13. いやな予感
むくっ
「ここは..........」
頭痛のする頭を押さえながら、俺はベットから起き上がる。だんだん記憶が蘇って意識がはっきりしてくる。
「そうだ。灯たちが俺に........。」
正直俄に信じたい。ベットから起きたのだから夢であってほしいと思う反面、みんなからの気持ちはとても嬉しくて、現実であってくれと思う自分がいる。
灯のみならず、結と夢も俺のことが好きなんて.......。今までそんな素振り一度もなかったのに.........。
俺は、現実逃避も兼ねてもう一度暗闇の中に沈んだ。
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「「「「「「..........................」」」」」」
私、古賀 望海。
現在、ここ古賀 望海の部屋には沈黙が流れています。はい。気まずい。
どうしてこうなったんだろう。
◇
「いやー、テスト終わったね!」
「そうだな。」
綾斗たちが答案用紙の見せ合いをしようと空き教室に集まっている同時刻。私と日向は、たまたま靴箱であった美玲先輩といっしょに、帰り道を歩いていた。
「望海はテストどうだったの?」
「まあまあかな。全部90点くらいの手応え。」
「望海。90はまあまあとはいわんぞ?」
え、そうなの。90って余裕で取れるから今回あんまり自信なかったんだけど..........。美玲先輩が言うなら間違いないよね。
私と日向と美玲先輩は実が仲が良い。まず私は生徒会に入ったので、純粋な先輩と後輩という関係だ。日向も私とよくいっしょに生徒会の仕事を手伝っている。そしてもうひとつ.............。
前の話から分かる通り、私はお兄ちゃんが大好きだ。異性として。日向はいわずもがな。そして、美玲先輩もお兄ちゃんのことが好きだったりする。しかし、お兄ちゃんはもてるから、お兄ちゃんの周りにはたくさんの女の影がある。その子達と比べて、私達は学年同じという圧倒的アドバンテージを取られている。そこでできたのが.........。
「ところでどうなっている。私達、different yearsの情報の方は。」
different years。私達年が違うものどうし、協力していきましょうという同盟である。現在メンバーは、私、日向、美玲先輩の3人。主に3人間で情報を伝達し合っている。私たちが中学の頃は美玲先輩にお世話になったものだ。
「今、確実にお兄ちゃんのことを好きなのは、結ねぇ、灯さん、夢さんの3人だと思われます。」
「じゃあとりあえず牽制しといたほうがいいんじゃない?」
「日向は黙ってて。」
まったくこの脳筋は.........。そんなことを聞く人たちではないと知らないのだろうか。
私達は色々作戦を立てながら帰り道を歩く。
私達にそれが起こったのは、しばらく歩いたときだった。私たち3人の体が急に跳ねた。心臓が萎縮するのを感じる。鼓動が早くなって息が苦しくなる。体に力が入りにくい。わたしたちは思わずその場でうずくまった。
そして、それと同時に私達の身体を襲ったのは、嫌な予感だった。今まで心にあったものが離れていこうとしているような。今まで大事に大事に持っていたダイヤを誰かに盗まれてしまうような。そんな感覚だった。そんなとき...........。
プルルルルルル。
そんなとき、不意に私のスマホがなった。かけてきた先は学校。何事かとうまく動かない手を使って電話に出ると、向こうから女の人の声が。
「もしもし。古賀 望海さんの電話で間違いないでしょうか。」
私は、息苦しい口を頑張って開いて答えた。
「はい。」
「そうですか。私は保健室のものなんですが、あなたのお兄様が突然倒れられまして..........」
私達は頷くと返事を返すことなく学校へと駆け出していた。もう体の不調は消えていた。
◆
私達が保健室に着くと、そこにはベットで横たわっているお兄ちゃんの姿。そしてそれを囲むようにして座る3人の姿があった。
「お兄ちゃんはどうしたんですか?もしかしてやばい病気とかなんですか?それとも急性の?命に別状はないんですか?原因はなんですか?」
私はパニック状態になって矢継ぎ早に質問してしまう。それも仕方のないことだ。今の私にとって、お兄ちゃんは私の全てなのだから。もし私とお兄ちゃんどちらかしか救われないとしたら、私は迷いなくお兄ちゃんを救うことを選ぶだろう。
「それが..............。」
結ねぇが顔を少し暗くして話し出す。私の頭には、最悪の状況がいくつも浮かんでくる。お兄ちゃんが死ぬ。お兄ちゃんともう話せない。お兄ちゃんに会えない。考えたくないのに、信じたくないのにどうしても想像してしまう。でも...............
「わたしたちが告白しちゃったからショートしちゃったの。」
は?私は耳を疑った。こくは、く?3人同時に?いやそこじゃない。ショートして倒れた?
私は思わずへたり込んでしまった。すごく安心した。それは日向と美玲先輩も同じ気持ちのようだ。ホッとした顔をしている。
それからわたしたちは、先程おきた出来事を聞いた。まさか三人がこんなに早く行動するなんて思いもしなかった。3人のお兄ちゃんへの好意を甘く見ていたようだ。ちなみに、遥斗と一樹は「あとは、よろしくね〜。」と運ぶだけ運んで帰ったそうだ。薄情な。一樹さんは、なにか考えがあったんだろうけど、遥斗はふざけてるだけだと思うからあとから殴ろう。
「..................」
沈黙が流れる。
その沈黙を最初に破ったのは美玲会長だった。
「一旦話を整理して話し合いたいからどこかいかないか?ここだと綾斗がいて落ち着かないだろうし。そうだねぇ。望海さんの部屋とかどうだろうか。」
「へ?私の部屋ですか?」
「ああ。どうせあとから綾斗に事情を伝えるだろうからな。帰ってきたときに話すほうが効率がいいだろう?」
そんな会長の提案もあって、私達は置き手紙を残し私の部屋に移動。この地獄のような空間が悲しくも私のお兄ちゃんの写真がいっぱい貼ってある部屋に展開している。
「なんというか..........すごいな。」
先輩が私を珍しいものを見るような目で見ている。
「い、いわないでぇ!」
◇
望海たちがそんな会話をしている頃、綾斗は現実逃避を終了し、置き手紙を見ていた。
『みんなで綾ちゃんの家で待ってます。話したいことがあるので、起きたら帰ってきてください。』と、結の可愛らしい文字で書いてある。
話というのが先程のことというのは確実だろう。俺はみんなのことが好きだ。恋愛的な好きかと言われるとわからないが、みんなのことを大事に思っているのは紛れもない事実。だから.........
「覚悟......決めなきゃな。」
そういって、俺は頬を両手で一回はたいてその場をあとにした。
ヒロイン誰が好きか感想で教えてー。今後のヒロインレースに影響するかも?
ブクマよろしくぅぅ!




