11. 私の気持ち vol.灯
いつもより筆が乗ったので、ちょっと長いです。
あと、前話も少しづつ修正入れていくので、入れたら報告するので、みたい人は見返してください。
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私は、普通の子だった。
べつに綾斗や遥斗のように親の問題があったわけでもないし。
別に裕福というわけでもないが、貧乏でもなかったし、比較的恵まれていたのだろう。
でも、私は心を閉ざしてしまった。
私は高校一年のとき、俗に言う陽キャグループと呼ばれるものにはいっていた。
男女四人ずつで構成されており、クラス内でのカーストがトップのグループだった。
放課後におしゃれなカフェに行ったり、街に行ったり。
大して欲しくもないキーホルダーをお揃いで買った。
甘いものがそこまで好きなわけじゃないけど、ス◯バのジュースを飲み漁ったりした。
別に居心地がいいわけでもなかったけど、悪いわけでもなかった。
個人的には、あの生活を気に入ってたんだと思う。
でも...........
★ ★ ★
「あんた、罰ゲームで斎藤に告白しなさいよ。」
もう名前を出したくないのでA子としよう。A子は私に、あろうことか嘘告をしろと命令してきた。
私はトランプが弱い。運、実力、イカサマ、カードの扱い。トランプにおける全てに見放されたのが私である。だからおかしいと思った。トランプの勝負に罰ゲームをつけるなんて。
私は抗議した。それはそうだ。嘘告白なんて、誰かを傷つけるだけなのだから。
でも、A子を含め、みんなはおもしろそうだと聞かなかった。やらないならもう仲良くしないとも言われた。
だから、私は自分の居場所を守るために従った。
仕方のないことだった。私の意思じゃなかった。
なのに..........
嘘告白の3日後。私は一人ぼっちになっていた。
告白をされた子が噂を広めたのだ。
私はもちろん罰ゲームで仕方なかったと抗議したが、A子は白々しくも
「そんなこと私がするわけないじゃーん。ねえ、みんな?きっと灯は罪を私になすりつけようとしているんだよ。」
といって、みんなに私を敵対視するよう仕向けた。
クラスへの影響力を見れば、みんながどちらを信じるかなど一目瞭然だった。
私は居場所を守りたかっただけなのに、ただ仕方なく従っただけなのに、それなのに居場所は守れず、もともと仲の良かった子にまで距離を取られる始末。
後に聞いた話だと、A子はグループの男子の一人が好きで、その人が私のことを好きだったので、私のことをよく思っていなかったらしい。
ほんとにバカバカしい。本当に。
私の心は次第に黒色へと変わっていった。
そして.........
私は生まれて初めて、人の心が砕ける音を聞いた。
★ ★ ★
それからの私はひどいものだった。
学校では喋らず、家に帰っても何もすることなく、ただただ惰眠をむさぼる日々。
生きる活力もなく、ただぼーっと息をするだけ。
無意味を人型にしたようだった。
でも、そんなときだった。
私の前に彼が現れたのは。
彼は私の一件があったとき、インフルで休んでいて、ようやく学校に来た。
だから、あの一件について知らなかった。
だから彼だけは、私に優しく接してくれた。
なにげない世間の話で盛り上がって、勉強どう〜?なんて聞いて。
そのひとつひとつの何気ない会話が、私の心を温めていった。
だから、私も彼だけのために、この口を開いていた。
そんなときだった。
「古賀く〜ん。」
思い出すだけでも気色の悪い声でA子は言った。
「灯ってばさぁ。ひどいんだよ?斎藤くんに嘘告して気持ちを弄んだの。古賀くんもあんまり近づかないほうがいいよ?」
たぶん、孤立させた私が少し楽しそうに話しているのが気に食わなかったんだろう。
古賀くんを私から遠ざけようとしていた。
私は半分諦めていた。どうせ古賀くんも...........
