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2.早く元の世界に帰りたい!

玉座の間に、荘厳な声が響いた。

王――アレクサンダー王が玉座から立ち上がる。


アレクサンダー王「剣士アーノルド、聖女ナノ、大魔法使いコマリ、そして……ええと、頑丈な者アイカよ。

そなたらに、この世界を脅かす魔王の討伐を命じる!」


アイカ「俺だけ扱い雑じゃね!? “頑丈な者”ってなんだよ!! てかそれより!」

アイカ「ちょっと待ってください! 俺たち帰りたいんですけど!!」


王の前で、遠慮ゼロの叫び。

ナノとコマリが固まり、アーノルドが静かにため息をつく。


アレクサンダー王「……帰還は、魔王を討伐するまで不可能だ。

すまぬが、それがこの世界の“管理者”の定めである。」


アイカ「うそだろ……」

肩を落とすアイカ。ナノは目を丸くし、コマリは今にも泣きそうな顔。

アーノルドだけが静かに呟いた。


アーノルド「……つまり、やるしかないってことか。」


その言葉に、王はにやりと笑った。


アレクサンダー王「安心せよ。神の啓示により、そなたらには最適な師を用意してある。」


アーノルド「師?」

眉をひそめるアーノルド。


アレクサンダー王「まず、剣士アーノルド。北東の《ワクワク王国》の王女――サクナ姫が剣の手ほどきをしてくれよう。」


アーノルド「……ワクワク王国?」

ナノ「え、名前ふざけてません?」

アイカ「……王国のネーミングセンス終わってない?」


三人のツッコミが同時に響いた。


アレクサンダー王「な、名前で笑うでない! 立派な隣国だ!」

王のむきになった顔に、玉座の間がほんの少しだけ和む。


アレクサンダー王「次に、聖女ナノ。北の大聖堂にいるルーク司教が、“聖なる力”の使い方を教えてくれよう。」


ナノ「司教って……おじさんっぽいけど大丈夫かな? 私と合う?」

アレクサンダー王「努力しなさい。」

ナノ「努力ぅ……!」


アレクサンダー王「そして魔法使いコマリ。そなたの師は、マンマミーア村の大魔女――ヒバリだ。」


コマリ「マンマミーア村……ですか? なんだかにぎやかそうな名前ですね……」

アレクサンダー王「気にするな。腕は確かだ。」


そう言いながら、王はわずかに言葉を詰まらせた。

そして、視線をアイカに向ける。


アレクサンダー王「……そして、アイカ。」


アイカ「……はい?」

アレクサンダー王「すまぬ。そなたに合う師が――見つからなかった。」


アイカ「ちょっと待てぇぇぇ!!!」

アイカのツッコミが玉座の間にこだまする。


アイカ「なんで俺だけノー師匠なんだよ!? 不公平だろ!!」


アレクサンダー王「安心せよ。そなたには王国兵と同じ訓練を受けてもらう。」


アイカ「……兵士訓練?」

アレクサンダー王「うむ。明日より早朝五時起床、三十キロ行軍、丸太担ぎ、水中潜伏、城壁登攀、そして素手で熊討伐――」


アイカ「最後おかしいだろッ!!」

アイカの絶叫が、荘厳な玉座の間にこだました。



夜。



夜の王都。

空には薄雲がかかり、月の光が滲んでいた。


アイカ「急に召喚されて、拷問みたいな訓練させられるなんてふざけんな!」


城を抜け出したアイカは、ただ歩いていた。

どこへ向かうでもなく、心の中のもやを追い出したくて。

石畳はやがて途切れ、舗装もされていない細い道に変わる。

鼻を刺すような埃と、かすかな煙の匂い。

気づけば、そこはスラム街だった。

スラム街の景色を見たアイカは小さくつぶやいた。



アイカ「早く元の世界に帰りたい」



日本という恵まれた国で育ったアイカには、スラム街の景色だけでも衝撃を受けたのである。

自分はこのスラムで生きていくのは無理だと悟った。アイカはいやいやだが兵士訓練を受け入れることにした。


アイカはおとなしくお城にかえるのだった。

最後まで、読んでくださりありがとうございました。

心から感謝しています。

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