちなく、うまく力が入らない。
地面に手をつこうと視線を落とした瞬間、息を呑んだ。
それは「人間」の手ではなかった。
灰と泥を混ぜたような色の、分厚く粗い体毛に覆われている。
指の先には黒く太い爪が伸びていた。
パニックが全身を駆け巡る。
慌てて顔を触ると、突き出た長い鼻面、湿った鼻先、そして頭頂部にはピンと立った柔らかい二つの耳があった。
心臓を早鐘のように鳴らしながら、波打ち際へと這いずる。
透き通った水面が、天然の鏡のようになっていた。
そこに映っていたのは、青年の姿ではない。
剛毛に覆われ、怯えた目をしている――「犬の獣人」の顔だった。
「なんだよ、これ……」
そう口にしたつもりが、喉から出たのは低くしゃがれた唸り声だった。
獣人、それも犬人ドッグマンになってしまったのだ。
目の前に広がる果てしない青い海と、背後にそびえる鬱蒼としたジャングルから推測するに、どうやら無人島に漂着したらしい。
パニックを抑えようと深呼吸をしたその時――右耳の後ろに強烈な痒みを感じた。
理性が止めるよりも早く、彼の右脚が勝手にあり得ない角度で跳ね上がり、足先で耳の裏を猛烈な勢いで「ポロポロ」と掻きむしり始めたのだ。
「な、なんだこれ……!? 止まれ、このバカ足!」
レオンは動きを止め、自分の脚を恐怖の目で見つめた。
人間の尊厳と動物の反射神経の板挟みになり、彼は両手で顔を覆って絶望のうめき声を上げた。
この新しい肉体は、人間の尊厳を容赦なく奪ってくるらしい。
* * *
――半年後。
島での生活は、過酷なサバイバルの連続だった。
しかし、彼はすぐにこの世界が奇妙で非現実的なルールに従っていることに気付いた。
頭で念じるだけで、目の前に半透明の水色のホログラムスクリーンを呼び出せるのだ。
『システム・ハブ』である。
砂浜に座り込み、彼はそれを呼び出した。
【 ステータス 】
名前: レオン
レベル: 2
HP: 100/100
攻撃力 (ATK): 25
防御力 (DEF): 20
素早さ (SPD): 30
運 (LUCK): 0
残りステータスポイント: 10
【 インベントリ 】
ヤシの実 ×3
粗末な木の槍 ×1 (品質:低)
【 スキル 】
野生の疾走 (フェラル・ダッシュ) Lv.1:
両脚にエネルギーを集中させ、爆発的な加速を生み出す。10秒間、素早さ(SPD)が50%上昇する。
リストの最上部にある名前を読む。「レオン」。
これが自分の本名なのか、それとも今入っているこの肉体の名前なのかは分からないが、悪くない響きだ。
この名前を使うことにした。
しかし、何度見ても驚かされるのはこのインターフェースそのものだ。
「完全にRPGの画面じゃねえか」
犬の鼻面を歪め、皮肉な笑みを浮かべながら独りごちる。
レベル、四次元インベントリ、スキル……この狂った世界で唯一、論理的な拠り所だった。
なぜかは分からないが、彼の頭はこのシステムを完璧に理解できた。
「残りステータスポイント:10」の文字を睨みつける。
この半年間、彼は過酷な自然と闘い、生き抜いてきた。
初めて巨大な甲虫と遭遇した時のことは今でも忘れられない。
彼は自分を奮い立たせ、敵を威嚇するために、息を深く吸い込んで威圧的で壮大な雄叫びを上げようとしたのだが、喉から飛び出したのは「バウッ!!」という、どう聞いてもただの犬の元気な吠え声だった。
あまりの恥ずかしさに、彼はそのフラストレーションをすべてぶつけるように、普段の倍の勢いでその虫を木の棒で叩きのめした。
ともかく、巨大昆虫を狩り、骨を折るような思いをして……たった1レベル上げるのに、丸半年もかかったのだ。
耳の後ろの毛を掻きながら、大きくため息をつく。
(島に誰もいないのに、攻撃力を上げて何になる? 寿命か餓死で死ぬだけなのに、防御力を上げてどうする?)
