第296話 魔王城が見える丘の上そこでご飯を食べた
楽しんでいってください。
最終章開幕です。
結界の中、先ほどまでとの雰囲気とは一変した。先ほどは、どこを振り向いても至る所から殺気が漏れていた。
今は違う。
逆に、どこからも殺気を感じない。
俺たちは、少し歩いた先にあった人工的に出来たと思われる開けた場所に出た。
「魔王城……」
少し奥にある大きな黒いお城。王都のお城と同等との大きさである。
「じゃあ、休憩がてら食事取らないか?」
「「え??」」
全員もれなく疑問の声である。魔王城が見えているのに、即行かずに食事をしようなんていうのだ。
疑問の声になるのも当たり前だ。
「だってこれが最後の晩餐になるかもだろ」
「不吉なこと言わないでよ」
カレンがすかさず怒る。
「いや、俺たちは勝っても負けても集まることは格段に減るからな」
「魔王討伐が終わったらこのメンバーでの旅は終わりってことだよね」
ライカがボソッと言った。そうである。元は、魔王討伐がこの旅の終着点なのだ。
「そういえばそうだったわね。濃密な旅ですっかりわすれてたわ。ロードご飯期待しているわ」
そう言って、各自各々準備を始めていく。
そうして出来たご飯を食べていく。いつもみたいに、色んな話をした。
魔王城の前とは思えないほどの、笑顔あふれる食卓が映っていた。
……
「あいつらすぐに攻め込んでこないのかよ」
「だってロードだし」
メグの言葉は、なんともいえない説得力があった。
「ってなんで立ってるの? 準備運動?」
「きさまを牢獄にぶち込むんだよ。邪魔をされたら困るからな」
メグは呆れたも同然の顔をしていた。それも当然の反応と分かった上で、メグを拘束したのだ。
「え、なんかこれいつもと違う?」
「もう気がついたのか。そうだ、これは俺が完全に死んだ時に解かれる魔法だからだ」
魔王の声は本気だったのは、メグは知っている。完全に諦めムードである。
「まぁ、特別監獄から見守っているわ」
その頃、ご飯を食べ終わり食後のブレイクタイムを楽しんでいた。
「まさかあんたら2人が一緒に旅するなんてね」
「私から誘ったんだ、双剣と剣のコンビで無双してみたかったし」
「カレンは、俺の木々治してくれよ」
「俺は、正式な教師になる」
それぞれが夢をいいつつ、ただこの時がいつまでも続けばいいと誰もが願っていた。
今からは、戦闘戦闘の連続だ。いつどういうふうに死んでもおかしくない。
それをわかっているからこそ、この時間が尊いものなのだと噛み締めて行動していた。
「じゃあそろそろ行きますか」
ロードの号令に、みんなすぐさま返事をした。
それから、また魔王城にむけて歩き出す。独特な雰囲気を放つこの森にも慣れた。
所々に、メグが書いたであろう看板を見ながら進んでいく。
「最初、迷ってたのかな」
思わず思っていたことが口に出た。その看板には、魔王城はこちらと所狭しに書かれていたからだ。
「そうなのかもな。でも俺たちもありがたいよな、魔力の消費も抑えられてありがたい限りだ」
レンの言葉に皆同じ意見だと言わんばかりに、各々声に出していた。
「話してるところ悪いが見えてきたぞ」
俺たちは、魔王城の門に辿り着いた。門は、自動で開き俺たちを案内に従って中に入る。
「外も立派だったけど中も相当だな」
中は、黒を基調としたデザインで統一されていた。いかにも魔王城という城だったので感心してしまうほどだ。
「いかにもって部屋が分かれてるわね」
「4つの部屋に続きそうな扉に、中央の大きな扉」
「みんな健闘を祈る。魔王を先に倒しておくよ」
皆冗談だと思っているが、俺は本気で思っていた。そうしてそれぞれの扉に入っていくのである。
……
「へぇーやっぱり大きな部屋ねソウ」
「緊張感のカケラもねぇな。じゃあ殺しますか」
……
「やっときたかマーク。さぁ楽しませてくれよ」
「めっちゃ元気な爺さんだな。まぁせいぜい楽しんで逝ってくれ」
……
「ほんと主人に似て暑苦しい部屋だな」
「それにしては、お前の目も相当熱そうな目してるけどな」
……
「カレン、殺される準備は出来たかしら」
「それはこっちのセリフだから」
……
「魔王フェン、あの時の借り返させてもらう!!」
「さぁ、楽しませてくれよロード! 最高の時間をな」
最後まで読んで頂きありがとうございます。
いかがだったでしょうか?
最後の各々のセリフシーンは、それぞれの集大成の場になるため全員がどこかテンション高いです。
魔王のいる間に辿り着くには、入ってきた扉とは反対方向にある扉を使って辿り着きます。
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