第290話 勝負開始
楽しんでいってください。
翌朝、アンの元に向かう俺たち。
少し緊張した面持ちで、本部の扉を開けたのだ。
「おはよう。その顔は覚悟が決まってるって顔ね」
まだ,始業時間ではなかったことも影響してか、受付の付近で掃除をしている真っ最中であった。
「やるからには、私たち本気だからね」
「楽しみだわ。じゃ学校の近くまで行きましょうかしら」
そう言って、楽しそうな笑みを浮かべながら本部を飛び出して行った。
そうして、見晴らしのいい場所まで来てアンは魔法を発動した。
それは、大きな結界を展開したのだ。
「ここから出たら負けね。それじゃ始めましょうか」
次の瞬間、うちに秘められていた魔力が一気に解放される。その衝撃は凄まじく、辺り一帯砂埃が起きていた。
「ウィンドドラゴンズ」
アンは、そう唱えた直後2体の長い首のドラゴンが召喚された。次の瞬間咆哮を放つ。
そうしてブレスが勢いよく発射されたのだ。
ブレスは地面に当たり、辺り一体が風で身動きがう上手く取れなくなっていた。
「豪雨」
結界内は、豪雨な上とてつもない強風にあっという間に見舞われたのだ。
完全に、アンの独壇場と言っていいほどだ。
(みんな大丈夫か)
返事がない。皆それどころでないのがわかる。
「まずはドラゴンどうにかしないと」
なんとか神速で動くものの、結界内は魔力がごちゃごちゃしていて感知能力がアホになっている。
集中して探せば問題ないはずなのだが、この状況ではそんなことは出来そうになかった。
おそらくアンは、俺たちの居場所を把握しているのは間違いない。そしてそれを気取らせないために、一気に魔力を解放させたと考えた。
急激な魔力変化は、感知能力にとって紙一重なのである。
「ライトニング」
アンの声が聞こえたような気がする。そう思った時には、時すでに遅かった。
後ろから、ライトニングで貫かれたのである。
恐ろしく魔力密度が高いライトニングであった。貫くまで、サイレントによって隠されて気が付かなかった。
「―マジかよ…」
思わずそんな声がこぼれ落ちた。
「極力一閃! ッソ逃げられた。ロードどこなの?」
ライカの声がかすかに聞こえる。
声を出そうにも、今のままではかき消されて意味がないのがわかりきっている。
(声を出さなくていい。私なら分かるから)
脳内にカレンの声が聞こえる。そう思った瞬間には、雨や風が当たらなくなっていた。
「先手やらたわね。今回復するから待ってて」
「この結界も、アンの策略だっただろうな。相当練られてる」
「でも、大丈夫。手立てならあるから」
その顔は、自信に満ちた顔である。なんとも頼もしい限りである。
「レンがやばそうだな。火魔法が使えないから」
「そうでしょうね。おそらくそれも潰すためのこれでしょうしね」
そんなことを流暢に話していると、結界に大きな衝撃音が襲ってきたのだ。
「レン!?」
結界の外で、血だらけのレンが倒れていたのだ。
今すぐにでも、回復をしないといけないレベルなのは誰の目から見ても分かるほどだ。
「レンのことは任せる。傷からしてやったのはドラゴンズの方だ」
結界で守られている間に、感知能力の準備が出来た。
アンとは、別のところにドラゴンズの反応がある。
「神速式・極力一閃」
気付かれるの大前提なのは百も承知。
「ライカ! 引きつけ頼んだぞ」
微かに声が聞こえたような気がする。ドラゴンズは、その間に消滅し雨だけが残るのであった。
「さぁ、こっから反撃だ!!」
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