「運 (LUCK):0」の項目を見つめた。
素早さを上げることもできるが、逃げ場のない島で速く走れたところで、まったくの無意味だ。
「くそったれ。全部賭けてやるよ」
ホログラムに触れた肉球をスワイプし、10ポイントすべてをそこに注ぎ込んだ。
【 運 (LUCK): 10 】
画面が点滅する。肉体的な変化は何も感じない。
がっかりしながら、彼はヤシの木の下で丸くなり、波の音を聞きながら眠りについた。
* * *
翌朝は、いつも通りの始まりだった。
レオンは目を覚ますと、毛についた砂を払い落とし、いつもの海岸パトロールに出発した。
小さな入り江を囲む崖の角を曲がった瞬間、彼は立ち止まった。
頭の上の耳がピンと立つ。
彼が極振りにした「運」が、最初の配当を支払った瞬間だった。
白い砂浜の上に、一隻の小さな木造船が静かに乗り上げていたのだ。
完全に無傷だ。
後部には日よけのための葦を編んだ曲面の屋根があり、両側面には頑丈なオールが2本置かれている。
心臓を高鳴らせながら、船に向かって猛ダッシュする。
しかし、縁から中を覗き込んだ途端、彼は息を呑んで立ち止まった。
船の中には、不自然な姿勢で倒れ込む3つの死体があった。
塩と時間に衣服を食い尽くされ、真っ白な白骨と化している。
その骸骨の一つのあばら骨の下に、何かが見えた。
先端の金属が錆びついているが、まだ十分に頑丈なモリ。
そして少し離れた骨の下に半分埋もれるようにして、使い込まれた革の鞘に収まった剣が転がっていた。
慎重に引き抜く。
刃は鈍く、刃こぼれもあったが、ただの尖った木の棒とは比べ物にならない、本物の「武器」だった。
【 取得:鉄の剣 (品質:平凡) 】
アドレナリンが駆け巡り、牙を剥き出しにしてニヤリと笑う。
その武器とモリを、すぐさまインベントリへと収納した。
船を見つめる。
ここからが本当のゲームの始まりだ。決断は一瞬だった。準備が必要だ。
それからの数日間、彼はシステムの魔法空間を駆使し、島中の食べられる資源を根こそぎかき集めた。
ついに準備が整ったと感じた時、彼は最後にもう一度ハブを開いた。
【 インベントリ 】
ヤシの実 ×37
バナナ ×62
鉄の剣 ×1 (品質:平凡)
モリ ×1 (品質:普通)
粗末な木の槍 ×1 (品質:低)
青い画面を閉じる。
船底が水面にキスをして静かに浮かび上がるまで、砂浜に押し付けられた木製の船体を力いっぱい押し出した。
船に乗り込み、オールを握る。
力強く、最初の一漕ぎを入れた。
半年間、彼を閉じ込めていた監獄である無人島が、背後で次第に小さくなっていく。
きしむ船首の先には、果てしない海が広がっている。
未知なるものへの呼び声が、彼の血を沸騰させた。
魔法、神秘的な島々、モンスター、そして壮大な冒険……そのすべてが、あの海の向こうで待っている。
そして今、彼――レオンは、そのすべてを奪い取る準備ができていた。
【読者の皆様へ】
新連載スタートです!最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!
いきなり「犬」に転生してしまい、自分の犬の習性に絶望するレオンの冒険がいよいよここから始まります(虫に向かって思わず「バウッ!」と吠えてしまう姿には同情を禁じ得ませんが……笑)。
なけなしのポイントをすべて【運(LUCK)】に極振りしてしまった彼を待ち受けるのは、果たしてどんなバケモノたちと未知の海なのでしょうか!?
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