第304話 フェンの秘策
楽しんでいってください。
ロードとフェンは、いまだに全力を出してはいない。だが、フェンの方は、明らかに焦っているかのようにも見えた。
魔王城周囲の結界を解いたのだ。それはつまり、それで守らなければ、フェンにとっては多大なる損傷を負っていたとも取れる。
「カレン、俺たちのことはいいから戦いに行ってくれ」
「そうよ。今、重要なのは倒すことでしょう」
マークとライカは、そのようなことを言っていたが私がここで投げ出す選択肢なんてなかった。
「何バカなこと言ってるの。さっさと治して一緒に戦うわよ」
私は、彼らを励ますように明るい声色で言ったのだ。そう言っている間にも、戦闘は激化していくのを感じ取っていた。
「レン! ここの守りは大丈夫だから行ってあげて」
レンは、不安そうな顔を一瞬見せたが、考え直したかのようにすぐさま離れていく。
……
何度ぶつかっても、そう簡単に倒せない相手っていうのはいいもんだな。
戦っててとてつもない高揚感に満ちている。
それだけ、コイツとの戦いが楽しいということだ。
「さっきは悪かったな、サフィーと比べちまってよ」
「それがどうした。もはや別にどうでもいいわそんなこと」
そう言っているが、体は違うらしい。先ほどの比べて、力が増している。
それでも、まだ捌けるけど。
次の瞬間、横槍をいるべくレンの一撃がフェンを襲ったのだ。
俺だけに集中しているのが、仇となったのだ。
「神速式・一頭突き」
「――またか、先にお前から潰す」
先ほどの一撃がよほど効いたのか、目がバキバキで睨んできている。
迫力はあるが、今はどうも思わない。
「二刀一閃・双剣雷閃」
武器の特殊能力の影響か、相当なダメージが蓄積されているのがわかる。
あの魔王が、体がふらついているのだ。
「気を抜くなよ」
「「了解!!」」
言った側からだ。フェンの攻撃に一気に分断される。俺とマークが右側に飛び、他3人は左側に飛んだ。
フェンが飛んだ。
「大炎斬・乱舞」
飛ぶ斬撃……思わず覚悟してしまうほどの強さだと確信する。
そんな斬撃が、何度も何度も身に降りかかる。
避けるので精一杯。仲間を確認できる余裕がなかった。しかし、それは聖女の願いを発動していない3人だとすぐに理解することとなったのだ。
「聖女の願い舐めんな! 神速式・大龍斬撃」
「ハイ・ジャンプ、二刀一閃・滝流れ」
それを予測していたかのように、魔王の結界は発動する。
2つの攻撃が上から下に、下から上にと龍が噛み付くかのような、攻撃を仕掛けている。
「レン! 神速式・極力一閃」
「わかってる! 神速式・投擲」
心臓部分目掛けて、結界を貫通させようと4人の攻撃が牙を剥く。
それを嘲笑うかのように、顔の口角をあげる。ただそれは、フェンにとって最悪な結果となった。
「正拳」
カレンが己の拳で突き破ったのだ。
フェンの顔は、驚きのあまり目が大きく見開いてる。ただ、それは破られたことだけだった。
移動の風圧だけで、俺たち全員を壁にぶち当てたのだ。
「これで勝てると思ったか。だったらアレ使うか」
フェンの右腕に、魔力の集中を感じる。それも今までにフェンから感じたことがないほどの魔力だ。
「みんな逃げて!!」
カレンの声が聞こえるが、俺は体が動かせそうになかった。ただ、嫌な予感がする。
この魔力を仲間に浴びせるわけにはいかないと、体の奥底から叫ばれているような気がする。
体は、勝手に転移をし、レンの前に飛んだのだ。
「ロード!!」
体全身に、強烈な痛みを感じる。動かそうとすれば、激痛が一瞬のうちにして体を蝕むようだ。
それでも何とか立ち上がる。だが、まともに動けるわけがない。
「フェン! ロードに何をしたんだ」
レンが吠えているのが聞こえる。怒りのこもった声だ。
カレンは、必死に魔法やポーションをかけているようだが、意味をなさない。
マークもライカも、フェンを睨んでいる。心の奥底から睨んでいるようだ。
「お前にやるつもりだったのにな。まさかロードか、これも勇者の定めってやつかな」
フェンが何かを言ったのはわかる。ただ、何をいっているか全くもってわからなかった。
「だが、ちょうどいい。ロードと妨害なしで戦えるのだから」
最後まで読んで頂きありがとうございます。
いかがだったでしょうか?
大炎斬・乱舞、飛ぶ斬撃であり、その斬撃には炎が纏っておりそれが上空から降ってくる。
速度も早く、並大抵の人間なら一撃で終わり。
二刀一閃滝流れ、剣、2本使って勢いよく流れる滝を表現して斬り落とす技。
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