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6. 望海の精一杯

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


まあ、そこらへんに男が転がっている状態でそのまま帰れるはずもなく.........


私とお兄ちゃんはいっしょに小一時間ほど拘束されて、お母さんにめちゃくちゃ怒られたのだけど。


いまではいい思い出だ。


たぶんその時から、私は無意識のうちにお兄ちゃんをお兄ちゃんと認識していなかったんだと思う。


私にとって、お兄ちゃんは王子様だから。


私がお兄ちゃんのことを一人の異性としてみてしまうのは、正直不可抗力だと思う。


そんなふうに過去に思いをはせていると、時刻はもう5時。もうすぐご飯の時間だ。


「他の子に取られる前に、動かないと.......だよね?」


私はスマホを手に取った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


漫画などを読んでいると、あっという間にご飯の時間になった。


「綾斗ー。望海ー。ご飯だから降りてきなさーい。」


そういって、下の階からお義母さんの声が聞こえてくる。


さて今日のご飯は何だろな?


鶏肉かな?鶏肉だったらいいな?鶏肉じゃないとダメだよな?


今日の夜ご飯に思いを馳せながら扉を開けると、たまたま望海とハチ会った。


「...............」


「?」


なんか妙に見てきている気がするんだが。


まあ気のせいか。


そんなわけで、俺達は特に話すこともなく下へと向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ご飯が終わって。


今日は久しぶりの登校。


午前中授業とはいえ、学校に行くのはしんどくて。


とくにすることもなくベットについた。


そんなときだった。


キィッ


突然俺の部屋の扉が開く音がした。


「おにいちゃん。起きてる?」


「ああ。起きてるぞ。」


そう返すと望海は部屋に入ってきた。


そして、望海の格好を見て驚いた。


首や腕、足や胸元まで大胆に露出しているピンクの下着は、高1ながらとても発育の良い望海の胸元を惜しげもなくさらし、もう3年ほどたったにもかかわらず、少し胸がドキドキしてしまう。


「ど、どうしたんだよ。そんな格好して。」


「..............。」


望海は無言で俺の布団に潜り込んでくる。そして抱きついてきた。俺はもちろん慌てて引き離そうとするがガッチリとホールドしていて、一切離す気はないようだ。


「の、望海?どうしたんだ?」


「私たち、兄妹でしょ。いっしょに寝ても、なんの問題もないよね?それとも何?お兄ちゃんは私と寝るとなんか意識しちゃう?そうなの?」


望海はそう早口で俺に問いかけてくる。その言葉には、そこはかとなく期待と.......不安が混じっている。


その感情が何なのかはわからない。でも、真剣に聞いてくれている望海に対して、嘘をついたり有耶無耶な返答をしたり.....そんなのは不誠実だと、望海に対して失礼だと、そう思った。


「.........ごめん。わからない。俺はお前のことを大切な妹だと思っている。それは絶対に揺るがない。でも、お前を一人の異性として見ていないかと言われると.......はっきり否定はできない。現に俺はお前のその姿を見てドキドキしてしまっているし、いっしょに寝たら、ドキドキしてきっと寝付けない。だけど安心してくれ。俺はお前のお兄ちゃんだ。それは変わらない。お前が困っていたら絶対に助けるから。」


俺は、今の正直な気持ちを告げた。望海は、寂しかったのかもしれない。たしかに最近学校などが忙しくてあまりかまってあげられていなかったかもしれない。あのとき、望海の救いになるって誓ったのに........。


俺は望海を抱いて、言った。


「ゴメンな。寂しい思いをさせてしまって。お前は大事な妹だ。寂しくなったらいつでも言ってくれ。ずっとそばにいるから。」


「..........そういうことじゃないんだけどな...。」


「え?」


「なんでもない!ごめんね。おしかけて。私もう部屋に戻るね。」


「あ、ああ。」


「おやすみなさい!」


「おやすみ.......」


そういうと、望海は俺の部屋を飛び出していった。


最後に小さい声でいった言葉は聞き取ることができなかったが、最初に感じた不安の感情はすっかり消えていたようだった。


部屋を出ていくとき、ちらっと見えた望海の横顔。


その頬は緩んでいて、とても嬉しそうだった。


俺が寂しくしないって言ったからだろうか?


それはさすがにうぬぼれ過ぎかもしれない。


....................。


俺は本当の意味で、望海のお兄ちゃんになれていないのかもしれない。妹に恋愛感情を抱くなんておかしいからだ。


でも俺はお兄ちゃんだ。望海が父親のことを完全に忘れれるように、これからも望海を支えていく。血がつながっていなくても、本当の家族でなくとも。おれたちはきっと、紛れもなく大切な家族なのだから。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


後、望海の部屋にて。


「うふふ、ドキドキした、か。えへへ//」


私は、さっきの兄の部屋での出来事を思い出して、緩む頬を抑えきれずにいた。


正直言って、お兄ちゃんは私のことをなんとも思っていないと思っていた。だから、ドキドキしたって、異性として見ていないと否定できないって、そう言われたとき。少しは意識してくれていることがわかって。私は天にも登る気持ちになっていた。


「思い切っていってよかったぁ。」


だいぶ思い切っていったという自覚がある。これで妹としか見れないとか言われてたら軽く一週間は引きこもっていたかもしれない。


何はともあれお兄ちゃんが私のことを意識している。


それがわかったいま、私に躊躇する理由はなくなった。


これからもアピールしていって........


絶対に恋人になってみせるんだから!


だから覚悟しててよね。


私のお兄ちゃん(おうじさま)


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