37. 負けるわけにはいかないだろ?
炎天下の中、俺は走っている。
暑い。
暑い暑い暑いああああああああ。
頭がエラーを起こしそうなほどに暑い。
あ、もうエラー起こしてるって?
すいません。
というわけで現在時刻朝の9時。
俺は運動公園に来ていた。
なぜこんなに朝早く公園に?と思った方も多いだろう。
というか俺も来なくていいなら来たくなかった。
俺の額から汗がぽたぽたと落ちてゆく。
俺がここに来た理由。
それは..............
「センパーイ!もうすぐ始まりますよ〜!」
「わかった〜!」
そう。
今日はテニスの大会の日である。
しかも、秋の団体戦でいいところに入れるかどうかという大事な試合である。
うちのテニス部は結構強い。
俺を始め、俺よりも強い先輩方がいるからだ。
まあ、結果だけで言えば女子のほうが出しているんだが。
くそう!頑張ってるのに!
てなわけで負けられない試合。
俺はランニングでアップをしていたというわけである。
まあ、誰か一人が優勝すれば、秋でいいポジションが取れるので、そこは先輩方に頑張ってもらって、俺はベストを尽くそう。
現在、応援に来てくれているのは、結、夢、日向、望海の4人である。
本当はみんなくると言ったのだが、あいにく予定が合わず、血の涙を流していた。
まあ、それはおいておいて、彼女たちの前でカッコ悪い姿は見せたくないからね。
とくに望海は。
おいそこ?シスコンシスコンうるさいぞ?お兄ちゃんは見栄を張りたいものなのだよ。
というわけで第一試合が始まった。
相手は一年生。
少し可愛そうではあるが叩きのめさせてもらおう。
ということで、俺のすこまれるような打球はほとんど彼のラケットに触れることなく試合が終了した。
10分間の休憩が入る。
「おつかれ綾斗!」
「かっこよかったですよ先輩!」
「さすが綾斗さんですね」
「次もやっちゃってよお兄ちゃん!」
「はは、みんなありがとう」
正直、嬉しかった。
相手側の応援が、こんな美少女4人に応援されていて、うらめしそうな目で見てきたこと以外は。
「足は大丈夫ですか?」
日向は、俺の足を気にして心配してくる。
「大丈夫だ。こんくらい激しい運動にも入らないさ」
そういって俺が笑みを作ると、日向はホッとしたような顔になった。
そんな感じでみんなと話して、次の試合の時間になった。
◆ ◆ ◆
その後も順調に勝ち進んでいった俺。
奇跡的に、先輩たちと当たらず、強い人はいたものの俺が負けるほどではなかった。
え?すごいって?それほどでも〜.........あるかな〜♪
そんなわけで決勝に来たわけだが..........
「よろしくお願いします」
俺の前に立ったのは先輩ではなかった。
田中 流星。
2年生。
左利きで、常に結果を残してきた猛者だ。
先輩たちにいつも僅差で負けていたのだが..........
今回に関してはそうはならなかったらしい。
試合が始まった。
◆ ◆ ◆
ゲームは4対4で拮抗している。
どちらもサーブゲームでキープするため、試合がなかなか動かない。
「おら!!」
「くっ!」
俺のサーブがサービスコートの端に突き刺さり、ノンタッチサービスを取る。
ゲームが終了した。
5ー4である。
ベンチで休んでいるとき、俺はあることにしか意識がいっていなかった。
足の限界。
さっきのゲームあたりから足が痛み始めている。
まだ大丈夫だがいつまで持つか。
俺の心配は膨らんでいくばかりだ。
結局そのままキープゲームが続き、タイブレイクにはいった。
両者一歩も譲らず5ー6。
後一ポイントで負けてしまうが俺のサーブターン。
サーブで決める。
そう思ってジャンプした俺の足に痛みが走った。
ゆるいサーブがコートに入る。
それからは防戦一方。
耐えて耐えてそれでも攻撃はやまない。
相手の素早い球が俺のコートの端に突き刺さる。
その時、足に激痛が走った。
「ッッッ!!」
体のバランスを崩す。
ボールが遠のいていく。
世界が少しずつ遅くなっていく。
まるで走馬灯のようにいろいろな場面が思い起こされる。
走馬灯は、記憶の中から打開策を見つけ出すための体の反応だと聞いたことがある。
けれどその中に、打開するための情報などない。
(もういっか)
諦めそうになる。
目をつぶりたくなる。
止まりたくなる。
そんなとき...........
「先輩!!!!負けないで!!!!」
俺の耳に日向の声が届いた。
それにより、停止寸前だった俺の思考は加速する。
そうだよな。
日向はバカ正直だ。
そして無駄に勘がいい。
きっと俺が足の痛みで体制を崩したこともバレているだろう。
そんなことで負けたらどうなる?
日向は間違いなく自分を攻める。
俺はみんなを幸せにするって決めたんだよ。
それなのに心配させて自分を責めさせるなんて.........違うだろ。
俺は痛む足を踏ん張る。
痛い痛い痛い。
痛み?
関係ない。
痛みなんて脳の錯覚だ。
俺は一歩を踏み出した。
◆ ◆ ◆
「お疲れ様!お兄ちゃん!」
望海が出迎えてくれる。
結論から言おう。
俺は勝った。
タイブレイク8ー6である
あのあと、俺は痛みなんて気にせずに動き続けた。
そうして勝利を掴み取ったのだ。
「先輩.........」
日向は少し申し訳なさそうにしている。
やめろ。そんな顔をするな。
「日向」
俺は日向に言う。
「俺は.......かっこよかったか?」
日向は暗かった顔を驚きに変えたあと、ニッコリと笑っていった。
「はい!!」
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最近バク転始めたんだけどメガネ吹っ飛んだんだがww
誰か、目が3になってる俺にメガネを........!




