26. 昼食はアピールポイントらしい.......
アスレチックパークに行ったあと、俺達は旅館に戻ってきていた。
アスレチックパークからの帰りの時間もあって、今はちょうどお昼時。
俺自身、さっきからお腹が鳴り止まない。
「昼食はなんだろうな。」
「やっぱカレーとかじゃない?」
カレーか。
無難だ。非常に無難だ。だがそこがいい。いつ食べても美味しい。それがカレー。かれーいずべりいごっと。
「でも、夕方の班調理のときにカレーを作るから、昼ご飯カレーはないんじゃないかなあ?」
結は首を傾げながらそういう。
たしかに、夕方に班で晩ごはんを調理する班調理の時間にカレーを作ることが決まっているので、昼ご飯もカレーというのは考えにくいだろう。
「では、いまから昼食を発表する。」
先生が、みんなの話を一旦区切ってそう発言する。
絶対先生も楽しんでやってるだろ..........
クラスの奴らは先生に目が釘付けになっていて、発表をまだかまだかと待ち構えている。
「今日の昼食は............」
ごくり。
全員が固唾をのむ。
空腹なのもあってか、先生の焦らしにイライラするものまで出始めた。
そんなとき、言い放たれた。
「バイキング形式だ!」
「「「「「「おおおぉぉぉぉーーーー」」」」」」
あたりから歓声が上がる。
バイキング形式ってあれですよね?
なんか料理がいっぱい置いてあって、自分が食べたいものだけを皿にとって食べていいっていうあのバイキング形式ですよね?海賊的なバイキングじゃないですよね?
正直内心テンションバク上がりである。
だってバイキングだよ?好きなものだけ食べられるんだよ?そんなの天国じゃん。ヤッター!ピーマン食べなくていいー!
そんなふうに俺達が盛り上がっているところで、先生が俺達を会場に連れて行く。
◆ ◆ ◆
俺は今、夢と灯に挟まれて料理を食べている。
こうなった理由を感嘆に説明しよう。
まず先生につれてこられた俺達は、班ごとにテーブルを振り分けられ、ひとまずみんな席についた。
そして、先生の許可があり、バイキング形式の昼食が始まった..........はずなのだが。
「べ、べつにあんたの隣で緊張してるとかじゃないから」
「ふふ、綾斗さん。食べてさせて上げますわ」
「ぐぬぬ。じゃんけん弱い私の馬鹿ー!」
「...........」
そもそもこのテーブルは、四方に人が座りどこか一つだけ2人座るという構図のはずだ。はずなのだ。なのに........
今の俺達の構図は、俺の面に夢、灯と3人。対面に結とコリスの2人というなかなかにアンバランスな座り方になっている。
「あの俺、そこの誰もいないとこに移動を.........」
「逃がしませんわよ」
「逃さないから」
あ、無理ですね。逃げれませんね。だって両側から腕にとても柔らかい圧力がかけられているから。主に胸による。
「じゃあ、俺は料理を取ってこようかな.........」
「いえ、私達が取ってきますので」
「綾斗は動かないでね」
まさか俺は料理を自由に取りに行く権利すらないらしい。
嫌だ!バイキングしたい!堪能したい!嫌いなものを避けてとっても誰にも怒られないという子どもの夢を叶えたい!
そんな状況に俺が頭を抱えていると、他の男子生徒諸君の一部が俺を恨めしそうな目で見ていた。
いや、勘違いしないでね?俺今とっても不幸だから。なんなら場所変わって?
と、逆に俺が恨めしそうな目で見つめ返していると、俺の前に料理が置かれた。
そして驚いた。
あくまで外側の話だが、俺の嫌いな野菜が一切入っていない。
料理自体も、俺が食べたいなぁと思っていたものばかりで、なんなら俺が自分で取ってくるよりも俺の好みに合っていた。
「すげえ。俺の好きなものしか入ってない.........」
「もちろん。綾斗のことなら何でも知ってるからね.......」
え、ちょっとうれしいような怖いような。
そんなわけで、その後も両隣2人があーんをしようとしてきて、結が爆発したり、コリスが頬を膨らませてたりと色々なハプニングもあったが、最終的にはいい昼食になったのでした。