だけど、実際に起ったことは私の予想を完全と言っていいほどに裏切っていた。
「なんで?」
古賀くんは、心底不思議そうにしていった。
「は?だ、だって古賀くんも勘違いしてるっぽいし?そいつと関わっても不幸になるだけだって。」
「俺友達から聞いたけどさぁ。クラスの奴らもだけどなんでみんなA子を信じるの?灯さんは否定したんだろ?なのになんでA子のことを信じるんだよ。お前らはその現場をみたのか?100%灯さんが悪いって言い切れるのか?」
古賀くんがそれを知っていたことも驚きだったし、それを知ってなお私と仲良くしているのも驚きだった。
さっきまでざわざわしていたクラスが一瞬で静まり返る。
A子は、不機嫌そうな顔をして、古賀くんを見ている。
「まあ別にどっちを信じるかは人それぞれだから何も言わない。でも、確証もないのにハブったり、無視したりするってのは違うんじゃないか?それならただのいじめだぞ。」
古賀くんは、凛として言い放った。
けど私はそんなことをしても無意味だと思っていた。諦めていた。でも.......
「たしかに俺達なんでA子ばっかり信じてたんだろうな。」
「よくよく考えたらそうだよな。確実じゃないのにいじめみたいなことして。」
「最低だよ。私達。」
「ごめんね、灯ちゃん。」
クラスメイトたちの反応は予想とは違っていて。
みんな次々に謝ってくれた。
みんなは悪意があったわけじゃない。だから許し........
「ちょっとみんな!?真に受けないでよ!私は見てたんだから。その子が罰ゲーム告白したら面白いって笑ってるところ。だから.......。」
A子はまだ諦めていないようだった。だけどそんなとき、意外な人物が声を上げた。
「ごめん。俺達見てたんだ。A子が灯に命令しているところ。」
その人物とは、中村 瑠人。A子が想いを寄せていた、グループの男子その人だった。
「俺達も止めなかったし、A子に口止めされてて.....いや、これはいいわけだな。ともかく、悪いのはA子だ。灯は悪くない。俺達が保証する。灯、ほんとにごめんな。」
A子は、絶望した表情を浮かべ、口をパクパクと金魚のように開閉させていた。
そのとき、もうA子の味方をするものも、灯を責めるものも、誰一人としていなかった。
★ ★ ★
帰り道。
私は、古賀くんと一緒に帰っていた。
「あの.....古賀くん。ありがとね。」
少し照れくさかったが、伝えなきゃと思い、私は素直な思いを伝えた。
ちなみにあのあと、クラスのみんなから泣きながら謝られ、私は許した。
私の右手には、お詫びとして送られてきた、大量のお菓子が入った袋がかかっている。
「いいよ。困っている人を助けるのは当たり前だし。それに.........。」
古賀くんは顔をこちらに向けていった。
「灯さんはやっぱり、笑っている方が可愛いしな。」
「ッ!?」
いうまでもなく、私は顔を真っ赤にしていた。
それから、古賀くんと何を話したのかは記憶にない。
緊張しすぎていたのだろう。
そして、その日から私は古賀くんに、ううん、綾斗に猛アピールを始めた。
彼のことに、優しさに触れれば触れるほど、私は彼に惹かれていった。
お菓子を作ったり、お弁当を作ったり。
デートにだって行った。
彼と過ごした日々は本当に楽しかった。
席は、実は隣になった子と変えてもらっていたのだが........綾斗には内緒だ。
私はもう大丈夫だ。
きっと、私の心が壊れることはもうない。
砕けた心の破片を、綾斗が丁寧に丁寧に集めてその優しさで温めて..........溶かして新しい形にしてくれた。
もう、元の形に戻ることはない。
けど、それでいい。
綾斗がくれたこの世で最も大切なプレゼント。
傷つかないように、壊れないように、大事に大事に。
私はそれを、心の奥底にしまった。
最後の表現、我ながら好きだわ〜。
ブクマとかおなしゃす!




