過去の自分
掲載日:2026/04/11
ある日彼は、過去の辛い記憶を売ることができるサービスを見つけた。
彼は早速試してみることにした。
銀行のATMの様な場所に入り、モニターの前に立つと自動音声が話し始めた。
「どの失敗を売却しますか」
最初は、好きだった女の子に告白してフラれた失敗を売ってみる事にした。失敗の値段は5万円だった。
「こんな失敗が、こんないい値段なのか」
彼は高級なレストランに行き、ギャンブルでその金を使ってしまった。
彼は味をしめ、彼はどんどん苦しい思い出を手放していった。
仕事での失敗、人間関係での失敗、、、
失敗を手放していくうちにお金は増え、気分はどんどん軽くなっていった。
気づいたら残りの失敗は一つだけになっていた。
最後の失敗を売却しますか?
提示された金額を見た時、彼は最後の失敗を売ることにした。
最後の失敗を売ったとき、彼は自分が空っぽになった様な気がした。
楽になったはずなのに、彼は自分が誰なのか、何を大切にしていたのかを思い出せなくなっていた。




