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40. 仮面


私はあろうことか、親と出席していた会合でミスを連発していた。


お茶をこぼしてしまったり、つまずいてしまったり。


気が緩んでいたとしか言いようがない。


会合の間、私の頭の中には常に綾斗の姿があった。


そしてそれによってぼーっとしていた私はやらかしを連発してしまった。


会合相手は笑ってかわいいねぇと言ってくれたが、私の親が気にしないはずもない。


会合が終わり、私は個室にて両親と対面していた。


お父様が厳しい顔をして言う。


「美玲。今日はどうしたんだ?ミスをしたりして」


「すいませんお父様」


「どうしたの?体調でも悪いの?」


「そういうわけではないのですが.............」


両親は明らかに私のことを心配していた。


しかし、その時の私からしてみれば、頭の中にこびりついたイメージのせいで、2人は起こっているのだと、失望しそうになっているのだと錯覚して見えてしまった。


本当に、人間の思い込みというのは怖いものである。


それから私は、錯覚とはいえど自らの意思で仮面を被り直した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


まず、私は綾斗を無視した。


非常に心が痛かったが、これも私の...........両親のためだ。わかってくれ。


そして、すべての物事により一層、力を入れた。


以前よりも何倍も何十倍も努力した。


その成果もあって、様々なことが上達した。


ただ、どれだけ努力しても、パソコンの腕だけは上達することがなかった。


そのせいで、綾斗は無視しても無視しても生徒会室に来て、パソコンの業務をこなしていった。


綾斗と顔を合わせるたびに胸が痛む。


できることなら来ないでくれと何度思ったことか。


しかし、そんな私の願いは届かず、彼は粛々と生徒会室を訪れる。


そんなある日。


全校集会にて。


私はいつも持ってきている原稿を生徒会室に忘れてきたのに気づいてしまった。


私の話す出番は次。


生徒会長用の椅子に座っていることもあって取りに行くのは不可能だと思った。


次からは忘れないように対策しなければ..........


そう思っていた私の顔の横から一枚の紙が差し出された。


見てみると私が忘れてきた原稿が手書きで書き記されていた。


後ろを向くと誰もいなかったが、コソコソと列に戻る人の姿があった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


全校集会は例の紙のお陰で無事に終了し、放課後になった。


私は生徒会室に行きながら考えていた。


あの人物は誰だったのか?


まあ、人影やちらっと見えた顔、状況的にだいたい誰か検討はついているのだが。


私は生徒会室につくと扉を開けた。


生徒会室の奥では、彼がパソコンに向かい合っていた。


「おお、美玲会長。全校集会お疲れ様でした」


彼は何事もなかったかのように私に言った。


「原稿。お前だろう?」


「なんのことですか?」


「とぼけても無駄だ」


「あはは..........」


彼は観念したように笑った。


「....................んだ」


「え?」


「どうしてお前はなんでも完璧にこなせるんだ!私はどれだけ努力してもできなかった。なのに軽々と.........どうしたらお前みたいになれる!」


私は知りたかった。


彼について。


彼は私の完璧像に近い。


いや、そのものと言ってもいい。


だからこそ、なぜそこまで完璧なのかを知りたい。


すると、彼は少し考え込んで私に向けていった。


「完璧を求めないこと。人を頼ること...........じゃないですか?」


一瞬意味がわからなかった。


完璧を求めない?


人を頼る?


何を言ってるんだ?


「例えばですよ。世界の反対側で救いを求めている人がいてその人を自分で助けることができますか?」


そんなのできるわけない。


「そんなことできるわけはない。でも、人を頼れば?知り合いから知り合いへ。そうしていつかは世界の反対側にたどり着く」


でもそれは自分の力ではない。


「たしかに救ったのは知り合いの知り合いの知り合いかもしれない。でも、自分が行動しなければその人は救えなかった。それはその人自身の力だ」


そんなの屁理屈だ。


「俺の好きな言葉があります。完璧を求めるな。完璧とは限界である。俺は全くそのとおりだと思います。だからこそ.............」


そう言って彼は私の方を向き直した。


「あなたは、もっと楽観的になるべきです。完璧は、必ずしもいいものであるとは限らない。だからもっと、体の力を抜いたほうがいいですよ」


そこまで言い終わると彼は私に向かって優しく微笑んだ。


私の心の中では納得と反発が繰り返されていた。


だが、理解できるようでできないその言葉は、不思議なほどに私の胸にすっと入っていった。


「完璧じゃなくても........いいのか?」


「いいんですよ。あなたが完璧ではないぶん、俺がそこを極めればいいので」


本当にこいつは............


「はは....あははははははは!」


「なんで笑うんですかー」


なんだか肩の荷が降りた気がした。


私は........少し考えすぎていたのかもしれない。


カラカラと音がした気がした。


私の仮面は、音を立てて崩れていった。

ブクマと評価おねがーい。


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